利用規約の正しい作り方を解説!これだけは書くべき10項目も併せて紹介
商取引・契約法務
2025.08.03 ー 2025.08.03 更新

ECサイトやWebアプリなど、自社サービスを運営するうえで欠かせないのが「利用規約」です。ユーザーとの信頼関係を築き、トラブルからサービスを守るための“ルールブック”として重要な役割があります。
とはいえ、「どんな項目を入れればよいのか?」「テンプレをどうアレンジすればいいのか?」と悩む方も多いのではないでしょうか。無料のテンプレートをそのまま使ったり、内容を見直さずに後回しのままリリースするケースも少なくありません。
この記事では、法律の専門知識がなくても、自社サービスに適した利用規約を作成できるように、「作成手順3ステップ」と「10個の必須チェック項目」を中心に、具体例や注意点を交えてわかりやすく解説します。
「失敗しない規約づくり」のために、テンプレートの活用ポイントや法的リスクを回避するコツを網羅しているので、これから作る方はもちろん、見直しを検討している方もぜひご覧ください。
無料で相談できる専門家検索はこちらから>>利用規約を作る前に、基本の構成と注意点を理解しよう

自社のWebサービスやアプリを提供する際、「利用規約」は単なるお知らせではなく、ユーザーとの間に明確な“ルール”を設ける法的な契約文書です。適切に整備されていれば、万が一のトラブル時にも事業者を守る重要な役割を果たします。
しかし、契約書との違いや、約款との関係性、民法における「定型約款」としての位置づけなど、利用規約の法的背景や意味を十分に理解していないまま、テンプレだけで済ませてしまっているケースも少なくありません。
ここではまず、利用規約が担う基本的な役割から、その法的根拠、契約書・約款との違いまでを整理して解説します。
- 利用規約の基本的な役割と必要性
- 契約書と利用規約の違い
- 利用規約と約款との違い・その法的位置づけ
利用規約はルールブックの役割
利用規約は、サービスを提供する事業者とそれを利用するユーザーの間で交わされる「ルールブック」としての役割を果たします。
どのようなサービスを、どのような条件で利用できるのか、そして双方にどのような権利や義務が発生するのかを明確に定めることで、認識の違いから生じるトラブルを防ぎ、円滑なサービス運営の基盤を築きます。
また、利用規約はトラブルを未然に防ぐ「予防法務」としても非常に重要です。サービス利用時の禁止事項や、万が一問題が発生した場合の免責事項などをあらかじめ具体的に定めておくことで、「言った、言わない」といった論争になるリスクを低減させ、将来的な紛争を回避することに役立ちます。
さらに、利用規約は事業者を法的なリスクから守る「盾」としての側面もあります。予期せぬ損害の発生や、利用者からの過大な賠償請求といった事態に直面した場合でも、事前に定めた免責事項などに基づき、事業者の責任範囲を限定可能です。
これにより、事業継続に支障をきたすような過度な負担から身を守るために不可欠な存在と言えます。
利用者にとっても、明確な利用規約があることは大きな安心感につながります。サービスの提供範囲や利用上の注意点、トラブル時の対応などが事前に把握できるため、安心してサービスを利用できます。事業者の透明性を示すことは、ユーザーからの信頼獲得にも貢献するでしょう。
契約書と利用規約の違い
利用規約と契約書は、いずれも取引におけるルールを定めるものですが、その性質や使われる場面には違いがあります。最も大きな違いは「合意の形式」と「対象者」です。
契約書は、特定の当事者同士が個別に交渉し、内容に合意した上で署名や捺印を交わして成立するのが一般的です。これは、当事者双方の個別具体的な合意に基づきます。
これに対して利用規約は、サービスを提供する事業者が画一的な内容をあらかじめ提示し、利用者がその内容に同意することで、不特定多数のユーザーとの間に共通のルールが生まれます。個別の交渉ではなく、提示された条件に同意するかどうかで関係が成立することが異なる点です。
こうした性質の違いから、使い分けがなされます。ECサイトやウェブアプリケーションのように、不特定多数のユーザーに対して同じサービスを画一的に提供する場合は、利用規約を用いるのが効率的です。
一方、個別のカスタマイズが必要な法人向けの取引や、より詳細な権利義務関係を定める際には、個別に契約書を締結するのが通例です。また、基本的なサービス利用は利用規約に基づき、オプション機能や特別な契約については別途契約書を締結するなど、両者を併用するケースも少なくありません。
利用規約と約款との違い
約款とは、特定の種類の取引に関して、多数の相手方との契約を定型的に処理するため、あらかじめ作成された契約条項の総体を指します。
例えば、保険契約における「保険約款」や、運送サービスにおける「運送約款」などです。これらの約款は、個別の契約ごとに交渉する手間を省き、効率的な取引を実現するために広く用いられています。ECサイトやWebサービスで用いられる「利用規約」は、法律上、この「約款」の一種という位置づけです。
特に、2020年4月1日に施行された改正民法では、「定型約款」に関するルールが新設され、利用規約の多くがこの定型約款に該当すると考えられています。これにより、利用規約は単なるサイトのルールとしてだけでなく、利用者との法的な契約内容としての根拠がより明確になりました。
定型約款が契約内容となるためには、事業者は利用者に定型約款を「表示する義務」を負います(民法第548条の2第1項)。
また、利用者が事業者の取引により契約を締結する場合、定型約款の内容が契約の内容となることに合意したものとみなされる「みなし合意」の規定が設けられています(同条第2項)。これらの規定により、事業者は利用規約の有効性を主張しやすくなりました。
以下は、定型約款の有効性に関する主なルールをまとめたものです。
区分 | 要件/条件 | 根拠条文 | 補足 |
---|---|---|---|
契約内容化 | 表示義務 + みなし合意 | 民法第548条の2第1項・2項 | 事業者は利用者に表示する必要がある |
無効条件 | 信義則に反し、利用者の利益を一方的に害すると認められるもの(いわゆる「不当条項」) | 民法第548条の2第2項 | 利用者の権利を制限したり、義務を加重したりする条項 |
ただし、定型約款の条項であっても、利用者の権利を制限したり、義務を加重したりする条項のうち、信義則(民法第1条第2項)に反し、利用者の利益を一方的に害すると認められるもの(いわゆる「不当条項」)は無効です(民法第548条の2第2項)。
利用規約を作成する際は、こうした不当条項とならないよう、利用者の利益にも配慮したバランスの取れた内容にすることが求められます。
利用規約作成の3ステップ

ここからは、誰でも実践できる「利用規約作成の3ステップ」をご紹介します。自社サービスに必要な項目を洗い出し、ユーザーに伝わる表現でまとめ、法的な整合性を確認するまで、順を追って解説します。
これらのステップを順に進めることで、自社サービスの実態に即した、より実用的な利用規約を作成できます。ぜひ、一つずつ確認しながら作成を進めていきましょう。
STEP1:業種・サービス特性に応じた必要項目を洗い出す
利用規約の作成において最初に行うべきは、自社のサービスが持つ特性と、運営上想定されるリスクを正確に把握することです。サービスの種類や提供方法によって、定めるべきルールやリスク対応の内容は大きく異なります。
まずは、以下のような観点から、自社サービスの全体像を整理しましょう。
- 提供形態
ECサイト、SaaS、マッチングサービス、プラットフォームなど - ビジネスモデル
月額課金、従量課金、広告収益型、成果報酬型など - 主なユーザー層
個人ユーザー、法人顧客、不特定多数の一般ユーザーなど
このように整理することで、サービス利用時に発生し得るトラブルや、規約で明文化すべきポイントが見えてきます。次に、業種やサービス特性ごとに起こりやすいリスクを洗い出していきましょう。例えば以下のようなケースが考えられます。
- ECサイト
配送トラブル、返品・返金対応、偽名注文、不正利用 - SaaS
サーバートラブル、データ消失、個人情報漏洩、ライセンス違反 - マッチングサービス
ユーザー間トラブル、不適切投稿、監視義務の範囲
こうしたリスクは、利用規約の中であらかじめ対応策を定めておくことで、トラブル時の責任範囲を明確にでき、事業者側のリスクヘッジにもつながります。
さらに、同業他社や類似サービスの利用規約を参考にすることも有効です。業界標準となっている条項や表現を確認することで、自社にも応用できる要素が見つかるでしょう。
ただし、他社規約をそのままコピー&ペーストするのは絶対に避けてください。
実態に合わない内容や不適切な文言が含まれていると、かえって法的リスクを高めてしまう可能性があります。あくまで参考資料として活用し、自社サービスの状況に合わせてカスタマイズすることが前提です。
最後に、「利用規約に必ず含めるべき10の重要項目」と照らし合わせながら、自社にとって必要な項目を整理しましょう。リスク分析を踏まえたうえで項目を追加・修正することで、より実用的で法的にも機能する利用規約の骨子が完成します。
STEP2:分かりやすい文言で具体的に記述する
利用規約は、法的な文書であると同時に、サービスを利用するユーザーが読む“案内書”でもあります。したがって、法律専門家向けの難解な言葉ではなく、エンドユーザーが正しく理解できる平易な表現で記述することが重要です。
特に以下のポイントを意識して記述を進めましょう。
難解な専門用語は避け、補足を加える
法律用語や業界用語は、可能な限り避けるか、必要な場合は注釈や補足説明を加えてください。たとえば「免責」や「準拠法」など、一般ユーザーにとってなじみのない表現には、かみ砕いた言い換えや具体例があると理解を助けます。
主語・述語・目的語を明確にする
契約文書では「誰が」「何を」「どうするのか」が明確でなければ、解釈の違いによるトラブルの原因になります。以下のような構成を意識しましょう。
- 「〇〇することができる」…権利を示す
- 「〇〇しなければならない」…義務を示す
- 「〇〇してはならない」…禁止を示す
たとえば、「サービスの利用を制限することがあります」ではなく、「運営者は、ユーザーが規約に違反した場合に限り、当該ユーザーのサービス利用を制限することができます」のように、主語と条件を明確に記述することで誤解を防ぎます。
曖昧な表現を避け、数値で明示する
「速やかに」「適切に」「相当の期間」などの曖昧な表現は、解釈が分かれやすく、後のトラブルを招きやすくなります。可能であれば、以下のように具体的な数値に言い換えましょう。
- 誤:〇〇は「速やかに対応します」
- 正:〇〇は「原則3営業日以内に対応します」
文を短く・視覚的に整理する
読みやすさを高めるためには、1文を短く区切り、接続詞や読点(、)を多用しすぎないことが大切です。また、重要事項や複数の条件を列挙する際は、箇条書きを使うことで視認性が向上します。
利用申込みの取消は、以下のいずれかの場合に限り可能です。
- 商品が未発送であること
- 申込日から3日以内であること
- 決済手続きが未完了であること
これらの配慮を重ねることで、ユーザーは安心して規約内容を理解でき、結果的にサービスに対する信頼性の向上にもつながります。文章が正確であることはもちろんですが、「伝わるかどうか」も同じくらい重要です。
STEP3:法的整合性と実効性のチェック
利用規約を作成した後は、内容が法律に適合しているか、そして実務において機能するかを丁寧に確認する必要があります。見落としがあると、規約が無効と判断されたり、ユーザーとのトラブルに発展したりする可能性もあります。
関連法令との整合性をチェックする
利用規約は、以下のような主要な法令に適合していなければなりません。
- 民法(特に定型約款に関する規定)
- 消費者契約法
- 個人情報保護法
- 特定商取引法
特に、消費者契約法における「不当条項」の禁止には注意が必要です。たとえば、事業者の責任を一方的に免除する条項や、ユーザーに過度な義務を課す条項は、無効と判断されるリスクがあります。
実際の運用体制と乖離がないか確認する
規約に記載されたルールが、実際の業務フローや対応体制で実行可能かどうかも重要なチェックポイントです。たとえば以下のような点を確認しましょう。
- 問い合わせ対応は現実的な時間で可能か
- 違反ユーザーへの対応フローが現場で回るか
- サービス停止や強制退会の判断基準が明確か
現場で対応できない規約は「絵に描いた餅」となり、信頼を損なう原因になります。
読みやすさをユーザー視点で検証する
どれほど法的に整っていても、ユーザーに理解されなければ意味がありません。以下のような観点で文章をチェックしましょう。
- 専門用語に注釈があるか
- あいまいな表現を避けているか(例:「速やかに」→「3営業日以内に」)
- 一文が長すぎず、区切りや箇条書きが使われているか
可能であれば、サービスに関与していない第三者に読んでもらい、わかりづらい点を指摘してもらうのも有効です。
チェック項目まとめ
- 法的整合性の確認
関連法規に違反していないか、不当条項がないか - 実効性の検証
規約通りに現場で運用できるか - ユーザー理解度の確認
平易な表現で、誰でも理解できるか
これらのセルフチェックを終えたら、最終的には弁護士など専門家にレビューを依頼することを推奨します。第三者の目で確認することで、法的リスクを最小限に抑えると同時に、ユーザーとの信頼関係構築にもつながります。
法務急済では、契約書のリーガルチェックから労務、法務観点のサポート、損害賠償などの企業間紛争に対応できる専門家を検索・依頼することが可能です。全国の弁護士事務所から簡単に検索・相談できます。
自社に合った利用規約を作るためのテンプレート活用術

「利用規約を自分でゼロから書くのは不安」という方にとって、テンプレートは非常に心強いツールです。実際、基本構成や文体の参考になり、抜け漏れ防止にも役立つでしょう。
ただし、テンプレートはあくまで“ひな形”であり、そのまま使えば法的リスクやユーザーとのトラブルを招く可能性があります。このパートでは、テンプレートを安全かつ効果的に活用するための注意点と実践ポイントを紹介します。
テンプレートを活用するメリットとは?
利用規約のテンプレートは、作成作業を効率化する上で非常に有用です。何を書けばよいか迷うことなく、全体の構成や文体を把握できるため、初めて作成する人にとっては“道しるべ”になります。
また、記載漏れが起きやすい項目(免責事項、著作権、準拠法など)が網羅されているケースが多く、基本的な内容を押さえるうえでのチェックリストとしても機能します。
そのまま使うのはNG!テンプレートの落とし穴
テンプレートは便利な反面、そのまま使ってしまうと重大なトラブルの原因になります。たとえば、テンプレ内の文言が自社のビジネスモデルやサービス内容に合っていないと、実態との不一致が生じ、「規約が無効」と判断されることもあるでしょう。
さらに、消費者契約法に反するような条項(例:一方的にユーザーの権利を制限する内容)が含まれている場合、ユーザーにとって不利すぎる内容とみなされ、裁判で無効になるリスクもあります。
過去には、テンプレをそのまま流用したことで「内容が不明確」とされ、事業者に不利な判断が下された例も存在するのです。
カスタマイズで失敗しない3つの視点
テンプレートを活用する際には、以下の3つの視点をもとにカスタマイズすることが重要です。
- 自社の業種・サービス構造との整合性を確認する
例えば、EC・SaaS・マッチングなど業態により必要な条項は異なります。対象ユーザー層や課金モデルも踏まえて見直しましょう。 - 曖昧な表現や専門用語をユーザー目線で平易に書き換える
「速やかに」「適切に」などの表現は、「〇営業日以内」などに具体化し、誤解の余地を減らします。 - 最終的には弁護士などの専門家によるレビューを受ける
規約が法的に有効かどうか、リスクを含んでいないかを第三者視点でチェックしてもらいましょう。
なお、こうしたカスタマイズを行うためには、テンプレートを“たたき台”として活用するのが有効です。以下のようなサイトでは、汎用的な利用規約のテンプレートが無料でダウンロード可能です。
テンプレートはあくまで出発点です。必ず自社のサービスやビジネスモデルに即した内容へとカスタマイズし、必要に応じて専門家によるレビューも検討しましょう。
利用規約に必ず含めるべき10の重要項目

「項目だらけでどこから手をつけていいか迷っていませんか?」そんな方のために、利用規約に最低限これだけは入れないとまずいという10項目をピックアップしました。
1つずつ理由を添えながら、どう書けばユーザーにも法律にも強くなるかを、実例を交えて感覚的に伝えます。これを押さえておけば、規約の主要部分はまず安心。次からの「業種別・応用編」へスムーズに進めます。
- サービス内容と利用条件の明確な定義
- 料金・支払い方法に関する規定
- 知的財産権の帰属と利用制限
- 禁止事項と違反時の対応
- サービス中断・終了に関する条件
- 免責事項と損害賠償の範囲
- 個人情報とプライバシーの取り扱い
- 規約変更の手続きと通知方法
- 準拠法と管轄裁判所の指定
- 退会・解約手続きの明確化
サービス内容と利用条件を明確に定義する
利用規約において、提供するサービスが「どのようなものか」「どのような条件で利用できるか」を明確に定義することは、利用者と事業者との間での認識のずれを防ぎ、その後のトラブルを避けるための、最も基本的な項目です。
サービスの機能、仕様、利用可能な範囲(無料プランと有料プランの違いなど)を誰が読んでも同じように理解できるよう、具体的に記述する必要があります。
また、サービスを利用するための前提条件として、利用資格(年齢制限や法人・個人など)、推奨される利用環境(OSやブラウザなど)、アカウント登録の要否なども明記することが重要です。これにより、利用者はそのサービスを利用できるかどうかを事前に判断できます。
将来的にサービスの仕様変更や機能追加が行われる可能性に備え、「当社が別途定める方法により提供する」といった、ある程度の柔軟性を持たせた表現を取り入れることも有効です。
これらの項目を明確に定めることで、利用者に対して透明性の高いサービス提供が可能となり、信頼関係の構築にも役立ちます。
料金・支払い方法に関する規定を入れる
利用規約では、月額、年額、従量課金など、提供するサービスの形態に応じた料金体系、具体的な金額、そしてその計算方法を詳細に記述してください。
基本料金だけでなく、初期費用や追加オプションが発生する場合も、これらの費用を網羅的に記載することで、料金に関する誤解やトラブルを防げます。
次に、利用可能な支払い方法の種類(例:クレジットカード、銀行振込など)と、それぞれの支払いサイクル、支払い期限を具体的に定めます。例えば、「毎月末日締切、翌月25日支払い」のように明確な期日を定めることで、利用者も支払い計画を立てやすくなります。
万が一、支払いが遅延した場合に適用される遅延損害金の規定や、銀行振込手数料など、利用者が負担すべき費用も、事前に明記しておくことが大切です。これにより、金銭的なトラブルを未然に防ぐための対策となります。
また、将来的に料金を改定する可能性に備え、改定の条件、ユーザーへの事前通知期間(例:1ヶ月前)、通知方法(メール、ウェブサイトへの掲載など)を定めておくと、スムーズな運用を実現できます。
知的財産権の帰属と利用制限を定める
まず、サービス運営者が提供するコンテンツ、例えばウェブサイトのデザイン、文章、画像、ソフトウェア、ロゴ、商標などの著作権や商標権といった権利が、サービス提供者自身、または正当な権利者に帰属することを明確に定めます。これにより、自社の知的財産を保護することが可能です。
次に、ユーザーがサービス上で投稿またはアップロードするコンテンツ(口コミ、写真、動画など)の権利帰属について定めます。
一般的には、これらのコンテンツの著作権は投稿したユーザー本人に帰属することを明記しつつ、サービス提供者がそのコンテンツをサービス運営や広告宣伝に利用できるよう、ユーザーから利用許諾(ライセンス)を得る旨を規定します。このライセンスの範囲を明確に定めることが重要です。
また、ユーザーがサービス内のコンテンツを利用する際の制限を設ける必要があります。サービス提供者や他のユーザーのコンテンツを無断で複製、転載、改変や販売といった行為を禁止事項として具体的に列挙することで、著作権侵害などのトラブルを未然に防ぎます。
さらに、第三者の知的財産権を侵害するようなコンテンツの投稿を禁止することも必須です。万が一、ユーザーがこれらの規定に違反した場合、アカウントの停止や削除、投稿コンテンツの削除といった措置を講じる可能性があることを明記することで、プラットフォーム全体の健全性を保ち、法的なリスクを低減させられます。
禁止事項と違反時の対応を明記する
サービスの健全な運営を維持し、他の利用者を不利益から保護するためには、利用規約に禁止事項を具体的に定めることが欠かせません。これは、サービス利用者が行うべきではない行為を明確に示し、トラブルの発生を未然に防ぐ役割を果たします。
一般的に利用規約に盛り込むべき禁止行為としては、以下の点が挙げられます。
- 法令に違反する行為
- 公序良俗に反する行為(例えば、反社会的勢力との関連や不当な要求行為)
- 他の利用者の知的財産権やプライバシー権を侵害する行為
- サービスへの不正アクセス
- 情報改ざん
- サービスの運営を妨害する行為
- 虚偽の情報を登録する行為
- アカウントの使い回し
- リバースエンジニアリング
これらの行為は明確に禁止すべきです。サービスによっては、面識のない第三者との出会いや交際を目的とする行為を禁止する場合もあります。
万が一、利用者がこれらの禁止事項に違反した場合に事業者が取り得る対応措置も、具体的に明記しておく必要があります。例としては、違反コンテンツの削除、アカウントの一時停止や強制退会、警告などです。
これらの措置は事業者の判断に基づき行う旨を記載することで、違反行為に対する迅速かつ柔軟な対応が可能となり、サービス全体の秩序維持に役立ちます。
サービス中断・終了に関する条件を記載する
サービス運営において、サービスの全部または一部を一時的に「中断」したり、事業判断によってサービス自体を「終了」したりする可能性がないわけではありません。このような場合に備え、利用規約にその条件を明確に規定することは、利用者との予期せぬトラブルを避け、事業者の責任範囲を明確にする上で重要です。
サービスを一時的に中断できる具体的なケースとして、システムの定期・緊急メンテナンス、サーバー障害、通信回線の事故、さらには地震や台風といった天災地変などの不可抗力を列挙します。これにより、どのような場合にサービスが利用できなくなる可能性があるかを、利用者に事前に示せます。
また、事業判断によってサービス提供自体を終了する場合の条件についても、利用規約に明記することが必要です。
適切な終了に関する規定がない場合、原則として事業者側から一方的にサービスを終了することは難しく、利用規約違反による債務不履行責任を問われるリスクを負う可能性があります。サービス終了の理由や手続き、利用者への影響への配慮なども盛り込むことが必要です。
サービスを中断または終了する際に、利用者への事前告知は必須事項です。告知方法(Webサイトへの掲載、登録メールアドレスへの通知など)と、告知から実施までの期間を規定することで、利用者は必要な対応を取れます。
さらに、サービスの中断・終了に伴う利用料金の返金ポリシーや、事業者が負う損害賠償責任の有無・範囲(免責事項や損害賠償額の上限など)についても、明確な条項を設けることが重要です。これにより、事業者側の責任範囲を限定し、不必要な賠償リスクを回避することにつながります。
免責事項と損害賠償の範囲を記載する
利用規約において、予期せぬトラブル発生時の事業者の責任範囲を明確にするために、免責事項と損害賠償に関する規定は大切な位置付けです。
免責事項は、サービス提供側の責任が及ばない状況や範囲を定めることで、事業者が過大な負担を負うリスクを軽減し、事業継続を保護する役割を果たします。
例えば、サーバーダウンや通信回線の障害、利用者の誤操作、さらには地震や火災といった不可抗力による損害など、事業者の責めに帰すことができない事態を想定して免責事由を具体的に列挙します。
同時に、万が一事業者の責任によって利用者に損害が生じた場合の損害賠償責任についても規定しましょう。賠償額の上限を定めることは、予期せぬ高額な賠償請求から事業を守るために有効な手段です。
取引の実態に合わせ、例えば利用料金の数ヶ月分といった合理的な範囲で上限額を設定することが一般的です。
しかし、消費者契約法などの法令により、事業者に故意または重大な過失がある場合には、免責規定や賠償額の上限が適用されない可能性がある点に留意してください。
個人情報とプライバシーの取り扱いを定める
利用規約において、サービス提供者が取得する個人情報の取り扱いについて定めることは必須事項です。
詳細な内容は別途定める「個人情報保護方針(プライバシーポリシー)」に記載し、利用規約の中でそのプライバシーポリシーに同意することをサービス利用の条件とする旨を明記する構成が一般的です。これにより、利用者は個人情報がどのように扱われるかを確認した上でサービスを利用することになります。
サービス提供にあたり取得する個人情報の種類としては、氏名、住所、電話番号、メールアドレスといった連絡先のほか、ECサイトであれば決済情報や配送先情報、Webサービスであれば生年月日や利用履歴などが考えられます。
これらの情報は、本人確認や商品発送、サービスの提供、アフターサービス、あるいはマーケティング活動など、利用目的をできる限り具体的に記載することが個人情報保護法上の義務です。
取得した個人情報を第三者へ提供する場合についても、原則として本人の同意が必要ですが、利用規約で同意の条件を定める、または業務委託先(決済代行会社、配送業者など)に提供するケースや、法令に基づく開示請求があった場合など、本人の同意なく提供できる例外的なケースについても明記しておく必要があります。
また、Cookieやアクセス解析ツール等を用いて、サイトの利便性向上やサービス改善のために自動的に取得する情報がある場合も、その旨と利用目的を記載することで、透明性を高められます。
規約変更の手続きと通知方法
サービスの内容や社会情勢の変化に伴い、利用規約を改定する必要が生じる場合があります。利用規約には、事業者側が規約をいつでも変更できる旨と、その具体的な変更手続きを定めておくことが必要です。これにより、円滑なサービス運営に必要な柔軟性を確保できます。
法的に有効な規約変更を行うためには、2020年4月1日に施行された改正民法(定型約款)のルールに則る必要があります。
具体的には、変更が利用者の一般の利益に適合するか、または変更が契約の目的に反せず、かつ変更の必要性、変更後の内容の相当性、その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであることが要件となります(民法第548条の4第1項)。
また、変更内容を利用者に周知することも必須です。周知の方法としては、Webサイトへの掲載や、登録されたメールアドレスへの通知などが一般的です。
周知から変更の効力発生日までの間には、利用者が変更内容を確認し判断するための「相当な期間」を設ける必要があります。この期間は、変更内容やサービスの種類にもよりますが、一般的には2週間から1ヶ月前が目安です。
規約変更の効力について、改正民法では、所定の期間内にユーザーが異議を述べなかった場合に変更後の規約に同意したものとみなす、いわゆる「みなし同意」の規定も設けられています(民法第548条の4第2項)。
ただし、利用規約変更に同意しないユーザーに対しては、退会や解約の権利を認める旨を明記しておくことも、利用者保護の観点から重要です。これらの手続きを明確に定めることで、透明性の高いサービス運営を実現できます。
準拠法と管轄裁判所を指定する
WebサービスやECサイトは、国境を越えて利用される可能性があります。万が一、利用者との間でトラブルが発生し、法的な解決が必要になった場合、どの国の法律に基づいて規約が解釈され、紛争が処理されるのかを明確にしておくことが大切です。
利用規約で準拠法を「日本法」と指定することで、法的な予測可能性が高まり、事業者側のリスク管理につながります。
また、利用者との間で訴訟に発展した場合に備え、管轄裁判所を指定しておくことも現実的な選択肢です。
原則として、訴訟は被告の住所地で行われますが、遠方の利用者が相手方となった場合、その所在地を管轄する裁判所での対応は、コストや時間的な負担が大きくなります。
そこで、事業者の本店所在地を管轄する裁判所を「第一審の専属的合意管轄裁判所」として指定することが一般的です。具体的な条項としては、以下のような文例が考えられます。
例:第〇条(準拠法及び管轄裁判所)
- 本規約の準拠法は、日本法とします。
- 本サービスに関して利用者との間で紛争が生じた場合、当社の本店所在地を管轄する〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とします。
ただし、個人消費者を相手とするBtoCサービスにおいては、消費者契約法に注意が必要です。消費者に一方的に著しく不利益となるような管轄裁判所の指定は、同法第10条により無効となる可能性が指摘されています。
特に遠隔地の裁判所のみを指定する条項は問題となりうるため、専門家である弁護士に相談することがおすすめです。
退会・解約手続きを明確にする
サービスを利用していたユーザーが退会や解約を希望する場合に備え、その手続き方法を利用規約に明確に定めておくことは、ユーザーがスムーズにサービス利用を終了できるようにするために欠かせません。これにより、ユーザーからの問い合わせ負担を軽減し、不要なトラブルを防げます。
具体的には、退会・解約の申請方法(例:マイページ上の専用フォームからの申請、所定のメールアドレスへの連絡など)を明記し、手続きがいつ完了するのか、そのタイミング(例:申請後即時反映、月末締めなど)を明確に記載する必要があります。
また、退会後にユーザーの個人情報や投稿コンテンツといったデータがどのように取り扱われるのか、削除されるのか、または一定期間保持されるのかについても規定が必要です。
特に月額課金サービスを提供している場合は、解約する月の料金が発生するのか、あるいは既に支払われた料金について返金があるのかないのか、といった金銭に関するルールを具体的に定めておくことが不可欠です。
これらの項目を事前に明確にすることで、ユーザーは安心してサービスの利用を開始し、そして必要に応じて適切に利用を終了できるようになります。
業種別|利用規約作成のポイントと注意事項

インターネット上には利用規約のテンプレートが数多く存在し、手軽に利用できるため、「まずはテンプレートを」と考える方もいるかもしれません。
しかし、汎用的なテンプレートはあくまで一般的な項目を網羅したものであり、自社のサービスに特有のリスクやビジネスモデルには必ずしも対応していない危険性があります。
ここからは、以下の業種・サービス形態ごとに、利用規約を作成する上で特に注意すべき具体的なポイントや、必ず盛り込むべき必須項目について詳しく解説していきます。
自社サービスの特性を理解し、リスクを適切に管理できる利用規約を作成するための参考にしてください。
- ECサイト・オンラインショップ向け
- SaaS・Webアプリケーション向け
- マッチングサービス・プラットフォーム向け
ECサイト・オンラインショップ向けの利用規約
ECサイトやオンラインショップの利用規約においては、商品の売買取引に関する明確なルールを定めることが特に大切です。
まず、お客様からの注文に対して、いつ売買契約が成立するのかを明記する必要があります。例えば、「注文確定メールの送信時」や「商品発送時」など、具体的なタイミングを定めることで、利用者との間に認識のずれが生じるのを防ぎます。
これは、改正民法における契約に関する一般的な原則を踏まえつつも、事業者側で個別の契約として特約を設けることが可能だからです。
次に、購入された商品の所有権が、事業者から利用者にいつ移転するのかについても定めます。一般的には「代金完済時」や「商品引渡し時」とすることが多いですが、これも契約自由の原則に基づき、自社の運用に合わせて具体的に規定することが必要です。
また、ECサイト運営で頻繁に発生するのが、キャンセル、返品、交換に関するお問い合わせです。
特定商取引法に基づく返品特約(返品の可否、条件、送料負担など)については、サイト上の分かりやすい場所に表示する義務がありますが、利用規約内でも詳細な条件を記載することで、お客様が手続きをスムーズに進めやすくなり、トラブルを未然に防ぐことにも役立ちます。
さらに、商品の配送方法、送料、引渡し時期、そして配送中の紛失や破損といった「危険負担」(どちらがそのリスクを負うか)に関するルールも必ず含めるべき項目です。
これにより、商品の受け渡しに関する責任範囲を明確にし、予期せぬトラブル発生時の対応について利用者と事業者の双方が共通認識を持てるようにしておくことが、円滑な取引に繋がります。
SaaS・Webアプリケーション向けの利用規約
SaaSやWebアプリケーションサービスでは、その性質上、利用者と事業者間で特有のルールを定める必要があります。
まず、利用者がサービスに入力・生成したデータの取り扱いです。データの所有権は原則としてユーザー側にあることを明確にしつつ、事業者がデータバックアップを行うか、サービス終了時にデータをどう扱うかといった点を具体的に規定します。
データそのものに所有権は発生しないという考え方もありますが、営業秘密等の権利として利用者の権利を保護する観点から記述が必要です。
また、サービスの安定稼働はユーザーにとって大切なポイントです。利用規約またはSLA(サービスレベル契約)として、サービスの稼働率保証の有無や、計画メンテナンスによる停止の事前通知方法、障害発生時の対応方針など、サービスの提供レベルに関する条件を定めます。
経済産業省のガイドラインなども参考に、稼働率保証などが含まれることがあります。提供する機能範囲や利用可能なアカウント数といった利用制限も明確に定義してください。
さらに、ソフトウェア利用許諾(ライセンス)契約特有の禁止事項として、リバースエンジニアリングや不正アクセス行為などを具体的に列挙し、サービス本来の目的外利用を制限します。
セキュリティ面では、事業者として講じる対策レベルを明示しつつ、ID・パスワードの適切な管理は利用者の責任である旨を定めましょう。これにより、不正利用などが発生した場合の免責範囲を明確にし、事業者と利用者双方の責任の線引きを明確にします。
マッチングサービス・プラットフォーム向けの利用規約
マッチングサービスやプラットフォーム型の事業においては、サービス提供者はあくまでユーザー同士の取引や交流の「場」を提供する仲介者であるという立ち位置を明確にすることが大切です。
利用規約では、ユーザー間で発生したトラブル(例:商品やサービスに関する問題、ユーザー間の金銭トラブルなど)については、原則として当事者間で解決すべきであると規定します。
これにより、プラットフォーム運営者が過度にユーザー間の問題に介入する義務を負わないことを示せます。
また、ユーザーがプラットフォーム上に登録または投稿する情報(プロフィール内容、サービス内容、出品物、口コミなど)に関する具体的なルールを定めることが必要です。
虚偽情報の掲載や法令違反、公序良俗に反する内容の投稿を明確に禁止し、これらの規定に違反した場合や、運営者が不適切と判断した場合には、投稿内容の削除や修正、あるいはアカウントの利用停止といった措置を講じる権限を明記します。
マッチング成立時の手数料、その決済方法、およびマッチング後のキャンセルに関するポリシーなど、金銭のやり取りに関する具体的なルールも詳細に定めることが必要です。
さらに、プラットフォームを介さずにユーザー同士が直接取引を行うことや、他のユーザーを引き抜く行為などを禁止し、違反した場合のペナルティ(アカウントの一時停止や強制退会など)についても定めることで、プラットフォーム上での公正な取引と健全なコミュニティ形成を促進できます。
利用規約において定めるべき主な規定は以下の通りです。
- ユーザー間のトラブルは当事者間で解決する原則
- ユーザー投稿情報のルール(禁止事項、違反時の措置を含む)
- 金銭・取引に関するルール(手数料、決済方法、キャンセルポリシー)
- プラットフォーム外取引・引き抜きの禁止と違反時のペナルティ
これらの規定は、サービス利用におけるトラブルを未然に防ぎ、事業リスクを低減するために重要な役割を果たします。
利用規約の法的効力を高める具体的なポイント

利用規約をWebサイトに掲載するだけでは、契約としての法的効力が自動的に成立するわけではありません。実際にトラブルが発生した際、規約が契約の一部として有効に機能するためには、「ユーザーが認識し、同意した」と見なされる形式での運用が不可欠です。
ここでは、法的効力を高めるための3つの重要視点から、具体的な対応策を解説します。
- 利用者の明確な同意を得る実践的な方法
- 2020年民法改正「定型約款」対応で押さえるべきこと
- 裁判で無効とされないための具体的な対策
利用者の明確な同意を得る実践的な方法
ユーザー自身が規約の内容を認識し、能動的に同意の意思表示を行う「クリックラップ契約」方式は、利用規約の法的効力を高めるにあたり、最も確実性が高いとされています。
これは、サービス利用の開始や購入といった行為とは別に、「利用規約に同意する」といったチェックボックスを設け、ユーザー自身にチェックを入れてもらう方法です。これにより、ユーザーが規約の存在と内容を認識し、同意したという明確な証拠を残せます。
一方、ウェブサイトの閲覧や利用を開始した時点で規約に同意したものとみなす「ブラウズラップ契約」は、ユーザーが規約の存在自体に気づかない可能性があり、訴訟に発展した場合に規約の有効性が認められないリスクが高い傾向があります。
ユーザーに意図せず拘束力のある契約に同意させてしまうことを防ぐためにも、チェックボックスはデフォルトでチェックが入っていない「オプトイン方式」を採用することがおすすめです。
また、会員登録ボタンや購入ボタンに「利用規約に同意して登録する」「規約に同意して購入する」といった文言を含めることで、ボタンのクリック自体が同意の意思表示となるように設計することも有効な選択肢となります。
同意を取得する際には、会員登録時やサービスの主要機能を利用する直前など、適切なタイミングで行うことが重要です。加えて、同意を取得する画面の近くに利用規約全文へのリンクを分かりやすく設置し、ユーザーがいつでも内容を確認できるよう配慮しましょう。
いつ、誰が、どのバージョンの規約に同意したのかを記録として保存しておくことも、万が一のトラブル時に同意の事実を証明する上で非常に重要です。
2020年民法改正「定型約款」対応で押さえるべきポイント
2020年4月1日に施行された改正民法では、「定型約款」に関するルールが新設されました。
これにより、特定の事業者が不特定多数の顧客と行う、画一的な内容の取引で利用される契約条項の総体である「定型約款」について、その有効性や変更に関する明確なルールが定められました。
電気・ガス供給契約の約款やECサイトやWebサービスの利用規約も、多くの場合この定型約款に該当すると考えられます。
定型約款が利用者との契約内容となるためには、事業者が利用者に「定型約款を契約の内容とする旨を表示」することが必要です(民法第548条の2第1項2号)。
例えば、申込みページに利用規約へのリンクを設置し、規約に同意することを条件とすることなどです。
これにより、利用者が規約内容を個別に認識していなくても、合意があったとみなされる「みなし合意」が成立します。また、利用者が請求した場合、事業者には遅滞なく規約内容を開示する義務があります。
定型約款は、一定の要件を満たせば利用者の個別の同意を得ることなく一方的に変更できる場合があることにも留意しましょう。これは「みなし変更」と呼ばれ、利用者の一般の利益に適合する場合や、契約の目的に反せず合理的な場合などに認められます(民法第548条の4第1項)。
変更する際は、効力発生時期を定めた上で、変更内容と効力発生時期をインターネットなどを利用して適切に周知しなければなりません。
ただし、定型約款の条項であっても、利用者の権利を不当に制限したり、義務を一方的に加重したりする条項(いわゆる「不当条項」)は、民法第548条の2第2項や消費者契約法により無効となる可能性が高い点に注意が必要です。
例えば、事業者の損害賠償責任の全部を免除する条項や、利用者の支払う遅延損害金が年14.6%を超える部分は無効となる可能性があります。規約作成時には、法令に違反しないよう、利用者の利益にも配慮した内容になっているか確認が必要です。
裁判で無効とされないための具体的な対策
利用規約が裁判で無効と判断されないために、最も注意すべきは、消費者契約法により無効と判断される「不当条項」を含めないことです。
例えば、事業者の損害賠償責任を完全に免除する条項や、利用者の契約解除権を一方的に制限する条項などは、同法により無効と判断される可能性が高いため、注意してください。こうした条項は含めず、利用者の利益にも配慮したバランスの取れた内容とすることが大切です。
また、利用者にとって予測が困難な「不意打ち条項」も、契約内容として認められないリスクがあります。
特に免責範囲や損害賠償の上限、解約条件など、サービス利用における重要な項目については、規約内で下線を引くなど視覚的な強調を施したり、サービス利用開始時に個別のチェックボックスで同意を得たりするなど、利用者が内容を認識できるよう工夫することがおすすめです。
さらに、「当社の判断で」「当社の裁量により」といった、事業者に一方的な裁量権を与える表現は、その行使が客観的・合理的な基準に基づかない場合、権利の濫用と見なされ、無効となるリスクがあります。
こうした裁量権を行使する可能性のある条項には、出来る限りその基準や条件を具体的に明記することで、法的な有効性を高めることが期待できます。
なお、関連法令の改正や裁判例の蓄積により、利用規約の有効性に関する判断は常に変化するものです。そのため、利用規約は一度作成したら終わりではなく、サービス内容に大きな変更があった場合や、消費者契約法、民法、特定商取引法などの関連法規が改正された際など、定期的に内容を見直すことが欠かせません。
ご自身での対応が難しい場合や、より確実性を求める場合は、弁護士など専門家によるリーガルチェックを受けることが、最適な対策と言えます。
利用規約作成時によくあるミスとその回避法

利用規約の作成には、法律やサービス運営に関する専門的な知識が求められる側面があります。そのため、多くの事業者が共通して陥りがちな典型的なミスが存在します。
これらのミスは、後々の利用者とのトラブルや法的なリスクにつながる可能性があるため、事前にその内容を理解し、適切な回避策を講じておくことが大切です。
本章では、利用規約作成時によくある典型的なミスと、回避するための具体的な方法について、以下の3つのポイントを解説します。
- 「コピペ」が招く具体的な法的リスクと対処法
- 過度に厳格な規約がユーザー離れを招く実例と対策
- あいまいな表現による紛争リスクの具体例
「コピペ」が招く具体的な法的リスクと対処法
他社の利用規約をそのままコピー&ペースト(コピペ)して使用することは、単なる手抜きではなく、重大な法的リスクを招く可能性があるため非常に危険です。手軽に思えるかもしれませんが、これは絶対に避けるべき行為と言えます。
具体的な法的リスクの一つは「著作権侵害」です。利用規約も、その表現や構成に創作性が認められる場合には著作物として保護されます。
他社の利用規約を無断で複製、改変して公開することは、著作権法に違反し、損害賠償請求の対象となるリスクがあるため、注意してください。過去にはコピペが裁判で争われたケースも存在します。
著作権のトラブルに関しては以下の記事でも紹介しています。ぜひご参照ください。

著作権の悩みを弁護士が解決!トラブル事例と相談の流れを解説
著作権の扱いに不安を感じていませんか?SNSやWebコンテンツの運用が日常業務となった今、著作権侵害による損害賠償や炎上リスクは他人事ではありません。 とくに企業の知財担当者やコンテンツ制作者にとっては、著作権の理解と対 […]
また、サービスの実態と規約内容が合致しないことによるリスクも深刻です。他社の規約は、その会社の特定のサービスやビジネスモデルに合わせて作られています。
自社のサービス内容(返金ポリシー、禁止事項、責任範囲など)と異なる規約をそのまま使用した場合、お客様との間でトラブルが発生した際に、規約が自社を守る盾とならないどころか、予期せぬ責任を負うことになる危険性があります。
これらのリスクを回避するためには、他社の規約はあくまで「参考」にとどめ、自社のビジネスモデルやサービス特性に合わせて条文を一つ一つ再構築することが不可欠です。
信頼できるテンプレートを参考にしつつも、必ず内容をカスタマイズしてください。最終的には、弁護士などの専門家によるリーガルチェックを受けることが、最も確実なリスク回避策と言えます。
過度に厳格な規約がユーザー離れを招く実例と対策
利用規約において、事業者側のリスクを最大限に回避しようとするあまり、ユーザーにとって過度に厳格な内容にしてしまうケースが見られます。
このような規約は、ユーザーに不信感や窮屈さを与え、結果的にサービス利用を敬遠させ、ユーザー離れを引き起こすという、サービス成長を阻害する本末転倒な結果になりかねません。
例えば、「ユーザーが投稿したコンテンツの著作権は、すべて事業者に無償で譲渡される」といった規約は、クリエイターなど自身の権利意識が高いユーザーから敬遠されやすい条項です。
著作権を事業者に譲渡した場合、ユーザーは自身の著作物を使えなくなるため、このような条項はユーザーの離脱を招き、サービス全体の魅力を損なうリスクがあります。
また、ECサイトにおける「いかなる理由があっても返品・交換は一切不可」という規約も、過度に厳格な例です。
一部のケースを除き、このような条項は消費者契約法に抵触する可能性があります。ユーザーは安心して購入できないと感じ、購入意欲を失い、結果的に競合他社へ流れる原因となりかねません。
こうした問題を回避するためには、事業者側の権利保護とユーザーの利便性や権利保護のバランスを取ることが非常に大切です。
利用規約を作成する際は、「この条項はユーザーに過度な不利益を与えていないか?」という視点で見直すプロセスを加えましょう。
ユーザーにとって分かりやすく、安心して利用できる規約を目指すことが、結果としてサービスの信頼性を高め、長期的な成長につながります。
あいまいな表現による紛争リスクの具体例
利用規約の文言が具体的でないと、事業者とユーザーの間で解釈の違いが生じやすく、思わぬトラブルに発展するリスクがあります。
例えば、サービスの「停止・中断」について、「当社の都合により」といった抽象的な表現で定めている場合、メンテナンス以外の予期せぬ停止時に、ユーザーが利用機会の喪失を主張し、損害賠償請求につながるシナリオが考えられます。
システム障害などが事業者の責めに帰さない場合でも、規約の記載があいまいだと争いになる可能性は無視できません。
また、「禁止事項」に関しても、「他の利用者に迷惑をかける行為」といった定義が不明確であるために、事業者がアカウント停止などの措置を行った際に、その正当性を巡ってユーザーと争いになった実例も見られます。
さらに、料金や追加費用に関する規定が「利用状況に応じて別途請求」のように不明確だと、ユーザーが予期せぬ高額請求を受けたとして、返金トラブルや訴訟に発展するケースも起こり得るでしょう。
特に、個人消費者を相手にするサービスの場合、消費者契約法によって、あいまいな規定により利用者に不利益が生じる条項は無効とされるリスクも伴います。利用規約は、誰が読んでも誤解なく理解できるよう、具体的に記述することが必要です。
既存の利用規約を改定する際の具体的な手順

ECサイトの運営を続けていると、利用規約の見直しや改定が必要になる場合があります。これは、2020年4月施行の改正民法のような法改正への対応、提供するサービス内容の変更、あるいは予期せぬトラブル発生による潜在的リスクの管理など、ビジネスを継続する上で不可欠な作業です。
既存の利用規約を改定する際は、「①改定理由の明確化と変更箇所の特定」「②ユーザーへの適切な通知と同意取得」という2つのステップで進めることが重要です。これらの手順を適切に踏むことで、ユーザーとの不要なトラブルを未然に防ぎ、より円滑なサービス運営につなげられます。
改定理由の明確化と変更箇所の特定
利用規約の改定を進める上で、まずはなぜ改定が必要なのか、その理由を明確にすることが肝要です。改定理由が明確であれば、社内における認識のずれを防ぎ、作業の優先順位や方向性を定める指針となります。
さらに、改定内容をユーザーに通知する際に、変更の必要性を適切に説明するための根拠ともなります。
利用規約改定の具体的なきっかけとしては、以下の点を参照してください。
- 法改正への対応(例:2020年4月施行の改正民法、令和4年消費者契約法改正など)
- 提供するサービスへの新機能の追加
- 料金改定
- 事業モデルの変更
- 過去に発生したトラブル事例から学び、将来のリスクを低減するための見直し
変更が必要となる箇所を漏れなく把握するためには、既存の規約と改定案を比較できる新旧対照表を作成し、変更点を視覚化する手法が最適です。
加えて、カスタマーサポート部門や開発部門など、利用規約に関連する部署へのヒアリングを実施し、現場の実情に合わせた変更点を洗い出すことも大切です。
ユーザーへの適切な通知と同意取得の実践例
利用規約を改定する際には、ユーザーへの適切な通知と同意の取得が必須です。通知方法としては、サービス利用中に表示されるアプリ内通知、Webサイト上でのポップアップ表示、登録メールアドレスへの送信などが有効な方法です。
複数の手段を組み合わせることで、ユーザーが変更内容を見落とすリスクを減らせます。通知文には、以下の項目を含めることが必要です。
- 利用規約の改定日(効力発生時期)
- 改定の理由
- 主要な変更点の要約
- 新旧対照表またはそれに準ずるもの
- 新しい規約全文へのリンク
ユーザーに不利益となる変更を含む場合は特に、十分な期間を設けて分かりやすく周知し、ユーザーが内容を確認し、サービス利用を継続するかどうかを判断できる機会を提供することが、ユーザーとの信頼関係を維持し、将来的なトラブルを回避するためにも重要です。
周知の手続きが適切に行われなかった場合には、変更の効力が発生しないリスクがあることにも留意してください。
弁護士に依頼すべきケースと相談時のポイント

利用規約の作成や改定は、ご自身で行うことも可能ですが、法的専門知識が必要となる場面も少なくありません。特にサービス内容が複雑であったり、多角的な展開をしていたりする場合、法的なリスクを見落としてしまう可能性も考えられます。
弁護士に依頼することで、専門的な視点からリスクを網羅的に洗い出し、法的に不備のない利用規約を作成・改定できるメリットがあります。これは、事業の信頼性向上にもつながる重要な投資と言えるでしょう。
以下のケースでは、弁護士への依頼を検討することが推奨されます。
- 金融、医療、大量の個人情報を取り扱うなど、法的リスクの高い事業
- 海外へのサービス展開を検討している
- 独自の複雑なビジネスモデルである
- 社内に法務担当者がいない
本記事で解説する以下のポイントを抑え、自社に最適な弁護士を選びましょう。
- 専門家に相談するタイミングと選び方
- 料金相場と依頼時の具体的なチェックリスト
- 弁護士との効率的な打ち合わせ方法
専門家に相談するタイミングと選び方
利用規約の作成や大幅な改定は、専門家である弁護士への相談を検討すべきタイミングの一つです。それに加え、事業内容や関連法規に変化があった際も、専門家の知見が不可欠となることがあります。
例えば、サービスにサブスクリプションモデルを導入するなど、ビジネスモデルを大きく変更する場合や、消費者契約法、個人情報保護法といった関連法規が改正された際などは、利用規約が法的に適切であるか、あるいは将来的なリスクがないかなどを、専門的な視点から確認してもらうことが必要です。
弁護士を選ぶ際は、利用規約の対象となるサービスや事業内容に関連する専門分野に精通しているかを確認することが大切です。
特に、IT・Webサービス、個人情報保護法、消費者契約法といった分野の知識や実務経験が豊富な弁護士を選ぶことで、より実情に即した、リスクの少ない利用規約を作成できる可能性が高まります。
過去の利用規約作成実績、特に同業種や類似サービスの経験があるかどうかも確認すると良いでしょう。また、専門用語を避け、分かりやすい言葉で説明してくれるなど、コミュニケーションが円滑に進むかどうかも、選定における重要な基準です。
料金相場と依頼時の具体的なチェックリスト
弁護士に利用規約の作成やレビューを依頼する際の費用は、主にタイムチャージ制(時間に応じて費用が発生)か、固定報酬制(成果物に対して一定の費用が発生)に分けられます。
利用規約の作成を依頼する場合、一般的な費用相場は20万円から30万円程度です。ただし、サービスの複雑さによって費用は変動し、単純なビジネスモデルであれば8万円〜20万円程度、複雑なビジネスモデルであれば15万円〜30万円程度が目安となることもあります。
料金を左右する要因としては、提供するサービスの機能の多さやビジネスモデルの新規性・複雑性(BtoCかBtoBかなど)、ゼロから新規作成するのか既存規約のレビューなのか、規約のボリューム(文字数)などが挙げられます。
弁護士にスムーズに依頼し、適切な見積もりを得るためには、事前の準備が重要です。依頼する前にサービス内容や要望を整理し、以下の点をリストアップしておきましょう。
- 提供するサービスの概要とビジネスモデル
- 利用規約に含めたい、または変更したい具体的な要望や懸念事項
- 希望する納期
また、見積もりを依頼する際には、提示された料金がどこまでの業務を含むのかを必ず確認してください。
料金に含まれる具体的な業務範囲(例:修正回数、対面・オンラインでの相談回数など)、追加費用が発生する条件、弁護士のIT法務やEC法務などに関する過去の実績などです。これらの点を事前に整理・確認することで、安心して弁護士に依頼できるでしょう。
弁護士との効率的な打ち合わせ方法
弁護士との打ち合わせ時間を最大限に活用するには、事前の準備が肝要です。具体的には、以下の点を整理し、弁護士にあらかじめ共有しておきましょう。
- 相談したい内容、質問リスト
- 関連資料(サービス概要、既存の利用規約、競合他社の規約、サービスの仕様書、過去のトラブル事例など)
- サービスの全体像やこれまでの経緯をまとめた時系列表
特に、サービスの全体像やこれまでの経緯をまとめた時系列表は、弁護士が状況を素早く把握するために非常に役立ちます。これらの事前共有により、弁護士は事前に論点を整理でき、当日の議論をより深められます。
打ち合わせ当日は、冒頭でアジェンダと時間の配分を確認し、議論が本筋から脱線しないよう意識することが大切です。自社のビジネスモデルやサービスの流れ、利用規約に関して懸念している点などを、簡潔かつ具体的に説明するよう心がけましょう。
専門用語や不明な点が出てきた際は、その場で遠慮なく質問し、疑問点を解消するよう努めてください。これは、認識のずれを防ぎ、後々の手戻りをなくすために不可欠です。
打ち合わせの終了時には、決定事項、保留となった事項、そして次回までの宿題(ToDo)を弁護士と双方で確認し、議事録として記録・共有することを推奨します。これにより、次のアクションが明確になり、利用規約の作成・改定プロジェクトを円滑に進められるでしょう。
まとめ|サービスの信頼性を守る「攻めの利用規約整備」を

利用規約は、単なる“書面上のルール”ではありません。ユーザーとの信頼関係を築き、トラブルや法的リスクから自社サービスを守る「ビジネスの土台」となる存在です。
この記事では、利用規約を作成・見直すうえで押さえておきたい基本構造や重要項目、業種別の留意点から、法的効力を高める運用ノウハウ、よくある落とし穴まで、実務に役立つ観点を包括的に解説しました。
これから新規で利用規約を整備する方は、作成ステップと10の重要項目をベースに、自社サービスに適した構成を意識しましょう。
すでに規約がある方も、法改正やサービス内容の変更に合わせて定期的に見直すことが大切です。
また、判断に迷う場面では、弁護士などの専門家に早めに相談することで、リスクを未然に防ぐことができます。
利用規約は「守りの文書」ではなく、「事業の成長を支える攻めのツール」です。この機会に、ぜひ整備・見直しを検討してみてください。
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