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契約書の法務チェックを社内でやる場合の流れやポイントとは?弁護士事務所に依頼する場合との違いや重要性を解説
契約書・リーガルチェック
2025.02.03 ー 2025.02.05 更新

契約書の法務チェックは、ビジネスを円滑に進める上で欠かせない重要なプロセスです。
多くの企業が、契約書の法務チェックを外部の専門家に依頼していますが、コスト削減や迅速な対応のために、社内で行うケースも増えています。しかし、社内で法務チェックを行う際、どのような流れで進めるべきか、どのようなポイントに注意すべきか、悩まれている方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では、契約書の法務チェックを社内で行う場合の具体的な流れやポイントについて詳しく解説します。
この記事を読むことで、契約書の法務チェックを効率的かつ効果的に行うための知識が身につきます。社内での法務チェックの質を向上させ、リスクを最小限に抑えながら、スムーズな契約締結を実現できるようになるでしょう。さらに、法務部門と他部門との連携を強化し、組織全体の法務能力を高めることにもつながります。
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契約書の法務チェックは、法的観点から契約内容を精査し、潜在的なリスクや問題点を洗い出す重要なプロセスです。
このプロセスでは、契約条項が法令に適合しているか、自社の利益を適切に保護しているか、また将来的なトラブルを回避できるような内容になっているかを確認します。リーガルチェックや法務確認と言い換えられることがありますが、同じ意味です。本記事ではこれ以降「リーガルチェック」と表記します。
リーガルチェックを行うことで、法令違反のリスクを軽減し、自社に不利な条項を修正する機会を得ることができます。また、契約内容を明確にすることで、取引の円滑化や紛争予防にもつながります。
一般的にリーガルチェックは法務部門や顧問の弁護士、または外部弁護士が担当しますが、社内で実施する場合は、法務知識を持つ担当者が中心となって行います。弁護士の資格を持ちながら企業法務弁護士として会社に属して活躍する人もいます。
チェックの際は、契約の目的や背景を理解し、法的リスクだけでなくビジネス上の観点からも内容を精査することが重要になります。
契約書の法務チェックは、企業活動を法的にサポートし、安全な取引環境を整える上で欠かせない作業といえるでしょう。
リーガルチェックを行う人は?
リーガルチェックを行う人材として、社内の法務担当者か外部の弁護士が挙げられます。
弁護士など、法律の国家資格を有する者が法務担当者として会社に属する場合、会社の事業内容や方針を熟知している場合が多く、日常的な契約書のチェックを効率的に行えるメリットがあります。その一方で、長く会社に属することで客観的な視点が欠けてしまうケースもあります。
外部の弁護士は、特定の法務に特化している場合も多く、法律の専門家として、より客観的で専門性のある法的判断や最新の法改正への対応が可能です。。その半面、会社の内部事情や日常業務に関わりがないため、事情の説明や現状把握に時間を要する場合があります。
双方にメリット・デメリットがあるため、社内の法務担当者と外部の弁護士を適切に組み合わせて活用することが効果的です。
日常的な契約書は社内でチェックし、重要度の高い契約や専門性が求められる案件は外部の弁護士に依頼または連携するという方法が、コストと品質のバランスを取る上で有効です。
リーガルチェックすべき契約書の例
リーガルチェックすべき契約書の例としては以下が挙げられます。次のようなものがあります。
- 取引基本契約書
- 業務委託契約書
- 労働契約書
- 秘密保持契約書
- 会社合併(分割)契約書等のM&Aに関する契約書
など
特に、繰り返し必要となる契約や、一つの案件が大きい契約、不慣れな契約などにおいてリーガルチェックは大きな意味を持ちます。
例えば、取引基本契約書連続する取引のベースとなる条件や報酬、取引期間などを定めるもので、長期的な取引関係に影響を与えるため、慎重なチェックが必要です。
多くの人を雇用する際には、繰り返し利用する労働契約書(雇用契約書)も重要になるでしょう。
また、会社合併等の重大な契約においてもリーガルチェックは重要な意味を持ちます。
このように、契約書を作成する際は、企業の権利義務関係を明確にして法的リスクを最小限に抑える必要があるため、専門的な視点からの確認が不可欠です。
リーガルチェックを行う際の重要ポイント

社内でリーガルチェックを行う際には、リーガルチェックを行う意味をしっかりと把握することが重要です。
リーガルチェックの意義は主に以下の4点です。
- 違法行為の回避
- 不利な条項の回避
- トラブル時のリスク軽減
- 信頼性の向上
リーガルチェックを行う契約書等の原案には、何かしら必ずミスがあるだろうという厳しい視点のもとすべての条項をチェックする必要があります。
この過程では、客観的な視点を持つことが非常に重要です。
契約書の内容が適法でない場合、一部の条項が無効となったり、または全部が無効となる可能性もあります。トラブルになれば、民事のほか刑事罰のリスクが発生するおそれもあるでしょう。
契約そのものが適法でも、前提となる行政許可が得られなかったり、結果として第三者の権利を侵害するような内容になっていては新たなトラブルを引き起こす可能性もあります。
リーガルチェックは、企業の健全な成長と発展を支え、リスクを回避する重要な過程となります。
リーガルチェックを社内で実施する場合の流れ

契約書の法務チェックを社内で実施する場合、法務担当者または担当部門に契約書等の草案を提示し、契約の目的等を正確に伝え、チェック後にフィードバックを受ける流れになるでしょう。
リーガルチェックを自ら行う場合、または担当者が行う場合の一般的な手順は次の通りです。
- 誤字脱字や、曖昧な表現がないかチェックする
- 自社に明らかに不利益な条項がないかチェックする
- 関連法令をピックアップする
- 関連する条文を探し、適法性をチェックする
まずは契約書を読み、関連する法令をチェックします。この際に草案作成者と話し合い、契約の目的を明確にしておくと良いでしょう。
リーガルチェックには法律の知識が必要になります。法律知識のない者がリーガルチェックを行えば、結局のところ相手方の信頼を得られない可能性があるでしょう。
リーガルチェックでは、法令違反を避け、損害賠償や刑事罰などのリスク発生を回避することが重要です。
リーガルチェックに必要な法令をチェックする方法
リーガルチェックを行う場合、関連する法令をチェックするための方法論としては次のようなものがあります。
- インターネットで法令を検索する
- 専門書籍を利用する
- 各行政機関に確認する
- 外部弁護士に委託する
インターネットで法令を検索すると、法律の条文を確認することができます。ただし、改正や暫定措置等についても正確に把握する必要があり、いずれにせよ法律の条文をしっかり読んで消化できるほどの知識が必要になるでしょう。
専門書籍を利用したい場合、図書館や、インターネット上の専門書サブスクサービス等を利用する方法があります。大規模な図書館では比較的新しい専門書も多いです。
ただし、多くの弁護士事務所では必要な専門書を多く取り揃えるため、結局のところ外部弁護士に委託するのが最も良い選択の一つと言えるでしょう。
また実務運用においては、県や市町村・法務局等の行政機関への確認が有効になるケースもあります。例えば飲食業を開始したい場合、材料の仕入れ契約書を適法に作ったとしても、前提となる飲食業の許可が無ければ営業できません。
このように、リーガルチェックは契約書に記載された事項のチェックだけでなく、あらゆる法律の面から実態を客観視して行う必要があります。
なお、インターネット上ではAIによるリーガルチェックサービスが散見されますが、弁護士法違反の可能性があるためおすすめできません。また、チェックの精度やトラブルが起こった際の責任の所在も曖昧なケースが多く、新たなトラブルの原因になる可能性もあるでしょう。
AIによるリーガルチェックサービスについては、法務省よりガイドラインが発表されていますので、以下をご参考くださいませ。
AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について(令和5年8月法務省大臣官房司法法制部)
契約書の法務チェック(リーガルチェック)を弁護士に依頼する場合の流れ

弁護士にリーガルチェックを依頼する場合、連絡の前に契約書と関連資料を準備し依頼内容を一覧にするなどして明確にしておきましょう。
その後弁護士と連絡を取り、依頼内容や希望の期限を伝えます。
リーガルチェックは、契約書の内容によって時間がかかるケースも多いため早めの依頼を心がけると良いでしょう。
弁護士は契約書を精査し、法的な問題や改善点を指摘します。チェックレビューを受け取ったら、必要に応じて社内で再度検討し、内容を詰めていく流れになります。
弁護士との密に連携し、適宜相談しながら進めることで、法的リスクを最小限に抑えつつ自社の利益を守ることに役立ちます。
弁護士への依頼は、専門的な知見を活用できる一方で、コストや時間がかかることもあるため、案件の重要性に応じて判断することが大切です。
リーガルチェックを弁護士に依頼したときの費用
リーガルチェックを弁護士に依頼する場合の費用は、契約書の複雑さや分量によって異なります。一般的に、簡単な契約書であれば数万円程度から、複雑な契約書では数十万円以上かかることもあります。
多くの弁護士事務所では、時間単価制や固定報酬制を採用しています。時間単価制の場合、1時間あたり2万円から5万円程度が相場です。固定報酬制では、契約書の種類や内容に応じて料金が設定されます。
例えば、賃貸借契約書のチェックで5万円程度、M&A関連の契約書ではコンサルが必要になるケースもあるため100万円以上になることもあります。
費用対効果を考慮すると、特に重要度の高い契約書や自社にとって不慣れな分野の契約書については、専門家である弁護士に依頼することをお勧めします。
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2019年司法書士登録 補助者時代から複数の事務所勤務を経て2021年独立。同時にWebライター・記事監修業務を開始。 できるだけ一般的な表現での記事作成を心がけているます。法律関係の諸問題は、自己判断せずに専門家に相談することが解決への近道です。

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