法人破産申請に必要な書類と手続き方法を解説
民事再生・法人破産
2025.02.25 ー 2025.03.06 更新

会社の資金繰りが厳しくなったことで、法人破産を検討する場合、必要書類を用意しなければいけません。破産手続きには多くの書類が必要ですが、具体的なリストや作成・入手方法が分からず、手続きが進められない方も少なくありません。
この記事では、法人破産の申立てに必要な書類を一覧化し、書類ごとの用途や準備のポイントについて解説します。法人破産を進めるには多くの書類が必要になるため、事前に把握しておくようにしましょう。
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法人破産の申し立てには、以下のような書類を用意する必要があります。
- 破産手続き申立書
- 債権者一覧表
- 財産目録
- 貸借対照表・損益計算書
- 法人税報告書・納税報告書
- 登記事項証明書
- 賃貸借契約書・リース契約書
- その他契約書
それぞれの書類について解説していきます。
破産手続き申立書
破産手続き申立書は、法人の財務状況や破産に至った経緯を記載し、裁判所に破産手続きの開始を求める野に必要な書類です。申立書には、法人の基本情報として以下の情報を記載します。
- 商号
- 本店所在地
- 代表者名
- 負債総額
- 債権者数
- 資産状況
また、申立人の氏名や住所を記載し、破産の原因や現在の債務状況について説明することが求められます。申立ての理由として、売上の減少や取引先の倒産、資金繰りの悪化など、破産に至った具体的な事情を明確にする必要があります。
申立書には定められた様式があるため、管轄の地方裁判所の指示に従いましょう。自社で作成する場合は、法的要件を満たす内容にすることが不可欠です。
債権者一覧表
債権者一覧表は、裁判所や破産管財人が債権者の状況を把握するために必要な書類です。債権者とは、法人が借入れを行った金融機関や未払金のある取引先、税金の未納がある場合は税務署などが該当します。
債権者一覧表には、以下のような情報を記載します。
- 債権者ごとの債権額
- 債権の種類
- 債権者の連絡先
作成時には、すべての債権者を漏れなく記載することが重要です。記載漏れがあると破産手続きの進行に支障をきたす可能性があり、債権者からの異議申し立てを受けるリスクもあります。
債権者一覧表を作成する際は、法人の帳簿や取引履歴、請求書などの資料を確認しながら、債権者の名称や所在地、債権額、債権の発生理由などを記入します。裁判所の定めるフォーマットがある場合は、それに従って作成しなければなりません。
財産目録
財産目録は、法人が保有する資産や負債の状況を明確に示すものであり、裁判所が破産手続きの進行を判断する際の重要な資料となります。不動産や預貯金、売掛金、在庫などの資産だけでなく、借入金や未払金といった負債も詳細に記載する必要があります。
財産目録には、各資産の内容と評価額を記載することが必要です。具体的には、以下の項目が該当します。
- 登記簿謄本
- 銀行の残高証明書
- 売取引先ごとの金額
- 金融機関からの借入残高証明書
- 未払金の請求書
財産目録の作成にあたっては、弁護士と相談しながら進めることで、漏れのない正確な書類を作成できます。不正確な記載があると、審査や手続きがスムーズに進まなくなる可能性があります。
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無料で相談できる専門家検索はこちらから>>貸借対照表・損益計算書
貸借対照表は、企業の資産・負債・純資産を一覧化したもので、特定の時点における財務状態を示します。一方、損益計算書は一定期間の収益や費用を記録し、最終的な利益や損失を算出する書類です。
法人破産の申立てに際しては、直近2期分の貸借対照表と損益計算書を用意するのが一般的です。特に、破産直前の財務状況が反映された最新のものは必須となります。これらの書類は、企業の経理担当者や税理士が作成することが多く、過去の決算書や会計データを基に正確に記録する必要があります。
これらの書類が未作成の場合は、税理士などの専門家に依頼し作成することを検討しましょう。
また、貸借対照表と損益計算書には、企業の資金繰りの実態や債務超過の状況が反映されるため、裁判所や破産管財人が企業の財務状況を分析する際に不可欠な情報となります。不正確な情報や不足があると、破産手続きが遅れる可能性があるため、正確なデータを準備するようにしましょう。
法人税報告書・納税報告書
法人税報告書とは、法人が毎年税務署へ提出する法人税申告書のことで、直近の決算期における財務情報や納税額が記載されています。一方、納税報告書は税務署から発行される納税証明書であり、法人が過去に納めた税額や未納税額を示すものです。
これらの書類は、法人の経営が破綻に至るまでの財務状況を明らかにするため、破産手続きにおいて重要な役割を果たします。
書類の取得方法として、法人税報告書は過去の税務申告書を保管している場合、それを使用できます。もし紛失している場合は、税務署に申告書の写しを請求することで入手可能です。
納税報告書については、最寄りの税務署で「納税証明書交付請求書」を提出し、証明書を取得する必要があります。発行には手数料がかかり、申請から数日かかる場合があるため、余裕を持って手続きを進めるようにしましょう。
登記事項証明書
登記事項証明書は、法人の基本情報が記載された公的書類で、法務局から発行されます。破産手続きにおいて法人の実態を証明するものとして必要であり、以下のような情報を記載します。
- 法人の商号
- 所在地
- 代表者の氏名
- 資本金
- 設立年月日
登記事項証明書は、本店所在地を管轄する法務局で取得することが可能です。取得方法としては、以下の3種類があります。
- 法務局の窓口で請求する
- オンラインで申請する
- 郵送で取り寄せる
窓口では即日発行が可能ですが、オンライン申請や郵送では数日かかるため、余裕を持って準備する必要があります。取得には法人の商業登記番号や会社名が必要で、発行手数料として1通あたり600円程度がかかります。
この書類は最新の情報を反映したものが必要であり、発行日から3か月以内のものが求められることが一般的です。申立て時に有効なものを用意しないと、再取得が必要になるため注意が必要です。
賃貸借契約書・リース契約書
賃貸借契約書やリース契約書は、法人が所有する不動産や設備に関する契約内容を示すものであり、債務整理や資産処分の過程で重要な役割を果たします。裁判所や破産管財人は、法人の資産や負債状況を把握するため、契約の詳細を確認する必要があります。
事務所や工場などの賃貸借契約書がある場合、賃貸人との関係や未払賃料の有無、契約期間などが審査されます。リース契約書も同様に、車両や設備などの所有権がどこにあるのか、残債務がいくら残っているのかを明確にするために求められます。
これらの契約書が見つからない場合、貸主やリース会社から再発行を依頼する必要があります。契約書が最新のものであるかも確認し、変更があった場合は、更新契約書や覚書も併せて提出することが求められます。
その他契約書
法人破産の申立てにおいて、上記以外で提出が必要な契約書は以下の通りです。
- 業務委託契約書
- 売買契約書
- 融資契約書
- 保証契約書
これらの契約書は、法人が現在どのような取引関係にあるのか、未払いの債務がどれほど残っているのかを明確にするために必要です。継続的な取引がある契約や長期間にわたる契約は、破産手続きにおいて重要な判断材料となります。
契約書が見つからない場合は、取引先や金融機関に問い合わせ、コピーの提供を依頼しましょう。契約の変更が行われている場合は、変更契約書や合意書も併せて提出する必要があります。
契約の内容によっては、破産申立て後に解除や清算が求められる場合があり、契約相手との交渉が発生することも考えられます。そのため、事前に契約の有無を確認し、破産手続きを担当する弁護士と協議しながら進めてください。
法人破産申請にかかる期間と費用

法人破産を進める上で、期間と費用も事前に把握しておく必要があります。裁判所を通じて相手方との交渉が必要になるため、スケジュールやコストには余裕を持つことが大切です。
以下では、破産手続きにかかる期間や費用について解説していきます。
破産手続にかかる期間の目安
法人破産の手続きにかかる期間は、事案の内容によって異なりますが、一般的には3か月から6か月程度が目安とされています。ただし、債権者が多数いる場合や、財産整理が複雑なケースでは、さらに長期間を要することもあります。
破産手続きの流れを見ていくと、まず破産申立てから破産手続開始決定までに約1か月、その後、債権調査や財産の換価処分などを経て、破産手続終結までに2か月から5か月ほどかかるのが一般的です。
特に時間がかかるのは、債権者への通知や債権調査、財産の換価処分といったプロセスです。債権者の数が多い場合や、資産の処分に時間を要する場合は、手続きが長期化する傾向があります。また、裁判所の審理の進行状況や債権者からの異議申し立ての有無も、破産手続きの期間に影響を与える要因となります。
法人破産をできるだけスムーズに進めるためには、事前準備が重要です。必要書類の早期収集や債権者との事前調整を行うことで、手続きの期間を短縮できる可能性があります。
破産申請の費用と内訳
法人破産の費用の主な内訳として、裁判所に納める申立手数料と予納金が挙げられます。申立手数料は一律2万円ですが、予納金は債権者の数や財産の状況に応じて変動し、一般的に50万円から100万円程度が目安です。特に、資産が多い企業や債権関係が複雑なケースでは、予納金が数百万円に及ぶこともあります。
弁護士に依頼する場合は、着手金や報酬金も発生します。弁護士費用は法人の規模や案件の複雑さによって異なりますが、一般的には数十万円から数百万円の範囲で設定されることが多いです。
また、破産手続きには財産の評価や債権者への通知にかかる実費も必要となります。これらの費用はケースごとに異なりますが、目安として、小規模法人では総額100万円から300万円程度、中規模以上の法人では500万円以上になることもあります。
法人破産の費用負担は決して小さくありませんが、適切に債務整理を進めるためには必要な支出ですので、手続きが始まるまでに用意しておきましょう。
法人破産の申請をスムーズに進めるポイント

法人破産の申請をスムーズに進めるためには、以下のようなポイントを押さえることが必要です。
- 記入漏れがないように注意する
- 余裕のあるスケジュールで進める
- 弁護士や法律事務所に相談する
それぞれのポイントについて解説していきます。
記入漏れがないように注意する
破産申立書や債権者一覧表、財産目録などの書類は、裁判所が法人の財務状況や債務整理の必要性を判断するうえで不可欠な資料です。これらの書類に記入漏れがあると、不備の修正を求められ、申請手続きが遅れる原因となります。
特に、債権者一覧表の記入ミスには注意が必要です。法人が負っている債務を正確に申告しないと、債権者との調整が難航し、手続きが円滑に進まなくなる可能性があります。また、財産目録についても、法人が保有する不動産や設備、預金残高などを記入しなければなりません。
余裕のあるスケジュールで進める
破産手続きは多くの書類を揃え、裁判所や関係機関とのやり取りを行う必要があるため、短期間での対応は困難になることが少なくありません。財務資料の整理や債権者への対応には時間を要するため、早めに準備を開始することで、手続きの遅れや不備を防ぐことができます。
破産を申請する前には、必要書類の収集が必要です。会計資料や契約書などを整理し、弁護士と十分に協議する時間を確保することが求められます。裁判所のスケジュールによっては、申立てが受理されるまでの期間が異なるため、余裕を持った計画を立てることが大切です。
スケジュールが逼迫すると、書類の不備や手続きの遅延が発生し、債権者とのトラブルにつながる可能性もあります。特に、従業員や取引先への影響を最小限に抑えるためにも、事前の準備を徹底し、破産申請の進行に支障が出ないようにしましょう。
弁護士や法律事務所に相談する
法律の専門知識がないまま自己判断で手続きを進めると、書類の不備や手続きの遅れが発生し、破産手続きが長期化する可能性があります。そのため、破産を検討し始めた段階で弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることが大切です。
弁護士に相談することで、法人の財務状況を正確に分析し、破産が最善の選択肢かどうかを判断することができます。また、弁護士が代理人となることで、債権者からの督促や法的手続きの対応を任せることができ、経営者の精神的な負担を軽減できます。
法律事務所によっては、無料相談を実施しているところもあり、事前に費用の見積もりや手続きの流れを確認できます。早めに相談することで、準備不足を防ぎ、破産手続きをより円滑に進めることが可能です。
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法人破産を進めるには、さまざまな書類を用意する必要があります。どれも手続きにおいて必要な書類であり、不足していると手続きが遅れ、裁判所から提出を促される可能性があります。
自力で用意することもできますが、基本的には弁護士に相談するようにしましょう。費用はかかりますが、なるべく弁護士に依頼してスムーズな手続きが行えるように準備してください。
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