民事訴訟の裁判にかかる費用は?内訳や相場、コストを抑える方法を徹底解説
訴訟・紛争解決
2025.02.17 ー 2025.02.18 更新

民事上でトラブルが発生した場合、民事訴訟を起こすことになりますが、裁判所を行うには費用が発生します。費用の内訳や具体的な金額を把握していないと、予算で問題を抱えることになり、早期解決が難しくなるでしょう。
個人でトラブル解決を考えている方や、中小企業経営者の方にとって、民事訴訟における費用は把握しておくべきです。訴訟内容によっては費用負担も増えるため、目安となる金額や相場が参考になります。
本記事では、民事訴訟にかかる費用の内訳や相場、節約方法について解説します。
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民事訴訟とは、民事上の権利や義務に関する紛争を解決するために、裁判所に提起される手続きです。刑事事件とは異なり国家が介入するのではなく、当事者同士が法律に基づいて権利を主張し、裁判官が判断を下します。
民事訴訟は、原告が被告に対して請求を行い、その主張が正当であるかどうかを裁判所が審理します。判決によって、損害賠償の支払い命令や契約履行の義務付けなどの判断が下され、強制的に履行される場合もあります。
民事訴訟に分類される訴訟内容
民事訴訟は、個人や企業間の紛争を解決するための裁判手続であり、主に金銭や契約、権利に関する争いが対象となります。具体的には、以下のような訴訟内容が民事訴訟に分類されます。
- 通常訴訟:一般的な民事紛争において発生する訴訟のこと
- 手形小切手訴訟:手形や小切手に関連するトラブルが原因で発生する訴訟のこと
- 少額訴訟:比較的少額の金銭トラブルを迅速に解決するために行われる訴訟のこと
- 人事訴訟:婚姻や離婚など、家族や身分に関する法律問題を扱う訴訟のこと
- 行政訴訟:国や地方公共団体の処分や決定に対して私人や企業が提起する訴訟のこと
民事訴訟の内容は多岐にわたり、訴訟を起こす場合は適切な法的根拠や証拠が求められます。
刑事訴訟との違い
民事裁判と刑事裁判は、目的や手続きに大きな違いがあります。民事裁判は個人や企業間の権利関係を調整し、損害賠償や契約履行など私的な利益を追求するのに対し、刑事裁判では国家が犯罪を処罰し、社会秩序の維持を目的とします。
民事裁判では当事者が証拠を提出し、主張を対立させる形で進行します。一方、刑事裁判では検察官が被告の有罪を証明する責任を負い、被告の人権保護が重視されます。
裁判の結果にも違いがあり、民事裁判では損害賠償や契約履行の命令が下されるのに対し、刑事裁判では有罪判決が出た場合、懲役や罰金などの刑罰が科されます。
民事調停との違い
民事裁判と民事調停は、どちらも民事上の紛争を解決する手段ですが、手続きの進め方や性質に違いがあります。
民事裁判は裁判官が法に基づいて判断を下す訴訟手続であり、証拠調べや厳格な手続きを経て最終的に判決が出されます。一方、民事調停は当事者同士の話し合いを重視し、調停委員が仲介することで合意形成を目指します。
そのため、民事調停では柔軟な進行が可能です。調停が成立した場合、裁判上の和解と同等の効力を持ちます。
費用面では、一般的に民事調停の方が負担は少なく、解決までの期間も短い傾向にあります。ただし、調停で合意に至らなかった場合は裁判へ移行する可能性もあるため、手続きが長引くこともあります。
民事訴訟の裁判における費用の内訳

民事裁判を行うには、当然ながら費用がかかります。民事訴訟における裁判の費用の内訳は、大きく分けて以下の2つに分類できます。
- 訴訟費用
- 弁護士費用
それぞれの費用の内訳と相場について見ていきましょう。
訴訟費用の内訳と相場
訴訟費用は、民事裁判を進めるうえで必要になる費用です。主な費用として、以下のようなものが含まれます。
- 印紙代
- 郵便切手代
- 証人の旅費
具体的な費用は訴訟の種類によって異なりますが、一般的な民事訴訟では数万円から十数万円程度が必要となるのが相場です。ただし、高額な財産権を巡る訴訟では、印紙代だけで数十万円以上かかるケースもあります。
また、訴訟の進行に伴い、予想外の出費が発生する可能性も考慮する必要があります。例えば、専門家による鑑定が必要となった場合、その費用は別途負担しなければなりません。控訴や上告をする場合は、追加の費用が発生する点にも注意が必要です。
弁護士費用の内訳と相場
弁護士費用は、民事裁判において弁護士に支払う費用をさします。主な費用には、以下のようなものがあります。
- 着手金
- 報酬金
- 時間制報酬
弁護士費用の相場も案件ごとに異なりますが、一般的な目安として、着手金は請求額の5~10%、報酬金は獲得額の10~20%程度とされています。
また、裁判の進行状況によって、追加費用がかかる可能性もあります。
民事訴訟費用のケース別負担割合

民事訴訟における訴訟費用については、裁判の結果によって負担割合が異なります。これを「敗訴者負担の原則」と言いますが、ケース別に分けてみると、大きく以下の3つに分類できます。
- 勝訴
- 敗訴
- 和解
それぞれの裁判結果が提示された場合の費用負担について解説していきます。
ケース1:勝訴
民事訴訟で勝訴した場合、基本的には敗訴した相手方が訴訟費用を負担することになります。これは民事訴訟法第61条に基づく原則であり、裁判所が訴訟費用を敗訴者に負担させる判決を下します。
弁護士費用については、不法行為に基づく損害賠償請求など特定のケースでは、一部が損害額に加算されて請求できる場合があります。例えば名誉毀損などの案件では、裁判所が相当と認める範囲内で弁護士費用を賠償額に含めることがあります。
勝訴しても完全に費用負担を免れるわけではないため、訴訟を起こす際は、事前に費用の見通しを立てることが重要です。
ケース2:敗訴
民事訴訟において原告が敗訴となった場合、訴訟費用の負担は原則として原告が負うことになります。ただし、すべての費用を敗訴者が支払うわけではなく、具体的な負担割合は裁判の内容や判決によって異なります。
敗訴者が負担するのは、訴訟費用に該当する費用です。これらは訴訟にかかる直接的な費用であり、判決によって原告と被告のいずれが負担するかが決定されます。
ケース3:和解
民事訴訟において和解が成立すると、裁判官が和解調書を作成し、判決と同等の効力を持つため、強制執行も可能になります。
和解における訴訟費用の負担割合は、基本的に当事者間の合意によって決定されます。通常は、双方が公平に負担するのが一般的ですが、個々の事情によって異なります。また、金銭請求を伴う和解では、被告側が費用を多く負担するケースもあります。
和解のメリットは、訴訟を続けるよりも早期解決が可能で、費用や時間の負担を軽減できる点にあります。裁判を継続すれば、追加の訴訟費用や弁護士費用が発生するため、早期の和解は経済的なメリットがあるといえます。
民事訴訟における裁判費用を抑える方法

民事訴訟においては訴訟費用が必須になるため、費用負担に悩む方もいるでしょう。民事訴訟の費用を抑えるには、以下のような方法で裁判を進めるのがおすすめです。
- 訴訟前に相手方と交渉・調停を試みる
- 弁護士費用特約付きの保険に加入する
- 法テラスの支援制度を利用する
それぞれの方法について解説していきます。
訴訟前に相手方と交渉・調停を試みる
民事訴訟を提起する前に、相手方と直接交渉や調停を試みることで、裁判費用を抑えられる可能性があります。訴訟費用は裁判において必須であるため、まずは裁判以外の解決方法を検討することが有効です。
交渉を行うことで、裁判に至る前に当事者同士の合意が成立する可能性があります。金銭トラブルや契約違反などでは、証拠を示しながら冷静に話し合うことで、和解に至るケースも少なくありません。また、弁護士を代理人として立てることで、法的根拠に基づいた主張で相手方に対応を促す効果も期待できます。
交渉での解決が難しい場合は、民事調停を利用する選択肢もあります。民事調停では、訴訟に比べて費用が低く抑えられるでしょう。調停が成立すれば裁判上の和解と同じ効力を持ち、合意内容が履行されない場合には強制執行も可能です。
状況に応じて適切な方法を選択し、無駄な費用や時間をかけずに問題解決を図りましょう。
弁護士費用特約付きの保険に加入する
弁護士費用特約付きの保険とは、自動車保険や火災保険、個人賠償責任保険などに付帯され、一定の条件下で弁護士費用を補償してもらえる特約です。
弁護士費用特約の補償範囲には、着手金や報酬金、裁判に必要な実費(書類作成費、交通費、訴訟費用など)が含まれます。補償上限額は保険商品によって異なりますが、一般的には300万円程度までが設定されています。
弁護士費用特約のメリットは、費用負担を気にせず弁護士に相談できる点です。弁護士費用を理由に裁判をためらうことなく、法的トラブルが発生した際に弁護士のサポートを受けられます。さらに、示談交渉や調停手続きといった訴訟以外の法的手続きにも適用される場合があります。
ただし、保険契約によって適用範囲が異なるため、事前に契約内容を確認することが重要です。特約が適用されるケースや利用条件を理解したうえで、弁護士と相談しながら活用しましょう。
法テラスの支援制度を利用する
経済的な理由で弁護士への依頼が難しい場合は、法テラス(日本司法支援センター)の支援制度を活用するのがおすすめです。
この制度を利用すると、弁護士費用や裁判費用を立て替えてもらい、分割払いでの返済が可能になります。着手金や実費(収入印紙代・郵便切手代)なども法テラスが一時的に負担し、利用者は無理のない範囲で返済できる仕組みになっています。
民事法律扶助制度を利用するには、法テラスの審査を受ける必要があります。審査では、収入や資産が一定基準以下であること、勝訴の見込みがあることなどが確認されます。また、返済額についても利用者の経済状況が考慮されます。
法テラスの支援制度用を検討する場合は、法テラス窓口や公式サイトで相談し、適用条件を確認してみてください。
まとめ

民事訴訟における裁判の費用は、法的手続きを進める上で不可欠です。訴訟費用が支払えなければ訴訟が起こせないため、基本的には指定された分の費用は用意するべきでしょう。
それでも、費用負担が大きいと感じる場合は、交渉や和解を目指したり、弁護士費用特約を活用したりするのがおすすめです。また、法テラスでも支援が得られるでしょう。
費用面について詳細に知りたい方は、弁護士に相談してください。弁護士は法的な観点から訴訟費用を算出してくれるため、具体的な金額を把握できるでしょう。
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