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契約書のリーガルチェックとは?社内で行うやり方や弁護士への依頼の流れと費用等を解説
契約書・リーガルチェック
2024.11.01 ー 2024.11.06 更新
リーガルチェックとは契約書を法的な観点でチェックし修正することです。自社企業内の法務担当者が行うか、弁護士に依頼する方法があります。
この記事ではリーガルチェックについての定義や、必要性などを解説していきます。
どのような場面でリーガルチェックが必要なのか、実務における具体的な使用例や手順、さらにはコストや専門家への依頼方法とその流れについても解説していますのでぜひ最後までお読みいただき、参考にしてみてください。
リーガルチェックとは何か?
リーガルチェックとは、契約書の内容が法令に適合しているか、リスクがないかなどを確認・検証するプロセスを指します。
企業活動においては法令遵守はもちろん、潜在的なトラブルを避けるためにもリーガルチェックは不可欠です。契約書の条項や条件が曖昧であれば法的リスクが高くなるため、専門的な知識による徹底した確認が求められます。
リーガルチェックにより損害賠償や訴訟のリスクを未然に防ぐことができ、企業の信頼性を確保する一助となります。リーガルチェックの基本を理解して適切に活用することで、企業活動の円滑な運営が期待できます。
リーガルチェックは自社で行うか弁護士に依頼する
リーガルチェックを行う担当は、自社内の法務部・法務担当者が行うか、法律の専門家である弁護士に監修を依頼するかの2パターンに別れます。
弁護士は、顧問契約を行っている顧問弁護士か、その他の弁護士に依頼する方法があります。
特に専門的な知識が必要とされる契約のリーガルチェックを行いたい場合には、顧問弁護士がいる場合であっても、別な専門性の高い弁護士に依頼した方が良いケースもあります。
社内で行う場合の手続き方法や弁護士に依頼する際の手続き方法・費用についてはのちほど詳しく解説していきます。
リーガルチェックの目的とメリットを解説
契約書のリーガルチェックを行う最終的な目的は、本契約における業務を安全に遂行すること、かつ契約の目的を達成することです。
リーガルチェックを行うことで次のメリットがあり、法的なリスクをより回避しやすくなります。
- 法令違反の回避
- 不利な契約の回避
- トラブルの防止と発生時のリスク軽減
- 企業としての信頼性の向上および維持
以下、1つずつ詳しく解説していきます。
法令違反の回避
リーガルチェックでは、その名の通り各種法令違反がないかをまず確認します。
契約書を作成する際に、作成者の法律知識が充分でなければ、知らない間に違法な内容で契約を作成してしまう可能性があります。
契約は当事者の合意によって成立し、その内容は原則として自由です。(私的自治の原則と言います。)
ただし公序良俗に反する契約や犯罪を実行する契約など、違法な行為を助長するものは無効となります。あるいは業務委託契約の内容が、実質的に雇用である場合には偽装請負として労働法等に違反する場合もあります。
このように、当事者同士で自由に合意した内容であっても違法になってしまう場合があります。
弁護士等に依頼してリーガルチェックを行うことにより、違法な内容を見つけだして修正・回避することができます。
不利な契約の回避
契約書の内容が法令に適合している場合であっても、金銭的、時間的コスト、責任の所在等で一方に不利な内容になってしまう場合があります。
リーガルチェックは、こうした不利な内容を見つけて修正する意味もあります。
ビジネスにおいては基本的にWinーWinの関係を築くことが大切であり、一方に不利益が集中するのは望ましくありません。自社に不利な条項だけでなく、相手方にとっても不利な条項がある場合には是正するとよいでしょう。
不利な条項の修正は、互いの信頼関係の構築だけでなく、後のトラブル回避にも役立ちます。
トラブルの防止と発生時のリスク軽減
リーガルチェックは、トラブルの防止とトラブル発生時のリスク軽減の意味も含まれます。
契約においては、その業務の進行とともに状況が変化する場合があります。
事例として、住宅建築の契約の際に土地に大量の瓦礫が埋まっていたことが後から発覚したようなケースでは、瓦礫の掘り出しや搬送の費用が予定外にかかってしまうでしょう。
このようなケースに対応するため、あらかじめ考えられる状況への対応策を可能な限り事前に契約内容に含めておくことで、後のトラブルを回避できます。
契約の種類によっては違約金や遅延損害金を定める場合もあり、また宿泊施設や結婚式場のキャンセル料など、トラブルの際の解決金を定めておく条項も一般的です。
リーガルチェックを行った場合であっても全てのリスクを回避できるわけではありませんが、トラブルの際の解決策を定めておくことは契約そのものの安心感に繋がります。
企業としての信頼性の向上と維持
弁護士等の法律家によるリーガルチェックは、本契約および企業の信頼性の向上の面でも大きな意味を持ちます。
例えば相手方が契約書を作成した場合、作成者でない側としては『本当に違法な条項はないのか?私達に不利な条項になっていないのか?』といった心配は拭えません。
こうした状況に対応するために必要なのがリーガルチェックです。
弁護士等の第三者機関がチェックを担当することにより、適法性やリスク管理において一定の担保がされます。
日頃からの法令遵守の意識は、企業の信頼性を支える基盤となる重要な役割を果たします。
リーガルチェックのデメリット
リーガルチェックのデメリットは、一定の費用と時間がかかる点です。
弁護士へ依頼する場合は、弁護士に支払う報酬が必要です。
加えて、弁護士から的確なフィードバックを得るためには、契約の目的や気になるポイント等を契約者から弁護士に正確に伝えなければなりません。場合によっては参考資料を作成する手間なども必要になるでしょう。
依頼を受けた弁護士としても、正確なリーガルチェックのためには関連法令や法改正の情報、過去の裁判例等をひと通りチェックしなければならず、そのための時間も必要になります。
速く低コストでビジネスを進めたい場合には、リーガルチェックは時間と費用の面でデメリットになるでしょう。
ただし、言い換えれば弁護士費用と時間をかけてでもリーガルチェックを行うことが、その後の取引の安全と企業の信頼に繋がります。
リーガルチェックはリスク回避や信頼のための先行投資とも言えるため、契約の規模やスピード感を充分に検討して行うことが大切です。
リーガルチェックの対象となる文書・契約書
基本的にはリーガルチェックとは『契約書』のチェックを差します。
契約書であれば対象となる文書に制限はなく、当然ながらワード等の電子データによる電子契約の場合もチェックの対象です。
また、遺言書や遺産分割協議書等も法令に適合するかは重要であり、こうした文書のチェックも広い意味ではリーガルチェックと呼ぶ場合があります。
本記事では『契約書』のリーガルチェックを中心に、引き続き解説していきます。
リーガルチェックを行うタイミング
リーガルチェックは、本契約の締結前にゆとりを持って行いましょう。契約による業務が開始されてからではトラブルの原因になってしまいます。
特にリーガルチェックが効果的な場面とは
リーガルチェックは、特に次のようなケースで行うのが効果的です。
- 新規事業や経験のないタイプの契約を行う場合
- 大規模な契約や、重要な契約を行う場合
- 不特定多数との契約を行う場合
以下、1つずつ解説していきます。
新規事業や経験のないタイプの契約を行う場合
企業や個人事業主としてこれまでに経験のない事業や契約を行う場合には、契約の一般条項や注意点など、ノウハウがないケースが多くなります。
新規事業の際には、許認可の取得漏れや適用される関連法令、過去の判例等のチェックが行き届かないケースがどうしても増えてしまう可能性があります。
この場合には自社内で全てを審査して判断することは難しいため、弁護士等のリーガルチェックがより効果的になります。
大規模な契約や、重要な契約を行う場合
自社として経験のある部類の契約であっても、大規模な契約や重要な契約をおこなう際は、やはりリーガルチェックが効果的です。
経験の多いタイプの契約においても、内容をコピーして使いまわすような場合には、新たな契約においての個別的な事項が見落とされる場合があります。
重大な契約においては、リーガルチェックのコストも当然に計算に入れておくと良いでしょう。
不特定多数との契約を行う場合
不特定多数の人または企業と契約を行う場合にも、リーガルチェックは不可欠です。
例えば企業が従業員を雇う契約を行う場合、基本的には同一の雇用契約書を使いまわすことになるでしょう。このときに初めから間違いがあると多くの人との契約に影響が出てしまいます。
そのほか、企業が多数の個人向けに契約を行って製品やサービスを提供する場合にも契約書のリーガルチェックは重要です。
例えば携帯電話販売も不特定多数の顧客との契約になりますし、宅配やウォーターサーバー等のサービスを行う際にも契約書の精査は重要です。
しっかりとリーガルチェックを行い、曖昧にならないよう契約書を作成することで、顧客の安心および企業の信頼性向上に繋がります。
リーガルチェックを行う方法
リーガルチェックを行うには、おおまかに次の方法があります。
- 自社内で行う
- 弁護士に依頼する
- 契約相手方と相談して担当を決定する
自社で新サービスを導入して新たに顧客を探すようなケースでは、基本的に自社内で契約書を作成してチェックを行うか、弁護士にチェックを依頼することになります。
事業の構想やパートナーが先に決まっていてこれから契約書を作成するようなケースでは、契約書の作成担当やチェックの担当を決めるところから相手方企業と相談しつつ進めることになるでしょう。この場合、リーガルチェックの導入や依頼先の弁護士・費用負担の決定等も必要になります。
以下、自社でリーガルチェックを行う流れと、弁護士に依頼する際の流れを簡単に紹介していきます。
リーガルチェックを社内で行う方法
リーガルチェックを社内の法務部署や担当者が行う場合、次のような方法があります。
- 過去の類似事業の契約書と比較検討する
- 民法および関連法令の検索、チェック
過去に自社内で類似の契約を行ったことがある場合、その契約の結果等も考慮して、新たな契約書に問題がないかをチェックしていきます。
ただし、この場合には新たな契約における個別の事情や法律の改正に対応できないケースがあるため注意が必要です。
リーガルチェックを社内で行う場合の注意点
自社でリーガルチェックを行う場合の注意点は次のとおりです。
- 第三者的な観点でチェックする
- 民法や関連法令を理解する
- 営業について自治体の許認可や、契約の承認が必要になる場合がある
- 難しく感じたら迷わず弁護士へ依頼する
担当者の立場として、会社の上層部や取引相手に間違いがあった場合に指摘できないような関係性ではチェックする意味がありません。
加えてリーガルチェックの担当者は、民法および関連法令の理解するとともに第三者的な観点から契約書をチェックすることが必要になります。
民法上、契約は自分と相手が納得して合意すれば自由な内容で成立するのが原則ですが、公序良俗に違反する内容や違法行為・犯罪を助長する内容等は無効になります。
そして民法上は問題がなくても、他の法令の規定によって思わぬ損失が発生する場合があります。
例えば1,000万円の土地をわずか100円で売買する契約を行った場合、民法上は契約が成立しても税法上は『みなし贈与』とされ贈与税がかかる可能性が高くなります。
別な事例として、グループ企業である不動産会社同士で土地を売買する際に、同一の取締役が双方の会社に在籍するような場合には、利益相反取引として取締役会の承認が必要になるケースがあります。
このように、契約や営業を行う際には、契約書以外の書面や自治体の許可等が必要になる場合があります。
実際に古物商の許可を得ずに古物売買の契約を行ってしまったり、金融業の許可なく他人に繰り返し金銭を貸し付けたりして、気付かずに違法行為を行ってしまうケースは珍しくありません。
自社でのリーガルチェックに限界を感じる場合には無理に自社では行わず、複雑になる前に早めに弁護士に依頼すると良いでしょう。
弁護士にリーガルチェックを依頼する方法
弁護士にリーガルチェックを依頼する手順は以下のとおりです。
- 契約書の原案のほか、取引に関する情報・資料をまとめる
- リーガルチェックを依頼してフィードバックを待つ
- 修正内容を反映させる
最初のステップは、具体的な契約書や法的文書を準備し、それに関連する背景情報や要件をまとめることです。
弁護士に依頼する際には、メールや電話で連絡を取り、詳細を説明しましょう。その後、弁護士が提供するサービスの範囲や費用について確認して正式に依頼します。
弁護士に依頼する際の注意点
弁護士に依頼する際の主な注意点は以下のとおりです。
- 専門分野に強い弁護士を探す
- ゆとりを持って依頼する
外部弁護士にリーガルチェックを依頼する際には、まず弁護士の専門分野と経験を確認することが重要です。特定の業界や法分野に精通した弁護士を選ぶことで、より深い理解と的確なアドバイスを受けることができます。
リーガルチェックには、一定の時間がかかることも想定しておくとよいでしょう。法令の正確なチェックはどうしても時間がかかる作業であり、作業の開始後に弁護士としても判断しにくい条項が発見される場合もあるためです。
迅速に完了させるためには、契約内容の詳細、目的、および事業の最終的な着地点等を明確に伝えることが大切です。加えて重点的にチェックしてほしい部分や懸念事項を事前に共有することで、弁護士の作業効率が向上し、より的確なリーガルチェックが期待できます。
また、弁護士とのコミュニケーション体制を確立しておくことも重要です。定期的な進捗報告や質問の対応方法を事前に取り決めておくことで、スムーズな連携が図れます。
最後に、チェック結果を受け取った後に速やかに対応できるよう、内部での準備を整えておくことが求められます。
リーガルチェックを弁護士に依頼した場合の費用の相場
弁護士にリーガルチェックを依頼した場合、費用は3万円~15万円ほどが相場です。
ただし金額は契約書の内容や分量によって変動します。加えて契約の事業規模によって弁護士の責任が相当に大きく変動するため、それに応じて相当に高くなることを想定しておきましょう。
契約書を準備する際のポイント
契約書を用意する際には、以下のとおりいくつかの基礎的なポイントに注意が必要です。
- 契約の目的と取引内容、範囲を明確にする。
- 当事者の義務と権利を具体的に記述する
- 代金の支払条件や納期などを正確に記載する
- 解除条項や紛争解決方法についても具体的に記述する。
- 法律上曖昧な意味に捉えられる表現を避ける
実際のところ、契約においてあとから揉めやすいのは金銭負担や納期などです。
契約金額やトラブルの際の解決方法を整理して、曖昧な表現を残さないように作成しましょう。
契約書の作成方法はさまざまですが、インターネット上のひな形を利用して作成すると、個別の項目や課題が見落とされる可能性があるため注意が必要です。
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