企業法務弁護士とは?役割や選び方、費用相場、メリット・デメリットを徹底解説
企業法務
2025.04.26 ー 2025.05.08 更新

企業を経営するうえで、契約書の作成・チェックや労務管理、知的財産の保護、コンプライアンス遵守など、法的リスクを避けるための適切な対応が求められます。しかし、多くの中小企業では法務部を設置する余裕がなく、企業法務に関する課題を抱えがちです。
そんなときに頼れるのが、企業法務に強い弁護士です。企業法務に対応できる弁護士に依頼することで、自社が抱える法務負担を大幅に軽減し、法的リスクを回避できる安全な企業経営を行うことができます。
この記事では、企業法務に特化した弁護士の役割や選び方、費用相場、依頼のメリット・デメリットについて解説していきます。企業法務を弁護士に依頼するか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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企業法務弁護士とは、企業活動における法律問題に特化して対応する弁護士を指します。具体的には、以下のように企業が日常的に直面する多様な法的課題に対応します。
- 契約書の作成
- リーガルチェック
- 従業員との労務トラブル
- 取引先との紛争
- 知的財産の保護
- コンプライアンス体制の整備
企業法務弁護士の役割は、トラブルが発生した後の対応にとどまらず、問題を未然に防ぐ「予防法務」の側面もあります。特に中小企業では、法務部を社内に設置する余裕がないケースも多いため、企業法務弁護士を活用することで専門的な知見を得ながらリスク管理が行えます。
企業の規模や業種によって必要な法務対応は異なるため、業界理解のある弁護士を選ぶことも重要です。企業法務弁護士は法的安定性を確保しつつ、持続的な経営を実現するパートナーとなるでしょう。
一般的な弁護士との違い
企業法務に強い弁護士は、企業活動に特化した高度な知識と経験を持ち、経営に直結する法律問題に対応します。一般的な弁護士が幅広い法律分野を扱うのに対し、企業法務弁護士はM&Aや企業再編といった専門性の高い業務に精通しています。
また、法的知識だけでなく、業界特有の商慣習やビジネスの仕組みに対する深い理解を持ち、実務に即した具体的なアドバイスが可能です。多くの場合、顧問契約を通じて継続的に企業をサポートし、法的トラブルの予防や迅速な問題解決を実現します。
企業にとって法務リスクの回避は経営の安定に直結するため、企業法務に強い弁護士を選ぶことは重要です。
企業法務弁護士が対応する業務

企業法務に強い弁護士は、企業内のさまざまな業務に対応します。対応する業務分野として、以下の3種類の法務があります。
- 臨床法務
- 予防法務
- 戦略法務
それぞれの法務の業務内容について解説していきます。
臨床法務
臨床法務とは、企業が日々の業務の中で直面する具体的な法律問題に対して、実践的かつ個別に対応する法務支援のことを指します。
企業法務弁護士は臨床法務の分野において、以下のように実際のビジネス現場で発生する多様な課題に対し、現場目線でアドバイスを行います。
- 契約書の作成・修正
- 取引先との交渉
- 従業員との労務トラブル対応
- クレーム処理
臨床法務の目的は、問題を法的に解決するだけでなく、企業の損害を最小限に抑えることにあります。企業の円滑な運営を支える実務的な法務対応であり、弁護士には法律の専門家としての知識に加え、柔軟な対応力も求められます。
予防法務
予防法務とは、法的トラブルが発生する前にリスクを察知し、未然に防ぐための取り組みを指します。企業法務弁護士は、将来的に紛争へと発展する可能性のある要素を早期に見抜き、適切な修正や改善を提案します。
- 契約書の不備
- 曖昧な条文
- 労務管理上のミス
- 社内の就業規則・労務体制
- コンプライアンス
たとえば、新たな取引を開始する際には契約内容を確認し、想定されるトラブルや責任の所在を明確にすることで、リスクの最小化を図ります。
近年では、企業価値の維持やレピュテーションリスクの回避を重視する企業が増えており、予防法務の重要性が高まっています。企業法務に強い弁護士を活用することで、将来的な損失や信用低下を防ぎ、安定した経営を維持する法的基盤を構築することが可能です。
戦略法務
戦略法務とは、企業の中長期的な成長や競争力の強化を目的として、経営戦略と連動した法的サポートを行う業務を指します。企業法務弁護士が担う戦略法務では、単なる法律問題の処理にとどまらず、以下のような経営上の重要施策に法的観点から関与します。
- M&A
- 事業提携
- 新規事業の立ち上げ
- 海外進出
たとえばM&Aにおいては、契約交渉やデューデリジェンスの段階から弁護士が関与し、法的リスクの把握と適切な対応策の提案を行います。
戦略法務は、企業のビジネスモデルや市場環境に応じた法的判断が求められるため、業界知識や経営感覚を持つ弁護士が不可欠です。企業の成長を法務面から支えるこの分野は、企業経営において重要な役割を担っています。
企業法務に強い弁護士の選び方|失敗しないためのポイント5選

企業法務を弁護士に依頼する場合は、その分野に強い弁護士を選ぶ必要があります。企業法務に強い弁護士の選び方として、以下の5つがポイントです。
- 弁護士の法務実績と専門性
- 業界・業種に精通している
- 顧問契約やスポット相談に対応している
- コミュニケーションや連絡のレスポンス
- 法律事務所の評判・口コミ
それぞれのポイントについて解説していきます。
①弁護士の法務実績と専門性
企業法務に強い弁護士を選ぶ際の判断基準の一つが、法務実績と専門性です。
例えば、年間で契約書レビューを100件以上こなしている弁護士や、M&A案件に対応した経験を持つ弁護士は、企業が直面する法的課題にも対応できる力を有しています。法務分野は幅広く、専門領域によって対応力に差が生じるため、自社の業種や事業内容にマッチした専門性を持つ弁護士を選ぶことが重要です。
これらの情報を事前にリサーチしておかないと、期待通りの企業法務が行われない可能性があります。弁護士の専門性や実績はマストでチェックするべきでしょう。
法務救済では、契約書のリーガルチェックから労務、法務観点のサポート、損害賠償などの企業間紛争に対応できる専門家を検索・依頼することが可能です。企業法務を弁護士に相談したい方は、法務救済をご利用ください。
無料で相談できる専門家検索はこちらから>>②業界・業種に精通している
企業法務に強い弁護士を選ぶ際、業界や業種に精通しているかどうかは調べなければいけません。なぜなら、業界特有の商慣習や取引構造、規制環境を理解していなければ、実務に即した適切な法的助言を行うことが難しいためです。
例えば、IT業界では個人情報保護や知的財産の管理が重要である一方で、製造業では製造物責任や下請法への対応が求められます。業界ごとの課題や法的リスクを把握している弁護士であれば、契約書の細部にまで配慮したレビューや、リスクを先回りして防ぐ対応が可能です。
また、同業他社の事例を踏まえた実践的な対応策を提示できるため、スピーディーかつ実効性の高い支援が期待できます。
業界に精通した知識を持つ弁護士は、経営のパートナーとして機能します。企業法務を依頼する際は、過去の対応実績や取り扱った業種などを確認し、自社との親和性を慎重に見極めることが重要です。
③顧問契約やスポット相談に対応している
顧問契約やスポット相談に対応しているかどうかも、弁護士を選ぶ上での判断基準となります。
顧問契約を結ぶことで、企業は日常的な法務相談を継続的に受けられ、トラブルの早期発見や予防が可能となります。
一方、スポット相談にも応じる弁護士であれば、急な法務トラブルや特定案件にも対応でき、状況に応じた使い分けが可能です。とくに中小企業にとっては、定額の顧問契約を結ぶか案件ごとに相談するかを選べることが、コスト管理の面でも大きなメリットとなります。
このように、顧問契約とスポット相談の両方に対応できる弁護士は、自社に最適な法務支援を受けやすくなり、法務サービスの最適化が実現できます。
④コミュニケーションや連絡のレスポンス
企業法務に強い弁護士を選ぶ際に重視すべきポイントの一つが、コミュニケーション能力と連絡のレスポンスの速さです。トラブルや緊急対応が必要な場面では、迅速な連絡対応が企業の損失回避に直結するため、レスポンスの遅い弁護士を選ぶと大きなリスクにつながります。
実際、企業が弁護士に不満を感じる理由として「連絡が遅い」「説明が不十分」といった声は多く、顧問契約の解消につながることもあります。
企業法務においては、法的助言の内容だけでなく、その伝達方法やスピードも重要です。わかりやすい説明を行い、経営陣や担当者と円滑に意思疎通ができる弁護士であれば、信頼関係の構築が進み、長期的なパートナーシップへと発展します。
具体的には、以下のような部分をチェックすると、コミュニケーションやレスポンスを判断できるでしょう。
- メールや電話への返信速度
- 相談時の対応の丁寧さ
- 説明の明確さ
⑤法律事務所の評判・口コミ
企業法務に強い弁護士を選ぶ際には、評判や口コミもチェックが必要です。近年では、依頼者の声がインターネット上で容確認できるようになり、実際にその法律事務所を利用した企業の評価は、専門性や対応力を見極めるうえで有効です。
法律事務所の公式サイトなどから、「対応が迅速だった」「企業法務に関する知見が豊富」といった具体的なコメントがあるかどうかを確認することがポイントです。
一方で、過度にネガティブな内容や抽象的な批判が多い場合には注意が必要です。口コミはあくまで参考情報ではありますが、複数の情報源を比較することで、信頼性の高い弁護士かどうかを客観的に判断する手がかりとなります。
また、企業規模や業種が自社と似ている利用者の評価が掲載されている場合、その弁護士の実務経験の適合性を確認できる点でも、口コミや評判は効果的です。
企業法務を弁護士に依頼するメリットとデメリット

企業法務を弁護士に依頼することで、メリットだけでなくデメリットも発生します。このデメリットを意外と見落としがちで、契約後にトラブルとなるケースもあります。
以下では、企業法務を弁護士に依頼するメリットとデメリットについてそれぞれ解説していきます。
メリット
企業法務を弁護士に依頼するメリットとして、法的リスクを未然に防ぎ、経営の安定性を確保できる点にあります。弁護士は契約書のリーガルチェックや労務トラブルの予防など、企業活動における重要な局面で的確なサポートを提供します。
特に中小企業では、外部の弁護士に依頼することで社内リソースを有効活用しつつ、法的な支援体制を整えることが可能です。
弁護士の専門性を活用することで、企業は余計なトラブルに巻き込まれるリスクを減らし、コア業務に集中できる環境を構築できます。法的安定性と成長戦略の両立を図ることができる点が、弁護士に企業法務を依頼する大きな利点といえるでしょう。
デメリット
企業法務を弁護士に依頼することで、法的リスクを未然に防げるというメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。
代表的な課題の一つがコスト面で、特に顧問契約を締結する場合は月額数万円から数十万円の費用が継続的に発生します。中小企業にとっては、このコスト負担が経営に影響を与える可能性もあります。
また、すべての弁護士が企業法務に精通しているとは限りません。分野に対する専門知識や業界理解に乏しい弁護士に依頼してしまうと、かえってリスクを増大させる恐れがあります。
さらに、外部の弁護士は社内事情に精通していないため、初期段階での情報共有に時間を要することになるでしょう。
こうした点を踏まえると、弁護士選定の際には実績や専門性に加え、自社との相性や対応の柔軟性なども慎重に見極める必要があります。
企業法務弁護士の費用相場

デメリットの部分でも紹介したように、弁護士に依頼することで決して安くない費用が発生します。企業は予算を踏まえた上で費用を検討し、どの弁護士に依頼するか判断しなければいけません。
以下では、顧問契約とスポット相談それぞれの費用相場について解説していきます。
顧問契約の費用相場
企業法務弁護士との顧問契約にかかる費用は、契約内容や企業の規模、対応業務の範囲によって大きく異なりますが、一般的な相場としては月額3万円から10万円程度が多く見られます。中小企業の場合、月額3万円から5万円のプランを選ぶケースが多く、契約書の確認や簡易的な相談対応が主な業務となります。
一方で、M&Aや労務トラブル、知的財産の保護といった高度な法務支援を必要とする企業では、月額10万円以上の契約になることもあります。
また、顧問契約には一定時間内の相談を含む定額制が一般的ですが、時間を超える対応については別途費用が発生することもあります。弁護士選びにおいては、費用だけで判断せず、提供されるサービスの質やスピード、企業との相性を見極めることが重要です。
スポット依頼の費用相場
企業法務弁護士にスポットで依頼する場合の費用相場は、一般的には1時間あたり2万円から5万円が目安とされています。
業務ごとの費用相場は、以下の通りです。
- 契約書のリーガルチェック:1通あたり3万円から10万円程度
- 就業規則の見直し・作成:10万円から30万円程度
- M&A・紛争対応:50万円~
スポット依頼は特定の案件に対して集中的な対応を求める場面で有効ですが、都度見積もりが必要となるため、事前に費用の内訳を明確に確認しておくことが重要です。
スポット対応は、顧問契約に比べて柔軟に利用できる反面、弁護士側のスケジュールや優先順位によって対応までに時間を要することもあります。そのため、早期の相談が望ましいです。
企業法務弁護士と自社の法務部を併用する場合のポイント

企業によっては、社内に法務部門を設置しているケースもあるでしょう。自社の法務体制が充実していれば、弁護士を雇う必要はありませんが、専門性に不安がある場合は、法務部と弁護士を併用することも考えられます。
併用する場合、以下のポイントを押さえることで、内部・外部の法務担当を機能させることが可能です。
- それぞれの役割を明確にする
- 情報共有のプロセスを整備する
一見すると簡潔に見えますが、実は非常に重要なポイントなのです。それぞれのポイントについて解説していきます。
それぞれの役割を明確にする
企業法務弁護士と自社の法務部を併用する場合、両者の役割を明確に分けることが、円滑な連携のために不可欠です。
法務部は社内業務に密接に関わる立場として、日常的な契約管理や社内規程の整備といった実務対応を担います。一方で、企業法務弁護士は高い専門性が求められる複雑な法的判断や訴訟、M&Aなどにおいて外部の視点から助言を行います。
このように業務の性質・難易度に応じて役割を振り分けることで、重複や抜け漏れのない効率的な法務体制が構築できます。
また、事前に役割分担を明確化しておくことで、両者の連携がスムーズになり、判断のスピードや精度も向上します。意思決定の早さが求められる企業環境においては、社内外の法務機能が一体となって機能する体制整備が、リスク管理と経営戦略の両立に不可欠です。
情報共有のプロセスを整備する
企業法務弁護士と法務部の併用においては、情報共有のプロセスを整備することが欠かせません。案件ごとの担当者を明確にし、情報の受け渡しや進捗報告の方法を取り決めることで、双方の認識のズレや対応の遅れを防ぐことができます。
また、共有する情報の範囲やタイミングを統一することで、弁護士が正確な判断を行いやすくなり、迅速かつ的確な法的対応が可能となります。
近年では、セキュリティを確保したクラウド型の共有ツールを活用する企業も増えており、文書や記録を一元管理することで、業務の効率化とトラブルの未然防止に役立っています。
法務部が日常的な対応を行い、弁護士が高度な判断を要する場面に集中する体制を構築するためにも、情報共有の基盤整備は非常に重要です。
まとめ

企業法務に強い弁護士は、企業の日常的な法的業務から専門分野までを網羅し、最適なサポートを提供してくれます。企業法務に強みを持つ弁護士であれば、顧問契約を検討してもいいでしょう。
また、社内の法務部との連携や法務体制の強化など、自社の法務を育成する機会にもなります。実績と専門性のある弁護士を見つけることで、企業法務を強化することが可能です。
法務救済では、契約書のリーガルチェックから労務、法務観点のサポート、損害賠償などの企業間紛争に対応できる専門家を検索・依頼することが可能です。全国の弁護士事務所から簡単に検索・相談できます。
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株式会社WEBYの法務急済運営事務局。全国400以上の弁護士・司法書士のWEBマーケティング支援に従事。これまでに法律ジャンルの記事執筆・編集を1000記事以上担当。WEBコンサルやHP制作、SEO対策、LMC(ローカルマップコントロール)など様々な支援を通じて法律業界に精通。これらの経験を基に企業法務の際に必要な情報や適切な弁護士・司法書士を紹介している。

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