企業法務を行うための費用相場とは?顧問弁護士の依頼にかかる料金や専門家選びのポイントを解説!
予防法務
2024.10.23 ー 2024.10.23 更新
企業法務に関する費用は、ビジネスの成長やリスク管理に欠かせない重要な要素です。適切な法務対策を講じるためには、社内法務部門を設置するか、外部の顧問弁護士を利用するかといった選択が求められます。
しかし、それぞれの選択肢にはコストが発生するため、自社に最適な選択をして、費用対効果を見極めることが重要です。
本記事では、企業法務の費用相場や、法務部門と顧問弁護士のコスト比較、さらに企業法務に関する弁護士費用の体系について詳しく解説します。これにより、最適な法務体制の構築が可能になります。
企業法務の費用対効果
企業法務の費用対効果を考慮する際には、どれだけのリスク回避やコンプライアンス強化が実現できるかを評価することが重要です。
例えば、法務部門を設置するためには初期投資と継続的な人件費がかかりますが、会社の内部で迅速な対応が可能となり、法的問題の発生を未然に防ぎやすくなります。
一方、顧問弁護士に依頼する場合の費用は、必要なタイミングのみ支払う形態が一般的であり、より専門的で高品質のサービスを受けることが可能です。しかし、社内の情報には精通していないため、緊急時の対応には限界があるかもしれません。
企業法務の相場は会社の規模や業務内容に応じて異なるため、自社のニーズとリソースを慎重に検討し、最適な法務戦略を構築することが重要です。
法務部門を設置した場合の費用
法務部門を設置する場合には、企業の規模や業務内容によって費用が大きく異なります。
まず、法務部門の人員配置には、法務担当者の年収や人件費がかかります。一般的に、企業法務を行う専門家には高度な法的知識が必要であるため、年収や人件費は比較的高い傾向にあります。
加えて、法務部門の運営に必要なオフィスの設置や、法務関連のソフトウェア、資料の購入などの運営コストも考慮する必要があります。法務部門の設置には一時的な費用ではなく継続的な運営費用が発生するため、それらを見越した予算計画が求められます。
このように、法務部門の設置には高額な費用がかかります。そのため、企業法務の相場を把握し、適切な人材配置と予算管理が重要です。
企業内弁護士を採用した場合の費用
企業内弁護士を採用した場合、企業は固定的な法務費用を維持することになります。一般的に企業内弁護士の年収は、企業の規模や法務に対するニーズの度合いによって異なり、大企業では年収が高めに設定される傾向があります。
企業内弁護士の相場としては、年収が600万円から1500万円程度と幅広く設定されることが多いです。また、年収に加えてボーナスや福利厚生などの付随費用も考慮する必要があります。
企業内弁護士を採用するメリットとして、その企業特有の業務や法律関連の課題に対する深い理解が得られる点が挙げられます。これは企業ごとの法律リスクに迅速かつ的確に対応するために非常に重要です。
しかし、企業内弁護士を採用するには固定費が発生するため、小規模企業にとっては重荷となる場合もあります。
また、企業内弁護士が特定の分野に特化している場合、その分野外の問題に対応する際には別の弁護士に依頼する必要が生じる可能性もあります。したがって、企業の法務ニーズをしっかりと見極めた上で、企業内弁護士の採用を検討することが求められます。
弁護士以外を採用した場合の費用
企業法務において弁護士以外を採用する方法としては、社内法務担当者や法務コンサルタントを利用するケースがあります。
まず、社内に法務担当者を配置する場合の費用ですが、新卒採用の法務担当者の場合、初任給は30万円前後から始まり、経験を積むにつれて50万円以上に上昇することが一般的です。より専門的な法務知識やスキルを持つ担当者は、年収ベースで500万円から1000万円程度が目安となります。
法務コンサルタントを採用する場合は、プロジェクト単位や時間単位での契約が基本です。例えば規模の大きなプロジェクトでは、数百万円から数千万円の費用が発生することもあります。短期的なアドバイスや特定の課題解決を依頼する場合、1時間あたりの料金が2万円から5万円になることが一般的です。
顧問弁護士に依頼する場合の顧問料の相場
顧問弁護士に依頼する際の顧問料の相場については、月額で固定の顧問料が発生することが多く、小規模企業であれば月額5万円から15万円、中規模企業では月額15万円から30万円、大企業ではそれ以上になることが一般的です。
また、顧問契約には基本的な法務相談や契約書の確認、簡単な法的アドバイスが含まれることが多いですが、具体的な業務内容や追加のサービスによっては別途費用が発生することもあります。
これらの相場を基に、企業は自身のニーズに合わせた顧問弁護士を選定することが重要です。
以下では、顧問料が変動する要因について解説していきます。
顧問料は会社の規模やプランにより異なる
顧問弁護士の顧問料は会社の規模やプランにより大きく異なります。
小規模企業では、月額数万円から10万円程度のプランが一般的ですが、中規模企業になると20万円から30万円程度、大企業ではさらに高額になることも珍しくありません。
これは、企業が必要とする法務サービスの範囲や複雑さ、相談回数などが影響しているためです。
また、契約内容によっては定額制だけでなく、従量制や複数のプランから選べる場合もあります。例として、以下のプランがあります。
- 基礎的な法務相談のみのプラン
- 契約書のレビューや交渉支援を含むプラン
- 紛争対応や特定の法務プロジェクトを含むプラン
企業においては、自社の法務ニーズと相談回数、そして予算に応じた最適なプランを選ぶことが重要です。顧問弁護士の選定に際しては、法務ニーズを十分に把握した上で、複数の弁護士事務所から見積もりを取り、比較検討することが重要です。
追加料金が必要な依頼
企業法務の依頼をするにあたって、基本料金の他に追加料金が発生するケースもあります。
例えば、訴訟対応や契約書の作成・レビューだけでなく、M&Aのサポートや複雑な法的調査なども追加料金がかかることが一般的です。このような業務は標準的な顧問契約の範囲を超えるため、その都度、詳細な見積りを依頼する必要があります。
また、緊急性の高い依頼や高度な専門性が要求される分野の案件では、追加料金が高額になることも少なくありません。企業法務の費用相場は依頼内容により大きく異なるため、追加料金の内容について透明性を確保することで、後々のトラブルを防ぎ、予算管理も容易になります。
契約前に追加料金の詳細を確認し、納得のいく形で契約を進めることが企業にとって最も効率的でしょう。
法務部と顧問弁護士の費用の違い
法務部と顧問弁護士の主な費用の違いは、固定費と変動費にあります。法務部を設置する場合、社員として雇用する法務担当者の給与や福利厚生が固定費となります。これに加えて、オフィスの設備や研修費用なども必要です。
一方顧問弁護士に依頼する場合、定期的な顧問料がかかります。顧問料は契約内容や会社の規模によって異なりますが、通常は月額固定が一般的です。ただし、紛争案件や特別な法務対応が発生した際には、追加の報酬が必要になるケースがあります。
企業内の法務部は常に業務を迅速に行えるメリットがある一方、顧問弁護士は専門知識を持つ高いレベルの法的サービスを受けられる点が特徴です。そのため、企業の規模や法律問題の頻度によって適切な選択肢が変わります。
以下では、法務部と顧問弁護士の費用の違いについて詳しく解説していきます。
固定費の差は大きい
企業法務において、固定費の差は非常に大きい要素となります。
法務部門を設置する企業と設置しない企業では、固定費が大きく異なります。法務部門を設置する企業は、その運営費として年間数百万円から数千万円を見込む必要があります。
これは、社員の給与や福利厚生、社内の設備維持費などが含まれます。一方、顧問弁護士に依頼する場合の固定費も相場により異なりますが、一般的には月額数十万円から百万円以上となることが多いです。
顧問弁護士への依頼は、会社の規模や依頼内容によっても変動しますが、法務部門ほど高額な固定費は発生しない場合が一般的です。特に、中小企業では法務部門を設置するよりも顧問弁護士に依頼するケースが多くなります。
このように、企業法務における固定費の差は、組織構造や法務のニーズに大きく依存するため、企業ごとに最適な法務戦略を検討することが重要です。
紛争案件対応の費用の違い
紛争案件対応にかかる費用は、案件の複雑性や進行状況によって大きく異なります。
一般的に、大規模な商業紛争や知的財産権の侵害といった複雑な事案では、費用が高額になる傾向があります。弁護士の時間単価は数万円から十万円以上に及ぶことがあり、これに加えて証拠収集や専門家の意見書作成などの追加費用も発生します。また、訴訟に発展した場合の訴訟費用も考慮しなければなりません。
一方、比較的簡易な紛争や交渉で解決可能な案件は費用が抑えられることが多いですが、それでも最低でも数十万円程度はかかることが一般的です。このように、紛争案件の費用は固定費ではなく、案件ごとに異なるため、事前に詳細な見積もりを取得し、費用対効果を十分に検討することが重要です。
企業法務においては、紛争防止のための予防法務の徹底も長期的なコスト削減につながるため、契約書の精査やコンプライアンスの強化が求められます。
問題発生時のみ依頼する場合の料金相場とリスク
法務部門の設置や顧問弁護士による継続的な企業法務ではなく、問題発生時のみ依頼するというスタイルを取る企業もいるでしょう。問題が発生した際にのみ弁護士へ依頼する料金は、一般的に時間制料金が採用されます。
企業法務における時間制料金の相場は、1時間あたり2万円から5万円程度です。ただし、案件の複雑さや弁護士の経験によって変動することがあります。
このような依頼では、その都度の費用が重要になりますが、予防措置が取れないため、結果的に高額な費用が発生するリスクがあります。
費用を削減するために問題発生時のみの依頼を検討する企業も多いですが、長期的には、事前の法務戦略が欠如することで、将来的に大きな負担となる可能性があります。
以下では、問題が発生した際のみ企業法務を依頼する場合の相談料や費用、リスクについて解説します。
法的な問題の相談料の相場
企業法務における法的な問題の相談料は、弁護士や法律事務所によって異なりますが、一般的な相場は1時間あたり1万円から5万円程度です。
相談料は、弁護士の経験や専門分野、事務所の規模などによって変動します。大手法律事務所の場合、高額な相談料を請求することが多いですが、その分、質の高いアドバイスが期待できます。これらの企業法務サービスは、大企業に向いていると言えます。
中小企業や個人事業主の場合、法務相談料を抑えるために、地域の法律相談窓口や中小企業向けの支援機関を利用することが推奨されます。これらの機関では、無料または低料金で法律相談を提供することがあり、初回相談を無料で受けられる場合もあります。
また、大手法律事務所よりも費用が低いため、法的な問題の相談料もそこまで負担とならないでしょう。
継続的な法務サポートを希望する場合、顧問契約を結ぶことで、一定の月額料金で定期的な法務相談が可能です。顧問契約の料金は、企業の規模や相談内容の頻度に応じて異なり、月額10万円から数十万円程度となることが一般的です。
訴訟対応にかかる費用
訴訟対応にかかる費用は、企業法務の中でも特に高額になることが多いです。
訴訟対応にかかる費用の内訳は、着手金と成功報酬という2つから構成されることが一般的です。着手金は案件の難易度や規模により大きく異なりますが、おおよそ数十万円から数百万円を見込む必要があります。
さらに訴訟が進行する中で、証拠収集や専門家の意見書の取得などに関連する追加費用も発生します。これらの経費が積み重なると、最終的な総費用は数百万から数千万円に達することもあります。また、訴訟の長期化に比例して費用も増大するため、早期解決のための戦略は極めて重要となります。
このように訴訟対応には多額の費用がかかるため、企業としては事前に十分な予算を確保しておくとともに、費用対効果を常に考慮する必要があります。
手遅れになる・期待する結果が得られない
企業が法務問題に直面した際、問題発生時にのみ弁護士に依頼する方法は、一見コストを抑える手段のように思えますが、リスクが伴います。その一つが、手遅れになる可能性です。
特に法務問題は初期対応が重要になるケースが多く、遅れて対応を開始すると、法律的な選択肢が限られてしまうことがあります。例えば、訴訟が進行してから法的支援を受けると、すでに不利な立場に追い込まれていることも少なくありません。また、期待する結果が得られないというリスクも存在します。
事前に適切な法務対策が講じられていれば、未然に防げた問題が、後手に回ることで大きな損害につながることも考えられます。こうしたリスクを防ぐには、法務部門や顧問弁護士といった継続的な法務サービスを利用する必要があります。
予防法務を実現できない
予防法務を実現できない場合、企業は多大なリスクを抱えることになります。
予防法務は、企業が法律に則った運営を行うための重要な手段であり、法的なトラブルを未然に防ぐ役割を果たします。しかし、この予防法務を怠ると、後に紛争や訴訟が発生した際に大きなコストが発生することがあります。
例えば、予防法務に対する初期投資を行わなかった企業は、問題が発生したときに弁護士費用や裁判費用など、予期しない高額な出費に対応しなければいけません。また、法務部員や顧問弁護士を適切に活用していない企業では、内部体制の不備から法的トラブルが頻発し、企業の信用を失墜させるリスクもあります。
特に、中小企業やスタートアップ企業にとっては、予防法務の実現が経営の安定性を左右する要素となります。単発での企業法務では、こうした予防法務の充実が難しく、その場しのぎの対応になりがちなため、注意が必要です。
法務相談の専門家選びのポイント
企業法務を相談する専門家を選ぶ際には、以下のポイントを押さえる必要があります。
- 依頼内容に応じた相談先を検討する
- 企業法務の実績を確認する
- 費用を比較した上で依頼する
それぞれの選び方について解説します。
依頼内容に応じた相談先を検討する
法務相談を行う際には、依頼内容に応じて最適な専門家を選ぶことが重要です。法務と一口に言っても、その分野は多岐にわたり、以下のような依頼があります。
- 契約書の作成
- M&A
- 労働問題
- 知的財産
これらの異なる依頼内容に応じて、それぞれ専門知識が求められます。例えば、複雑な契約書のレビューや交渉が必要な場合、企業法務の経験が豊富な弁護士が適しています。日常的な法務業務をサポートするのであれば、顧問弁護士や外部の法務コンサルタントを活用するのも効果的です。
また、特定の業界に精通した専門家を選ぶことで、業界特有の規制やリスクにも対応しやすくなります。選択を誤ると、解決までの時間やコストが増加するリスクがあるため、事前に依頼内容をしっかりと整理し、それに応じた専門家を慎重に検討することが求められます。
企業法務の実績を確認する
企業法務で相談先となる専門家選びで重要なポイントは、弁護士や法律事務所の企業法務における実績を確認することです。企業法務は個人向けの法務とは異なり、企業特有の契約、M&A、コンプライアンス、労務管理など広範な分野にわたる複雑な対応が求められます。
特に、依頼する分野における専門知識と実績が豊富な弁護士であることは、質の高い法務サービスを受けるための重要な要素となります。例えばM&Aの相談を行いたい場合、その分野での成功事例や交渉力を持つ専門家を選ぶことが望まれます。また、顧問弁護士を検討する際には、長期的な企業法務の支援経験が豊富な弁護士を選ぶことで、法務リスクの軽減に繋がります。
実績を確認する際には、他の企業からの評価や口コミ、成功事例を参考にすることで、信頼できる専門家を見極めることができ、企業法務において的確なアドバイスとサポートを受けられるでしょう。
費用を比較したうえで依頼する
法務相談を依頼する際、費用の比較は重要なポイントとなります。
法律事務所や顧問弁護士によって、相談料や顧問契約の費用は大きく異なります。法務サービスの内容や対応のスピードが同じであっても、費用には差が生じるため、複数の専門家から見積もりを取り、費用対効果を慎重に検討することが求められます。
また、法務相談の費用には、初回相談料や時間制の料金、または月額の顧問料など、さまざまな形態が存在します。初回相談料が無料の事務所もありますが、サービスの質が低下しないかを確認することも重要です。特定の法務案件においては、案件ごとの成功報酬型の費用体系を採用している場合もあるため、契約内容を十分に理解する必要があります。
費用だけでなく、実績や専門分野、対応の丁寧さなども合わせて検討し、最も適した専門家を選ぶことで、長期的な法務リスクを軽減することができます。
まとめ
企業法務においては、高額な費用がかかることは間違いありません。顧問弁護士の採用や法務部門の設置についても、低い予算で済ませることはできないため、資金計画を綿密に立てることが重要になります。
費用を低くすることも可能ですが、企業規模や事業内容、法務の内容に適した専門家に依頼することが重要です。安さだけで選んでしまうと、満足のいく法務サービスは受けられないでしょう。多少費用がかかっても、サービス内容が充実しているかどうかがポイントになります。
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