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契約書とは?法律上の役割や書き方の基本を解説!

契約書・リーガルチェック

2024.11.042024.11.16 更新

契約書とは?法律上の役割や書き方の基本を解説!

「契約書とは何か?何を書けばいい?押印は絶対に必要?」

本記事では、こうした疑問を解決できるよう契約書の重要性や基本構造、作成方法、法的に有効なポイントについて詳しくまとめました。

この記事を読み終えた時には、契約書に関する基本的な知識が身につく内容になっていますので、ぜひ参考にしてみてください。

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契約書とは何か?その定義と役割

契約書とは、契約の内容を明記した文書のことです。民法の原則として契約は口頭の合意のみで成立しますが、それでは契約内容を忘れてしまったり契約の時期が不明確になったりするなどのトラブルが生じます。

そのため合意内容を文書に残し、互いに署名や押印を行いそれぞれが保管するなどして契約の意思と契約内容を明確にする目的で、契約書が作成されます。

契約書の存在によって、当事者間の誤解や争いを未然に防ぐことができ、信頼関係の構築にも寄与します。契約書は法的な安心感を提供するための不可欠なツールと言えます。

なぜ契約書作成が必要なのか

契約書作成が必要な理由は、契約における当事者双方の権利と義務を明確にし契約の事実についての証拠とするためです。

民法上、契約は原則として口頭の約束で成立しますが、それだけでは証拠がないためあとから言った言わないの争いになってしまう可能性があります。そうしたトラブルを防ぐために契約書は作成されます。

ただし、契約書作成が馴染まない契約もあります。例えばコンビニやスーパーでの買い物は売買契約であり契約の一種ですが、いちいち契約書を作っていては手間がかかるため、通常はこうした日常的な買い物で契約書を作ることはありません。

契約書は、簡易的な取引には用いられず、一定の重要な契約の際に作成されることになります。

企業同士の取引や業務提携においては当然に利用される契約書ですが、個人間の契約や法人対個人の簡易的な契約においては、契約書を作らなかったことが原因でしばしば争いになることがあります。

なお保証契約など、書面で行わなければ効力そのものが生じない契約もあります。

口頭契約と書面契約、電子契約の違い

口頭契約、書面契約、電子契約には、いくつかの重要な違いがあります。

口頭契約

簡易的な取引や日常の売買契約で用いられる契約方式です。売買契約ではレシートを受領できますが、基本的に契約の証拠が残らないため、契約の有無や契約内容でトラブルになりやすい特徴があります。

書面契約

書面契約は最もスタンダードな契約方法です。契約書は当事者が記名または署名押印等の後にそれぞれが1通ずつ保管するのが一般的です。

企業においては、書面が多くなるために保管コストが大きくなる場合があります。

筆跡や押印などがあることから証拠としての効力が強く、特に実印での押印は本人が間違いなく同意したであろうと推定される効果があります。

不動産の売買や会社役員への就任承諾など一定の重要な契約においては実印がしばしば利用されます。

電子契約

電子データ(PDF等)によって契約内容を明確にする契約方法です。

印鑑の代わりに改ざんできない電子署名を用いることで、データの改ざんを防ぐことができます。契約の際に立ち会う必要がなく、保管コストも低いため近年普及が進んでいます。

ただし、サイバー攻撃や、管理体制によっては従業員によるデータ持ち出しや流出が容易になるなど漏洩のリスクがあります。

企業において契約書が必要になる場面と契約の種類

企業において契約書が必要になる場面としては次のようなものがあります。

  • 企業間の取引
  • 個人事業主や士業への請負や業務委託契約
  • 従業員との労働契約
  • 不動産の賃貸契約
  • 各種公共料金や携帯電話の契約など

契約書の利用シーンと目的は多岐にわたりますが、主な利用シーンとしては、ビジネス取引を始める際に必要となる商取引の契約、オフィスの賃貸借契約、雇用契約、などが挙げられます。

規模の大きな取引における契約書や、継続的に行われる労働契約書などは弁護士によるリーガルチェックを受けることで長期的にリスクを軽減する効果があります。

契約書の基本構成と記載事項

契約書は基本的には次のように構成されます。

  1. タイトル
  2. 前文
  3. 具体的な契約条項
  4. 後文
  5. 契約日および記名(署名)押印

以下、順に解説していきます。

タイトル

契約書におけるタイトルの付け方は、契約内容を一目で理解できるようにするために極めて重要です。契約の主題となる対象物や取引内容、当事者の名称などを含めることで、契約の目的が明確に伝わります。

例えば「業務委託契約書」や「売買契約書」といったタイトルは、契約の種類を具体的に示しているため、内容確認がしやすくなります。

また、「〇〇の部品製造に関する業務委託契約書」のように依頼内容を含ませて記載するとより明確になり整理しやすくなるでしょう。継続取引を行う際は「第〇回△△ソフト開発の業務委託契約書」のように指定してもよいです。

特に法人間の大規模な取引では、契約書が多数存在するため、適切なタイトル付けにより効率的な管理が可能となります。

前文

契約書前文の役割は、当事者を特定し、契約の事実および趣旨や目的、当事者の間で合意された基本的な事項を明確に示すことにあります。

書き方に関しては、まず契約の背景や目的を簡潔に説明し、その後に契約当事者の名称や役割を記載します。例えば、「本契約は、株式会社A(以下「甲」という)と株式会社B(以下「乙」という)との間において、以下の条件に基づき締結されるものである」といった形式で始めます。

契約の趣旨や契約の背景を記載することで、当事者双方が契約の目的を再確認し、正しい理解のもとで契約を進行させることが可能となります。

具体的な契約条項

前文のあとは具体的な契約条項を記載します。

契約の種類によって記載事項は非常にさまざまですが、以下のような一般的な事項は共通項目としてしばしば記載されます。

  • 譲渡対象物や業務内容、範囲、変更等に関する事項
  • 契約業務に関して貸与物がある場合はその事項および返還時期など
  • 対価・報酬の額または計算方法、支払い時期、支払い方法など
  • 納期、契約期間、更新に関する事項
  • 秘密保持に関する事項
  • 競業避止義務に関する軸尾
  • 契約解除に関する事項
  • 違反があった場合の違約金や遅延損害金に関する事項
  • 記載のない事項に関してはその都度真摯に協議で定める旨
  • 合意管轄裁判所

契約書は双方の合意を確認し、義務と権利を明示するための文書ですので、曖昧な表現を避け、具体的かつ詳細に記載することが求められます。

特に金銭および業務に直結する部分である義務の範囲、納期、報酬の詳細、支払い方法、期限などは正確に記載する必要があります。

また紛争が発生した場合に備えて、違約金や解除条項のほか管轄裁判所等についても明記しておくことが重要です。これにより、トラブルが発生した際の対応や損害賠償の請求がスムーズになります。

契約条項を作成する際には、法的な側面もしっかりと考慮し、各条項が相互に矛盾しないよう、整合性を保つことが重要です。不明確な条項や違法な内容が含まれていると、契約全てが無効になる可能性もあるためです。

契約書を初めて作る場合や、継続取引を行う場合などは法律の専門家に確認してもらうことをお勧めします。

後文

後文は契約書の締めの言葉で、例えば次のような文章を記載します。

『本契約の成立を証するため、本書を2通作成し当事者全員が記名押印の上、各1通を保有する。』

契約日および記名(署名)押印

後文の後には、契約日および当事者の記名(署名)押印を行うのが一般的です。

記名(署名)は、個人であれば住所および氏名、会社であれば住所・商号および代表者氏名を記載します。

『記名』とは名が記載してあるという意味で、自筆か印刷かを問わずに用いられる表現です。『署名』は自筆を意味します。併せて押印されることで証拠としての効力を強化する効果があります。

企業間契約における署名捺印の注意点

企業との取引においては、代表者ではなく業務担当者が署名押印するような場面が多くあります。

この場合、相手方会社において『当該担当者に契約権限を与えていない』などと契約の有効性について後からトラブルになるケースがあります。

そのため実務においては、業務担当者が署名押印を行うケースでは印鑑証明書の添付とともに会社実印を押印して申請を担保する方法があります。

実印の持ち出しが不可の場合には、代表者があらかじめ実印を押印した業務権限証明書を添付し、契約書には担当者が役職の記載とともに署名押印するなどして真正を担保する方法も利用されます。

契約書作成時に気をつけるべきポイント

契約書を作成する際に気をつけるべきポイントは多岐にわたります。

まず契約書の内容が明確であることが第一です。双方の権利義務を具体的に記載し、曖昧な表現は避けるべきです。

次に、法律に基づいた正確な条項を設けることが重要です。これにより法的なトラブルを避けることができます。契約が法的に有効であることを証明するため確実に署名押印を行いましょう。

最後に、契約書の保存と管理も重要です。原本を安全な場所に保管し、必要に応じて容易にアクセスできるようにしておくことが望まれます。

これらのポイントを押さえることで、契約書がトラブル回避の強力なツールとなります。

テンプレートやAIを利用する際の注意点

インターネット上では様々な契約書のテンプレートをダウンロードして利用することが可能です。また、AIによる文書作成のサービスも多く見受けられます。

ただしテンプレートは改正に対応していない場合や個別の契約事項を反映させるのが難しいケースがあり、AIについても同様のリスクがあります。

基本的にテンプレートやAIは、契約書の原案を作成する際に利用し、その後に弁護士等によるリーガルチェックを受けるのが望ましいでしょう。

契約書に記載していない事項の扱い

契約書に記載していない事項は、その契約の内容によって民法や会社法、消費者契約法、労働法、その他の法令によって規定されます。

契約書に記載していないからと言って、自己に都合よく解釈できるわけではない点に注意が必要です。

契約書が無効になるケース

契約が公序良俗に反する場合や、違法行為・犯罪を助長するような契約は無効です。その他、労働法や消費者保護法の関係で各条項が無効になる場合もあります。

また記載事項が相当に曖昧な場合や、重要な記載漏れがあった場合、未成年者との契約、詐欺や強迫による契約などのケースにおいては相手方が取り消しを主張する場合もあります。

無効な契約や取り消される契約とならぬよう、契約書の内容は充分に検討し、リーガルチェックを受けるなどの対策が必要になります。

強行規定と任意規定の違い

契約書を作成する際は、強行規定と任意規定の違いを明確に覚えておきましょう。

強行規定とは、法律によって厳格に守られるべき義務や禁止事項を定めた規定であり、契約当事者がこれに反する合意をしても無効となります。

代表例としては労働基準法や消費者保護法、利息制限法などの法律があり、これらの規定は社会秩序や公共の利益を守るために設けられています。

例えば、事業者が消費者に対する利用規約として「一切責任を負わない」などと記載する場合には、消費者保護の観点から無効になるケースがあります。

一方で、任意規定は法律の定めはあるものの当事者が自由に合意して決めることができる規定です。例えば商取引における支払い条件や納期などの項目です。

契約書を作成する際には、これらの規定を正確に理解し、適切に反映させることが重要です。強行規定の違反は契約全体の無効化や法的制裁を招く可能性があるため、専門家の助言を求めることが推奨されます。

契約書の保管期限とその注意点

契約書は、その契約が有効な間は永久保管とし、契約終了後は民法の時効期間に合わせて10年を経過してから廃棄するのが基本的な考え方です。

不動産の賃貸や地上権等の契約書においては、存続期間を数十年と定める場合もあるため長期保管が必要になります。

業務委託契約書について、契約終了後の競業避止義務を20年等と定める場合には、本契約の終了後も当該期間は保管する必要があるでしょう。

契約の種類によって収入印紙が必要

印紙税法に基づき、契約書の種類によって課税文書に該当する場合には印紙税がかかります。

例えば売買契約書や、継続取引にかかわる文書、請負契約書などは課税文書にあたり、それぞれ定められた額の収入印紙を貼付しなければなりません。課税文書に該当するかどうかは契約書のタイトルではなく実態(契約内容)に基づく点にも注意が必要です。

なお、これらの契約を行う際に電子契約の方法を使用した場合には印紙税はかかりません。

契約書を作成する際は弁護士によるリーガルチェックがおすすめ

今回は、契約書について解説してきました。

契約書を作成する場合、弁護士によるリーガルチェックを受けるのがオススメです。

特に規模の大きい契約や継続的な契約においては、初めの契約書に不備があると長期的なリスクを負うことになってしまうため、リーガルチェックの効果はより大きくなるでしょう。

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