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契約書のリーガルチェックは誰に依頼する?社内で行う際のポイントや弁護士に依頼した際のやり方、費用等を解説
契約書・リーガルチェック
2024.10.09 ー 2024.11.16 更新
契約書のリーガルチェックとは、取引の安全性を確保するために重要な手続きです。本記事ではリーガルチェックの意義、実施方法、注意点などを企業の代表者や法務部担当の方向けに解説します。
法的なトラブルを避けるために不可欠なプロセスであり、たとえば法令違反を防いだり、自社に不利な条項を修正したり、無効な契約を回避したりすることができます。これにより企業の信用を守ることにも寄与します。
リーガルチェックは主に、自らの企業内で行うか弁護士に依頼するかに分かれます。また、最近ではAIによるチェックサービスも始まりました。
本記事ではリーガルチェックは誰に依頼するのが適切か、パターン分けや注意点についてまとめました。
それぞれについてリーガルチェックを行うやり方、メリット・デメリット、注意点などを解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
契約書のリーガルチェックとは
契約書のリーガルチェックとは、契約に関する法的リスクを避けるために、契約書の内容を関連法令に照らして審査・検証して修正することです。
契約書には、取引における当事者の権利・義務、契約内容の詳細、違反時の対応などが記載されており、リーガルチェックではこれらの項目が法令に適合しているか、一方に不利な条項や曖昧な記載がないか、また相手方との間で問題が発生しないかなど確認します。
リーガルチェックが重要な理由
リーガルチェックは、契約書や取引に関する法的なリスクを最小限に抑えるために実施される重要なプロセスです。
具体的には次のようなメリットがあり、リーガルチェックは会社の安定した事業運営と成長に欠かせないものとなっています。
- 法令違反を回避するため
- 自社に不利な条項を是正するため
- 無効な契約となるリスクを避けるため
- トラブルの防止と企業信頼の維持
- 取引の実態に即した契約書の作成
- 契約の透明性の確保と認識の共有
法令違反を回避するため
リーガルチェックでは、契約に適用される法令や規定の確認、記載漏れのチェックや内容の修正、法的なトラブルが発生した場合の対応策の確認・修正が行われます。
専門家や弁護士にリーガルチェックを依頼することでリスクを避け、より適切な対応が可能となり、法令違反を未然に防ぐことができます。
自社に不利な条項を是正するため
契約書には、自社に不利な条項や内容が含まれている場合があります。リーガルチェックの目的の1つは不利な条項を発見し、是正することです。
リーガルチェックの実施により、自社の利益を守るとともに相手方に一方的に不利益となる条項がある場合も調整することができます。
契約が無効となるリスクを減らすため
民法上、契約の内容は原則として自由であり当事者同士で合意すれば契約は成立します。
ただし公序良俗に違反する契約や不法行為・犯罪を行う契約等、当事者が合意しても法律上無効になるものもあります。
例えば農地として登録された田畑の売買は農地法により制限されており、農業委員会の許可がなければ所有権の移転ができないケースがあります。
このように、契約書の作成段階においては気付かないうちに法的に適正でない内容を含めてしまう可能性があり、こうした内容を是正するためにリーガルチェックは重要な役割を果たします。
トラブルの防止・対応と企業信用の維持
契約書の適切な作成やチェックが行われることで、トラブルの未然防止と企業信用の維持に繋がります。
例えば、違法な内容を含めてしまい第三者に損害が発生した場合には、被害を受けた第三者から損害賠償を請求される場合があります。
このような際に、あらかじめ賠償金の支払者など責任の所在を明確に定めておくとトラブルへの対処がスムーズです。
リーガルチェックが行われていない契約書では、法的に不完全であったり、相手方が理解できない内容が発生しトラブルが生じる可能性が高まります。
リーガルチェックを適切に行い、双方が納得できる内容で契約が行われば取引や事業の実施がスムーズに進み、万が一トラブルが発生しても契約書を根拠にして解決しやすくなるでしょう。
また法令遵守を徹底した契約書を作成することで、企業の信用が向上します。業界内や顧客からの評価も高まり、取引の継続や新たなビジネスチャンスを引き寄せる効果も期待できます。
取引の実態に即した契約書の作成
ひな形や過去の契約書等を編集して新たな契約書を作成した場合、本契約において適応すべきポイントが見落とされる可能性があります。
事業の目的や着地点を明確にした上でリーガルチェックを行うことにより、取引の実態に即した内容を記載することができるようになります。
これによりトラブルを未然に防ぎ、円滑なビジネスを展開することが可能となります。
契約の透明性の確保と認識の共有
弁護士にリーガルチェックを依頼して契約の当事者双方が確認しつつ進めることで、認識の違いを修正し透明性のある契約が可能になります。
契約書に記載された文章が曖昧な場合や、一方の当事者が曖昧と思っていなくても、相手方にとっては分からない場合もあるためです。
契約前に記載内容のすり合わせを行うことで、後のトラブル回避に繋がります。
リーガルチェックの対象となる契約とは
契約にはさまざまな種類があり、企業と個人が日常的に締結する契約から、企業同士の大規模な事業プロジェクトに関連する契約まで、幅広い範囲が対象となります。
リーガルチェックの対象となる契約書には特に制限はなく、一例として以下のような契約書が対象となります。
- 売買契約書
- 労働契約書
- 委託契約書
- 不動産賃貸契約書
- 金銭消費貸借契約書
- 知的財産権に関する契約書(特許・著作権・商標権など)
- 合弁事業契約書
- NDA(秘密保持契約)
これらの契約書は、それぞれ異なる法令や規定に従って作成されるため、リーガルチェックのポイントや注意事項も異なります。
それぞれの法令について特に詳しい専門家にリーガルチェックを依頼することで、契約書の内容が法令遵守を確認できると同時に、自社の利益を最大限に保護できるような契約を締結することができます。
リーガルチェックを行う流れ
契約書のリーガルチェックを行う一般的な流れは次のとおりです。
- 契約書草案の作成
- リーガルチェックの担当者の決定
- 担当者へ契約書草案を渡す
- 担当者は民法のほか関連法令、裁判例等をチェックし契約書の修正案を作成
- 修正案について検討し、必要に応じて契約書を修正する
- 以下、法令のチェックと修正を繰り返す
弁護士に依頼する場合には契約の主目的や着地点、自社の希望などを明確に引継ぐと良いでしょう。適切な情報を伝えることにより、より迅速で的を射たアドバイスを受けることができます。
社内で行う場合でも弁護士に依頼する場合でも、法令のチェックと指摘箇所の修正を繰り返すという流れは基本的に一緒です。
リーガルチェックはどこに依頼する?法務担当or弁護士orAIサービス?
リーガルチェックを行う人は、主に企業の法務部署における担当者か弁護士です。
法務担当者は企業内で契約書の作成や管理を行い、法的リスクを最小限に抑える役割を担います。自社内に法律の国家資格を持つ者がいれば、その者が担当する場合が多いですが、そうでないケースや中小企業においては法務部を置かない場合もあるでしょう。
一方、弁護士は法律の専門家として契約書のリーガルチェックに関するサービスを提供します。弁護士であれば多くの法的知識や判例を把握しており、より高度なリーガルチェックが期待できます。
顧問契約の弁護士がいれば顧問弁護士に依頼するか、外部の弁護士に依頼するかの方法があります。
また最近ではAIを利用したリーガルチェックサービスを行う事業者もあります。ただし、AIによるリーガルチェックサービスは条件によって弁護士法に違反する可能性があるため、利用には注意が必要です。
以下では、法務担当者、弁護士、AIのリーガルチェックサービスについて1つずつ詳しく解説していきます。
リーガルチェックを社内で実施する場合
企業が契約書のリーガルチェックを行いたい場合、社内の法務担当者に業務を行わせるケースがあります。
社内でのリーガルチェックは、コストが低く迅速な対応に期待できるのがメリットです。デメリットとしては、弁護士と比較してチェックの精度が低くハイリスクになる点や、トラブル時の責任を求める方法が難しい点などが挙げられます。
あくまで社内チェックであるため、本契約書を相手方企業に提示した際にリーガルチェックについて改めて提案が行われるケースもあります。
費用・コスト
社内でリーガルチェックを行う場合、基本的には法務担当者の給与がリーガルチェックの費用と言えます。
チェックに取りこぼしがあった場合などは損害賠償等の問題になり余計にコストがかかってしまうケースがあるため、トラブル防止の観点からはやはり弁護士への依頼が望ましいでしょう。
ポイント・注意点
比較的チェックしやすいのが契約書の形式的な部分です。形式の面では次のポイントに注意しましょう。
- 契約書のタイトルが明確か、当契約を特定できるようになっているか
- 契約日や業務開始日および継続期間の記載があるか
- 誤記、表記のゆれなど
- 報酬の額や支払日、などのお金に関する事項が含まれているか
- 報酬・代金の支払いと引き換えになる対象物や対象業務が明確に記載されているか
内容は、次の点に注意してチェックを行いましょう。
- 実際の契約に即した内容を記載しているか
- 報酬の額やトラブルの際の賠償金の額が妥当か
- 相手方が要求している部分
- 過去の契約書やひな形を参考にして作成した場合に変更がきちんとできているか
内容については必ず関連法令を検索し、また契約の有効性、特例の有無などを確認しましょう。
また法的なリスク管理以外には、本事業において対象となる補助金や優遇制度の有無や同種の契約におけるリスクおよびトラブル事例等も確認しておくと良いでしょう。
リーガルチェックを弁護士に依頼する場合
リーガルチェックを弁護士に依頼するメリットは、高精度のチェックを受けられることや、法的リスク回避について一定の担保と安心を得られることです。
また相手方企業としても安心を得られ、自社としては信頼を得られる点もメリットとなるでしょう。
リーガルチェックを弁護士に依頼するデメリットは、一定の時間と費用がかかる点です。
弁護士費用・コスト
リーガルチェックを弁護士に依頼する際の相場は、一般的な内容のもので1件3万円~15万円ほどが目安になります。
ただし契約書の分量や契約金の規模などによってチェックに要する時間や責任の重さが大きく変わるため、数十万円またはそれ以上になる場合もあります。
詳しくは個別に問い合わせるか無料相談などで確認すると良いでしょう。
弁護士にリーガルチェックを依頼する際のポイント
弁護士に依頼する際のポイントは、専門性と信頼です。
弁護士は、離婚や相続などの家庭問題の他、刑事事件や個人の破産、交通事故など多数の仕事があり、特に1つの分野を専門で行う弁護士もいます。
リーガルチェックを依頼する際は特に企業の法務に強い弁護士を選択しましょう。候補が決まったら、電話または直接話すなどにより信頼できそうな弁護士を選ぶと良いでしょう。
企業法務を専門とする弁護士は、月額の顧問契約によるサポートプランを用意している場合も多いため、リーガルチェックを多く依頼する場合には顧問契約の方が安く済む場合もあります。
顧問契約をお考えの場合にはなおさら長期的に付き合える弁護士を探す必要があるため、信頼性がより重要な意味を持ちます。
法務救済では、企業法務に強い弁護士を多数紹介しておりますのでぜひご参考に探してみてください。
無料で相談できる専門家検索はこちらから>>AIによるリーガルサービスについて
AIによるリーガルチェックサービスとは、その名のとおり、契約書のリーガルチェックをAIが行ってくれるサービスです。
近年のAI発展により生れたサービスですが、条件によっては提供元が非弁行為に該当し、違法なサービスを提供している可能性があるため注意が必要です。
非弁行為とは
非弁行為とは、弁護士資格を持たない者が報酬を得る目的で法律事件の相談に応じたり代理交渉等を行う違法行為のことです。
AIによる契約書のリーガルチェックサービスは報酬を得て相談に応じる行為に類似しており、非弁行為にあたるか否かが問題になります。
この点につき、次のとおり令和5年8月に法務省よりガイドラインが発表されています。
参考:AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第 72 条との関係について
ガイドラインではさまざまな事例によってパターン分けされています。
基本的には、弁護士でない者がAIによって契約書を精査するサービスを行い、その結果リスクや修正案を提示して報酬を受け取るなら、非弁行為にあたる可能性は非常に高いと言えます。
AIによるリーガルチェックサービスのリスク
リーガルチェックが非弁行為にあたるか否かは、サービス提供側の問題です。ただし利用者側としても、以下のようなさまざまなリスクが発生する可能性があります。
- チェック精度が担保できない
- 結局弁護士にリーガルチェックを依頼することになり余計に費用がかかる
- 相手方会社からの信頼を失う
精度が担保できない
AIは、学習によりインプットした知識からアウトプットを返します。つまり学習元の知識が不足している場合や、インターネット上の記事から学習するAIの場合などは、必ずしも正確な法律知識に基づくとは限りません。
また直近の裁判例の流れや時代にマッチしないケースも考えられるため、チェックを受けても、必ずしも正確でないかもしれないという不安が残るでしょう。
結局弁護士にリーガルチェックを依頼することになり余計に費用がかかる
AIによるリーガルチェックサービスを利用しても、その後に自社で疑義が生じて結局のところ弁護士に依頼するケースがあります。
この場合にはそれぞれに料金の支払いが発生し、時間も費用もロスになってしまうでしょう。
相手方会社からの信頼を失う
契約書のリーガルチェックをAIサービスに任せた場合、相手方を不安にさせてしまうケースがあります。
前述のとおり、AIによるリーガルチェックは非弁行為にあたる可能性があり、この点で相手方企業のコンプライアンスに引っかかる場合があるためです。
当然ながら弁護士がチェックしたという担保もないため、契約書の適法性やリスクに対して疑義が生じる可能性も高くなり、企業としての信頼に関わる可能性もあります。
リーガルチェックの依頼先を決めるポイント
以下では、リーガルチェックの依頼先を決めるためのポイントを解説していきます。
弁護士に依頼した方が良いケース
基本的に、リーガルチェックは企業法務に強い弁護士に任せるのがおすすめです。
その上で、特に効果が大きいのは以下のようなケースです。
- 新規事業の契約を行う場合
- 不特定多数との契約を予定している場合
- 規模の大きな契約を行う場合
まず、新規事業を行う場合には自社での事業経験やノウハウがないため、リーガルチェックの効果が大きくなります。
また雇用契約や携帯電話販売など不特定多数の相手と多くの契約を行う場合には、初めに適切なリーガルチェックを行うことで、多くの相手とのトラブル防止に繋がります。
大規模な事業を行う場合には、リスク回避と責任の明確化、安心感や信頼性のためにやはり弁護士によるリーガルチェックが大きな効果をもたらします。
社内の法務担当者が行うケース
社内の法務担当者がリーガルチェックの担当として有効な例として次のケースがあります。
- 過去に弁護士によるリーガルチェックを行ったことがあり、類似の契約を行う場合
- 担当者が弁護士等の専門資格を持っている場合
こうしたケースでは、比較的契約の安全性が保たれる可能性が高いため、社内で迅速・低コストで完結させる選択肢も有効になります。
ただし過去の契約が相当に古く改正法に対応出来ない場合や、本契約で特約が多くチェックが複雑な場合などは、やはり弁護士を活用することが望ましいでしょう。
AIレビューサービスを利用できるケース
AIによるリーガルチェックサービスを利用するケースとしては次のようなパターンが考えられます。
- 契約書の草案を作成する段階の場合
- 最終的なリーガルチェックを弁護士資格を持つ法務担当者が行う場合
- 外部の弁護士へ依頼する前の一次チェックで利用する場合
現状、AIによるリーガルチェックサービスを最終的チェックのために用いることはおすすめできません。
契約締結の規模や目的から、料金と効果を考慮してうまくサービスを選択しましょう。
まとめ
リーガルチェックは、契約の目的を達成し、安全に業務を遂行するための重要なプロセスです。
リーガルチェックを徹底することで、違法行為やトラブルのリスクを回避し、契約の安心感・相手方への信頼にもつながります。
契約の際はリーガルチェックを弁護士に依頼する前提で、長期的な目線に立ってリスク・コストの管理を行うと良いでしょう。
法務救済では、企業法務に強い弁護士による無料相談もご利用いただけます。
社内でリーガルチェックが可能な場合には低コストで済むメリットがありますが、少しでも難しいと感じる場合や、新規事業を行うケース、または規模の大きい取引を行う際には早めに弁護士によるサポートをご検討ください。
無料で相談できる専門家検索はこちらから>>法務急済運営事務局
株式会社WEBYの法務急済運営事務局。全国400以上の弁護士・司法書士のWEBマーケティング支援に従事。これまでに法律ジャンルの記事執筆・編集を1000記事以上担当。WEBコンサルやHP制作、SEO対策、LMC(ローカルマップコントロール)など様々な支援を通じて法律業界に精通。これらの経験を基に企業法務の際に必要な情報や適切な弁護士・司法書士を紹介している。
※当社(株式会社WEBY)は直接債務整理のサービスを提供しておらず、債務整理の相談や依頼については紹介事務所へのリンク先で対応となるため、当サイトでは債務整理に関する個人の相談や質問にはお答えできません。
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