COLUMN

法人破産の手続きは弁護士に相談するべき?流れや必要書類、費用、弁護士の選び方を徹底解説

民事再生・法人破産

2025.02.252025.03.06 更新

会社の資金繰りが悪化し、返済の見通しが立たなくなると、法人破産が選択肢に浮かび上がるかもしれません。しかし、具体的な手続きの流れや必要書類を理解していないと、法人破産の手続きが難航します。

そこでおすすめなのが、弁護士のサポートを受けるという方法です。法律の専門家である弁護士に法人破産の手続きを依頼することで、最新の法改正を反映させた法人破産を進めることができます。また、法人破産ではない解決策を提案してくれることもあります。

本記事では、法人破産の手続きの流れや必要書類、弁護士に相談するメリットについて解説します。法人破産を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

無料で相談できる専門家検索はこちらから>>

法人破産とは?

法人破産とは、企業が負債を抱えて資金繰りが困難になり、事業の継続が不可能と判断された場合に、裁判所の手続きを経て法人を清算する法的手続きです。日本では破産法に基づき、会社が支払い不能または債務超過の状態にある場合に申立てが可能になります。

法人破産は債務整理の最終手段といえますが、適切に進めることで経営者が再出発しやすくなります。企業の財務状況が悪化し、返済が困難になった場合は、早めに専門家へ相談するようにしましょう。

法務救済では、契約書のリーガルチェックから労務、法務観点のサポート、損害賠償などの企業間紛争に対応できる専門家を検索・依頼することが可能です。法人破産について弁護士に相談したい方は、法務救済から弁護士を探してみてください。

無料で相談できる専門家検索はこちらから>>

法人破産を放置するとどうなる?

負債を抱えていながら法人破産を放置したままにしておくと、以下のようなリスクが発生する可能性があります。

  • 会社・個人の資産を差し押さえられる
  • 民事上の責任を追及される
  • 破産犯罪に問われる

それぞれのリスクがどれだけ深刻なのか見ていきましょう。

会社・個人の資産を差し押さえられる

企業が債務を返済できないまま放置すると、債権者は未払いの債権を回収するため、裁判所を通じて強制執行の手続きを取ることができます。結果として、会社名義の預貯金や不動産、売掛金などの資産が差し押さえられ、事業の継続がさらに困難になります

また、法人の負債に対して経営者が個人保証をしている場合、経営者個人の資産も差し押さえの対象になります。対象となる資産は、個人名義の以下の通りです。

  • 銀行口座
  • 不動産
  • 車両

さらに、差し押さえによって信用情報にも影響を及ぼします。銀行口座が凍結され、新たな融資を受けることが難しくなるだけでなく、クレジットカードの利用制限やローンの審査落ちといった状況に陥る可能性もあります。

民事上の責任を追求される

債務超過や支払い不能の状態に陥っている状態を放置すると、取引先や金融機関などの債権者から損害賠償請求を受けるリスクがあります。会社の財務状況が悪化していることを知りながら新たな取引を行った場合、債権者に損害を与えたとして不法行為責任を問われることも考えられるでしょう。

また、資産の意図的な処分や、特定の債権者への弁済が発覚すると、破産手続きの中で否認権が行使される可能性があります。否認権とは、不公正な取引を無効にする権利のことで、裁判所や破産管財人によって不適切な処分が取り消されます。

さらに、法人と経営者が実質的に一体とみなされる場合、法人の債務を経営者個人が負担するケースもあります。特営者が法人の財産を私的に流用していた場合や、不適切な会計処理を行っていた場合には、債権者が法人と経営者を区別せず、経営者に直接請求を行うことがあり得ます。

破産犯罪に問われる

破産犯罪とは、破産手続き中やその前後に行われる違法な行為に対して、刑事罰が科されるものです。破産法では債権者の利益を守るために、破産者の不正行為を厳しく取り締まっているため、これに違反すると、懲役や罰金などの刑事責任を負う可能性があります

破産犯罪の代表的なものとして、財産隠匿や詐欺的破産が挙げられます。例えば、破産申立て前に会社の財産を第三者に譲渡したり、特定の債権者だけに優先的に返済する行為は違法とみなされることがあります。また、会社の帳簿を意図的に改ざんしたり、破棄したりすることも破産犯罪に該当します。

これらの行為は、債権者への公平な配分を妨げるため、法律で厳しく制限されています。

破産手続きが適切に進められなかった場合、債権者からの訴訟や刑事告発を受けることもあり、法人だけでなく経営者個人の社会的信用を損なうことになります

法人破産を弁護士に依頼するメリットとデメリット

法人破産に追い込まれた場合、放置しておくことは非常に危険ですが、手続きを進めるには専門的な知識が必要になります。そのため、法人破産を弁護士に依頼するという選択肢を検討することが重要です。

法人破産を弁護士に依頼することで、メリットとデメリットがあります。それぞれについて解説していきます。

メリット

法人破産を弁護士に依頼するメリットは、以下の通りです。

  • 複雑な破産手続きがスムーズに進められる:書類作成や申立てを適切に進行できる
  • 法的リスクを回避できる:適切な手続きで安全性が確保される
  • 経営者の負担が軽減する:業務負担や精神的負担を軽減可能
  • 企業の状況に合った破産手続きを提案してもらえる:民事再生や会社更生などの選択肢を検討できる
  • 破産後の事業再建までも依頼できる:手続き完了後もフォローを受けられる

法人破産は、経営者が何度も経験することではありません。つまり、法人破産を進める方のほとんどは知識がないままの状態で取り組むことになるのです。

そのため、専門家である弁護士に依頼することで、手続きにかかる時間や労力は大幅に軽減できるでしょう

デメリット

一方で、法人破産を弁護士に依頼することで、以下のようなデメリットも生じます。

  • 費用負担:弁護士への依頼料が発生する
  • 財務状況や手続きの詳細を把握しにくい:弁護士に任せきりになると起こりやすい
  • 弁護士との意思疎通が必要:期待通りの結果が得られない可能性もある

大きなデメリットとなるのが、費用面の負担です。破産手続きには専門知識が必要になるため、気軽に依頼できる程の金額にはならないでしょう。詳細な費用や相場については、後に解説します。

こうしたデメリットを踏まえたうえで、弁護士に依頼するかどうか検討してください。

法人破産を弁護士に依頼する場合の費用相場

法人破産を弁護士に依頼する場合の費用は、着手金が30万円から100万円程度、報酬金は50万円から200万円程度が相場とされています。ただし、具体的な費用は企業の財務状況や債務額、手続きの難易度によって変動します。

弁護士費用は、以下のような内訳になっています。

  • 初回相談料
  • 着手金
  • 報酬金

初回相談料は無料の事務所もありますが、有料の場合は5,000円から1万円程度が相場とされています。費用の算定方法は弁護士ごとに異なり、債務総額や財産の価値に応じて変動する場合もあれば、固定料金制を採用している事務所もあります。

弁護士費用は決して安価ではありませんが、専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に進められ、債権者との交渉もより効果的に行えます。

少額管財制度とは?

少額管財制度とは、法人破産における管財事件の一種で、通常の破産手続きよりも費用を抑えられる制度です。

法人破産では裁判所によって破産管財人が選任され、会社の財産整理や債権者への配当を行います。その際に管財費用がかかりますが、これは一般的に高額になります。少額管財制度は、その負担を軽減するために設けられた仕組みで、資産が少なく、破産手続きが比較的簡単に進む法人に適用されます。

この制度を利用すると、通常50万円以上かかる破産管財費用が、概ね20万円から30万円程度に抑えることが可能です。

ただし、適用には条件があり、例えば会社の財産状況が比較的単純であること、裁判所が少額管財の適用を認めることなどが求められます。また、少額管財制度を利用するには、破産申立てを弁護士が行うことが必須です。

法人破産の手続きの流れ

法人破産の手続きは、以下のような流れで進めるのが一般的です。

  • 裁判所に申立書を提出する
  • 裁判所が破産手続開始を決定する
  • 債権調査・財産の換価
  • 債権者への配当手続き
  • 破産手続きの締結が決定される

それぞれのステップについて解説していきます。

裁判所に申立書を提出する

法人が破産を申請する際には、裁判所に対して正式な申立書を提出し、破産手続きを開始する必要があります。申立てを行うのは、原則として会社の代表者です。

申立書には、以下の情報を記載する必要があります。

  • 会社の基本情報
  • 破産の理由
  • 負債総額
  • 債権者一覧
  • 資産状況

これらを記載することで、裁判所に対して破産手続きの開始を求める内容の申立書となります。加えて、以下のような補足資料も必要です。

  • 会社の財務諸表
  • 債務の明細
  • 従業員の給与台帳

これらの書類を準備しなければ、申立てが受理されない可能性もあるため、専門家のサポートを受けることが望ましいです。申立書を提出すると、裁判所は内容を審査する段階に入ります。

裁判所が破産手続開始を決定する

裁判所が破産手続開始を決定すると、法人の破産手続きが正式に進行し始めます。破産申立書が受理され、必要な審査が完了した後に下されます。

裁判所は、会社の資産状況や負債額、債権者の数などを総合的に判断し、破産手続きを開始することが適切かどうかを検討します。

さらに、裁判所は破産手続開始決定を官報に公告し、債権者に対して届け出の期限を通知します。法人破産では経営者個人の破産とは異なり、法人そのものが消滅するため、手続きが完了すると法人格も失われます。

債権調査・財産の換価

破産手続開始決定後、破産管財人によって債権調査と財産の換価が進められます。法人が所有する財産を適正に評価し、可能な限り現金化することで、債権者への公平な配分を行うことを目的としています

破産管財人は債権者から提出された債権届出書を確認し、それぞれの債権が正当なものかどうかを審査します。債権者が主張する金額が正しいか、取引の内容に問題がないかを調査しながら、債権をチェックします。

また、法人が所有する不動産や車両、設備、売掛金などの資産を換価処分します。資産の売却は、競売や入札、適正価格での売却を通じて行われ、得られた資金は破産財団として管理されます。

債権者への配当手続き

債権者への配当を行うには、まず破産管財人が裁判所の監督のもとで配当計画を作成します。換価された資産から破産手続に必要な費用を差し引いた後、残った資産をどのように分配するかが定められます。

配当の対象となるのは、破産手続内で認められた債権者であり、債権の種類や優先順位に応じて配分が決まります

一般的に、税金や社会保険料などの優先債権が弁済され、次に金融機関などの担保権付き債権者が優先されます。その後、一般債権者が残りの資産から配当を受けます。ただし、財産が十分でない場合は配当率が低くなり、一部の債権者は全額を回収できないこともあります。

破産手続きの締結が決定される

配当が完了すると、破産管財人は最終報告書を裁判所に提出し、裁判所が破産手続の終結を決定します。この時点で法人は正式に消滅し、すべての法的責任から解放されます

この時点で、経営者や従業員も会社としての法的責任から解放されます。ただし、経営者が個人保証をしている場合は、法人破産とは別に個人の債務整理が必要となることがあります。

破産手続の締結が決定されることで、会社としての負債問題は解消したことになります。

法人破産に強い弁護士の選び方

法人破産の手続きを進める上で、弁護士に依頼することを検討する方は多いでしょう。しかし、弁護士にも得意な分野があるため、法人破産などの破産分野に強い弁護士に依頼することが重要です。

法人破産に強い弁護士を選ぶ方法として、以下のポイントを押さえる必要があります。

  • 法人破産の実績が豊富かどうか
  • 費用体系が明確かどうか
  • 相談しやすい弁護士かどうか

それぞれの選び方について解説していきます。

法人破産の実績が豊富かどうか

法人破産の経験が少ない弁護士では、手続きが長引いたり、債権者との交渉が不利になったりする可能性があります。そのため、実績が豊富な弁護士を選ぶことが大切です。

実績を確認する方法としては、法律事務所の公式サイトを活用し、過去の法人破産案件の取扱件数や解決事例をチェックするのが有効です。また、無料相談を利用して、これまでに手掛けた法人破産の具体的な事例を聞くのも効果的でしょう。

費用体系が明確かどうか

破産手続きには弁護士費用や裁判所費用がかかるため、依頼前に具体的な費用を把握しておかなければ、想定以上の負担が発生するかもしれません。弁護士費用の内訳が不透明な場合、追加費用に対応できない可能性もあるため、事前の確認が欠かせません。

法人破産における弁護士費用は、以下のような内訳です。

  • 初回相談料
  • 着手金
  • 報酬金
  • 裁判所費用
  • 管財人費用

これらの金額が明確に提示されているか、追加料金が発生する可能性があるかを確認することが重要です。弁護士事務所によっては、成功報酬の設定がある場合や、少額管財制度を活用して費用を抑えることができる場合もあります。

また、弁護士費用の支払い方法も確認しておくことも必要です。分割払いに対応しているかなど、細かい条件を事前に話し合っておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。

相談しやすい弁護士かどうか

弁護士に気軽に相談できる環境が整っているかどうかは、法人破産を進める上でポイントになります。コミュニケーションが取りにくい環境だと、手続き状況を共有することは難しいでしょう

相談しやすいかをチェックするには、初回相談の時点で、質問に対して丁寧に説明してくれるか、わかりやすい言葉で話してくれるかを見ましょう。法人破産に関する知識が十分であっても、相談者の不安に寄り添う姿勢がなければ、依頼後のやり取りが円滑に進められないでしょう。

また、電話やオンライン相談に対応している弁護士なら、忙しい経営者でも無理なくコミュニケーションを取ることができます。迅速に対応してくれる弁護士を選ぶことで、法人破産に対する不安を最小限に抑えることができます。

まとめ

企業の破産手続きとして一般的な法人破産ですが、手続きには複雑な書類が必要になるだけでなく、裁判所・債権者・破産管財人などとコミュニケーションを取る必要があるため、経営者ではカバーしきれない業務があるでしょう。

しかし、法人破産は法的措置であるため、正確な手続きが求められます。そのため、弁護士に依頼することは必須と言ってもいいでしょう。安くない費用がかかるものの、法人破産の手続きにかかる業務負担や経営者の精神的負担を考慮すれば、弁護士のサポートは欠かせません

信頼できる弁護士を探して、適切に法人破産を進めましょう。

法務救済では、契約書のリーガルチェックから労務、法務観点のサポート、損害賠償などの企業間紛争に対応できる専門家を検索・依頼することが可能です。全国の弁護士事務所から簡単に検索・相談できます。

問い合わせは無料となっており、当サイトから費用は発生しません。法人破産の手続きを弁護士に依頼したいと考えている方は、法務救済から弁護士を探してみてください

無料で相談できる専門家検索はこちらから>>

法務急済運営事務局

株式会社WEBYの法務急済運営事務局。全国400以上の弁護士・司法書士のWEBマーケティング支援に従事。これまでに法律ジャンルの記事執筆・編集を1000記事以上担当。WEBコンサルやHP制作、SEO対策、LMC(ローカルマップコントロール)など様々な支援を通じて法律業界に精通。これらの経験を基に企業法務の際に必要な情報や適切な弁護士・司法書士を紹介している。

法務急済運営事務局のアバター

※当社(株式会社WEBY)は直接債務整理のサービスを提供しておらず、債務整理の相談や依頼については紹介事務所へのリンク先で対応となるため、当サイトでは債務整理に関する個人の相談や質問にはお答えできません。
当サイトのコンテンツは事実に反しないよう尽力していますが、内容の正確性や信頼性、安全性を担保するものではありません。
債務整理の無料相談や依頼にお申し込みされる際は各弁護士事務所・司法書士事務所等の公式ホームページに記載されている内容をご確認いただき、自己判断していただけますようお願いいたします。
当サイトは株式会社WEBYと提携する企業のPR情報が含まれます。
当サイトで掲載しているコンテンツは個人および法人へ向けた情報提供が目的であり、債務整理を提供する事業者との契約代理や媒介、斡旋を助長するものではありません。

CONSULTATION

目次 ▼