削除請求への対処法|初動対応から予防策まで徹底解説
風評被害・削除請求
2025.12.04 ー 2025.12.04 更新
SNSで削除請求が来たとき、多くの方が動揺し、「どうすればいいのか」と混乱するものです。しかし、ご安心ください。落ち着いて適切に対処すれば、あなたの立場を守りながら冷静な解決へと繋がる道が見えてきます。
削除請求を受けたときの初期対応と必須手続き

焦った返信や無視は、後々不利になる可能性もあります。
ここでは、削除請求が届いた直後にあなたがとるべき冷静な初期対応と、証拠を守る具体的な手順、そして専門家に頼るタイミングを段階を追って説明します。
削除請求が届いた際の冷静な初期対応
最初にやるべきことは、通知内容の確認です。弁護士事務所からの正式な書面かどうか、送信者のメールアドレスや弁護士会の登録番号をチェックしましょう。弁護士を装った詐欺メールも増えていますので、差出人が実在するか、弁護士会のウェブサイトで照合してください。たとえば「○○法律事務所」と名乗っていても、検索でヒットしない、住所が架空といったケースもあります。
次に、通知に書かれている請求内容を正確に読み取ること。「どの投稿」「どの表現」が問題視されているのか、削除を求める根拠が名誉毀損なのかプライバシー侵害なのか、具体的に明示されているか確認してください。曖昧な表現で「すべて削除しろ」とだけ書かれている場合、請求の正当性が疑わしいこともあります。逆に、該当投稿のURL、問題とされる文言、法的根拠(民法709条など)がきちんと記載されていれば、相手は本気で法的手続きを視野に入れている可能性が高いでしょう。
ここで絶対に避けるべきことがあります。それは、感情的な反論メールを送ることと、証拠を消してしまうことです。「自分は悪くない」と反発したくなる気持ちは当然でしょう。しかし、攻撃的な文面は、相手に「対話の余地がない」と判断させ、訴訟へと進ませる要因になりかねません。また、焦って該当投稿を削除すると、「やましいことがあるから消した」と解釈されるリスクもあります。削除の判断は、証拠を保全してから慎重に行うべきです。
初期対応の基本は、冷静に事実を整理し、記録を残し、拙速な行動を避けること。この段階で無理に自分だけで解決しようとせず、客観的に状況を把握する時間を持つことこそ、あなたの立場を守る第一歩となります。そして、その後の対策を検討する上でも、開示されている情報や掲示板の書き込み情報などを把握し、管理者へ連絡することも重要です。
証拠保全と記録作成の具体的な手順
削除請求が届いたら、まず最優先で行うべきは証拠の保全です。SNS上のやり取り、コメント欄、問題とされた投稿、そして相手との過去のメッセージなどは、時間が経つと編集・削除される可能性があります。「言った・言わない」の水掛け論にならないためにも、証拠は不可欠です。
証拠保全の具体的な手順は、以下の通り進めてください。
- 問題とされた投稿のスクリーンショットを撮影
投稿日時、アカウント名、いいね数、リプライ欄まで画面全体が写るように撮りましょう。画像だけでなく、URLも含めてメモ帳やWordに記録しておくと、後から特定しやすくなります。
- 相手とのDMやリプライのやり取りをすべて保存
相手がどのような言葉を使っていたか、逆にあなたがどう対応していたかを示す材料となります。
- 削除請求の通知そのものをPDFまたはスクリーンショットで保存
メールであればそのまま保存し、印刷しておくと安心です。書面が郵送で届いた場合は、封筒ごと写真に撮り、消印や差出人情報も記録しておきましょう。「いつ、誰から、どのような形で」届いたかという記録は、後の話し合いや法的手続きで重要な意味を持ちます。
- 時系列の整理
投稿した日時、相手が反応した日時、削除請求が届いた日時を箇条書きのメモにまとめましょう。
例:
- 2025年4月1日:投稿Aをアップロード
- 2025年4月3日:相手からリプライで批判を受ける
- 2025年4月5日:弁護士名義で削除請求メールが届く
この流れを可視化することで、相手がどのタイミングでどのような行動を取ったかが明確になり、あなた自身も冷静に状況を把握できます。
証拠保全は地味な作業かもしれません。しかし、万が一裁判になった際には、「あなたの主張を裏付ける唯一の武器」となる重要な行動です。後で後悔しないよう、削除請求を受けたらすぐ記録を残してください
専門家へ相談すべきタイミングの見極め方
削除依頼を受けたとき、「自分で対処できるかも」と考える方もいます。確かに、軽微な内容であれば話し合いで解決できるケースもあります。しかし、専門家に相談すべきタイミングを見誤ると、取り返しのつかない事態に発展するリスクがあることも忘れてはいけません。
では、どのような状況になったら専門家(弁護士や司法書士)に頼るべきなのでしょうか。
まず、弁護士名義で正式な書面が届いた場合は、ほぼ間違いなく相談すべきタイミングです。相手が弁護士を立てているということは、法的手続きを視野に入れている証拠であり、素人判断での対応は非常に危険です。たとえあなたが法律に詳しいと思っていても、相手方の弁護士は交渉のプロ。言葉の選び方一つであなたを不利な立場に追い込む可能性もあります。こちらも専門家を立てることで、対等な立場で話し合いを進められます。
次に、請求内容が曖昧で、どう対応すればいいか分からない場合も相談のサインです。「名誉毀損で訴える」とだけ書かれていて、どの投稿のどの部分が問題なのか明示されていない、削除すべき範囲が広すぎる、といったケースです。このような曖昧な請求に対して自分で返信すると、意図せず「削除に同意した」「非を認めた」と解釈される文言を含んでしまう可能性も。専門家に相談すれば、相手の請求が法的に妥当かどうかを客観的に判断してもらえます。
さらに、相手が個人ではなく企業や有名人である場合も、早めに専門家へ相談すべきです。企業や著名人は法務部門や顧問弁護士を抱えており、個人での対応では圧倒的に不利になりがちです。また、彼らは「見せしめ」として厳しく対処してくる可能性もあるため、初動から専門家のサポートを受けることが重要でしょう。
一方で、すぐに相談しなくても大丈夫なケースもあります。たとえば、相手が個人で、弁護士を通さず直接DMで「削除してほしい」と穏やかに依頼してきた場合です。このような場合は、まず相手の主張を冷静に読み、該当する投稿が本当に誤解を招く内容だったかを確認し、納得できるなら自主的に削除して謝罪するという選択肢も考えられます。ただし、その場合でも証拠保全は必須です。
専門家への相談をためらう理由として、「費用が心配」という声もよく聞かれます。しかし、多くの法律事務所では、初回相談を無料や低額で受け付けています。法テラスの利用も選択肢の一つです。早い段階で相談すれば、訴訟に発展する前に和解できる可能性も高まり、結果的に費用や時間の節約にも繋がります。
削除請求は、あなた一人で抱え込む必要はありません。状況が複雑だと感じたり、相手の態度が強硬である場合は、無理をせず専門家へ相談すること。それが、あなた自身に合った対応方法を見つける最善策です。特に、相手が法人で、企業法務の専門家である弁護士法人が受付けた提出や発信に関する書き込みについては、早急に事務所に相談することが重要です。
削除請求が届いたら知っておきたい法的要件と判断基準

削除請求の法的要件と判断基準
削除請求が届いたとき、まず知っておきたいのは「どんな投稿なら削除義務があるのか」という点です。
法律では、投稿が他人の権利を侵害している場合に削除義務が発生します。ただし、すべての「不快な投稿」や「批判的な意見」が削除対象になるわけではありません。法的要件を満たしているかどうかを冷静に確認することが大切です。
弁護士名義の通知書が届くと「すぐ削除しなければ訴えられる」と焦りがちですが、その前に自分の投稿が本当に違法なのか、削除義務が生じる要件を満たしているのかを整理しましょう。投稿内容によっては、削除に応じる必要がなかったり、部分修正で対応できたりするケースもあります。
また、削除請求を無視した場合には、民事訴訟・損害賠償請求・仮処分申立などの法的手続きに進むリスクがあります。逆に、削除義務がない投稿まで過剰に削除してしまうと、自分の表現の自由を不当に制限することにもなりかねません。
ここでは、削除請求が認められる法的根拠と判断のポイント、そして削除に応じない場合のリスクについて、わかりやすく解説していきます。
削除請求が認められる主な法的根拠と要件
削除請求の法的根拠は、主に民法709条(不法行為)とプロバイダ責任制限法に基づいています。
投稿が他人の権利を侵害している場合、被害者は損害賠償請求だけでなく、侵害の停止や予防として投稿の削除を求めることができます。これは法律用語で「差止請求」と呼ばれるもので、名誉やプライバシーといった人格権が侵害されているときに認められる権利です。
たとえば、「〇〇さんは不倫している」とSNSに投稿したとします。この投稿が事実であっても、その人の名誉感情やプライバシーを侵害する可能性があり、削除請求の対象になり得ます。逆に、飲食店の料理について「味が薄い」「接客が遅い」といった客観的な体験に基づく批評であれば、表現の自由として保護される範囲に入ることもあります。
削除請求が認められるための要件として、主に以下のポイントが重視されます。
- 名誉権の侵害: 社会的評価を低下させる事実の摘示、または侮辱的表現
- プライバシー権の侵害: 公開を望まない私生活上の事実を無断で公表
- 肖像権・パブリシティ権の侵害: 無断で顔写真・氏名を使用し、本人の承諾なく拡散
- 著作権侵害: 無断転載・引用の範囲を超えた利用
- 営業上の利益侵害: 虚偽の情報で事業者の信用を傷つける行為
これらの要件のうち、どれか一つでも該当すれば削除義務が生じる可能性があります。ただし、投稿内容が事実であり、公共の利益に関わる場合や、表現方法が相当であると判断される場合には、削除義務が否定されることも。
削除請求を受けたら、まず自分の投稿が「誰の・どんな権利を・どのように侵害しているのか」を具体的に確認しましょう。通知書には法的根拠が記載されていることが多いので、その内容と実際の投稿を照らし合わせることが第一歩です。具体的な対処法や措置、案内については弁護士と法律相談をするのが良いでしょう。
投稿が権利侵害に該当するか確認するポイント(名誉棄損・プライバシー等)
ここでは、代表的な権利侵害のパターンと確認すべきポイントをご紹介します。
名誉棄損に該当するかの判断基準
名誉棄損が成立するには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 公然と(不特定多数が見られる状態で)
- 事実を摘示し(「〇〇は不正を働いた」など具体的な事実の指摘)
- 他人の社会的評価を低下させた
たとえば、「〇〇さんは横領している」「あの店は食中毒を隠している」といった投稿は、たとえそれが真実であっても名誉棄損に該当する可能性があります。法律では、真実であっても名誉を傷つける表現は原則として違法とされています。ただし、公共の利益に関する事実であり、表現方法が相当である場合には違法性が阻却されることもあります。
一方、「〇〇さんの対応は最悪だった」「サービスがひどい」といった個人の主観的評価や感想は、内容が極端に侮辱的でない限り、名誉棄損には当たらない可能性があります。このあたりの線引きは微妙で、専門家の判断が必要になるケースも多いでしょう。
プライバシー侵害に該当するかの確認ポイント
プライバシー侵害は、公開を望まない私生活上の事実を公表した場合に成立します。具体的には以下のような投稿が該当する可能性があります。
- 「〇〇さんは最近離婚した」「△△という病気で入院している」など、本人が知られたくない個人情報を公開
- 顔写真や居住地、勤務先などを無断で晒す行為
- 家族関係・性的指向・病歴・収入など、センシティブな情報を公表
たとえあなたが「友人として心配して書いた」つもりでも、本人にとって公にしたくない情報であれば、プライバシー侵害となり得ます。また、顔写真を無断で掲載した場合は、肖像権侵害にも該当する可能性が高いです。
その他の権利侵害パターン
- 著作権侵害: 他人の文章・画像・動画を無断で転載・引用した場合。引用として認められるには、引用の必然性・主従関係の明確性・出典の明示などが必要です。
- 業務妨害・信用毀損: 虚偽の情報を流して事業者の営業を妨害した場合、刑事罰の対象になることもあります。
投稿内容を振り返るとき、以下のチェックリストを参考にしてみてください。
- 投稿に実名・顔写真・住所など個人を特定できる情報が含まれていますか
- 事実の摘示でしょうか、それとも個人の感想・意見ですか
- 公共の利益に関わる内容でしょうか、単なる私怨や誹謗中傷ですか
- 表現は過剰・侮辱的ではありませんか
もし「自分の投稿が権利侵害に当たるか分からない」「削除すべきか判断に迷う」という場合は、早めに弁護士などの専門家に相談して客観的な見解を得ることをおすすめします。
削除に応じない場合に発生する具体的なリスク
削除請求を無視したり、応じなかったりした場合、どんなリスクがあるのでしょうか。
まず理解しておきたいのは、削除請求に応じるかどうかは任意だということです。ただし、投稿が実際に権利侵害に該当する場合には、削除しないことで以下のような法的リスクが生じます。
民事訴訟・損害賠償請求
削除請求に応じない場合、相手方は裁判所に訴訟を提起する可能性があります。訴訟では、投稿が権利侵害に該当するかどうかが審理され、裁判所が「削除義務あり」と判断すれば、削除命令が下されます。さらに、投稿によって被った精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを命じられることもあります。
慰謝料の金額は、侵害の程度・拡散の範囲・投稿の悪質性などによって変わりますが、数十万円から場合によっては数百万円に及ぶことも。また、事業者の信用を傷つけた場合には、営業上の損害として高額な賠償請求がなされるケースもあります。
仮処分申立による迅速な削除命令
相手方は、訴訟を起こす前に仮処分という手続きを申し立てることができます。仮処分は、通常の訴訟よりも迅速に決定が出る制度。裁判所が「このまま放置すると被害が拡大する」と判断すれば、数週間程度で削除命令が出ることもあります。
仮処分決定が出ると、削除に応じないと強制執行の対象となり、場合によっては1日あたり数万円の間接強制金が課せられることも。
刑事罰のリスク
投稿内容が悪質な場合、民事だけでなく刑事事件に発展する可能性もあります。
たとえば以下のようなケースです。
- 名誉棄損罪(刑法230条): 3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金
- 侮辱罪(刑法231条): 1年以下の懲役もしくは禁錮、または30万円以下の罰金
- 信用毀損罪・業務妨害罪(刑法233条): 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
刑事事件になると、前科がつく可能性もあり、社会的な影響は非常に大きいでしょう。
社会的信用の低下
削除請求を無視したまま裁判沙汰になると、自分の氏名が裁判記録に残り、場合によっては報道される可能性も。特に、悪質な誹謗中傷として広く知られると、就職・転職・ビジネス上の信用に悪影響を及ぼすことも考えられます。
対応のポイント
もし削除請求が届いたら、まずは投稿内容を冷静に見直し、法的な根拠があるかを確認してください。削除義務があると判断できる場合は、早めに対応することで損害賠償額を抑えられる可能性があります。
一方、削除請求の内容が不当であると感じる場合や、表現の自由として正当だと主張したい場合もあるでしょう。その際は、自己判断で放置せず、弁護士に相談して適切な対応策を検討することが重要です。
専門家に相談することで、あなたの投稿が法的にどう評価されるのか、削除に応じるべきか否かを客観的に判断してもらえます。また、相手方との交渉や、裁判になった場合の対応についても具体的なアドバイスを受けることができます。状況に応じた適切な選択肢を見つけることで、無用なトラブルを回避し、あなた自身の権利も守れるはずです。
削除請求の種類別・正しい対応方法

SNSに投稿した内容について削除依頼の連絡が届いたとき、どう対応すればいいのか迷いますよね。実は削除請求には複数の種類があり、それぞれ対応の緊急度も方法も異なります。誤った判断をすると、思わぬトラブルに発展することもあるため、まずは「どのタイプの請求なのか」を正しく見極めることが大切です。
個人からの任意の削除請求への対応
個人から直接「あなたの投稿を削除してください」と連絡が来た場合、これは法的手続きを経ていない任意の削除請求にあたります。DMやメール、あるいは別のSNSアカウントからのコメントなど、さまざまな形で届くことがあります。
この段階では、相手はまだ法的措置を取っていないため、冷静に対応することが最も重要です。まず確認すべきは、請求内容の妥当性でしょう。相手が「名誉を傷つけられた」「プライバシーを侵害された」と主張している場合、自分の投稿がそれに該当するかどうかを客観的に振り返ってみてください。もし確かに相手の名前や顔写真、個人的な事情などを書き込んでいた場合、削除に応じる方が無難なケースも少なくありません。
ただし、安易に全てを削除してしまうと、後から「削除したこと自体が非を認めた証拠だ」と主張される可能性もゼロではありません。そのため、投稿内容と請求内容をスクリーンショットなどで記録に残しておくことをおすすめします。削除に応じるかどうか迷う場合や、相手の請求が感情的すぎて判断がつかない場合は、一度弁護士に相談してから対応を決める方が安全です。
また、相手が「削除しないと訴える」「慰謝料を請求する」といった脅しのような言葉を使ってきた場合でも、焦らず冷静に状況を整理しましょう。任意の請求に対しては、必ずしもすぐに応じる法的義務はありません。削除するかどうかは、あくまで「あなた自身の判断」で決められるのです。
弁護士を通じた削除請求への対応
個人からの連絡とは異なり、弁護士名義で削除請求が届いた場合は、より慎重な対応が必要です。多くの場合、郵送や内容証明郵便で届き、弁護士の事務所名・住所・連絡先が記載されています。これは法的手続きの一歩手前であり、「このまま削除しなければ、次は裁判などの手段に移る」という意思表示でもあります。
まず確認すべきは、その弁護士が実在する人物かという点です。残念ながら、弁護士を騙った偽の文書が送られてくるケースもごく稀に存在します。日本弁護士連合会の公式サイトや各地の弁護士会の検索ページで、記載されている弁護士名が登録されているかを確認しましょう。
次に、請求内容を読み解きます。弁護士からの請求書には、「どの投稿が問題なのか」「どの法律のどの部分に違反していると考えられるのか」「削除しない場合の法的措置の予告」などが記載されているはずです。ここで重要なのは、相手の主張が法的に妥当かどうかを、あなた自身で判断しないことです。法律の専門知識がない状態で対応すると、不利な状況を作ってしまうリスクがあります。
このタイミングでは、自分も弁護士に相談することが最も安全な選択肢です。相手方の弁護士に直接連絡を取ることもできますが、その際は感情的にならず、事実確認と今後の対応方針について冷静にやり取りすることが求められます。削除に応じるかどうかを含め、専門家のアドバイスを受けたうえで対応を決めることで、無用なトラブルを避けやすくなります。
また、削除に応じる場合でも、「削除によって全ての責任が消える」わけではありません。相手が損害賠償請求を別途行う可能性もあるため、削除後の対応についても弁護士と相談しながら進めることが重要です。また、発信者情報開示請求については、削除依頼とは別の手続きであるため、電話やフォームでサイトの運営会社に連絡する必要があります。
仮処分による削除請求への緊急対応
削除請求の中で最も緊急度が高いのが、裁判所を通じた仮処分です。これは、正式な裁判の前に、「一時的に投稿を削除させる」という法的措置であり、裁判所から「仮処分命令申立書」という書類があなたの住所に届きます。この書類には裁判所の名前、事件番号、申立人(相手)の名前、そしてあなた(相手方)が出席すべき審尋期日などが記載されています。
仮処分が届いた時点で、「もう削除しなければならない」と考える人も多いのですが、実際にはまだ決定が確定したわけではありません。この段階では、審尋という裁判所での意見聴取の場が設けられており、そこであなた自身の主張を述べるチャンスがあります。ただし、この審尋期日は通常、申立てから数週間以内という短いスパンで設定されるため、対応を後回しにすると不利になるでしょう。
仮処分が届いたら、すぐに弁護士に相談することが極めて重要です。審尋に出席せず、何の反論もしないまま放置すると、相手の主張がそのまま認められ、削除命令が出る可能性が高まります。また、仮処分が認められた場合、その後の本裁判でも不利な状況になりやすいため、この段階での対応が全体の流れを左右すると言っても過言ではありません。
弁護士と相談する際には、以下の資料を用意しておくとスムーズです。
- 問題とされている投稿のスクリーンショット
- 仮処分命令申立書と裁判所からの通知文書
- 過去に相手とやり取りした記録(DMやメールなど)
- 投稿の背景や経緯を整理したメモ
審尋では、裁判官があなたと相手方の双方から話を聞き、その場で削除の必要性や法的妥当性を判断します。ここで重要なのは、感情的な言い訳ではなく、「投稿内容の事実性」「公共性・公益性の有無」「表現の自由との兼ね合い」といった法的観点から整理された主張です。これを一般の方が単独で準備するのは非常に難しいため、弁護士のサポートが不可欠となります。
もし仮処分が認められて削除命令が確定した場合、指定された期限内に投稿を削除しないと、さらに法的制裁(過料など)を受ける可能性があります。逆に、削除命令が出なかった場合でも、相手が本裁判に移行することもあるため、油断せず引き続き専門家と連携しながら対応を進めることが大切です。
削除請求は、その種類によって対応の緊急度も方法も大きく異なります。特に弁護士を通じた請求や仮処分のように法的手続きが絡む場合は、一人で判断せず、早い段階で専門家に相談することで、適切な選択肢を見つけやすくなります。焦らず、冷静に、そして記録をしっかり残しながら対応することが、トラブルを最小限に抑える鍵となるでしょう。
削除請求が来やすい危険な投稿パターンと予防策

「これくらい大丈夫だろう」と思った一言が、数日後に弁護士名義の削除請求として届く。そんな経験をした方は少なくありません。SNSは便利な反面、一度投稿した内容が思わぬ形で拡散され、法的トラブルに発展するリスクを常に抱えています。
ここでは、削除請求が届きやすい投稿パターンを4つの視点から整理し、事前にトラブルを防ぐための予防策を紹介します。
SNSで炎上しやすい発言の特徴と実例
SNS上で炎上しやすい発言には、いくつかの共通点があります。それは感情的な表現・特定の属性への攻撃・事実確認が曖昧な断定の3つです。
たとえば、「〇〇店の店員の態度が悪い。二度と行かない」という投稿は、一見個人の感想に見えますが、特定の店舗と従業員を名指しで批判しており、名誉毀損やプライバシー侵害のリスクを含んでいます。さらに、感情が先行した言葉遣いが加わると、読み手には「誹謗中傷」として受け取られやすくなります。
また、「〇〇業界の人間はみんな詐欺師」といった、特定の職業・属性を一括りにした攻撃的な発言も、集団への侮辱として法的責任を問われる可能性があります。こうした投稿は、たとえ具体的な個人名が出ていなくても、業界関係者や第三者から通報され、削除請求や損害賠償請求に発展することがあります。
実際に削除請求を受けた事例の多くは、投稿時には「これくらいなら大丈夫」と思っていたものです。しかし、相手がどう受け取るかは自分でコントロールできません。感情的な言葉を使う前に、一度深呼吸して冷静さを取り戻すことが、トラブル回避の第一歩となります。
個人情報漏洩につながる投稿リスク
個人情報の漏洩は、意図せず起こることがほとんどです。たとえば、「今日〇〇駅で△△さんを見かけた」という何気ない投稿も、相手の居場所や行動パターンを第三者に知らせることになります。これが繰り返されると、ストーカー行為やプライバシー侵害として法的責任を問われる可能性があります。
また、写真投稿にも注意が必要です。飲食店での食事風景を撮影してアップする際、背景に映り込んだ他の客の顔や車のナンバープレート、住所が特定できる風景などが写り込んでいると、肖像権侵害やプライバシー侵害に該当する恐れがあります。特に子どもの顔が映っている場合、保護者から削除請求を受けるケースが増えています。
さらに、ビジネス上のやり取りをSNSで公開する行為も要注意です。たとえば、取引先の社名や担当者名、契約内容の一部を投稿すると、守秘義務違反や営業秘密の漏洩として損害賠償請求を受ける可能性があります。投稿する前に、「この情報は公開して問題ないか」を一度立ち止まって考える習慣をつけましょう。
正当な批判と誹謗中傷の明確な境界線
正当な批判と誹謗中傷の境界線は、実はとても曖昧です。法的には、「公共の利害に関する事実」であり、「公益を図る目的」があり、「真実または真実と信じる相当な理由」がある場合は、名誉毀損が成立しにくいとされています。しかし、この基準を一般の方が投稿前に正確に判断するのは困難です。
たとえば、ある飲食店で食中毒が発生したという事実を投稿する場合、事実確認が取れており、公衆衛生上の警告を目的としているなら、正当な批判と認められる可能性があります。一方で、「あの店の料理は不衛生だから絶対行くな」といった主観的な断定表現を使うと、誹謗中傷と判断されるリスクが高まります。
境界線を見極めるうえで重要なのは、「事実と意見を区別すること」と「攻撃的な言葉を避けること」です。感情的な言葉や断定表現を使うと、たとえ事実に基づいた批判であっても、相手に「名誉を傷つけられた」と感じさせやすくなります。批判する必要がある場合は、冷静なトーンで事実のみを淡々と伝えることが、トラブルを避けるコツです。
投稿前に確認すべき5つのチェックポイント
削除請求を防ぐために、投稿前に以下の5つのポイントを確認する習慣をつけましょう。これらは専門的な法律知識がなくても、自分でチェックできる実践的な指標です。
- 感情的な言葉が含まれていないか
「最悪」「詐欺」「二度と関わりたくない」といった攻撃的な言葉は、相手に強い不快感を与えます。 - 特定の個人・団体を名指ししていないか
実名・企業名・店舗名などを明記すると、名誉毀損やプライバシー侵害のリスクが高まります。どうしても言及する必要がある場合は、伏せ字やイニシャルではなく、事実のみを客観的に記述する工夫が必要です。 - 事実確認が取れているか
「〇〇らしい」「噂では」「聞いた話だけど」といった曖昧な情報源に基づく投稿は、誤情報の拡散として責任を問われる可能性があります。確実な情報源があるか、自分で確認できているかを再確認しましょう。 - 他人の顔や個人情報が映り込んでいないか
写真や動画を投稿する際は、背景に映り込んだ第三者の顔、車のナンバー、住所が特定できる風景などがないか、必ずチェックしてください。加工やモザイク処理で対応できる場合もあります。 - 投稿後に相手がどう感じるかを想像できるか
「もし自分がこれを書かれたらどう思うか」を一度想像してみてください。不快感を覚える内容であれば、投稿を見送るか、表現を和らげる工夫をすることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
迷ったときは専門家に相談を
どれだけ注意しても、投稿内容が法的に問題ないかを完全に判断するのは難しい場合があります。特に、すでに削除請求を受けている方や、投稿内容に不安を感じている方は、弁護士や法律の専門家に相談することで、適切な対応方法を見つけやすくなります。
専門家に相談することで、削除請求への適切な対応方法や、今後のトラブルを防ぐための具体的なアドバイスを得ることができます。一人で抱え込まず、状況に応じた選択肢を検討することが、安心して前に進むための第一歩です。
まとめ|適切な対応で法的トラブルを回避しよう

SNSでの何気ない投稿が、思わぬ形で削除請求という事態を招くことがあります。弁護士名義の書面が届いた瞬間は、誰もが動揺し、「どうすればいいのか」と混乱するものです。
しかし、冷静に状況を整理し、適切な対応を取ることで、深刻な法的トラブルへの発展を防ぐことができます。ここで大切なのは、感情的に反応せず、一歩引いて客観的に判断することです。
削除請求が届いたら、以下のポイントを参考に冷静に対応してください。
- 通知内容を正確に確認する
差出人の弁護士が実在するか、請求内容が具体的に書かれているかなどを確かめます。
- 焦らず証拠を保全する
問題の投稿や関連するやり取り、削除請求の通知など、すべての情報をスクリーンショットやデータで記録に残しましょう。これはあなたの主張を裏付ける大切な「武器」となります。
- 安易な削除や感情的な反論は避ける
証拠を消すと、後々不利に働くことがあります。また、感情的な反論は相手との関係をさらに悪化させ、訴訟に発展するリスクを高めます。
- 請求内容の法的妥当性を判断する
自分の投稿が本当に名誉毀損やプライバシー侵害に該当するのか、冷静に見極めます。単なる意見表明や批判の範囲内であれば、法的に問題がない場合もあります。
- 専門家へ相談するタイミングを見極める
弁護士名義で正式な書面が届いた場合や、請求内容が複雑で判断に迷う場合は、自己判断せず早めに弁護士に相談しましょう。専門家は、あなたの状況に合わせた適切な対応策を提示してくれます。
インターネット上でのトラブルは、放置すると取り返しのつかない事態に発展することがあります。しかし、適切な初動対応と専門家のサポートがあれば、多くのケースで円満な解決が可能です。一人で抱え込まず、冷静に、そして迅速に行動することが、あなた自身を守る最善の方法です。
もし今、削除請求を受けて不安を感じているなら、まずは信頼できる法律の専門家に相談してみてください。状況に応じた適切な選択肢を見つけることができ、精神的な負担も軽くなるはずです。法的トラブルを回避し、安心して日常を取り戻すために、早めの相談が大きな力になります。
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