弁護士の成功報酬の相場は?計算方法や弁護士費用の内訳、契約時の注意点を徹底解説
訴訟・紛争解決
2025.04.08 ー 2025.04.08 更新

民事訴訟を弁護士に依頼する際、費用の一部として成功報酬を支払う必要があります。成功報酬の算出方法は法律事務所によって異なるため、費用がどれくらいかかるか分からないという方も多いでしょう。
弁護士費用の内訳は、着手金と成功報酬で構成されるのが基本ですが、依頼内容や弁護士によって金額が異なります。和解や調停などの進め方によっては、成功報酬の計算方法が変わります。
本記事では、弁護士の成功報酬の相場や計算方法、契約時の注意点について解説します。弁護士選びで後悔しないための知識として、ぜひお役立てください。
無料で相談できる専門家検索はこちらから>>弁護士費用における成功報酬とは?基本知識と相場の概要

弁護士費用における成功報酬とは、依頼した法律問題が解決した際に支払う報酬のことを指します。具体的には、以下のように一定の成果が得られた場合に発生します。
- 裁判での勝訴
- 交渉による和解成立
成功報酬の金額は、得られた経済的利益に対する割合で決まるのが一般的で、法律事務所ごとに基準が異なります。成功報酬は着手金とは別に発生するため、契約時には報酬体系を明確に確認することが必要になります。
着手金・報酬金との違い
弁護士費用には、成功報酬以外にも着手金・報酬金がありますが、それぞれ異なるものとされます。
着手金とは、弁護士に依頼した時点で支払う費用で、結果に関わらず返金されません。弁護士が業務に着手する対価として支払われるものです。
報酬金は依頼した案件が解決した後に支払うもので、成功や成果の程度に応じて金額が変動します。成功報酬は報酬金と同義として扱われる場合が多く、特に成果に比例した報酬という点が強調されるケースで使われます。
ただし、事務所によっては報酬金と成功報酬を分けて定義している場合もあるため、契約前に内訳や計算方法を確認しておくことが必要です。
成功報酬が適用されるケース
弁護士の成功報酬が適用される代表的なケースには、以下のようなものがあります。
- 民事訴訟:交通事故による損害賠償請求
- 家庭内のトラブル:離婚に伴う財産分与
- 労働紛争:未払い賃金の請求
これらの案件では、依頼者が得る経済的利益に応じて成功報酬が発生するため、弁護士と依頼者の双方が成果に応じた報酬体系を共有できる点が特徴です。
ただし、成功報酬の対象となる範囲や報酬の割合は、弁護士との契約内容によって異なるのが一般的です。そのため、契約前には報酬条件を十分に確認する必要があります。
一方、刑事事件や行政手続きに関しては、成功報酬が適用されないのが通常であり、案件の性質に応じた対応が求められます。
弁護士に支払う成功報酬の相場

弁護士に支払う成功報酬の相場は、得られた経済的利益の金額に応じて決まるのが一般的です。
旧日本弁護士連合会の報酬基準では、以下のような算出方法が参考にされていました。
- 300万円以下:16%
- 300万円~3,000万円以下:10%+18万円
- 3,000万円~3億円以下:6%+138万円
ただし、この基準は現在は廃止されており、実際の成功報酬は法律事務所ごとに設定されるため、相場に幅があります。
例えば、交通事故による損害賠償請求では15〜20%程度、労働問題の未払い賃金請求では10〜25%程度が目安となることが多いです。
和解が成立した場合も成功報酬の対象となることが一般的で、請求額と合意額の差によって金額が調整されることがあります。
このように、成功報酬は法律事務所ごとの設定や成果に応じて異なるため、相場を基準にするというのは難しいでしょう。
和解・裁判・調停ごとの成功報酬の違い
弁護士の成功報酬は、以下のような解決手段によって金額や算定方法が異なる場合があります。
- 和解
- 調停
- 裁判
和解の場合、裁判と比較して手続きが簡易な分、報酬の割合はやや低めに設定されることが一般的です。調停も同様に裁判外の手続きであるため、和解と同程度の報酬水準となるケースが多いです。
一方、裁判によって判決が下された場合は、手続きの負担や時間、専門的対応の必要性が高まることから、成功報酬も高額になる傾向があります。
それぞれの解決方法での成功報酬の目安は以下の通りです。
解決方法 | 成功報酬 |
和解 | 利益の10〜15%程度 |
調停 | 利益の10〜15%程度 |
裁判 | 利益の15〜20%程度 |
判決額が請求額を下回った場合には、実際の経済的利益に基づいて報酬が計算されます。裁判での解決を望む場合は、和解や調停に比べて費用がかかることを押さえておきましょう。
成功報酬の計算方法

弁護士の成功報酬は、以下のような計算式で求めることが可能です。
成功報酬=得られた経済的利益×法律事務所が定める割合
経済的利益とは、金銭の取得だけでなく、損害賠償額の減額や債務の免除なども含まれることがあります。たとえば、依頼者が裁判や交渉によって500万円を回収できた場合、報酬割合が20%であれば、成功報酬は100万円です。
和解や調停が成立した場合にも、最終的に得た経済的利益を基準として報酬が計算されます。
契約時には、報酬率や計算対象となる利益の範囲について説明を受け、書面で取り交わしておくことが重要です。
弁護士費用の内訳

ここまで成功報酬について解説しましたが、弁護士に依頼する際にかかる弁護士費用はこれだけではありません。成功報酬以外にも、以下のような費用が必要です。
- 相談料
- 着手金
- 日当
- 事務手数料
それぞれの費用についても理解し、弁護士費用の内訳を把握しておくことが重要です。それぞれの費用について解説していきます。
相談料
相談料とは、法律相談時に発生する費用を指します。依頼者が弁護士に相談し、法的なアドバイスや見通しを受ける段階で発生する費用であり、本格的な依頼をする前の初期対応に該当します。
相談料は一般的に30分あたり5,000円から1万円程度が相場とされ、時間単位で設定されることが多いです。法律事務所によっては初回相談を無料としている場合もあります。
正式な依頼に至った場合、相談料が着手金に充当されるケースもあるため、法律事務所ごとの制度や取扱いを事前に確認しておくようにしましょう。
着手金
着手金とは、案件の結果にかかわらず最初に支払う費用を指します。弁護士の以下の活動に着手する対価として発生します。
- 法律相談
- 調査
- 書類作成
- 交渉
- 訴訟対応
着手金は、依頼者が望む結果が得られなかった場合でも、返金されません。着手金の金額は案件の難易度や経済的利益の大きさによって変動し、より高額な請求では段階的に料率が下がるのが一般的です。
また、裁判や調停、交渉など手続きの種類によっても金額に差が生じることがあります。法律事務所ごとに報酬体系が異なるため、着手金の金額や支払い時期については契約前に必ず確認する必要があります。
日当
日当とは、弁護士が事務所外へ出向く際に発生する報酬です。事務所外で行われる以下のような業務に対して、日当が支払われます。
- 地方裁判所への出廷
- 現地調査
- 依頼者との出張面談
日当は交通費や宿泊費とは別に設定され、弁護士の拘束時間や移動距離、業務の内容によって金額が決まるのが一般的です。日当の目安は以下の通りです。
- 半日拘束:3万円程度
- 1日拘束:5万円〜10万円程度
ただし、日当の金額は事務所によって基準が異なります。なお、電話やオンライン会議など、事務所外に出向かない対応では日当が発生しないのが一般的です。
事務手数料
事務手数料とは、事務的な作業にかかる費用を指します。弁護士報酬とは別に請求されることが多く、案件処理に必要な以下のような実費を含むケースがあります。
- 書類作成
- 郵送費
- 交通費
- 印紙代
- コピー代
特に訴訟や調停といった手続きでは、書類の準備や裁判所への提出が必要となるため、事務的負担が伴います。
事務手数料は一律で数万円と定めている事務所もあれば、案件の内容や進行状況に応じて変動する場合もあります。
また、実費精算方式を採用している場合には、領収書に基づいて実際の支出額が後日請求されることもあります。依頼者にとっては見落としがちな費用ですが、総額を把握するうえで重要な項目であるため、いくらかかるか事前に把握しておきましょう。
成功報酬契約で起こり得るリスク

成功報酬が発生する契約は、成果が得られるかどうかで費用が発生する仕組みとなっています。仮に成果が出なかった場合は費用負担が軽減されますが、一方で以下のようなリスクが起こり得るとされています。
- 成功報酬が発生する条件が曖昧でトラブルになる
- 「完全成功報酬制」によって高額な費用が請求される
成功報酬での契約を締結する際は、上記の点に注意しなければいけません。それぞれのリスクについて解説していきます。
成功報酬が発生する条件が曖昧でトラブルになる
成功報酬において、「成功」と認められる範囲が定義されていないと、弁護士との間で解釈の違いが生じ、報酬をめぐる紛争に発展することがあります。
例えば、依頼者が全額の請求を望んでいたにもかかわらず、一部の金額で和解が成立した場合、それを「成功」として報酬が請求されるかどうかは契約内容次第となります。和解での解決も成功としている場合、依頼者は成功報酬を支払わなければいけません。
このような事態を防ぐには、契約書の段階で「どのような結果をもって成功とみなすか」を明記しておくことが重要です。成功報酬契約においては曖昧さがトラブルの原因となるため、慎重な確認が求められます。
「完全成功報酬制」によって高額な費用を請求される
完全成功報酬制とは、着手金が不要で、案件が解決した場合にのみ報酬が発生する契約形態です。
一見すると依頼者の負担が少ないように感じられますが、成功した際の報酬割合が高く設定されていることが多く、弁護士費用が高額になる可能性があります。たとえば、回収額の30~40%を報酬として求められるケースも存在し、通常の契約よりも総額が大きくなることも少なくありません。
特に訴訟での勝訴や高額の和解金を得た場合、成果に比例して費用も大きくなるため、依頼者の費用負担は大きくなります。これについても契約前に弁護士と相談し、成功報酬における成功の定義や算出方法を明確にすることが重要です。
成功報酬で契約する際の3つのポイント

「成功」という曖昧な基準で費用が決定する成功報酬では、適切な契約を行うために以下の点に注意する必要があります。
- 契約前に成果報酬の算出方法・条件を確認する
- 複数の弁護士から見積もりを取る
- 法テラスや保険制度を活用する
それぞれの注意点について解説していきます。
契約前に成功報酬の算出方法・条件を確認する
成功報酬契約を結ぶ際には、契約前に成功報酬の算出方法や発生条件を必ず確認することが重要です。報酬が何を基準に、どのようなタイミングで発生するのかを明確に理解していないと、想定外の費用を請求されるリスクがあります。
例えば、和解や一部勝訴でも成功と見なすかどうかは、事前に決めなければいけません。また、得られた成果の評価が依頼者と弁護士で異なると、納得感を欠く可能性があります。
報酬が「いつ」「どのように」「いくら」かかるのかを文書で確認し、契約書に明記しておくことが求められます。弁護士から十分な説明を受け、不明点を残さないことが重要です。
複数の弁護士から見積もりを取る
弁護士費用は法律事務所ごとに独自の報酬体系を採用しており、同じ案件であっても、割合や計算方法は異なります。
このような違いは、最終的に支払う費用総額に直結するため、あらかじめ比較検討することが重要です。
また、見積もりを依頼することで、弁護士の説明内容や対応姿勢を確認でき、信頼性や相性の判断にも役立ちます。見積もりには、成功報酬以外の事務手数料や実費なども含めて提示してもらうことで、契約後の金銭的トラブルを防ぐことができます。
法テラスや保険制度を活用する
弁護士との成功報酬契約においては、法テラスや各種保険制度の活用を検討することもおすすめです。
法テラス(日本司法支援センター)は、経済的に余裕がない人でも法的サービスを受けられるよう、弁護士費用の立替えや無料相談を提供しています。一定の収入・資産基準を満たすことで、着手金や報酬金の支払いを分割にできるため、費用面の負担を軽減できます。
また、以下のような分野においては、弁護士費用特約が付帯している場合があります。
- 自動車事故→損害保険
- 労働問題→労災保険
- 医療過誤→団体保険
この制度を利用すれば、弁護士費用が保険会社から支払われ、依頼者自身の負担は最小限に抑えられる可能性があります。
成功報酬契約で高額な費用が発生するリスクを避けるためにも、利用できる支援制度や保険契約を確認することが大切です。
まとめ

成果に応じて費用が決定する成功報酬ですが、具体的な割合は法律事務所によって異なります。また、「成功」という定義も曖昧なため、明確にしないと弁護士との間でもトラブルが発生するかもしれません。
成功報酬での契約を締結する場合は、弁護士とのコミュニケーションや契約書の確認を徹底し、お互いが同じように認識している状態を保つことが重要です。そのためには信頼できる弁護士を選ぶ必要もあるため、慎重に判断するようにしましょう。
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