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顧問弁護士契約書とは?必要性や契約が求められるケース、記載項目、作成時のポイントを徹底解説!
契約書・リーガルチェック
2024.12.02 ー 2024.12.03 更新
顧問弁護士との契約は、中小企業やスタートアップが法的リスクを回避し、事業の安定運営を目指すうえで欠かせない手段です。そのため、顧問契約書は双方の役割や責任範囲を明確にする書類として重要な役割を果たします。
しかし、法務の専門知識が十分でない場合、どのように契約書を作成すればよいのか、具体的な項目や注意点について不安を抱く経営者も少なくありません。適切な契約書を作成することは、トラブルを未然に防ぎ、安心して経営に専念する基盤を築くことにつながります。
本記事では、顧問契約書の基本的な役割や記載すべき主要項目、標準的なひな形を活用する際の注意点について詳しく解説します。記事の後半では顧問契約書を作成するポイントも紹介しており、初めて作成する方にとっても読みやすい内容となっています。ぜひ最後までご覧ください。
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顧問弁護士契約書とは、企業や個人が弁護士と継続的な法律サービスの提供を受けるための契約に必要な書類です。
顧問弁護士契約により、依頼者は定期的に法律相談や法的アドバイスを受けることができ、必要に応じて迅速な法的対応が可能となります。顧問弁護士は、依頼者の事業や個人の法的ニーズを深く理解し、長期的な視点から法的サポートを提供します。
契約内容には、以下のような項目が含まれます。
- 提供されるサービスの範囲
- 顧問料の金額
- 支払い方法
- 契約期間
- 守秘義務
顧問弁護士は、依頼者の日常的な法務相談からリーガルチェック、法的リスクの分析、紛争予防のアドバイスまで、幅広い法的サポートを行います。
顧問弁護士契約は単発の法律相談とは異なり、継続的かつ包括的な法的サポートを受けられる点が特徴です。これにより、企業や個人は法的リスクを最小限に抑え、安定した事業運営や生活を送ることができます。また、緊急時の対応や複雑な法的問題にも、迅速かつ効果的に対処することが可能です。
顧問契約書が必要な理由
顧問契約書が必要な理由は、主に法的リスクの回避、業務の透明性確保、信頼関係の構築という観点から挙げられます。
企業活動において法務リスクは多岐にわたり、契約内容の不備や法令違反が大きな損害を招く可能性があります。そこで顧問契約書を作成することで、顧問弁護士が提供する法務サービスの範囲や対応方法を明確化し、トラブル発生時に迅速で的確な対応を受けられる仕組みを整えられます。
さらに、契約書により顧問料や契約期間、秘密保持義務といった具体的な条件を明確に定めることで、双方の認識違いを防ぎます。これは業務の透明性を高め、効率的で安定した法務支援を受けられる環境を整備するのに欠かせません。また、書面での合意は顧問弁護士との信頼関係を深め、長期的な協力体制を築く基盤となります。
特に中小企業やスタートアップでは法務部門が整備されていないケースが多く、外部の弁護士に依存する割合が高いため、リスク回避の観点から顧問契約書の作成は不可欠です。
業務委託契約との違い
顧問弁護士契約と業務委託契約は、弁護士に業務を依頼する際に用いられる契約ですが、目的や契約形態に大きな違いがあります。
業務委託契約は、特定の業務や案件を完了させることを目的に締結される契約です。契約書の作成や訴訟対応、法律相談といった単発の業務依頼に対して適用されます。この契約形態では、弁護士が遂行する業務内容や成果物が具体的に定められ、業務が完了すると契約も終了します。
一方、顧問弁護士契約は継続的な法務サポートを前提としており、企業の法的リスク管理や日常的な法律相談に対応するための契約です。特定の業務に限定されるのではなく、幅広い法務ニーズに応じた柔軟なサポートが提供されます。
また、契約期間においても違いがあります。業務委託契約は特定の業務が完了すれば契約が終了しますが、顧問契約は一定期間(月単位または年単位)にわたり継続的に提供されることを想定しています。そのため、顧問契約では月額顧問料が設定され、成果報酬や時間単価での費用が適用されるのが一般的です。
このように、単発での業務依頼を行いたい場合には業務委託契約が適しており、継続的かつ包括的な法務サポートを求める場合には顧問契約が適している点が大きな違いです。企業は自社のニーズに応じて、適切な契約形態を選択することが求められます。
雇用契約を結ぶ費用・期間におけるメリット
顧問弁護士契約を結ぶことは、専任の法務担当者を雇用するよりもコストと柔軟性の面で多くのメリットがあります。
弁護士の顧問料は月額固定の料金体系で設定されるケースが多いため、費用を予測しやすく、必要なタイミングで法務サービスを受けられる点が特徴です。一方、法務担当者を正社員として雇用する場合、社会保険料や福利厚生費などの負担がかかります。
また、顧問弁護士契約では必要に応じて短・長期的な契約まで調整が可能であり、企業の成長フェーズや経営状況に対応することが可能です。これにより、特定のプロジェクトや法務リスクが集中する時期には積極的に活用し、落ち着いた時期には契約内容を見直すことで、コストパフォーマンスを最適化できます。
さらに、弁護士は幅広い法務分野の専門知識を持つため、労務管理や契約書作成に留まらず、紛争解決や企業法務戦略の立案といった高度なサポートを提供できます。このように、顧問弁護士契約は必要な専門知識を必要な期間だけ利用できるため、費用と期間の両面で効率的な法務対応を実現できると言えるでしょう。
顧問弁護士契約の締結が必要になるケース
会社運営において顧問弁護士契約が義務付けられているわけではありませんが、以下のようなケースでは顧問弁護士契約の締結が必要になります。
- 法務部門の強化が求められる
- 契約書の作成が頻繁に行われる
- 新規事業の立ち上げを検討する
- 法的トラブルの再発防止に取り組む
- 企業再編が必要
それぞれのケースにおける顧問弁護士契約の必要性について解説していきます。
法務部門の強化が求められるケース
法務部門の強化が求められるケースでは、顧問弁護士契約の締結が選択肢として挙がるでしょう。法務専門人材が不足している場合、企業活動が拡大するにつれて法的リスクが高まり、対応力の向上が必要になります。
複雑な契約交渉が頻繁に発生する場面では、顧問弁護士との契約は迅速で的確な法務支援を確保する有効な手段となります。また、コンプライアンスやリスク管理の重要性が高まる現代では、取引先や行政からの法令遵守に関する要求が厳格化しています。
さらに、紛争やトラブルが発生した際、社内の法務リソースだけでは迅速に対応できないケースもあります。訴訟や重大な契約違反が絡む場面でも顧問弁護士が関与していることで、スムーズな対応が可能になります。
契約書の作成が頻繁に行われるケース
企業活動において契約書の作成が頻繁に行われる場合、顧問弁護士契約の締結が有効です。取引先との契約や業務委託契約、雇用契約など、多様な契約書が必要となる企業では、それぞれの契約が法的に適切であるかどうかを確認することが重要となります。
契約書の作成が頻繁な場合、その都度弁護士に依頼すると費用が高額になるだけでなく、対応スピードが遅れることもあります。顧問契約は日常的に発生する契約書作成や修正、法的なアドバイスをスムーズに依頼できる体制を整えることが可能です。
特に、新規事業を立ち上げるスタートアップや複数の取引先を抱える中小企業では、契約内容の見直しや更新が頻繁に発生します。こうした状況下で顧問弁護士と連携することで、契約書作成の負担を軽減し、法的リスクを最小限に抑えながら、事業活動に専念できる体制を構築することが可能です。
新規事業の立ち上げを検討するケース
新規事業の立ち上げを検討する際には、事業運営に伴う多くの法的リスクや手続きを正確に把握し、適切に対応する必要があります。このような場合に顧問弁護士契約を締結することで、企業はリスク回避とスムーズな事業開始を両立できます。
新規事業では、事業計画の立案段階から法的課題が発生することが想定されます。具体例として、事業に関連する法規制の確認や必要な許認可の取得手続きが挙げられます。これらの対応を怠ると、事業開始後に行政指導や法的トラブルに発展する可能性があります。
また、事業開始後には取引先との契約書作成やチェック、知的財産権の登録、消費者保護関連のルール整備などが求められます。これらを専門知識のないまま進めると、契約の不備や権利侵害が発生し、将来的な訴訟リスクを招くでしょう。
新規事業は不確実性が高いため、予期せぬトラブルや法的対応が必要になる場合も少なくありません。顧問弁護士との契約があれば、経営者は安心して事業開発に集中でき、スムーズな事業立ち上げを実現するための基盤を築けるでしょう。
法的トラブルの再発防止に取り組むケース
過去に法的トラブルを経験した企業にとって、その再発を防止するための取り組みは極めて重要です。このようなケースでは、顧問弁護士契約の締結が効果的な手段となります。
例えば、取引先との契約書の不備が原因で損害を被った場合や従業員との労働問題が訴訟に発展した場合、同様のリスクを防ぐための法務体制の整備が求められます。
顧問弁護士は企業が抱える法的リスクを洗い出し、契約書の見直しや就業規則の整備、業務フローにおける管理の提案など、具体的な再発防止策を講じることが可能です。
また、再発防止策を実施した後も、継続的に法務面のアドバイスを受けられる点が顧問弁護士契約の大きなメリットです。新たな法改正への対応や、企業の成長に伴うリスクの変化に応じたサポートを受けられるため、より強固なリスク管理体制を構築できます。
企業再編が必要なケース
企業再編を行う際には法的リスクが高まるため、顧問弁護士契約を結ぶことが重要です。
企業再編とは、合併、分割、株式交換、事業譲渡などの形で事業構造を見直し、効率化や成長を目指すプロセスを指します。これらの手続きには、会社法や税法、労働法といった複数の法令が関わるため、専門的な知識と実務経験が欠かせません。
特に、契約書の作成や既存の契約内容の見直し、関係者間での法的合意の調整など、正確性が求められる作業が多く発生します。また、従業員や株主、取引先といったステークホルダーに与える影響を最小限に抑えるため、適切な法的手続きを経なければいけません。
顧問弁護士を契約しておくことで、再編の初期段階から法的リスクの分析や戦略的なアドバイスを受けられるほか、必要に応じて契約書作成や交渉支援を依頼できます。また、株主総会や取締役会の運営支援、各種届出書類の作成といった手続きもスムーズに進められる点がメリットです。
企業再編は会社経営にとって重要な転機となるため、法務の専門家を活用することで、不安要素を取り除きながら最適な再編計画を実現することが可能となります。
顧問弁護士契約書のひな形とは
顧問弁護士契約書の作成については、ひな形を活用するのが一般的です。契約の基本項目について既に作成されているため、一から作るより効率性が向上します。
ひな形を利用することでメリットが期待できる一方で、注意点もあります。以下では、契約書のテンプレートを使用するメリットや注意点について詳しく解説していきます。
契約書テンプレートを利用するメリット
顧問弁護士契約書のテンプレートを利用することで、時間と労力の大幅な節約が可能です。ゼロから契約書を作成する場合と比べ、効率的に契約書を準備できます。また、法的な専門知識が十分でない場合でも、必要な条項を漏れなく網羅できる点も大きな特徴です。
テンプレートは多くの場合法律の専門家によって作成されているため、法的な観点から見ても信頼性が高いと言えるでしょう。そのため、契約書の不備によるトラブルのリスクを軽減できるだけでなく、契約内容の標準化が図れ、複数の顧問弁護士と契約を結ぶ際の一貫性も保てます。
テンプレート利用時の注意点
テンプレートを利用する際は、自社の特性や業界の特徴を考慮して適切にカスタマイズすることが重要です。ひな形をそのまま使用すると、重要な条項が抜け落ちたり、不適切な内容が含まれる可能性があります。特に、サービス内容や顧問料の設定、契約期間、解約条件などは、慎重に検討する必要があります。
また、法改正や社会情勢の変化に対応するため、最新版のテンプレートを活用しなければいけません。特にインボイス制度の導入など、税制の変更に関連する部分は注意が必要です。
テンプレートはあくまでもベースを固めた書類であり、詳細な部分は整備されていません。そのため、最終的な契約書は両者の合意に基づいて作成することが求められます。双方の利益を適切に反映した上で将来的なトラブルを防ぐためには、テンプレートのカスタマイズが不可欠です。
顧問弁護士契約書に記載すべき内容
顧問弁護士契約書には、以下の項目を記載します。
- 契約書名
- 契約当事者の名称
- サービス内容
- 費用・顧問料
- 顧問料以外の費用
- 契約期間
- 解約の取り決め
- 管轄裁判所の指定
- 秘密保持義務に関する項目
- 紛争解決事項
各項目について見ていきましょう。
契約書名
顧問弁護士契約書の契約書名は、文書の冒頭に記載されます。一般的に「顧問弁護士契約書」という名称が使用されますが、企業や弁護士の要望に応じて「法律顧問契約書」や「法務顧問契約書」といった表現も可能です。
契約書名の記載には、契約の開始日や契約番号を併記することも多く、契約の特定や管理が容易になります。例えば「顧問弁護士契約書(2023年4月1日付)」のように日付を入れたり、「顧問弁護士契約書(契約番号:LCA-2023-001)」のように番号を付けたりすることで、複数の契約を区別しやすくなります。
契約当事者の名称
顧問弁護士契約書では、冒頭部分に依頼者と弁護士の双方の名称が明記されます。
依頼者が企業の場合は、正式な商号と代表者名を記載します。例えば「株式会社〇〇(以下「甲」という)」のように表記し、続いて代表取締役の氏名を記載します。一方、弁護士側は「弁護士〇〇〇〇(以下「乙」という)」と記載するのが一般的です。
複数の弁護士が所属する法律事務所と契約を結ぶ場合は、事務所名と代表弁護士名を記載します。また、個人事業主が依頼者となる場合は、個人名と屋号を併記することが望ましいでしょう。
サービス内容
顧問弁護士契約書におけるサービス内容は、企業や個人が法的な助言や支援を受けるための具体的な範囲を定めるものです。一般的に、法律相談や法的文書の作成、契約書のレビュー、紛争解決のサポートなどが含まれます。
また、企業の業種や規模によって、知的財産権の保護や労務問題への対応、M&Aに関するアドバイスなど、特定の分野に特化したサービスが盛り込まれます。さらに、法改正や新たな規制への対応、リスク管理のためのガイドライン作成なども、顧問弁護士の重要な役割として契約書に明記されることがあります。
費用・顧問料
顧問弁護士契約における顧問料は月額固定制が採用されることが多く、企業規模や業務内容に応じて設定されます。中小企業の場合、月額5万円から30万円程度が相場とされていますが、大企業ではそれ以上の金額になることもあります。
顧問料には、通常の法律相談や簡単な書類作成などの基本的なサービスが含まれます。ただし、訴訟代理や複雑な契約書作成などの特別な業務については、別途費用が発生することが多いため、契約書にはその旨を明記してあるかを確認することが必要です。
また、顧問料の支払い方法や時期についても明確に定めます。基本的には、毎月末締めの翌月支払いなどの形式が採用されます。さらに、顧問料の改定についての条項を設けることで、長期的な契約関係の維持が可能となります。
顧問料以外の費用
顧問弁護士契約では、通常の顧問料以外にも追加の費用が発生する場合があります。これらの費用は、契約書に明確に記載することが求められます。
具体的には、訴訟や調停などの法的手続きに関与する場合の着手金や報酬金、また複雑な法律相談や契約書のレビューなど、通常の顧問業務を超える業務に対する追加料金が含まれます。さらに、弁護士が依頼者の事務所や裁判所に出向く際の交通費や宿泊費なども、別途請求される可能性があります。
これらの追加費用の算定方法や支払い条件についても、契約書内で明確に定義することが重要です。例えば、時間単位の料金設定や、特定の業務に対する固定料金などを明記することで、後々のトラブルを防ぐことができます。
契約期間
顧問弁護士契約書における契約期間の設定は、両者の関係性を明確にし、サービスの継続性を確保する上で重要な項目です。一般的に契約期間は1年間とすることが多く、その後は自動更新される形式を採用するケースが基本です。
ただし、企業の規模や法務ニーズによっては、3ヶ月や6ヶ月といった短期間の契約を結ぶこともあります。このような柔軟な期間設定は、特定のプロジェクトや一時的な法務サポートが必要な場合に適しています。
契約期間を設定する際は、双方の都合や業務の性質を考慮しましょう。また、契約終了前に一定の期間を設けて更新の意思確認を行う条項を盛り込むことで、スムーズな契約管理が可能となります。
解約の取り決め
顧問弁護士契約書における解約の取り決めは、一般的に契約期間や更新の条件とともに明確に規定されます。解約の通知期間は、通常1ヶ月から3ヶ月程度に設定されることが多く、双方の合意により変更可能です。
解約理由についても明記されることがあり、特定の事由がある場合には即時解約できる条項を設けることもあります。例えば、重大な契約違反や信頼関係を損なう行為があった場合などが該当します。
また、解約時の精算方法についても取り決めておくべきでしょう。既に支払われた顧問料の返還や、進行中の案件の取り扱いなどを明確にしておくことで、解約時のトラブルを防ぐことができます。
さらに、解約後の秘密保持義務や競業避止義務などの継続事項についても言及しておくことが望ましいでしょう。これらの取り決めにより、契約終了後も両者の利益が保護されます。
管轄裁判所の指定
顧問弁護士契約書における管轄裁判所の指定は、将来的な紛争解決の場を明確にします。
一般的に、管轄裁判所は契約当事者の所在地や契約履行地を考慮して決定されます。所在地が東京であれば、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることが多いですが、当事者間の協議により他の裁判所を指定することも可能です。
管轄裁判所の指定に関する条項を設けることで、紛争発生時の裁判所選択に関する不確実性を排除し、迅速な問題解決につながります。また、遠隔地の裁判所が指定されることによる当事者の負担を軽減する効果もあります。
ただし、管轄裁判所の指定によって一方の当事者に著しく不利にならないように、公平性の観点から慎重に検討する必要があります。両者にとって合理的で公平な裁判所を選択しなければいけません。
国際的な契約の場合は、準拠法と併せて管轄裁判所を検討する必要があります。日本の裁判所を指定する場合もあれば、国際仲裁を選択することもあるでしょう。契約の性質や当事者の状況に応じて、適切な紛争解決手段を選択することが求められます。
秘密保持義務に関する項目
企業と弁護士の信頼関係を築き、機密情報を適切に保護するためには、秘密保持義務に関する項目の記載は不可欠です。
具体的には、秘密情報の範囲を明確にし、口頭で伝えられた情報も含めるかどうかを明記します。また、秘密保持の期間を契約終了後も含めて設定し、長期的な保護を確保します。情報の開示が必要な場合の手続きや、従業員や協力者への秘密保持義務の拡大についても言及すべきでしょう。
秘密保持義務における違反時の罰則規定を設けることで、秘密保持の重要性を強調し、遵守を促進できます。さらに、契約終了時の秘密情報の取り扱いについても明確にしておくことで、企業の機密情報を守り、弁護士との信頼関係を強化することができます。
紛争解決事項
紛争解決条項では、まず当事者間での話し合いによる解決を優先し、それでも解決に至らない場合の手続きを明確に定めます。具体的には、調停や仲裁などの代替的紛争解決手段の利用、あるいは訴訟による解決を選択する場合の管轄裁判所の指定などが含まれます。
また、紛争解決にかかる費用の負担方法や、紛争中の契約の継続性についても明記することが望ましいでしょう。さらに、国際的な取引を行う企業の場合、準拠法や使用言語についても明確に定めておくことが重要です。
このような条項を適切に設けることで、将来的な紛争リスクを軽減し、万が一の際にも迅速かつ公平な解決を図ることができます。顧問弁護士との契約においても、紛争解決条項は双方の利益を守るために不可欠な要素となります。
適切な顧問弁護士契約書を作成するポイント
自社にとって有益な顧問弁護士契約書を作成するには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 双方で契約内容をすり合わせる
- 顧問契約書のドラフトを作成する
- 法改正に対応した契約書となっているかチェックする
- 信頼できる弁護士と顧問契約を結ぶ
それぞれのポイントについて解説していきます。
双方で契約内容をすり合わせる
適切な顧問弁護士契約書を作成するためには、双方で契約内容を十分にすり合わせることが重要です。顧問弁護士契約は企業と弁護士との長期的な協力関係を前提とするため、事前に期待する業務内容や条件を明確にしておかなければ、後のトラブルの原因となる可能性があります。
具体的には、顧問弁護士が提供する業務範囲を具体的に定めます。契約書の作成・レビューや法務相談、紛争対応といった基本業務だけでなく、M&Aや企業再編のような専門性の高い業務も依頼する場合には、それを明記します。また、対応可能な時間帯や緊急時の連絡方法なども事前に取り決めます。
さらに、顧問料の支払い条件や頻度についてもすり合わせが必要です。定額制や従量制などの料金形態に応じて、どの業務が追加費用となるのかを明確にすることで、コスト面での不安を解消します。
双方が互いの期待を共有することで、長期的で安定した法務サポート体制を実現することができます。
顧問契約書のドラフトを作成する
ドラフトを作成する段階では、契約の目的や条件を具体化し、必要な項目を網羅的に盛り込むことが重要です。ドラフト作成時に注意すべきポイントとして、以下の項目が挙げられます。
- 顧問弁護士が提供する業務範囲を明確に記載する
- 顧問料とその支払い方法について明記する
- 契約期間と更新条件を記載する
- 秘密保持義務の項目を盛り込む
これらは顧問弁護士契約書を作成する上で、必要最低限の項目と言えるでしょう。そのため、上記の項目が記載されていないと、弁護士と適切な顧問契約は結べません。
ドラフト作成時には標準的なひな形を活用することも有効ですが、企業の業種や規模、法務のニーズに応じてカスタマイズすることが必要です。専門知識が不足している場合は弁護士に確認を依頼し、不備や漏れのないドラフトを作成することが推奨されます。
法改正に対応した契約書となっているかチェックする
顧問弁護士契約書が最新の法改正に対応しているかを確認することも、安全な契約を締結する上で重要です。
法律は頻繁に改正され、特に労働法や税法、個人情報保護法など、企業活動に直接影響を与える分野では変更が多く見られます。これらに対応していない契約書は、無効とされるリスクや予期せぬトラブルを招く可能性があります。
新たな法規制下で顧問弁護士の役割が不明確になり、期待するサービスが提供されない事態が生じることもあります。また、秘密保持条項や個人情報の取り扱いについては、最新の法改正内容を反映していない場合、違法と判断されるケースもあるため、特に注意が必要です。
最新の法改正を取り入れた契約書は、企業にとってのリスク回避と信頼性向上につながります。こうした対策を怠らないことが、トラブル防止と円滑な顧問弁護士との関係構築のポイントとなります。
信頼できる弁護士と顧問契約を結ぶ
顧問弁護士契約書の作成には、信頼できる弁護士を選ぶことが重要です。信頼関係は顧問契約の有効性や継続性に影響を及ぼし、法的トラブルの予防や迅速な解決が可能になります。
信頼できる弁護士を選ぶ際には、実務経験と専門分野が判断基準となります。企業法務に特化した実績があり、契約書の作成や交渉、リスク管理に精通している弁護士であれば、幅広い法務ニーズに対応できます。
さらに、弁護士の対応力やコミュニケーション能力もポイントです。法務相談を行う中で迅速かつ適切なアドバイスが得られることは、経営者にとって大きな安心感につながるでしょう。
信頼できる弁護士との契約は、長期的なパートナーシップを築く基盤となります。費用を重視して弁護士を選びがちですが、実績やコミュニケーションといった側面からも弁護士を選ぶようにしましょう。
まとめ
弁護士との顧問契約は、専門的な法務サービスを受けるために不可欠な契約です。さまざまな業界の企業で締結されており、法的トラブルの回避を目的として重要な契約とされています。これから事業をスタートさせる経営者にとっても、顧問契約は検討するべきと言えるでしょう。
そのため、顧問弁護士契約書は作成手順や記載項目を把握しておくべきです。適切な作成方法が分かっていないと、長期的な法的サービスが期待できません。
顧問弁護士契約書を作成する際は、時間をかけて各項目を記載し、どの弁護士に依頼するか慎重に検討しましょう。依頼先の選定と契約書の記載が適切であれば、弁護士による継続的なサポートが期待できます。
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