法人破産にかかる弁護士費用はいくら?支払えない場合の対処法も紹介
民事再生・法人破産
2025.12.17 ー 2025.12.15 更新
会社の経営が立ち行かなくなったとき、「弁護士に相談したいけれど、費用が怖い」と感じる経営者の方は少なくありません。実際、法人破産の費用は数百万円規模になるケースも多く、その内訳がわからないまま踏み出すのは勇気がいることでしょう。
この記事では、法人破産にかかる弁護士費用や裁判所費用、そして総費用がどのくらいになるのかを具体的に解説します。費用への不安を解消し、次のステップに進むための道筋を見つけましょう。

法人破産にかかる弁護士費用の相場と内訳

法人破産にかかる費用は、大きく分けて「弁護士に支払う報酬」と「裁判所に納める費用」の2つがあります。
弁護士費用は、会社の規模や負債総額、債権者の数、事業所の数、従業員の人数といった様々な要素で変動します。たとえば、従業員数名で負債が3,000万円程度の小規模法人と、従業員50名で負債が5億円ある中規模法人では、手続きの複雑さがまったく違いますよね。当然、費用にも差が出ます。
さらに、法人破産では裁判所に納める「予納金」という費用も発生します。これは、破産管財人という専門家が選任され、会社の財産を調査・換価(現金化)・配当する手続きを進めるための費用です。この予納金は、会社の規模や負債額に応じて裁判所が決定するため、弁護士費用とは別に数十万円から数百万円の準備が必要になることもあります。
つまり、法人破産の総費用は「弁護士への報酬」と「裁判所への予納金」を合算して考えなければなりません。
相談料の目安と無料相談を受けられる事務所の探し方
まず、弁護士に相談する段階でかかる費用について整理しておきましょう。多くの事務所では、初回相談料として30分5,000円〜1万円程度を設定しています。しかし、法人破産のような経済的に困難な状況では、初回相談を無料にしている事務所も増えてきました。
無料相談を受けられる事務所を探すときのポイントは、「法人破産に実績のある事務所」かつ「無料相談対応」と明記されているかを確認することです。インターネットで「法人破産 無料相談 [地域名]」と検索すると、該当する事務所が複数見つかります。また、弁護士会の法律相談センターでも、無料または低額で相談できる場合がありますので、活用を検討してみてください。
注意したいのは、「相談は無料でも、正式に依頼する際には着手金が必要になる」という点です。無料相談の段階では、自分の会社の状況を整理し、おおよその費用感と今後の流れを確認することが目的になります。相談時には、決算書や債権者一覧、従業員名簿、不動産の登記簿謄本など、会社の財務状況がわかる資料を持参すると、より具体的なアドバイスを受けられるでしょう。
初回相談で確認しておきたい項目としては、次のような内容があります。
- 着手金の金額と支払時期
- 分割払いや分納が可能か
- 予納金をいつ、どのように準備すればよいか
- 手続き全体にかかる期間の目安
無料相談だからといって遠慮する必要はありません。むしろ、この段階で納得のいく説明を受けられるかどうかが、信頼できる弁護士を選ぶための判断基準になります。
着手金・報酬金の相場【負債額1億円未満/以上の実例付き】
次に、弁護士に正式に依頼した際に発生する「着手金」と「報酬金」について見ていきましょう。着手金とは、依頼を開始する際に支払う費用で、結果の成否にかかわらず発生します。一方、報酬金は手続きが無事に終了した段階で支払う成功報酬的な性質を持ちますが、法人破産の場合は報酬金が発生しない料金体系の事務所も少なくありません。
弁護士費用の相場は、負債総額や会社の規模によって大きく変わります。以下に、実際によくある事例をもとにした目安を示します。
- 負債額3,000万円以下の小規模法人の場合
着手金の相場は50万円〜80万円程度です。従業員が数名で事業所が1つ、債権者も10社程度という場合、手続きの複雑さが比較的低いため、この範囲に収まることが多いでしょう。 - 負債額3,000万円〜1億円未満の場合
着手金は80万円〜150万円程度が相場です。債権者が20社前後、従業員が10名以上いる場合や、在庫・設備などの資産がある程度残っている場合は、調査や処分にかかる手間が増えるため、費用も上がります。 - 負債額1億円以上の中規模法人の場合
着手金は150万円〜300万円以上になることもあります。負債が数億円規模になると、債権者の数も50社を超えることがあり、破産管財人との調整、資産の調査・換価、従業員の給与未払い問題への対応など、弁護士の業務量が飛躍的に増えるためです。
弁護士費用は事務所によって設定が異なるため、複数の事務所に見積もりを依頼することも有効です。ただし、単純に「安い」だけで選ぶのではなく、説明の丁寧さや法人破産の実績があるかどうかを重視することが、結果的に安心して手続きを進めることにつながります。
予納金など裁判所に支払う費用の詳細
法人破産では、弁護士費用とは別に、裁判所に納める「予納金」という費用が必ず発生します。これは、破産管財人が選任され、会社の財産を調査・換価・配当するための費用として使われるものです。予納金の金額は、裁判所が会社の負債額や資産状況、債権者の数などを総合的に判断して決定します。
予納金の相場は、東京地方裁判所の場合、次のような目安になっています。
- 負債総額5,000万円未満:予納金約70万円〜
- 負債総額5,000万円〜1億円未満:予納金約100万円〜
- 負債総額1億円〜5億円未満:予納金約150万円〜200万円
- 負債総額5億円以上:予納金約250万円以上
この金額は裁判所によっても異なり、地方の裁判所では若干低めに設定されることもあります。また、少額管財という簡易な手続きが適用される場合には、予納金が20万円程度に抑えられることもありますが、これは個人事業主や資産のほとんどない法人に限られるケースが多いため、通常の法人破産では該当しにくいと考えておいたほうが現実的でしょう。
予納金に加えて、裁判所に納める費用としては次のようなものもあります。
- 申立手数料(印紙代):1万円程度
- 予納郵券(郵便切手代):債権者の数に応じて数千円〜数万円
- 官報公告費用:約1万5,000円程度
これらは予納金に比べれば少額ですが、合計すると数万円規模になるため、忘れずに準備が必要です。
予納金の支払い時期は、破産申立てをする前に裁判所に納める必要があります。つまり、弁護士に依頼してから申立てまでの間に、予納金を用意しなければなりません。多くの場合、弁護士が依頼者と相談しながら、数か月かけて少しずつ準備していくスケジュールを組むことになるでしょう。
弁護士費用が支払えない場合の解決策

会社の経営が苦しくなると、「弁護士に相談したいけど、今はその費用すら出せない」という状況に陥ることがありますよ。特に法人の債務整理や破産手続きとなると、弁護士費用はそれなりに高額になりますから、資金繰りに悩む経営者にとっては大きなハードルです。
しかし、弁護士費用が支払えないからといって、すべての選択肢が閉ざされるわけではありません。以下では、具体的にどうすれば費用面の不安を乗り越えて弁護士に依頼できるのか、3つの現実的な方法を見ていきます。
受任通知で督促を止めて資金準備する方法
弁護士に債務整理や破産の依頼をすると、弁護士はすぐに「受任通知」を債権者に送ってくれます。この受任通知が届いた時点で、債権者からの直接的な督促や取り立ては原則としてストップします。電話や訪問による催促がなくなるため、精神的にも少し余裕が生まれ、冷静に次の手を考える時間が確保できるでしょう。
この「督促が止まる期間」を利用して、弁護士費用を準備するという方法があります。たとえば、会社にまだ売掛金(取引先から入金予定のお金)がある場合、その入金を待ってから弁護士費用に充てることも可能です。通常なら債権者への返済に回すお金も、受任通知後は一旦ストップできるため、その分を費用準備に回せる余地が生まれるのです。
ただし、この方法が使えるのは、「まだ何らかの収入が見込める状態」であることが前提です。すでに取引がほぼ止まっていて、今後の入金も見込めない場合は、この方法だけでは難しいかもしれません。
分割払い・後払い対応の弁護士事務所の見つけ方
弁護士費用を一括で支払えない場合、分割払いや後払いに対応してくれる事務所を探すのも有効な選択肢です。実は、法人の債務整理や破産手続きを扱う弁護士事務所の中には、初期費用を抑えたり、分割での支払いを認めてくれたりするところが少なくありません。
まず、インターネットで「法人破産 分割払い 対応」「弁護士 後払い 企業再生」といったキーワードで検索してみると、柔軟な支払いプランを用意している事務所がいくつか見つかるでしょう。ウェブサイト上で「費用の分割相談可能」「初回相談無料」などと明記されている事務所は、経営者の資金難にも理解がある可能性が高いです。
また、初回相談の際に、正直に「今は現金がほとんど手元にないが、どうしても相談したい」と伝えることが重要です。弁護士としても、相談者の状況を把握したうえで、現実的な支払いプランを提案してくれることが多いです。たとえば、着手金は最小限にして、残りは手続きの進行に応じて分割で支払うといった柔軟な対応をしてくれるケースもあります。
会社の残存資産活用と資金調達の現実的手段
弁護士費用をどうしても捻出できない場合、会社に残っている資産を見直してみるのも一つの手です。たとえば、事業用の車両、パソコンやオフィス機器、在庫品、売掛金など、意外と現金化できるものが残っていることがあります。これらを売却したり、売掛金を早期に回収したりすることで、弁護士費用の一部をまかなえる可能性があるでしょう。
ただし、ここで注意しなければならないのは、会社が破産手続きに入る場合、資産の処分には一定のルールがあるという点です。破産手続きでは、会社の財産は原則として債権者への配当に充てられるため、経営者が勝手に売却して個人的に使ったり、特定の債権者にだけ優先的に返済したりすることは認められません。これを「偏頗弁済」や「財産の隠匿」といい、場合によっては法的な問題になることもあります。そのため、資産を活用する場合は、必ず弁護士に相談したうえで進めることが大前提です。弁護士の指導のもとであれば、破産手続きに必要な費用に充てるために資産を売却することは認められる場合があります。
一方で、「新たに借り入れをして弁護士費用を捻出する」という選択肢については、基本的にはお勧めできません。すでに債務超過の状態で新たに借金を重ねると、状況がさらに悪化するだけでなく、破産手続きにおいて「支払不能なのに新たに借り入れをした」と見なされ、免責が認められなくなるリスクもあるからです。もし資金調達を考える場合は、必ず弁護士に相談してから動くようにしてください。

法人破産手続きの基本的な流れと期間

法人破産には大きく分けて「同時廃止事件」と「管財事件」の2つのパターンがあります。同時廃止は、会社にもう財産がほとんど残っていない場合に適用される簡易的な手続きです。一方、管財事件は、財産の売却や債権者への配当手続きが必要なケースで、破産管財人が選任されて進められます。
多くの場合、小規模法人では資金繰りが悪化した時点で財産がほとんど残っていないため、同時廃止になることが多いでしょう。しかし、事業所の設備や在庫、売掛金などが一定額残っている場合は管財事件として扱われます。どちらのパターンになるかによって、手続きの期間や費用が大きく変わるため、まずは弁護士に相談して現在の資産状況を整理することが大切です。
申立てから免責確定までの全体スケジュール
法人破産の手続きは、準備段階から終結まで、いくつかの重要なステップに分かれており、まず最初に行うのが「申立て準備」です。弁護士に依頼すると、会社の財務状況や債権者リスト、資産の内訳などを整理し、裁判所に提出する書類を作成します。この段階で通常1〜2ヶ月ほどかかるでしょう。
書類が揃ったら、裁判所に対して破産手続開始の申立てを行います。申立てが受理されると、裁判所が内容を審査し、1週間から2週間程度で「破産手続開始決定」が出されます。この決定が出た時点で、法人は正式に破産状態となり、事業活動は停止します。
- 同時廃止事件の場合:
開始決定と同時に手続きが終了することもありますが、多くの場合は債権者への通知や官報公告などの手続きが続き、3〜6ヶ月が目安です。 - 管財事件の場合:
破産管財人が選任され、会社の財産を調査・換価し、債権者への配当を行います。この過程で「債権者集会」が開かれ、進捗状況が報告されます。債権者集会は通常2〜3回開催され、それぞれ2〜3ヶ月おきに設定されることが多いです。すべての財産処分と配当が終わると、裁判所が「破産手続終結決定」を出し、手続きは完了します。期間は6ヶ月〜1年以上かかるケースも少なくありません。
ただし、法人には個人のような「免責」という概念はありません。法人破産は、会社という法人格そのものが消滅することで、債務も法的に消滅する仕組みです。
手続き中は、代表者自身が何かを直接対応することはほとんどありません。弁護士や破産管財人が主導してくれるため、「次のステップに向けた準備」に意識を向けることができます。とはいえ、書類の提出や裁判所への出頭(債権者集会など)が求められる場面もあるため、弁護士との連絡はこまめに取り合っておくとスムーズです。
代表者個人の連帯保証債務への影響と同時破産
法人が破産しても、代表者個人が連帯保証人になっている借入金や買掛債務がある場合、その責任は個人に残ります。これが法人破産における最大の落とし穴です。会社が消滅しても、保証債務は消えないため、債権者は代表者個人に対して返済を求めてくるのです。
多くの中小企業では、銀行融資を受ける際に代表者が連帯保証人になっているケースがほとんどです。また、取引先との契約や事業用ローンでも同様の保証を求められることが一般的でしょう。そのため、法人破産を検討する際には、代表者個人の連帯保証債務についても同時に整理する必要があります。
ここでよく取られるのが「同時破産」という方法です。法人破産と同時に、代表者個人も自己破産の申立てを行うことで、個人の保証債務も含めて清算するというやり方です。同時に手続きを進めることで、弁護士費用や裁判所への予納金を抑えられる場合もありますし、何より心理的な負担を一度に整理できるというメリットがあります。
個人の自己破産では、法人とは異なり「免責許可決定」を受けることで、原則としてすべての借金がゼロになります。ただし、税金や社会保険料、故意に隠した債務などは免責されない場合があるため、注意が必要です。
もちろん、自己破産には一定のデメリットもあります。信用情報に事故情報が登録され、数年間は新たな借入やクレジットカードの作成が難しくなるでしょう。また、一部の職業(警備員、生命保険募集人など)には就けない期間が生じることもあります。ただし、破産したからといって選挙権がなくなるわけでも、戸籍に載るわけでもありません。こうした誤解は意外に多いのですが、実際には生活への影響は限定的です。
費用面で失敗しない弁護士の選び方

弁護士に依頼する際、最も不安なのが「結局いくらかかるのか」という点ではないでしょうか。ホームページに「初回無料」と書いてあっても、実際に依頼したら予想外の費用が膨らんでしまった、という話は決して珍しいことではありません。
ここでは、初回相談で必ず聞いておくべき費用項目、追加費用が発生しやすいケース、そして相談前に準備しておくべき資料について、順を追って解説していきます。費用の不透明さを取り除き、安心して弁護士に依頼できる状態を整えましょう。
初回相談で必ず確認すべき費用項目一覧
初回相談では、漠然と「費用はどれくらいですか?」と聞くだけでは不十分です。弁護士費用は、大きく分けて「着手金」「報酬金」「実費」「日当」の4つに分かれることが多く、それぞれの内訳を明確にしておかないと、後から予想外の請求に驚くことになるでしょう。
- 着手金
弁護士が案件に着手する段階で支払う費用です。会社の債務整理では、債務総額や債権者数によって金額が決まることが一般的で、例えば「負債額1,000万円以下なら30万円」といった形で設定されています。ここで注意したいのは、着手金は結果に関係なく返還されないという点です。だからこそ、着手金の金額だけでなく、「どこまでの業務が含まれるのか」を確認しておく必要があります。 - 報酬金
手続きが成功した場合に支払う成功報酬です。例えば、「減額できた金額の10%」や「和解が成立した債権者1社あたり5万円」といった形で設定されていることがあります。特に、複数の債権者と交渉する場合、報酬金が積み重なって思ったより高額になることもあるため、事前にシミュレーションしておくとよいです。 - 実費
弁護士が業務を進める中で実際にかかった費用です。具体的には、裁判所への申立手数料、郵送費、交通費、登記費用などが含まれます。実費は案件の内容や手続きの進め方によって変わるため、目安を聞いておくと予算が立てやすくなります。また、実費の立替払いが可能か、精算のタイミングはいつかも確認しておきましょう。 - 日当
弁護士が裁判所への出廷や債権者との面談などで事務所外に出向く際に発生する費用です。事務所によっては日当を設定していないところもありますが、設定されている場合は1回あたり数万円かかることもあります。特に、裁判所が遠方にある場合や、複数回の出廷が見込まれる場合は、日当の有無と金額を事前に確認しておくことが大切です。
これらの項目をすべて洗い出したうえで、総額の見積もりを出してもらうことが理想です。口頭での説明だけでなく、書面での見積書をもらえるかどうかも確認しましょう。
追加費用が発生するケースと事前回避方法
依頼時に提示された見積もりがそのまま最終的な費用になるとは限りません。案件の進行中に状況が変わったり、想定外の手続きが必要になったりすると、追加費用が発生することがあります。ここでは、追加費用が生じやすい典型的なケースと、それを事前に防ぐための方法を見ていきましょう。
- 債権者の数が増えた場合
初回相談時には「主要な債権者は3社」と伝えていたのに、実際に調査を進めたら他にも複数の債権者がいることが判明した、というケースは意外と多いものです。債権者1社ごとに着手金や報酬金が設定されている場合、債権者が増えればその分費用も増えます。これを防ぐには、相談前に債権者リストを正確に洗い出しておくことが重要です。取引先への未払金、リース契約、個人保証、役員借入など、見落としがちな債務も含めてリスト化しておきましょう。 - 手続きの方針が変更になった場合
当初は任意整理で進める予定だったが、交渉が難航して民事再生や破産に切り替えることになった、というケース。手続きが変われば、必要な書類や裁判所への申立費用も変わりますし、弁護士の業務量も増えるため、追加の着手金が発生することがあります。この点については、初回相談の段階で「方針変更があった場合の費用はどうなるか」を確認しておくことが有効です。また、複数の手続きを視野に入れて、それぞれのケースでの費用を比較しておくと、万が一の際にも冷静に判断できます。 - 裁判所への出廷回数が増えた場合
民事再生や破産では、裁判所との打ち合わせや債権者集会への出席が必要になることがありますが、その回数が見積もりより多くなれば、日当や交通費が積み重なります。特に、債権者が異議を申し立てたり、裁判所から追加の説明を求められたりすると、想定外の出廷が発生しやすくなります。これを避けるには、「出廷回数の見込みと、増えた場合の費用」を事前に確認しておくことが大切です。 - 書類の作成や調査に予想以上の手間がかかった場合
会社の帳簿が整理されていなかったり、過去の取引資料が不足していたりすると、弁護士が資料を集めたり再構成したりする作業に時間がかかります。こうした場合、タイムチャージ(時間単位の報酬)が適用されることもあるため、「資料不足の場合の対応と費用」についても聞いておくとよいでしょう。
追加費用を防ぐための最も効果的な方法は、契約書に費用の詳細を明記してもらうことです。「どのような場合に追加費用が発生するか」「その際の金額はどう決まるか」を契約書に盛り込んでおけば、後からのトラブルを防げます。また、途中経過の報告を定期的に受けることで、費用が膨らみそうなタイミングを早めに把握し、対策を打つこともできます。

相談前に整理しておくべき会社の財務資料
弁護士との初回相談を有意義なものにするには、事前にある程度の資料を整理しておくことが欠かせません。特に会社の債務整理では、財務状況を正確に把握していないと、適切な手続きの提案を受けられませんし、費用の見積もりも曖昧になってしまいます。
まず必須となるのが、貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)です。直近の決算書があれば、会社の資産・負債・収益の全体像を弁護士が把握しやすくなります。もし決算書が手元にない場合でも、顧問税理士に依頼すれば比較的早く入手できるはずです。
次に、債権者リストと各債権者への負債額を一覧にしておきましょう。取引先への買掛金、銀行借入、リース債務、税金・社会保険料の滞納など、すべての債務を漏れなくリスト化します。このとき、具体的な金額と返済状況(延滞の有無、保証人の有無など)を明記することが重要です。債権者の連絡先や担当者名も記載しておくと、弁護士が受任通知を送る際にスムーズです。
資産の一覧も用意しておきましょう。不動産、車両、在庫、売掛金、預金残高など、会社が持っている財産をすべて洗い出します。特に不動産や車両がある場合は、ローンの残債や担保設定の有無も確認しておく必要があります。資産の状況によって、民事再生が可能か、それとも破産しかないかが変わってくるため、正確な情報が求められます。
さらに、過去3ヶ月分の通帳のコピーがあると、資金繰りの実態を把握しやすくなります。特に、どの債権者にいくら支払っているか、どの支払いを止めているかといった情報は、今後の交渉方針を決める上で重要です。また、不自然な入出金(例:特定の債権者への偏頗弁済)がないかも弁護士がチェックします。
弁護士費用を抑える方法と注意すべき落とし穴

このセクションでは、現実的に使える費用削減の方法と、その裏に潜むリスクを整理していきます。安易に選んでしまうと、かえって事態が悪化することもあるので、冷静に見極めることが大切です。
法テラス利用の条件と手続きの現実的な流れ
「法テラスなら無料で相談できる」という話を聞いたことがあるかもしれません。確かに、法テラス(日本司法支援センター)を使えば、弁護士費用を抑えられる可能性があります。ただ、誰でも使えるわけではなく、いくつか条件があるのです。
まず法テラスには「無料法律相談」と「民事法律扶助」という2つの仕組みがあります。無料相談は、収入や資産が一定基準以下であれば、1つの問題につき3回まで無料で弁護士に相談できる制度です。民事法律扶助は、裁判や債務整理などの手続き費用を、法テラスが一時的に立て替えてくれる制度で、後から分割で返済していく形になります。
ここで大事なのが「収入・資産の基準」です。たとえば、単身者であれば手取り月収が18万2,000円以下、家族がいる場合はそれに応じた基準額があります。また、預貯金や不動産などの資産も審査対象になります。法人代表の場合、役員報酬の額や事業用口座の残高がどう扱われるかは、実際に相談してみないとわからない部分もあるでしょう。
また注意しておきたいのは、法テラスを通した場合、担当弁護士を自分で自由に選べないという点です。さらに、相談予約から実際の面談まで数週間かかることもあるため、急ぎの案件には向かない可能性があります。債権者からの督促が激しい、差し押さえ寸前といった状況であれば、むしろ直接弁護士に依頼したほうが早く動けることもあります。
法テラスは「お金がないから何もできない」という状況を打開する選択肢として有効ですが、あくまで「一時的な立て替え」であり、返済義務はあります。費用がゼロになるわけではない点は、頭に入れておいてください。
格安弁護士に依頼する際のリスクと見極め方
最近では「任意整理〇万円〜」「初期費用無料」といった広告を見かけることも増えました。費用を抑えたい気持ちがあるとき、こうした「格安」の文字には心が動きますよね。ただ、ここにも落とし穴があります。
格安をうたう弁護士事務所のなかには、対応が雑だったり、途中で追加費用を請求されたり、最悪の場合は依頼後に音信不通になるといったトラブルも報告されています。
こうした事態を避けるために、以下のポイントを確認しておくことが重要です。
- 料金体系が明確か
着手金、報酬金、実費などが具体的に書かれているか。「〇万円〜」とだけ書いてあって、詳細が不明な場合は要注意です。 - 事務所の所在地と連絡先が明記されているか
ホームページに住所や電話番号がなく、メールやLINEのみでやり取りする事務所は避けたほうが無難です。 - 弁護士本人と直接話せるか
事務員だけで話が進み、弁護士と一度も顔を合わせないまま進むケースもあります。少なくとも初回相談では本人と話せる事務所を選びましょう。 - レスポンスの速さと丁寧さ
相談時の対応が冷たい、返信が遅い、説明が雑、といった場合は、依頼後も同じような対応になる可能性が高いです。
格安であることが悪いわけではありません。ただ、「安いから」という理由だけで選ぶと、後で取り返しのつかない事態になることもあります。費用と信頼性のバランスを見極める冷静さが必要です。
費用を理由に手続きを遅らせる危険性
債務の問題は、時間が経つほど状況が悪化します。利息は毎日膨らみ続けますし、延滞が続けば遅延損害金も加算されます。さらに、督促が激しくなり、最終的には裁判所からの支払督促や差し押さえといった法的手段に進んでしまうこともあります。
弁護士に相談すれば、多くの場合「受任通知」という書類を債権者に送ってくれます。これが送られると、督促や取り立てが一時的に止まります。つまり、精神的な負担がぐっと軽くなるんです。この安心感だけでも、早めに動く価値は十分にあります。
また、今は分割払いに対応してくれる弁護士事務所も増えています。初期費用が厳しい場合でも、月々1〜2万円ずつ払いながら手続きを進められるケースもあります。まずは「どんな支払い方法があるか」を聞いてみるだけでも、選択肢が見えてくることがあります。
費用の不安は当然ですが、それを理由に動けなくなってしまうと、出口がどんどん遠のいていきます。むしろ、状況が深刻になる前に専門家の力を借りることで、トータルの負担を減らせる可能性が高いのです。

まとめ|資金不安があっても諦めず、まずは無料相談から始めよう

会社経営をしていると、返済の重圧で頭がいっぱいになって「弁護士に頼みたいけど、お金がない」と感じる瞬間があると思います。でも、ここまで読んでくださったあなたにお伝えしたいのは、「相談するタイミングを先延ばしにするほど、選択肢は狭まっていく」という現実です。借金問題は時間との勝負。利息は日々積み重なり、取引先や金融機関との関係も変化していきます。だからこそ、費用面の不安があったとしても、まずは専門家の話を聞いてみることが、実は一番の近道になるんです。
最近は多くの法律事務所が無料相談を実施しています。電話やメール、オンライン面談など、事務所に直接足を運ばなくても相談できる環境が整っている場合も多いでしょう。無料だからといって適当に対応されるわけではなく、あなたの状況をしっかり聞いたうえで「今の段階でできること」「費用を抑える方法」「分割払いの可否」といった具体的な選択肢を示してもらえます。弁護士や司法書士は、あなたが思っている以上に「お金がない依頼者」の相談を受けてきていますし、そのうえで現実的な道を一緒に考えてくれる存在です。
法務急済運営事務局
法務急済運営事務局|株式会社WEBY 株式会社WEBYの法務急済運営事務局として、全国400以上の弁護士・司法書士事務所のWEBマーケティングを支援。法律分野に特化したWEB集客の知見を活かし、これまでに1,000本以上の法律系記事の企画・執筆・編集に携わる。HP制作、SEO対策、WEBコンサルティング、LMC(ローカルマップコントロール)など多角的なサポートを通じて、法律業界の最新動向に精通。 企業法務に求められる実務視点と、法律事務所支援で培った専門知識を基に、企業が抱える法務課題に対して実行可能な情報提供を行うとともに、適切な弁護士・司法書士の紹介も行っている。
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