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著作権侵害対策ガイド|日常でよくある落とし穴と予防法

風評被害・削除請求

2025.12.062025.12.04 更新

著作権侵害対策ガイド|日常でよくある落とし穴と予防法

インターネット上で誹謗中傷に遭った時、心臓がバクバクしたり、頭が真っ白になったりするかもしれません。でも、感情的な反応は状況を悪化させてしまうことも。まずは深呼吸し、これからお伝えする初期対応を一つずつ、冷静に進めていきましょう。

今すぐできる!被害を受けた時の初期対応

まずは冷静に – 証拠を残す方法

誹謗中傷の書き込みを見つけたら、何よりも証拠を残すことが大切です。すぐに削除してしまうと、後から証明できなくなる可能性があります。

証拠を残す方法は簡単です。スマートフォンやパソコンのスクリーンショット機能を使って、問題の投稿を画像として保存しましょう。このとき、投稿内容だけでなく、投稿日時、投稿者のアカウント名、URLが画面に映るように全体を撮影することがポイントです。日時が写っていないと、後々の手続きで困ることがあります。

スクリーンショットを撮ったら、念のため複数の方法で保存しておくと安心です。スマートフォンの写真フォルダだけでは、万が一端末が壊れたときに消えてしまう可能性も。クラウドストレージ(Google DriveやiCloudなど)にアップロードしたり、USBメモリに保存したりする方法も検討してください。信頼できる家族や友人にメールで送っておくのも良いでしょう。

また、SNSの場合は投稿のリンク(URL)も忘れずにメモしておきましょう。リンクがあれば、専門家や警察に相談する際に「ここにこういう投稿があります」と正確に伝えることができます。特にTwitter(X)やInstagramのように投稿URLが自動生成されるプラットフォームでは、このリンクが重要な手がかりになるはずです。

「大げさでは?」と感じるかもしれませんが、誹謗中傷の問題は長期化することがあります。相手の特定や削除依頼、場合によっては法的措置を取る際、証拠がしっかり残っているかどうかで結果が大きく変わってきます。

なぜ早めの対応が大切なのか

インターネット上のトラブルにおいて、スピードは命です。「もう少し様子を見よう」と迷っている間に、取り返しのつかない状況になってしまうこともあります。早めの対応がなぜそれほど重要なのか、主な理由は2つあります。

1つ目は、情報の拡散スピードと「デジタルタトゥー」のリスクです。ネット上の情報は、コピーや転載が非常に簡単です。一度誰かの目に触れ、保存されてしまえば、元の投稿を削除しても、別の場所で再びアップロードされる「いたちごっこ」になりかねません。特にリベンジポルノやセンセーショナルな誹謗中傷は、興味本位で拡散されやすいため、被害が小さいうちに食い止めることが何よりも重要です。

2つ目は、法的手続きのタイムリミットです。もし投稿者を特定して法的責任を追及したい場合、プロバイダに残っている「アクセスログ(通信記録)」が必要になります。しかし、このログの保存期間は非常に短く、携帯キャリアでは約3ヶ月、固定回線でも3〜6ヶ月程度で消去されてしまいます。この期間を過ぎると、証拠がなくなり、犯人を特定することが事実上不可能になってしまうのです。

誹謗中傷の削除依頼 – 3つの実践的な方法

インターネット上に書き込まれた誹謗中傷を見つけたとき、「どうすれば消せるんだろう」と途方に暮れてしまう方も多いのではないでしょうか。実は、誹謗中傷の削除には段階的にいくつかの方法があり、状況によって適した手段が変わってきます。ここでは、個人でも実践できる手軽な方法から、より確実性の高い専門家への依頼まで、段階的に3つの削除方法をご紹介します。

ネット上の誹謗中傷を削除するには、大きく分けて3つのアプローチがあります。それぞれにメリット・デメリットがあり、「どの投稿を」「どのくらい急いで」「どこまで確実に」消したいかによって、選ぶべき方法が変わってきます。

SNS運営会社への削除請求(最も手軽な方法)

誹謗中傷に気づいたら、まず試してほしいのがこの方法です。XやInstagram、Facebook、掲示板等、ほとんどのSNSやWebサービスには「報告機能」や「削除依頼フォーム」が用意されています。これを使えば、費用をかけることなく、スマホ一つで削除をお願いできます。

Xなら問題の投稿を長押しして「報告する」を選び、理由を選択するだけです。Instagramでも、投稿の右上にある「…」マークから「報告」を選べば、数タップで完了します。匿名掲示板の場合も、サイトの下部に「削除依頼フォーム」や「通報窓口」が設置されていることがほとんどです。

この方法の最大のメリットは、誰でも今すぐ無料で試せるという点です。また、運営側が規約違反と判断すれば、早ければ数時間〜数日で削除されることもあります。

ただし、注意したいのは、削除されるかどうかが運営会社の判断に委ねられるという点です。「これは誹謗中傷だ」と感じても、運営側が「規約違反には当たらない」と判断すれば、削除されないこともあります。特に、表現がやや曖昧だったり、個人を特定しにくい投稿だったりすると、対応してもらえないケースも少なくありません。

ポイントは、感情的にならず、事実ベースで報告することです。「ひどい」「許せない」といった主観よりも、「どの部分が名誉毀損にあたるか」「どのように傷ついたか」を冷静に記載すると、運営側の判断もスムーズに進みます。

もし対応してもらえなかった場合でも、次の段階へ進むための布石だと考えて、次のステップへ進みましょう。

プロバイダへの削除請求(より確実な対応)

SNSの運営会社に削除依頼をしても対応してもらえなかった場合、次に検討したいのがプロバイダ責任制限法に基づいた削除請求です。この方法は、法律の手続きに則って削除を求めるため、運営会社への簡易な報告よりも応じてもらえる可能性が高くなります。

プロバイダ責任制限法(通称:プロ責法)とは、インターネット上で権利を侵害された人が、投稿の削除や発信者の情報開示を求めることができる仕組みを定めた法律です。この法律を使うことで、法的根拠のある正式な請求として扱われるため、運営側も無視しづらくなるでしょう。

具体的には、投稿されたサイトやSNSを管理するプロバイダに対して、書面やメールで削除を正式に請求します。この際、ただ「削除してください」と書くだけではなく、どの投稿が、どのような権利を侵害しているのかを明確に示すことが重要です。

プロバイダへの請求は、個人でも行うことができます。総務省や法務省のWebサイトには、削除請求のひな形や記入例が公開されており、それを参考に書類を作成し、メールや郵送で送付することが可能です。費用も、郵送代や証明書代など数百円〜数千円程度で済みます。

ただし、個人で進める場合には、いくつか注意すべき点もあります。まず、法律用語や手続きの流れに不慣れだと、書類の不備で受理されないリスクがあります。また、プロバイダ側も慎重に判断するため、請求内容が不明瞭だと「これでは削除できない」と判断されてしまうこともあります。

もし「自分で書類を作るのは不安」「法的な判断に自信がない」と感じる場合は、この段階で弁護士に相談することも一つの選択肢です。弁護士に依頼すれば、書類の作成から送付、その後の交渉まで一貫してサポートしてもらえるため、より確実に削除を実現できる可能性が高まります。

弁護士に依頼する場合の流れと費用

「自分で削除依頼をしても対応してもらえなかった」「投稿者を特定して責任を追及したい」「これ以上被害が広がる前に、確実に削除したい」——そんなときに心強い味方となるのが、弁護士への依頼です。法律の専門家である弁護士に任せることで、削除の成功率が高まるだけでなく、その後の法的手続き(損害賠償請求など)までスムーズに進めることができます。

弁護士に依頼した場合、まず行うのが現状の整理と証拠の確保です。どの投稿が問題なのか、いつ・どこに書かれたのか、それによってどんな被害を受けたのかを、弁護士と一緒に整理していきます。このとき、スクリーンショットやURL、やり取りの履歴などを保存しておくと、その後の手続きがスムーズになります。

次に、弁護士がサイトの運営会社やプロバイダに対して、正式な削除請求を代理で行います。この請求は、個人が行うものよりも法的な説得力が強く、弁護士名義で送られることで、運営会社も「無視できない」と判断しやすくなるでしょう。実際、個人での請求には応じなかったサイトが、弁護士からの通知を受けて削除に応じるケースは少なくありません。

さらに、削除だけでなく投稿者の特定や損害賠償請求まで視野に入れたい場合も、弁護士に依頼することで一貫してサポートを受けられます。誰が書いたのかを突き止めるためには、プロバイダに対して「発信者情報開示請求」を行う必要がありますが、この手続きは専門的で、個人で進めるのは非常に困難です。弁護士に依頼すれば、複雑な手続きも代行してもらえます。

では、気になるのが費用ですよね。弁護士への依頼費用は、案件の内容や難易度によって変わりますが、一般的な目安は以下の通りです。

項目着手金成功報酬
相談料初回無料〜5,000円 / 30分程度
削除請求10万円〜20万円10万円〜20万円
仮処分申立て20万円〜30万円10万円〜20万円
発信者情報開示請求20万円〜30万円15万円〜30万円

合計すると、削除請求だけであれば20万円〜40万円程度、投稿者の特定まで進めると50万円〜80万円程度が相場になります。

決して安くはない金額ですが、精神的な負担を減らし、確実に対処できることを考えると、十分に価値のある選択肢と言えるでしょう。また、最近では弁護士費用保険や法テラスの利用など、費用負担を軽減できる制度もあります。収入が一定以下の方や、保険に加入している方は、これらを活用することで、実質的な負担を抑えながら専門家のサポートを受けることができます。

知っておきたい誹謗中傷の基礎知識

「誹謗中傷」という言葉は日常的に使われていますが、法律的にどのような行為を指すのか、正確に理解している方は意外と少ないかもしれません。ネット上で嫌なことを書かれたとき、「これは訴えられるレベルなのか」「単なる悪口なのか」の線引きが曖昧だと、適切な対応を取るのが難しくなってしまいます。

誹謗中傷とは、根拠のない悪口や事実と異なる情報を流して、相手の名誉や信用を傷つける行為を指します。ただし、法律上は「誹謗中傷」という罪名があるわけではなく、実際には名誉毀損罪や侮辱罪といった具体的な法律に基づいて判断されることになります。

例えば、「〇〇さんは過去に犯罪を犯した」という嘘の情報をネットに書き込まれた場合、これは名誉毀損に該当する可能性があります。一方で、「〇〇はバカだ」といった抽象的な悪口は侮辱罪に当たることがあります。どちらも相手の社会的評価を下げる行為であることに変わりはありませんが、法律上の扱いや対応方法には違いがあるのです。

さらに、書かれた内容が単なる意見や批評の範囲内なのか、それとも違法な誹謗中傷なのかを見極めることも重要です。例えば、あるお店のサービスについて「接客態度が悪かった」という感想を書くこと自体は、消費者の意見として認められる範囲です。しかし、「この店の店員は全員詐欺師だ」といった根拠のない決めつけは、誹謗中傷に該当する可能性があります。

これって誹謗中傷?判断のポイント

感情的に傷ついたからといって、すべてが法的に問題のある書き込みとは限りません。逆に、一見軽い悪口のように見えても、法律上は違法行為として扱われるケースもあります。ここでは、誹謗中傷かどうかを見分けるための具体的なポイントをご紹介します。

  1. 「事実の摘示」か「意見・論評」か?
    • 事実の摘示: 「〇〇さんは不倫をしている」「あの会社は違法な営業をしている」など、具体的な事柄を断定的に述べるものです。これが嘘や根拠のない情報であれば、名誉毀損に該当する可能性があります。
    • 意見・論評: 「〇〇さんの考え方は間違っていると思う」「あの映画はつまらなかった」といった、個人の感想や評価を示すものです。基本的には表現の自由として保護されますが、度を越した侮辱的な表現は侮辱罪に問われることがあります。
  2. 誰のことを指しているか明確か?
    • 実名を挙げて「〇〇は詐欺師だ」と書かれた場合、誰が被害者なのかがはっきりしているため、法的対応がしやすくなります。
    • 「あの業界にはろくな人間がいない」といった抽象的な表現だと、特定の個人を指しているとは言い難く、法的に争うのは難しくなります。
  3. 公共性や公益性があるか?
    • 政治家や有名人の不正を告発する内容であれば、たとえ厳しい表現でも「公益のための情報提供」として認められる場合があります。ただし、その情報が真実であることや、公益目的であることが前提です。単なる個人攻撃や嫌がらせ目的であれば、誹謗中傷と判断される可能性が高くなるでしょう。
  4. 書かれた場所や文脈は?
    • 匿名掲示板で書かれた場合と、実名が紐づくSNSで同じことを書かれた場合では、社会的な影響力が異なります。広く拡散されやすい場所であればあるほど、名誉毀損としての重大性が増すことがあります。

判断に迷ったときは、スクリーンショットなどで証拠を保存しておき、専門家に相談するのが安心です。弁護士や法律相談窓口では、具体的な事例に基づいて「これは法的に対応できるか」を教えてもらえます。

名誉毀損と侮辱 – どちらに当たるかの見分け方

誹謗中傷と一口に言っても、法律的には「名誉毀損」と「侮辱」という2つの異なる概念に分かれます。どちらも他人の名誉を傷つける行為ですが、成立する要件や罰則の重さには違いがあるのです。この違いを理解しておくと、どのような法的対応が可能かを判断しやすくなるでしょう。

  • 名誉毀損: 具体的な事実を示して相手の社会的評価を下げる行為。
    例:「〇〇さんは過去に会社のお金を横領した」「△△は不倫をしている」といった、具体的な事柄を断定的に述べる書き込みがこれに当たります。
  • 侮辱: 抽象的な悪口や罵倒によって相手の名誉を傷つける行為。
    例:「〇〇はバカだ」「あいつはクズだ」といった、感情的な言葉だけで構成された書き込みが該当します。

ただし、実際の法的判断は個別のケースによって異なります。書かれた内容だけでなく、書き込まれた場所や拡散の程度、被害者の社会的立場なども考慮されます。例えば、影響力の大きいSNSで拡散された場合は、より重大な名誉毀損と判断されることがあります。

また、名誉毀損と侮辱の両方が同時に成立するケースもあります。例えば、「〇〇は過去に詐欺で逮捕された最低なクズだ」という書き込みは、具体的な事実(逮捕歴)を示しながら侮辱的な表現(クズ)も含んでいるため、両方の要件を満たす可能性があります。

名誉毀損の場合は、虚偽の事実が広まったことによる社会的信用の低下を立証しやすいため、損害賠償額が高くなる傾向があります。一方、侮辱の場合は精神的苦痛に対する慰謝料が中心になるでしょう。どちらに該当するかによって、取るべき対応や請求できる損害賠償の内容も変わってきます。

損害賠償が請求できるケースとは

誹謗中傷によって精神的な苦痛を受けたり、社会的な信用を失ったりした場合、加害者に対して損害賠償を請求できる可能性があります。ただし、すべての誹謗中傷が自動的に賠償の対象になるわけではありません。ここでは、どのような場合に損害賠償が認められやすいのか、具体的なケースと条件について説明します。

まず、損害賠償が請求できるのは、誹謗中傷によって「損害」が発生したと認められる場合です。この損害には、大きく分けて「精神的損害(慰謝料)」と「財産的損害」の2種類があります。

  • 精神的損害(慰謝料): 誹謗中傷によって受けた精神的苦痛に対する賠償です。根拠のない悪口をネット上で拡散され、それが原因で精神的に傷つき、日常生活に支障をきたした場合、慰謝料を請求できることがあります。書き込みの悪質性や拡散の程度、被害者が受けた影響の大きさなどが総合的に考慮されます。
  • 財産的損害: 誹謗中傷によって具体的な金銭的被害が生じた場合に認められます。例えば、飲食店の経営者が「この店は食中毒を出した」という虚偽の情報をネットに書き込まれ、それが原因で客足が減少し、売上が大きく落ち込んだ場合、その減収分を損害として請求できる可能性があります。

損害賠償が認められるためには、誹謗中傷と損害との間に因果関係があることも重要です。つまり、「その書き込みがあったから、この損害が生じた」という繋がりを示す必要があります。例えば、売上が減少した飲食店の場合、書き込みが拡散された時期と売上減少の時期が一致していることや、実際にその書き込みを見て来店をやめたという顧客の声などが証拠になります。

また、加害者が特定できることも前提条件です。匿名掲示板やSNSで誹謗中傷を受けた場合、まずは投稿者を特定する手続きが必要になります。これを「発信者情報開示請求」といい、プロバイダやサイト運営者に対して、投稿者のIPアドレスや契約者情報の開示を求めるものです。投稿者が特定できれば、その人物に対して損害賠償を請求できるようになります。

損害賠償の金額は、ケースによって大きく異なります。一般的な誹謗中傷による慰謝料は、数十万円から数百万円の範囲になることが多いです。個人の掲示板での悪口であれば10万円〜50万円程度が認められることが多い一方、企業が深刻な信用毀損を受けた場合や、被害者が著名人である場合には、数百万円以上の賠償が認められることもあるでしょう。

ただし、損害賠償請求には時間と費用がかかることも理解しておく必要があります。弁護士に依頼する場合、着手金や成功報酬などの費用が発生しますし、裁判になれば解決まで数か月から数年かかることも。そのため、請求する損害額と実際に得られる賠償額、そしてかかる費用や時間を総合的に考えて、訴訟を起こすかどうかを判断することが大切です。

加害者にならないための注意点

SNSが日常になった今、何気ない一言が「誹謗中傷」と受け取られ、思わぬトラブルに発展することがあります。誰もが被害者になる可能性があると同時に、意図せず加害者になってしまうことも。ここでは、加害者にならないために知っておきたいポイントをやさしく解説します。

誹謗中傷と判断される投稿例

「これくらい大丈夫だろう」と思った投稿が、実は誹謗中傷にあたることがあります。ここでは、具体的にどんな投稿が問題になりやすいのかを見ていきましょう。

  • 他人の容姿や身体的特徴を揶揄する投稿
    軽い冗談のつもりでも、受け取る側には深刻なダメージを与えます。特にSNS上では多くの人の目に触れるため、被害者の心理的負担は計り知れません。
  • 根拠のない噂や憶測を広める投稿
    事実確認をせずに書き込むことは、名誉毀損にあたる可能性があります。「〜らしい」「〜みたい」といった伝聞形式でも、嘘であれば法的責任を問われることがあります。
  • 特定の人物を攻撃する集団行動への参加
    いわゆる「炎上」に便乗して、批判コメントを投稿する行為も危険です。自分一人くらいと思っても、被害者にとっては何百・何千という攻撃の一つとして受け止められます。
  • 相手の職業や収入を貶める投稿
    職業や社会的地位を見下すような発言も、侮辱罪や名誉毀損にあたる場合があります。

こうした投稿の共通点は、相手の人格や社会的評価を貶める内容であることです。正義感や批判の意図があったとしても、表現方法が行き過ぎれば、誹謗中傷と判断されることを覚えておきましょう。

投稿前に確認したいポイント

投稿前にほんの少し立ち止まって、以下のポイントを確認するだけで、トラブルは大きく減らすことができます。

  1. 事実と意見が混同していないか?
    「〇〇さんは詐欺師だ」という断定表現は、証拠がなければ名誉毀損になり得ます。一方、「私は〇〇さんの対応に不信感を持った」という主観的な意見であれば、表現の自由として許容される範囲が広がります。事実を装った断定表現は特に危険です。
  2. 相手を特定できる情報が含まれていないか?
    名前を伏せたと思っても、職業・地域・所属組織・身体的特徴などから、容易に個人が特定できる場合があります。たとえ批判内容が妥当でも、プライバシー侵害になる可能性があるのです。
  3. 感情的になっていないか?一晩置いて読み返したか?
    怒りや不満を抱えているときは、冷静な判断ができません。投稿を下書き保存して翌日読み返してみると、「こんなこと書こうとしていたのか…」と驚くこともあります。時間を置くことで、言葉の選び方や表現の強さを調整するチャンスが生まれます。

これらのポイントをチェックリストのように使うことで、「これは投稿しない方がいいかも」と気づけるようになります。投稿は一瞬ですが、その影響は長く残ります。だからこそ、投稿前のひと呼吸が、自分を守ることにつながるのです。

もし加害者になった場合の対応

どれだけ気をつけていても、誤解や行き違いで「誹謗中傷をした」と指摘されることはあります。もし相手から削除依頼や法的措置の通知が届いたら、どう対応すればいいのでしょうか。

  1. すぐに投稿を削除し、冷静に状況を整理する

まず最初にすべきは、問題となった投稿の削除です。削除したからといって法的責任が消えるわけではありませんが、被害の拡大を防ぐことは重要です。ただし、削除する前に投稿内容のスクリーンショットを保存しておくことも忘れずに。

  1. 感情的に反論せず、誠実な姿勢で対応する

「自分は悪くない」「相手が悪いのに」と感情的になる気持ちは分かります。しかし、言い訳や攻撃的な反論は、事態を悪化させるだけです。まずは相手の感情を受け止め、誠実に対応する姿勢を見せることが大切です。

  1. 専門家に早めに相談する

もし相手から「発信者情報開示請求をする」「損害賠償を求める」といった通知が届いたら、自己判断で対応せず、すぐに弁護士に相談してください。ネット上の誹謗中傷問題に詳しい弁護士であれば、状況に応じた適切なアドバイスをしてくれます。

  1. 誠実な謝罪を検討する

もし自分の投稿が相手を傷つけたと認識できたなら、誠実に謝罪することも選択肢の一つです。ただし、謝罪の仕方を間違えると、かえって相手を怒らせたり、自分に不利な証拠を残したりすることもあります。謝罪文の内容や方法についても、弁護士に相談しながら進めるのが安全です。

  1. 保険や法的サポートの確認

最近では、個人賠償責任保険がSNSトラブルにも適用される場合があります。自分が加入している保険の内容を確認してみましょう。また、弁護士費用特約が付帯していれば、弁護士への相談費用がカバーされることもあります。

加害者になってしまったとき、大切なのは「逃げない・隠さない・誠実に向き合う」ことです。相手の怒りや悲しみを軽視せず、自分の行動を振り返り、適切な対応を取ることで、状況が改善する可能性は十分にあります。

被害の拡大を防ぐための予防策

誹謗中傷の被害に遭ったとき、最初にするべきことは「これ以上広がらないようにする」ことです。完全に止めるのは難しくても、早く気づいて早く動くことで、被害を最小限に抑えられる可能性は高まります。

定期的なエゴサーチの方法

「エゴサーチ」とは、自分の名前や関連するキーワードをインターネット上で検索して、自分についてどんな情報が出回っているかを確認する行為のことです。リベンジポルノ被害に遭った場合、あるいは遭う可能性がある場合には、この習慣が非常に重要な予防策になります。

エゴサーチを定期的に行うことで、新たに自分の画像や動画が投稿されていないか、誹謗中傷の書き込みがされていないかを早期に発見できます。早く見つければ、その分早く削除依頼を出すことができ、被害の拡大を抑えられる可能性が高まるでしょう。

具体的な方法をいくつかご紹介します。

  • 検索エンジンでの検索:

GoogleやYahoo!といった一般的な検索エンジンに、自分の名前やニックネーム、過去に使っていたアカウント名などを入力してみましょう。氏名だけでなく、「名前+地域名」「名前+学校名」「名前+職場名」といった組み合わせでも検索すると、より詳しく調べられます。

  • 画像検索機能の活用:

Google画像検索では、自分の顔写真をアップロードして「この画像に似た写真がネット上にあるか」を調べることができます。これにより、自分の写真が無断で使われていないかをチェックすることが可能です。

  • SNSでのエゴサーチ:

TwitterやInstagram、TikTokなどでは、自分のアカウント名や本名で検索してみてください。投稿された画像に付けられたハッシュタグや、特定のキーワード(例:「流出」「晒し」など)と自分の名前を組み合わせて検索することで、より深く調べられます。

エゴサーチで見つけた不適切な投稿はスクリーンショットを撮って証拠として保存しておいてください。投稿日時、URL、投稿者のアカウント名などがわかる状態で保存すると、後々の削除依頼や法的手続きの際に役立ちます。

再発防止のためにできること

一度誹謗中傷の被害に遭うと、「また何か書かれるのではないか」と不安になるものです。完全に他人の行動をコントロールすることはできませんが、設定や心構えによりリスクを減らすことは可能です。

  1. SNSのプライバシー設定を見直す

アカウントを「非公開」にする、リプライやDMを送れる人を「フォローしている人のみ」に制限するなど、不特定多数からの接触を物理的に減らす設定を活用しましょう。

  1. 個人情報の出し方を工夫する

居住地域、職場、学校、家族構成など、個人が特定されやすい情報の投稿は控えましょう。写真の背景や位置情報からも特定されることがあるため、投稿前のチェックが必要です。

  1. 「ミュート」や「ブロック」を躊躇なく使う

攻撃的なアカウントや、見ていて不快になる投稿は、我慢せずにミュートやブロック機能を使って視界に入れないようにしましょう。自分の精神衛生を守ることが最優先です。

  1. スルーする力をつける

誹謗中傷をする人は、相手の反応を楽しんでいる場合があります。反論や反応をすると、かえって攻撃が激化(炎上)することがあります。「反応しない」ことが、結果的に一番の自衛になることも多いです。

  1. エゴサーチの頻度をコントロールする

気になって検索したくなる気持ちは分かりますが、頻繁なエゴサーチは精神的な負担になります。「見ない」という選択も、心の平穏を守るための立派な対策です。

相談できる公的機関・無料法律窓口

誹謗中傷の被害に遭ったとき、弁護士に依頼する前の段階や、費用をかけずに相談したい場合に利用できる公的機関や窓口があります。一人で悩まず、まずは専門の相談員に話を聞いてもらいましょう。

  • 違法・有害情報相談センター(総務省支援事業)

インターネット上の誹謗中傷トラブルに関する相談を受け付けています。サイト管理者への削除依頼の方法や、発信者情報開示請求の流れなどについて、専門のアドバイザーが具体的にアドバイスしてくれます。

  • 法務省 インターネット人権相談受付窓口

24時間いつでもインターネットから相談を申し込むことができます。法務局の職員や人権擁護委員が、削除依頼の方法を助言したり、事案によってはプロバイダへの削除要請を代行(人権侵犯事件として立件された場合)してくれたりすることもあります。

  • 誹謗中傷ホットライン(一般社団法人セーファーインターネット協会)

ネット上の誹謗中傷に対し、削除依頼の方法などのケアを行っている民間の相談窓口です。国内外のプロバイダ等の利用規約に基づき、削除対応のサポートを行っています。

  • 法テラス(日本司法支援センター)

「弁護士に頼みたいけれど費用が心配」という方のための公的な案内所です。経済的な条件を満たせば、無料法律相談や弁護士費用の立て替え制度を利用できます。

  • 警察相談専用電話(#9110)

殺害予告や執拗なつきまといなど、身の危険を感じる場合や犯罪性が高い場合は、迷わず警察に相談してください。緊急通報(110番)するほどではないけれど相談したい、という場合に適した窓口です。最寄りの警察署の「サイバー犯罪相談窓口」でも相談可能です。

どの窓口に相談するか迷ったときは、まずは最寄りの警察や自治体の相談窓口に連絡してみるのが良いでしょう。そこで話を聞いてもらいながら、状況に応じて適切な専門機関を紹介してもらうこともできます。大切なのは、「一人で悩まない」「早めに相談する」ことです。専門家や支援者の力を借りることで、少しずつでも前に進んでいくことができます。

法務急済運営事務局

法務急済運営事務局|株式会社WEBY 株式会社WEBYの法務急済運営事務局として、全国400以上の弁護士・司法書士事務所のWEBマーケティングを支援。法律分野に特化したWEB集客の知見を活かし、これまでに1,000本以上の法律系記事の企画・執筆・編集に携わる。HP制作、SEO対策、WEBコンサルティング、LMC(ローカルマップコントロール)など多角的なサポートを通じて、法律業界の最新動向に精通。 企業法務に求められる実務視点と、法律事務所支援で培った専門知識を基に、企業が抱える法務課題に対して実行可能な情報提供を行うとともに、適切な弁護士・司法書士の紹介も行っている。

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