商標登録 弁護士が必要な場面とは?トラブル別に解説
知的財産・知財法務
2025.11.15 ー 2025.11.13 更新
商標登録を大切に育んだブランドやサービスを守るために、弁護士のサポートが必要となる具体的なケースと、その判断基準について解説します。

商標権侵害を受けた時の緊急対応
もし、あなたの商標権が他社によって侵害されたら、どうしますか?適切な初動対応が、被害の拡大を防ぐカギとなります。商標権侵害とは、登録された商標とそっくり、または似ている商標を、あなたの許可なく商品やサービスに使われる行為を指します。
まず大切なのは、侵害の事実を客観的に記録することです。相手のウェブサイト、広告、商品パッケージなど、侵害行為の証拠を日付入りで残しましょう。スクリーンショット、写真、実際に購入した商品の保管など、後々の法的手続きで必要となる証拠集めですね。
次に、侵害行為の規模や影響度を冷静に評価してください。個人が趣味で運営する小規模なブログなのか、それとも同業他社が組織的に行っている商業利用なのかで、対応の緊急度は大きく変わります。後者の場合、売上への影響やブランド価値の毀損が深刻になりかねません。速やかな法的対応が求められるでしょう。
侵害の発見が遅れると、相手の事業は拡大し、交渉や損害賠償はどんどん複雑化してしまいます。特に、相手が意図的に商標権を侵害している疑いがある場合や、警告書を送っても対応しない場合は、弁護士による法的手続きの検討が必要です。
商標法違反による損害賠償請求への対処
商標権を侵害された場合、権利者は侵害者に損害賠償を請求できます。しかし、その手続きは法的に複雑。適切な証拠収集と法的根拠の構築が欠かせません。
損害賠償の計算方法は複数パターンあります。侵害者が得た利益や、権利者が受けた損害、本来得られた使用料などを元に計算しますが、専門的な法的知識と実務経験が必要です。素人判断では、適切な請求額の設定は難しいでしょう。
また、商標権侵害を証明するには、商標が似ているか、商品・サービスが似ているか、消費者が混同する恐れがあるかなど、高度な法的判断が求められます。これらの判断を誤れば、逆に相手から不当な権利行使だと反訴される危険性も。慎重な対応が必須です。
損害賠償請求を考えるなら、請求額の妥当性、回収の見込み、訴訟のリスク、時間や費用のコストを総合的に判断することが大切です。弁護士に相談すれば、専門的な視点から最適な解決策が見つかるでしょう。
商標出願で拒絶理由通知が届いた時の対応
商標出願後、特許庁から「拒絶理由通知」が届くことは珍しくありません。これは、あなたの商標が登録の条件を満たしていない可能性があると審査官が指摘する通知書のこと。この通知を受けたら、適切な対応をしないと商標登録は認められません。
拒絶理由はさまざまです。すでに登録されている商標と似ている、商標が「普通名称(一般的な呼び方)」で識別力がない(例:「美味しいパン」のように、パン業界で一般的な表現)、公序良俗に反するとされる、といったケースがあるでしょう。
拒絶理由通知への対応方法は、意見書の提出、商標の補正(指定商品・サービス範囲の修正)など、複数の選択肢があります。意見書では、拒絶理由が妥当でないことを法的根拠と共に主張。商標の補正では、指定商品・サービスの範囲を狭めることで、登録へと進める場合もあるのです。
しかし、これらの手続きには商標法への深い理解と実務経験が不可欠です。不適切な対応をすると、本来登録できたはずの商標が拒否されたり、必要以上に権利範囲を狭めてしまったりする危険性も伴います。
特に、先行商標との「類似性判断」や「識別力」の判断は、過去の審決例や判例の知識なしでは適切な反論は難しいもの。拒絶理由通知が届いたら、まずは弁護士や弁理士に相談し、専門家の意見を聞くことから始めましょう。最適な対応方針を見つけることが、商標登録の可能性を最大限に高めます。
弁護士と弁理士の違い|あなたはどちらに依頼すべき?
商標を守りたいけれど、「弁護士と弁理士、どちらに相談すべき?」と迷っていませんか。どちらも法律の専門家ですが、商標分野における役割と得意分野には明確な違いがあります。
弁護士は、法的紛争の解決や訴訟代理が主な業務。一方、弁理士は、商標をはじめとする知的財産権の出願手続きや権利取得に特化した国家資格者です。
商標の世界では、この役割分担がはっきりしているため、あなたの状況に合わせて最適な専門家を選びましょう。時間も費用も効率的に使え、スムーズな問題解決と確実な権利保護につながります。
まずは下の表で、それぞれの得意分野と依頼すべき時をチェックしてみませんか。
| 弁護士 | 弁理士 | |
| 得意分野 | 紛争解決・訴訟代理 | 出願・権利取得 |
| 依頼すべき時 | トラブル発生時 | 新規登録時 |
| 特徴 | 訴訟対応の唯一の専門家。トラブル解決のプロ。 | 知的財産権の取得手続きの専門家。 |
商標出願手続きは弁理士が専門
新しいブランド名やロゴを商標登録したいなら、弁理士に依頼するのが最も確実で効率的な選択です。弁理士は、商標権をはじめとする知的財産権の取得手続きを専門とする国家資格者だからです。
弁理士の主なサービスは、商標調査、出願書類の作成、特許庁との手続き代行、そして審査への対応です。特に重要なのは、事前の商標調査でしょう。弁理士は専門データベースで類似商標を詳細に調べ、登録の可能性を判断してくれます。この調査なしに出願すると、既存商標と似ていて、出願費用が無駄になるリスクもゼロではありません。
また、商標出願書類の作成にも高度な専門性が必要です。「指定商品・役務」の選定ひとつにしても、将来のビジネス展開を見据えた戦略的な判断が求められます。弁理士なら、事業内容を深く理解した上で、最適な権利範囲を提案。特許庁からの拒絶理由通知への対応や、商標権取得後の更新手続きまで、長期的なサポートを受けられます。
費用面でも、弁理士は商標出願の相場を熟知しており、透明性の高い料金体系を提示してくれます。無料相談を実施している事務所も多いので、まずは気軽に相談してみるのがおすすめです。
侵害トラブルや法的争いは弁護士が専門
もし商標権侵害による法的トラブルに巻き込まれたら、弁護士への依頼が必要です。弁護士は、法廷での代理権を持つ唯一の専門家。訴訟や法的交渉を通じて、あなたの権利を守るために戦ってくれます。
弁護士が力を発揮するのは、たとえば他社からの警告書への対応です。「商標権を侵害している」という内容証明郵便が突然届き、パニックになる経営者の方も少なくありません。しかし、警告書の内容が必ずしも正当とは限りません。弁護士は法的観点から警告内容を分析し、適切な反論や和解交渉を進めます。相手の主張に法的根拠がなければ、不当な要求を退けることも可能でしょう。
逆に、あなたが商標権者として侵害行為を発見した際も、弁護士の専門性が重要です。侵害の証明、損害額の計算、使用停止の要求(差止請求)の可否など、法的な論点を整理して戦略を立ててくれます。訴訟になれば、証拠収集から法廷での主張立証まで、全面的にサポートを受けられるでしょう。
また、商標権侵害の損害賠償請求では、適切な損害額の計算が重要です。弁護士は過去の判例や法的基準に基づき、妥当な賠償額を主張。示談交渉でも、法的リスクを踏まえた現実的な解決策を提案してくれるため、感情的にならずに冷静な判断ができます。
【ケース別】最適な専門家選択の判断フロー
商標に関する問題は多岐にわたりますが、最適な専門家を選ぶための判断フローを参考にしてみてください。
こんなあなたは「弁理士」へ相談!
- 新しいブランド名やロゴを登録したい
- 登録できるか事前に調査してほしい
- とにかく権利を早く確実に押さえたい
こんなあなたは「弁護士」へ相談!
- 他社から「商標を侵害している」と警告書が届いた
- 自社の商標をマネされているのを発見した
- 訴訟や交渉が必要になりそうだ
どちらか迷ったら?
- 「権利取得」が目的なら弁理士、「法的争いの解決」が目的なら弁護士と判断しましょう。
- 弁理士と弁護士が連携してサポートするケースも多いため、まずは無料相談で状況を話してみるのが一番です。悩むより、まず行動が解決への第一歩となります。
信頼できる商標専門弁護士の見つけ方と選定基準
商標登録を考え始めたものの、「どの弁護士に頼めばいい?」と悩んでいませんか。商標は、あなたの会社にとって大切な財産。しかし、手続きを間違えると取り返しのつかない結果を招くこともあります。適切な専門家選びが、あなたのビジネスを守る第一歩となるのです。
商標に強い法律事務所を見分ける3つのポイント
商標分野に精通した弁護士を見つけるには、表面的な情報だけでなく、実務経験の深さや専門性を見極めることが重要です。多くの法律事務所が「知的財産権対応可能」と謳っていますが、実際の商標実務における経験値には大きな差があるのが現実でしょう。
商標出願・審判の実績件数を具体的に確認する
まず注目すべきは、年間の商標出願件数や審判(特許庁への不服申し立て)対応の実績です。「商標も扱っています」という事務所と、年間数百件もの商標案件を手がける事務所では、ノウハウの蓄積に雲泥の差があるでしょう。
具体的な判断基準としては、年間50件以上の商標出願実績がある事務所なら、一定の専門性を持っていると考えられます。さらに、商標異議申立てや無効審判といった争訟(争いに関する)案件の経験があるかどうかも重要な指標です。これらは高度な専門知識を要する手続きのため、対応実績がある事務所は商標法への理解が深いと判断できるでしょう。
特許庁での代理人経験や審査官出身者の在籍状況
商標の世界では、特許庁での実務経験が非常に重要な意味を持ちます。元特許庁の審査官や審判官が在籍している事務所なら、審査基準の運用や審査官の判断傾向を熟知しているため、より戦略的なアドバイスが期待できるでしょう。
また、弁理士資格を持つ弁護士、あるいは弁護士と弁理士が連携している事務所も有力な選択肢です。商標の出願から権利行使まで一貫してサポートできる体制があれば、将来的なトラブルにも迅速に対応してもらえる安心感があるでしょう。
業界特有の商標事情への理解度
あなたの事業分野に関する商標事情を理解している弁護士を選ぶことも大切です。IT業界とアパレル業界では、商標の使用形態や権利侵害のリスクが大きく異なるからです。
事務所のホームページで過去の取扱事例を確認し、あなたの業界での経験があるかチェックしてみてください。同業他社の商標戦略や業界特有のトラブル事例を把握している弁護士なら、より実践的なアドバイスが得られるでしょう。
初回相談で必ず確認すべき質問リスト
初回相談は、弁護士の専門性と相性を見極める重要な機会です。限られた時間を有効活用するため、事前に質問を準備しておくことが成功のカギとなるでしょう。
商標調査と出願戦略に関する質問
まず、「類似商標の調査はどの程度の範囲で行いますか?」と質問しましょう。単純な文字の一致だけでなく、読み方や意味の類似まで含めた包括的な調査を行う事務所かどうか、確認できる質問です。
続いて、「商標の『指定商品・指定役務』はどのように決定しますか?」と尋ねてみてください。将来の事業展開も視野に入れた戦略的な提案ができる弁護士なら、現在の事業だけでなく、中長期的な展望についても質問してくるでしょう。
また、「もし拒絶理由通知が来た場合、どのような対応を取りますか?」という質問も効果的です。単に「意見書を提出します」という回答ではなく、具体的な反論戦略や代替案の提示方法について説明できる弁護士であれば、実務経験の豊富さが伺えるでしょう。
費用体系と今後のサポート体制
商標登録は一度の手続きで終わりではありません。「登録後の権利維持や侵害対応についても相談できますか?」と確認し、長期的なパートナーシップが築けるか見極めましょう。
費用については、「追加費用が発生する可能性がある場面」を具体的に教えてもらいましょう。拒絶理由への対応費用や、分割出願が必要になった場合の料金体系など、想定外の出費を避けるためにも重要な確認事項です。
対応スピードとコミュニケーション方法
「通常、相談から出願まではどの程度の期間がかかりますか?」という質問で、事務所の処理能力を把握できます。また、「進捗状況はどのような方法で報告していただけますか?」と尋ね、定期的な情報共有体制があるか確認しましょう。
商標の世界では、「先願主義(早い者勝ちのルール)」により、出願のタイミングが権利取得の成否を左右します。迅速かつ正確な対応ができる事務所を選ぶことが、あなたの商標権を確実に守ることにつながるでしょう。
弁護士選びで絶対に避けるべき失敗パターン
商標の専門家選びで多くの経営者が陥りがちな失敗パターンを知っておけば、適切な判断ができるようになるはずです。
料金の安さだけを重視する落とし穴
「とりあえず安い事務所で」という考え方は、長期的に見ると大きなリスクを伴います。商標登録の基本料金が相場より大幅に安い事務所では、必要な調査が省略されていたり、出願後のフォローが不十分だったりするケースもあるからです。
たとえば、類似商標の調査を簡易的にしか行わない事務所だと、後から先行商標との抵触が発覚し、せっかくの出願が無駄になる可能性も。また、拒絶理由通知への対応費用が別途高額になる料金体系の場合、結果的に総費用が相場を上回ることも珍しくありません。
適正な料金で質の高いサービスを提供している事務所を見つけるには、複数の事務所から見積もりを取り、サービス内容を詳細に比較することが重要です。
一般的な法律事務所に商標登録を依頼するリスク
「顧問弁護士がいるから商標もお願いしよう」という判断は、必ずしも最善とは限りません。商標法は非常に専門性の高い分野であり、一般的な企業法務を扱う弁護士では対応が難しい場面も多いのです。
特に、商標が似ているかどうかの判断(類否判断)や、指定商品・指定役務の選択には、膨大な判例知識と実務経験が必要です。商標に精通していない弁護士では、適切なアドバイスができず、権利取得の機会を逃したり、将来の権利行使に支障をきたしたりするリスクがあります。
コミュニケーション不足による認識の齟齬
商標の専門用語や手続きの流れについて、分かりやすく説明してくれない弁護士には注意が必要です。依頼者の理解度を確認せずに一方的に進める事務所では、期待していた結果と異なる商標が登録されてしまうケースもあるからです。
また、進捗報告が滞る事務所も避けましょう。商標の審査は長期間にわたるため、定期的な状況報告がなければ、不安が募るばかりです。
最も重要なのは、専門的な内容を分かりやすく説明し、依頼者の疑問に丁寧に答えてくれる弁護士を選ぶこと。商標という専門性の高い分野だからこそ、あなたの事業を理解し、長期的なパートナーとして信頼できる専門家に出会うことが大切です。安心して商標戦略を進めるためにも、適切な専門家選びは時間をかけてでも慎重に行う価値があるでしょう。
商標登録の弁護士依頼にかかる費用と依頼タイミング
商標登録を検討しているけれど、「弁護士に依頼するとどのくらいの費用がかかるんだろう?」と気になっていませんか。自分で手続きをするか、専門家に任せるか迷っている方のために、具体的な費用相場と最適な依頼タイミングを分かりやすく解説します。
商標関連の弁護士費用相場【ケース別一覧】
商標関連の費用は、依頼内容によって大きく変わります。一般的な弁護士費用相場を以下の表にまとめました。
| 依頼内容 | 弁護士費用相場 | 特許庁印紙代(別途) |
| 商標登録出願(1区分) | 15万~30万円 | 約4万円~ |
| 拒絶理由への対応 | 5万~15万円 | – |
| 侵害警告への対応(交渉) | 20万~40万円 | – |
| 侵害訴訟 | 50万円~ | – |
| 商標登録後の更新手続き | 5万~10万円 | 約4万円~ |
個人事業主や中小企業の場合、費用を抑えたいと考えるのは当然です。弁護士事務所によって料金体系は異なり、商標の区分数(商品・サービスの分類)に応じて費用が加算される仕組みが一般的でしょう。また、上記弁護士費用とは別に、特許庁へ支払う印紙代(登録料)も発生します。
弁護士依頼で得られる具体的なメリット
弁護士に商標登録を依頼するメリットは、単に手続きを代行してもらえるだけではありません。最大の価値は、専門知識に基づいた戦略的なアドバイスを受けられる点にあります。
商標調査の精度の高さは、弁護士依頼の重要なメリットです。ご自身で調査しても、表面的な類似商標は見つけられても、法的な判断基準に基づいた詳細な分析は難しいでしょう。弁護士であれば、過去の審判例や裁判例を踏まえ、登録の可能性を的確に判断。文字は異なっても読み方が似ている商標や、業界慣行を考慮した判断など、素人では気づきにくいポイントまでカバーしてくれます。
出願書類の品質も大きく異なります。商標登録では、「指定商品・サービス」の記載方法が、登録後の権利範囲を決定するからです。弁護士は、依頼者のビジネス展開を見越した適切な区分選択と、将来のトラブルを防ぐ記載方法を提案。これは費用以上の価値があると考える経営者も多いはずです。
拒絶理由通知が来た場合の対応力も大きなメリットです。特許庁から「この商標は登録できません」と通知が届いた時、ご自身で対応するのは非常に困難でしょう。弁護士は、法的根拠に基づいた反論書を作成し、登録実現の可能性を最大化してくれます。
さらに、登録後のトラブル対応まで一貫してサポートしてもらえることも、大きな安心材料です。他社から商標権侵害の警告を受けたり、逆に自社の権利を侵害されたりした場合でも、継続的な関係があれば迅速かつ適切な対応が期待できますね。
費用対効果を最大化する依頼タイミング
商標登録を弁護士に依頼するタイミングは、費用対効果を大きく左右する重要な要素です。最も効果的なのは、商品・サービス名やロゴが決まり、事業を開始する前。この段階で依頼することで、後々の大きなリスクを未然に防ぐことができるでしょう。
事業開始前の依頼が推奨される理由は明確です。もし商標調査の結果、すでに類似の商標が登録されていると判明した場合、名称変更に伴うコストは事業規模が小さいほど抑えられます。ロゴデザインの修正、ホームページの作り直し、名刺や看板の変更など、事業が軌道に乗ってからでは変更コストが膨大になるばかりです。
一方、アイデア段階での依頼は費用対効果が低くなる可能性があります。事業計画が固まっていない状態では、適切な区分選択や権利範囲の設定が困難なためです。商標登録は具体的なビジネスモデルが見えてから検討するのが賢明でしょう。
すでに事業を開始している場合でも、遅すぎることはありません。特に売上が安定してきた段階や、事業拡大を検討している時期は絶好のタイミングです。ブランド価値が高まっている状況での商標登録は、投資に対するリターンも明確に見込めるでしょう。
年間売上が500万円を超えた段階、従業員を雇用することになった時期、新商品の開発を開始した段階など、事業の節目での検討がおすすめです。これらのタイミングでは、商標権の価値と保護の必要性が一層高まっているからです。
費用面での工夫として、複数の商標をまとめて依頼することで、弁護士費用の単価を下げられる場合もあります。事業の全体像を整理し、中長期的な視点で必要な商標を洗い出してから相談すれば、より効率的な費用配分が可能になるでしょう。
商標は事業の重要な資産です。適切なタイミングで専門家に相談することで、将来のリスクを回避し、安心して事業に集中できる環境を整えられるでしょう。
よくある質問
商標登録を初めて検討する際、多くの方が共通の疑問を抱かれます。ここでは、よく寄せられる質問について、分かりやすくお答えしていきます。
商標登録と特許・意匠登録の違いは?
知的財産権には、商標権以外にも特許権、意匠権などがあります。それぞれ保護対象と目的が異なりますので、下の表で違いをチェックしてみましょう。
| 商標登録 | 特許 | 意匠登録 | |
| 保護対象 | ブランド名、ロゴ、サービス名など「目印」 | 新しい技術的アイデア、発明 | 商品の形状、模様、色彩など「デザイン」 |
| 目的 | 競合との識別、ブランド保護 | 技術の独占利用、研究開発の促進 | 魅力的なデザインの保護 |
| 存続期間 | 10年(更新で半永久的) | 出願から20年(更新なし) | 登録から最長25年 |
| 具体例 | 「〇〇工房」というパン屋の屋号 | 新しい断熱材の製造方法 | 独特な形状の家具、パッケージデザイン |
これらの違いから、多くの中小企業や個人事業主にとって最も身近で重要なのは商標登録と言えるでしょう。特許や意匠は、技術開発や製品デザインに多額の投資をしている企業でなければ、取得の必要性が低いケースが多いからです。しかし、商標は事業を営む上で必ず何らかの名称やマークを使用するため、規模に関係なく検討すべき大切な権利です。
相談時に準備すべき情報は?
専門家に商標登録の相談をする際は、事前に情報を整理しておくのがおすすめです。より具体的で有益なアドバイスを受けられますし、相談時間の短縮によりコスト削減にもつながるでしょう。
まず最も重要なのは、登録したい商標の具体的な内容です。商品名やサービス名、会社名、ロゴマークなど、保護したい対象を明確にしてください。文字商標の場合、ひらがな・カタカナ・漢字・英字のどの表記で登録するかも重要なポイントです。「さくら」「サクラ」「桜」「SAKURA」のように、表記が変われば商標調査の結果も変わる可能性があります。
ロゴマークの場合は、デザインの詳細がわかる資料を用意しましょう。色付きなのか、白黒でも使用するのか、文字とマークが組み合わさっているのか単独なのかなど、実際の使用形態に合わせた情報が必要です。
次に、事業内容の詳細を整理しておきましょう。現在行っている事業だけでなく、将来的に展開予定の事業についても伝えることが重要です。例えば、今は小売店を営んでいても、将来的にオンライン販売や製造業への参入を検討しているなら、その情報も共有すべきでしょう。これにより、適切な区分選択のアドバイスを受けられます。
競合他社の情報も重要です。同じような名前やデザインを使用している会社があるか、業界内でよく使われている一般的な用語が含まれているかなど、気になる点があれば事前に調べておきましょう。ただし、商標調査は専門的な知識が必要な作業です。素人調査の結果に過度に依存せず、参考情報として提供する程度に留めるのが賢明です。
予算についても率直に相談しましょう。商標登録には特許庁への手数料と専門家への報酬が必要ですが、区分数や案件の複雑さによって費用は変動します。予算の上限を伝えることで、その範囲内で最適なプランを提案してもらえるでしょう。
最後に、希望する手続きの進行スケジュールも伝えておいてください。急ぎの案件なのか、じっくり検討したいのかによって、専門家側の対応方法も変わってくるからです。
専門家への相談は、単に手続きを依頼するだけでなく、事業を守るための知的財産戦略を考える貴重な機会です。準備を整えて相談すれば、あなたの事業にとって最適な保護方法が見つかるでしょう。経験豊富な専門家であれば、業界特有のリスクや効果的な権利活用方法についても、きっと有益なアドバイスを提供してくれます。

法務急済運営事務局
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