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取引基本契約書とは?目的や必須項目、作成手順、ポイント、テンプレートの使い方を徹底解説!
契約書・リーガルチェック
2024.12.02 ー 2024.12.03 更新
売買などの取引において必要不可欠な取引基本契約書。活用シーンも多い書類ですが、ビジネスを始めたばかりの方にとっては聞き馴染みのない書類だと思います。どのような内容を盛り込むべきか、どのような手順で作成すればよいのか、悩むことも多いことでしょう。
そこでこの記事では、取引基本契約書の作成時のポイントや手続きの流れについて詳しく解説します。
本記事を最後まで読んで頂くと、取引基本契約書の作成に関する理解が深まり、自信を持って契約書を作成できるようになるでしょう。また、取引先との良好な関係構築にも役立つ知識を得ることができます。ビジネスの基礎となる取引基本契約書について理解を深めましょう。
無料で相談できる専門家検索はこちらから>>取引基本契約とは?その目的と必要性
取引基本契約とは、企業間で継続的な取引を行う際の基本的なルールを定めた契約書です。この契約は単一の取引ごとに結ぶものではなく、将来にわたって繰り返される取引全般に適用されるもので、双方が安心して取引を進められるための基盤として重要な役割を果たします。
取引基本契約は、単なる売買契約や請負契約とは異なり、長期的かつ安定した取引関係を築くことを目的としています。
取引基本契約の必要性は、契約によって双方の権利と義務が明確化され、誤解やトラブルを未然に防ぐ点にあります。納品や支払いの条件、契約解除の手順、瑕疵(欠陥)が見つかった場合の責任分担などについて基本的な取引ルールが明確にすることで、双方の信頼関係が強化され、ビジネスのリスクが軽減されます。
また、取引基本契約には法令や業界の標準に従った内容が含まれるため、コンプライアンスの観点からも重要と言えます。特に、契約不適合責任や損害賠償の範囲などについて合意しておくことで、トラブル発生時にも適切な対応が可能となり、関係の悪化を防ぐ効果もあります。
取引基本契約は、一度締結することで個別の取引ごとに契約交渉を行う必要がなくなり、業務効率が向上するという利点もあります。このように、取引基本契約は安心できる取引の枠組みを提供し、信頼性の高いビジネス環境を実現するために必要不可欠な契約書です。
取引基本契約書に記載すべき必須項目
取引基本契約書では、以下の項目が必須とされています。
- 目的・適用範囲
- 個別契約の取り決め
- 商品や所有権に関する項目
- 代金支払いに関する項目
- 責任・義務や知的財産権の扱い
他にも記載するべき項目はありますが、必須であり重要な項目は上記の4つとなります。それぞれの項目について解説していきます。
目的・適用範囲
取引基本契約書の目的・適用範囲では、両者が契約を結ぶ目的と、その契約がどの範囲まで適用されるかを明確に定義します。目的の記載では、取引の概要や両者の関係性を簡潔に述べ、長期的な取引関係の構築を目指す意図を示すことが一般的です。
適用範囲については、この基本契約が個別の取引にどのように適用されるかを明確にします。通常、基本契約の条項が個別契約に優先して適用されることや、個別契約で特別な定めがない限り基本契約が適用されることなどを記載します。
将来的な取引の拡大や変更に備えて、適用範囲の変更手続きについても触れておくと良いでしょう。これにより、ビジネスの発展に伴う契約の柔軟な対応が可能となります。
個別契約の取り決め
取引基本契約書における個別契約の取り決めとは、取引の全体的な枠組みを定める取引基本契約に基づき、具体的な取引内容や条件を個別の案件ごとに定める契約を指します。
これは取引基本契約が大枠のルールを提供する一方で、各取引の詳細を柔軟に管理できるようにするための重要な項目です。例えば、納品日や数量、単価、支払い方法などの詳細は、各取引ごとに異なる場合が多いため、個別契約で明確に取り決めることが求められます。
個別契約の取り決めを適切に行うことは、双方の認識のズレを防ぎ、トラブルの発生を抑える役割を果たします。個別契約の優先順位や適用範囲、双方が承認しなければならない手順などを定めておき、どのような場合に個別契約を締結するかについても明確にします。
また、取引内容や条件が変更された際には、新たな個別契約として取り決める必要があるため、変更手続きに関するルールも取引基本契約で規定しておくと良いでしょう。これにより、双方がその都度契約条件を確認できる体制が整い、ビジネスの安定性と透明性が向上します。
商品や所有権に関する項目
取引基本契約書において、商品や所有権に関する項目は重要な要素となります。これは取引される商品やサービスの内容を明確にし、取引時の所有権移転やその条件を定めることで、双方の理解と権利を明確化する役割を果たします。
まず、取引の対象となる商品やサービスの種類や仕様について具体的に記載することが求められます。これには、商品の名称や規格、品質基準、納品形態などが含まれ、後々の認識の違いを防ぐためにも詳細な記述が必要です。
次に、所有権の移転時期も重要な要素になります。一般的には商品の引き渡しや代金の支払い完了をもって所有権が移転しますが、取引内容や双方の合意によって異なる場合もあります。
例えば、製造業などでは完成品の引き渡し時に所有権を移転する場合もあれば、分割納品や分割払いの取引においても移転のタイミングを調整するケースがあります。所有権移転の条件や時期を具体的に定めることで、双方のリスクを最小限に抑えることができます。
さらに、瑕疵担保責任も確認しておかなければいけません。引き渡された商品に欠陥や不具合があった場合、売り手がどの範囲まで責任を負うのか、修理や交換の対応が可能かなどを明確に定めておくことが望ましいでしょう。これにより、万一の問題発生時にも円滑に対応できる体制が整います。
このように、商品や所有権に関する項目は、取引基本契約書の中で取引の実態に即した重要な記載となります。
代金支払いに関する項目
取引基本契約書における代金支払いに関する項目は、取引の円滑な進行と信頼関係の維持に欠かせません。支払い条件やタイミング、金額の決定方法など、支払いに関する具体的な取り決めを詳細に記載します。
支払い条件では、支払期日と支払い方法を明記することが求められます。例えば、代金の支払いを「納品後30日以内」「月末締め翌月末払い」など、双方が合意するスケジュールに沿って設定します。また、銀行振込やクレジットカード、現金など、具体的な支払い方法も事前に取り決めておくとよいでしょう。
次に、支払い遅延が発生した場合の対応も明記しておきます。支払いが遅れた場合には、延滞金や違約金が発生する条件を設定し、その割合や計算方法を明示することでリスク管理が可能になります。支払い遅延によるキャッシュフローの乱れを防ぎ、双方にとって円滑な取引を継続させるための一助となります。
さらに、代金支払いの項目には、請求書の発行や確認手続きについても盛り込むのがおすすめです。請求書の提出タイミングや発行方法を取り決めることで、事務処理が効率化され、支払いの確実性が高まります。これにより、取引先との信頼関係が強化され、業務全体の透明性も向上します。
代金支払いに関する項目は、契約全体の信頼性を支えるもので、適切な取り決めを通じて双方にとって満足度の高い取引を実現するために欠かせない要素となります。
責任・義務や知的財産権の扱い
取引基本契約書における責任・義務や知的財産権の扱いは、取引双方の権利や責任を明確にする役割を果たします。この項目は、業務遂行において発生する可能性のあるトラブルや紛争を未然に防ぎ、相互関係の安定を保ちます。
責任と義務の明記については、各取引において双方が遵守すべき義務や責任の範囲を明らかにします。納品や支払いの遅延、瑕疵(欠陥)の発見などに関する対応や、これに伴う損害賠償責任をどちらが負うのかを取り決めておくことで、取引の進行における不安要素を減らすことができます。
契約不適合責任の範囲や保証期間、違反時の罰則も含めて具体的に記載することで、相互の信頼性が高まり、長期的な関係構築に寄与します。
知的財産権の扱いについては、開発した製品や創出したノウハウなど、取引を通じて得られた知的財産の権利帰属を明確にするために必要です。特に、共同で技術開発を行う場合や相手方の商標や特許技術を活用する場合には、どちらに知的財産権が帰属するかを明確にしておくことが不可欠です。
さらに、知的財産の利用範囲やライセンス料の有無、禁止事項なども盛り込むことが一般的です。これにより、取引の中で発生する技術や情報の利用が適切に管理され、競争上の優位性が保たれることが期待されます。
取引基本契約書における契約解除や契約期間設定のポイント
上記の項目に加え、取引基本契約書では契約解除と契約期間の設定が重要になります。これらの項目が明確に記載されていることで、取引関係が安定し、有益な売買をサポートする書類としてより効力を持つようになります。
以下では、契約解除と契約期間の設定について解説していきます。
契約の解除条件と解除通知の流れ
取引基本契約書において、契約の解除条件と解除通知の流れは、取引の安定性を維持しながら、万が一のトラブル時に適切に対応できるようにするための重要な項目です。解除条件を明確に定めておくことで、双方の不安を和らげ、信頼関係を守りながら取引を円滑に進めることが可能です。
契約の解除条件には、相手方が義務を果たさない場合や支払い遅延が発生した場合、あるいは債務不履行が続く場合などが記載されます。また、契約違反に対する警告後も改善が見られない場合や、取引先が倒産や破産手続きに入った場合なども、契約解除の条件に含めることが多く、リスク管理の観点からも重要です。
一方で、解除通知の流れについても明確にする必要があります。通常、解除通知は書面によって行うことが原則とされており、その際の通知期限や方法についても契約書内で定めておくことが推奨されます。
例えば、解除通知は「契約解除の30日前までに書面で通知する」などの具体的な期限を設定することで、相手方が事前に準備できる時間を確保し、取引における混乱を最小限に抑えることができます。
契約期間と更新方法の設定
取引基本契約書における契約期間と更新方法の設定は、ビジネス関係の継続性を管理するための要素となります。双方における取引の見通しを立てやすくし、長期的な協力関係を築く上で、契約期間の明確化は不可欠です。
契約期間の設定では、固定期間と自動更新の2つの方式が用いられます。固定期間は取引開始時から一定の期間、契約が有効であることを定める方法です。1年や3年といった具体的な期間を明記することで、双方がその期間内に業務計画を立てやすくなります。
自動更新は、契約期間終了時に特別な通知がない限り、契約が自動的に更新される方式です。双方の取引を継続する意思がある場合に便利で、更新手続きが簡略化されます。自動更新を採用する場合には、更新通知期間を明記することで、更新の1か月前に書面で更新意思の通知を行うことを義務付けることが可能です。
さらに、契約期間が長期にわたる場合には定期的に契約条件を見直し、必要に応じて更新内容を調整する見直し条項を設けることも推奨されます。これにより、取引条件が市場の変化や双方の事業状況に柔軟に対応できるようになります。
催告解除と無催告解除の違い
取引基本契約書における解除条項には、「催告解除」と「無催告解除」の2つの方法があります。催告解除は相手方に契約違反の是正を求める通知を行い、一定期間内に改善されない場合に契約を解除する方法です。これは、相手方に是正の機会を与えるため、比較的軽微な違反に適用されます。
一方、無催告解除は事前の通知なしに即時に契約を解除できる方法です。これは、重大な契約違反や信頼関係を著しく損なう行為があった場合に適用されます。例えば、相手方が破産した場合や、機密情報を漏洩した場合などが該当します。
契約書作成時には、どのような場合に催告解除を適用し、どのような場合に無催告解除を適用するかを明確に規定することが重要です。これにより、契約当事者間の権利義務関係が明確になり、将来的なトラブルを防ぐことができます。
取引基本契約書の作成手順
取引基本契約書の作成手順は、一般的な契約書の作成と同じように進めます。ここでは、大まかな作成手順を3つに分けて見ていきましょう。
- 契約の目的や取引内容を明確にし、双方の権利義務を整理する
- 必要な条項を洗い出し、契約書の骨子を作成する
- 具体的な条文を記載する
それぞれの手順について解説していきます。
契約の目的や取引内容を明確にし、双方の権利義務を整理する
取引基本契約書の作成において最初に取り組むべきは、明確な目的と内容の整理です。このプロセスは、取引を円滑に進めるために必要なステップとなります。
まず、なぜこの契約が結ばれるのかを示し、取引全体の方向性を固めます。例えば、製品の継続的な供給を確保するために技術サービスの提供を受けるためなど、目的を具体的に記載することで、双方がその目的に向けて協力しやすくなります。
また、双方の権利と義務の整理も必要です。取引における品質基準の遵守や納品遅延の責任、情報の適切な管理義務など、各取引において何を遂行するべきか、またどのような責任を負うのかを整理します。このことによって、契約違反が発生した場合の対応策やリスク軽減策も明確になります。
このようにして契約の目的、取引内容、双方の権利義務を整理することで、透明性のある取引の枠組みが構築されます。事前に各項目を定めることで、取引が開始した後に起こりうる問題を予防し、スムーズな契約遂行と長期的な協力関係が可能となります。
必要な条項を洗い出し、契約書の骨子を作成する
次に必要な条項を洗い出し、契約書の骨子を作成します。まず、契約において必須とされる基本的な条項をリストアップします。通常、取引基本契約書には以下の項目を記載する必要があります。
- 目的
- 定義
- 権利義務
- 取引条件(価格や納期)
- 納品と検収
- 支払い方法
- 契約期間
- 契約解除
- 秘密保持
- 知的財産権
- 瑕疵担保責任・契約不適合責任
- 紛争解決手段
これらの条項を洗い出すことで、契約における重要事項が確実に反映され、必要な権利や義務が過不足なく設定されます。
また、条項の優先順位も考慮しながら骨子を作成することが重要です。例えば、知的財産権に関する取り決めが重要な場合には、これを前半に配置し、双方が確認しやすい構成にします。
こうして骨子を作成することで、契約内容が網羅的かつ整理された形で構成されます。最終的な契約書の形にする前に、この骨子をもとに双方の合意を確認し、必要に応じて修正や調整を行うと、スムーズな契約締結と信頼関係の構築に役立ちます。
具体的な条文を記載する
骨子で整理した項目に沿って、詳細かつ明確な条文をひとつひとつ書き上げ、契約書全体を完成させます。条文は、双方の権利義務や取引条件が誤解なく理解されるように、正確な表現で記載することが求められます。
まず、条文の記載には専門的かつ具体的な用語を使用し、法的な明確さを保つことが重要です。例えば、「契約の目的」についての条文では、契約の対象や意図する成果を明示し、「売買」や「業務委託」など契約内容に応じた正確な用語を用います。
さらに、曖昧さを避けるために定義を盛り込むこともポイントです。取引における特定の用語や概念が誤解を招かないよう、「定義」の条項でキーワードを明確に定義し、その後の条文に適用することで契約書全体の理解が統一されます。
こうして具体的な条文を記載することで、取引のプロセスが契約書内で明確に示され、双方の信頼関係が強化されます。完成した条文が双方の認識や期待と一致していることを確認し、必要であれば再調整を行うようにしましょう。
具体的な条文を記載した契約書の内容が不安な場合は、リーガルチェックを行いましょう。法務救済では、契約書のリーガルチェックから労務、法務観点のサポート、損害賠償などの企業間紛争に対応できる専門家を検索・依頼することが可能です。
無料で相談できる専門家検索はこちらから>>経済産業省が提供するテンプレートを活用した取引基本契約書の作成
実際に取引基本契約書を作成する場合は、経済産業省のWEBサイトからテンプレートを使うのがおすすめです。基本的なフォーマットが完成している状態なので、効率的に作成できます。
以下では、取引基本契約書のひな形を利用するメリットや注意点、ダウンロード方法を解説していきます。
ひな形利用のメリットと注意点
経済産業省が提供する取引基本契約書のひな形を利用することには、多くのメリットがあります。まず、時間と労力の大幅な節約が可能です。一から契約書を作成する手間が省け、効率的に作業を進められます。
また、経済産業省などの信頼できる機関が提供するひな形を使用することで、法的な観点からも安心感が得られます。
ただし、ひな形の利用には注意点もあります。自社の取引実態や業界特有の事情を反映させる必要があるため、ひな形をそのまま使用するのではなく、適切にカスタマイズしなければいけません。特に取引内容や条件、リスク管理に関する項目は、自社の状況に合わせて慎重に検討し、必要に応じて追加や修正を行います。
さらに、ひな形を使用する際は、最新のものを利用しているか確認することも大切です。法改正や社会情勢の変化により、契約書に求められる要素が変わることがあるため、常に最新の情報に基づいたひな形を使用することが望ましいでしょう。
これらの点に注意を払いつつひな形を活用することで、効率的かつ適切な取引基本契約書の作成が可能となります。
経済産業省が提供するフォーマットのダウンロード方法
取引基本契約書のフォーマットについては、以下の経済産業省WEBサイトから簡単にダウンロードできます。取引基本契約書を作成する場合は、以下のURLからダウンロードしてみてください。
経済産業省のウェブサイト→https://www.meti.go.jp/information_2/publicoffer/keiyaku_format.html
基本契約と個別契約の違い
基本契約と比較される契約方法が、個別契約です。それぞれ契約で定める条項が異なるため、違いを理解しておく必要があります。
以下では、基本契約と個別契約の違いについて解説していきます。
基本契約と個別契約の役割の違い
取引基本契約書において、基本契約と個別契約は互いに補完し合う役割を果たします。基本契約は取引全体の枠組みを定める包括的な合意であり、長期的な取引関係の基礎となります。一方、個別契約は具体的な取引の詳細を規定し、基本契約を補完する役割を担います。
基本契約では、取引の一般的な条件や原則、両者の権利義務関係などが定められます。これにより、個々の取引ごとに細かな条件を交渉する手間が省け、効率的な取引が可能となります。また、基本契約は取引の安定性や予測可能性を高めます。
個別契約は、基本契約の枠組みの中で、特定の取引に関する具体的な内容を定めます。例えば、商品の種類や数量、納期、価格などの詳細が個別契約で規定されます。これにより、取引の柔軟性が確保され、状況に応じた迅速な対応が可能となります。
基本契約と個別契約を適切に使い分けることで、取引の効率性と柔軟性を両立させることができます。ただし、両者の内容に矛盾がないように基本契約の優先適用条項を設けるなど、齟齬が生じた場合の対処方法も明確にしておくようにしましょう。
基本契約が優先されるケース
基本契約は、個別契約よりも優先的に適用される場合があります。これは、基本契約が取引の大枠を定めるものであり、個別契約はその枠内で具体的な取引内容を決定するという位置づけによるものです。
基本契約が優先されるケースとしては、まず個別契約の内容が基本契約と矛盾する場合が挙げられます。このような状況では、通常、基本契約の規定が優先して適用されます。また、個別契約で明確に定められていない事項については、基本契約の規定が適用されることになります。
さらに、基本契約に「本契約は個別契約に優先して適用される」といった優先適用条項が明記されている場合も、基本契約が優先されます。これにより、取引全体の一貫性や安定性が保たれます。
ただし、基本契約の内容を変更する必要がある場合は、個別契約で明確にその旨を記載することで、例外的に個別契約の内容を優先させることも可能です。
取引基本契約書作成時の注意点
取引基本契約書を作成する際には、以下の点に注意する必要があります。
- 曖昧な表現や解釈の余地がある文言は避ける
- 個別契約が適切な場合は個別契約書を作成する
- 電子署名の有効性や印紙税の適用範囲を調べておく
それぞれの注意点について解説していきます。
曖昧な表現や解釈の余地がある文言は避ける
取引基本契約書を作成する際には、曖昧な表現や解釈の余地がある文言を避けることが重要です。
取引基本契約書は、企業間の権利や義務を明確に示し、トラブルを未然に防ぐ役割を果たすため、どのように解釈しても同じ意味が伝わるように記載することが求められます。曖昧な表現や抽象的な言葉が含まれていると、取引中やトラブル発生時に解釈が分かれ、予期せぬ紛争の原因となりかねません。
例えば、「適切な対応」「十分な品質」「速やかに」などの表現は、各々の解釈が異なる場合が多く、曖昧さを生む要因となります。
これらの表現を使用する場合は、具体的な基準や期限を明確に示すことが必要です。「3営業日以内に対応する」「ISO基準に準拠する品質を保持する」など、可能な限り定量的な基準を記載することで、解釈の一致を図れます。
また、用語の定義も重要です。契約書内で使用する専門用語や略語についても、各々の意味を定義の項目で明示することで、誤解を防ぎ、契約内容が双方にとって同じ理解を基に進むようにします。
このように曖昧な表現を排除し、具体的かつ明確な文言を使用することで、契約内容が正確に伝わり、取引の円滑化とトラブル防止が可能になります。弁護士や司法書士などの専門家に依頼すれば、曖昧な表現や解釈の余地がある文言がないかをチェックしてもらえるので、検討してみましょう。
法務救済では、契約書のリーガルチェックから労務、法務観点のサポート、損害賠償などの企業間紛争に対応できる専門家を検索・依頼することが可能です。全国の弁護士事務所から簡単に検索・相談できます。弁護士を探す際は、以下のURLから検索してみてください。
無料で相談できる専門家検索はこちらから>>個別契約が適切な場合は個別契約書を作成する
取引基本契約書では取引に共通する基本的なルールが定められていますが、特定の取引や取引条件に応じて、個別契約書を作成することが求められる場合があります。
これは、個別の取引ごとに条件が変動する場合や特別な要件が必要となる取引がある場合に、双方の権利義務を明確化し、取引のリスクを適切に管理するためです。個別契約書の作成が適切な事例としては、以下のようなケースが考えられます。
- 通常の納品とは異なる納期や数量が求められる
- 特別な技術サービスの提供を伴う
- 取引ごとに価格が変動する
このような状況では、基本契約で定めた条件のみでは実務に即した取引が行いづらいため、特定の内容に基づいた詳細な契約が必要です。個別契約書を作成することで、取引の条件が明確化され、双方が誤解なく取引を進めることができます。
また、個別契約書を作成することでリスク軽減も可能です。基本契約書のみではカバーしきれない、取引特有のリスクに対応するための条項を追加することができ、万が一のトラブルに備えた予防策を講じることができます。
このように、取引の実態に応じて個別契約書を作成することは、双方の利益を保護し、取引が適正に管理されるために重要です。基本契約の枠組みを基にしつつ、取引内容に応じて柔軟に個別契約書を作成することで、取引関係の信頼性と安定性が向上します。
電子署名の有効性や印紙税の適用範囲を調べておく
取引基本契約書を作成する際には、電子署名の有効性や印紙税の適用範囲について確認しておきましょう。これは、契約の法的効力を確保し、余分な税負担を避けるために欠かせないポイントです。
電子契約の普及に伴い、契約書を電子データで締結するケースが増えていますが、電子署名による契約締結の法的有効性や税制上の対応について、正しく理解しておく必要があります。
日本では電子署名法に基づき、電子署名が押印と同等の法的効力を持つことが定められています。しかし、すべての電子署名が有効というわけではなく、信頼できる認証局によって発行された電子署名を利用することが求められます。
また、印紙税の適用範囲についても注意が必要です。紙の契約書には通常、印紙税法に基づき一定の印紙税が課されますが、電子契約書の場合物理的な書面が存在しないため、印紙税の課税対象にはなりません。これにより、電子契約を導入することで、企業は印紙税コストの削減が可能となります。
ただし、印紙税がかからない取引といえども、法的効力を確保するための適切な電子署名や保存方法が求められるため、その手続きの流れや要件についても確認しておくことが重要です。
まとめ
取引基本契約書は、ビジネスにおける取引において欠かせない書類です。頻繁に作成する書類ではありませんが、取引相手との継続的な契約を結ぶ上で必要になります。
取引基本契約書を作成する際は、他の契約書と同様に必須項目に必要な情報を記載し、相手方が同じように解釈できる表現を用いるようにしましょう。契約書を作成したことがある方であれば、難しい作業ではないはずです。
また、個別契約についても知っておくとよいでしょう。基本的には取引基本契約書を作成すれば問題ありませんが、場合によっては個別契約が必要になるケースもあるため、本記事で併せて理解しておきましょう。
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