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業務委託契約書とは?作成手順や記載すべき項目、注意点、テンプレートの使い方を徹底解説!

契約書・リーガルチェック

2024.12.022024.12.03 更新

業務委託契約を結ぶ際、適切な契約書の作成は重要です。しかし、初めて業務委託契約を結ぶ方にとって、契約書の作成は難しいと思われるかもしれません。業務委託契約書の作成方法を理解していないと、後にトラブルを引き起こすリスクが高まります。

そこでこの記事では、業務委託契約書の作成時のポイントや手続きの流れについて詳しく解説していきます

この記事を読むことで、業務委託契約書作成の重要なポイントを押さえ、適切な手順で契約を進められるようになります。さらに、契約書作成に関する不安が軽減され、自信を持って業務委託契約を結ぶことができるようになるでしょう。

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業務委託契約書とは?

業務委託契約書は、委託者と受託者の間で交わされる重要な法的文書です。

この契約書は、両者の権利と義務を明確に定め、業務内容や報酬、期間などの条件を詳細に記載します。一般的に、委託者が業務の遂行を受託者に依頼し、その対価として報酬を支払うという関係性を規定します。

以下では、業務委託契約の目的や必要性について解説していきます。

業務委託契約の目的

業務委託契約の目的は、特定の業務を第三者に委託することで、企業が専門的な知識やスキルを活用し、効率的に事業を進めることにあります。

自社内に専任のリソースやノウハウがない場合や、一定期間のみの業務に人材を確保する際に利用されることが多く、業務の質と効率を向上させる手段です。業務委託契約で委託側と受託側の業務範囲や責任が明確になり、双方が求める成果や納期、対価に関する取り決めが正式に文書化されます。

これにより、業務内容や納品条件に関する不明確さを解消し、取引の透明性と信頼性を高めることができます。特に業務の品質基準や秘密保持、知的財産権の取り扱いに関する合意事項が契約で明示されることで、将来的なトラブルやリスクも防止する効果が期待されます。

業務委託契約書の必要性

業務委託契約書は、両者の権利と義務を明確に定義し、業務内容や報酬、期間などの重要な事項を明文化します。業務委託契約書を作成することで、将来的なトラブルや誤解を防ぐことができ、スムーズな業務遂行が可能となります

特にフリーランスや個人事業主が増加している現代社会では、業務委託契約書の重要性が高まっています。この契約書は委託者と受託者の双方を保護し、公平な取引関係を築くための基盤となります。また、税務上の観点からも、業務委託契約書は重要な証拠書類となり、適切な経費処理や確定申告の際に役立ちます。

さらに、知的財産権や機密情報の取り扱いなど、現代のビジネス環境で重要な要素を明確にする役割も果たします。これにより両者の権利を保護し、円滑な業務遂行を支援します。

適切に作成された業務委託契約書は、ビジネスリスクを軽減し、長期的な信頼関係を構築するための重要なツールとなるのです。

業務委託契約書の種類

業務委託契約書には、委託する業務の性質や支払い方法によって様々な種類があります。主な種類としては、以下の通りです。

  • 定額型
  • 時給計算型
  • 成果報酬型
  • 単発業務型
  • 成功報酬型

それぞれの業務委託契約書の種類について解説していきます。

定額型

定額型の業務委託契約は、委託する業務の内容や量に関わらず、一定の金額を報酬として支払う形式です。この契約形態は、長期的な業務や定期的に発生する業務に適しており、双方にとって予算管理がしやすいというメリットがあります

定額型契約では、業務の範囲や期待される成果を明確に定義することが重要です。この契約書の型には以下のような項目を記載します。

  • 月額や年額などの固定報酬額
  • 支払い時期
  • 業務内容の詳細
  • 想定される作業時間や成果物の基準

この契約形態では、委託側は安定した予算計画が立てやすく、受託側も安定した収入が見込めるため、長期的な関係構築に適しています。ただし、業務量の変動に柔軟に対応できない可能性があるため、定期的な見直しや調整の機会を設けることも検討すべきでしょう

定額型契約を結ぶ際は、両者の期待値を明確にし、公平性を保つことが重要です。適切に設計された定額型契約は、効率的な業務遂行と良好な取引関係の維持に貢献します。

時給計算型

時給計算型の業務委託契約は、委託業務の遂行に要した時間に応じて報酬を支払う形式です。この契約形態は、業務量や所要時間が変動する場合や、長期的なプロジェクトに適しています

時給計算型契約では、時給単価を明確に定める必要があります。また、業務時間の計測方法や報告手順についても詳細に取り決めることが重要です。例えば、タイムシートの提出頻度や承認プロセスなどを明記しておくと良いでしょう。

さらに、最低保証時間や上限時間の設定も検討すべきポイントです。これにより、委託者側は予算管理がしやすくなり、受託者側も安定した収入を見込むことができます。

時給計算型の契約では、業務の質や効率性を担保するための条項も重要です。期待される成果物や品質基準、納期などを明確にし、それらが満たされない場合の対応についても取り決めておくことが望ましいでしょう。

成果報酬型

成果報酬型の業務委託契約は、委託先の成果に応じて報酬が決定される形態です。達成した目標や成果物の品質に基づいて報酬が支払われるため、委託元と委託先の双方にとってメリットがあります

契約書作成時には、成果の定義と評価基準を明確に記載します。具体的な数値目標や品質基準を設定し、それらをどのように測定するかを詳細に記述します。また、報酬の計算方法や支払いのタイミングも明確にしておく必要があります。

他にもリスク分担についても慎重に検討する必要があります。目標未達成の場合の対応や、予期せぬ事態が発生した際の責任の所在を明確にしておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。

さらに、成果物に関する知的財産権の帰属や、機密情報の取り扱いについても明記することが重要です。

単発業務型

単発業務型の業務委託契約は、特定のプロジェクトや一回限りの業務に適した契約形態です。この契約では、明確な業務内容と期間、成果物の定義が重要となります

契約書には業務の具体的な内容や期限、納品物の詳細を明記し、双方の認識を一致させることが不可欠です。

報酬に関しては業務完了時の一括払いが一般的ですが、業務の規模や期間によっては、中間払いを設定することもあります。また、業務の進捗状況や成果物の品質に応じて報酬を調整する条項を盛り込むことで、委託者側のリスクを軽減できます。

さらに、知的財産権の帰属や秘密保持義務についても、他の契約形態と同様に詳細に取り決めておく必要があります。この契約形態では業務の完了をもって契約が終了するため、契約終了後の取り決めについても十分に検討し、必要に応じて契約書に盛り込むことが望ましいでしょう。

成功報酬型

成功報酬型の業務委託契約は、委託者と受託者の双方にとってメリットがある契約形態です。受託者が達成した成果に応じて報酬が支払われるため、委託者にとっては成果が出なければ支払いが発生しないというリスクを軽減する効果があります。

一方、受託者にとっては高い成果を上げることで大きな報酬を得られる可能性があります

契約書作成時には、成功の定義を明確にすることが重要です。具体的な数値目標や達成基準を設定し、それらを詳細に記載することで、トラブルを防ぐことができます。また、報酬の計算方法や支払いのタイミングについても明確に定めておく必要があります。

成功報酬型の契約では、委託者と受託者の利害が一致するため、両者が協力して目標達成に向けて取り組むことができます。ただし、受託者側のリスクが高くなる傾向があるため、最低保証報酬を設定するなど、バランスの取れた契約内容にすることが大切です。

業務委託契約書の手続きの流れ

業務委託契約書の作成は、以下のような手順で手続きを進めます。

  • 契約内容を検討する
  • 当事者間での確認とリーガルチェック
  • 契約書に署名・捺印して正式に契約する

それぞれの手順について解説していきます。

契約内容を検討する

契約内容を検討する段階では、業務委託契約を結ぶ際に双方が業務の詳細や条件について慎重に確認・検討することが必要です。具体的には、以下の内容を事前に確認します。

  • 委託する業務範囲の明確化
  • 業務の成果物や品質の基準
  • 納期
  • 報酬額
  • 支払い条件

これらの要素を曖昧なままにしておくと、後に解釈の相違が生じ、トラブルにつながる可能性があるため、契約の各項目を具体的かつ明確に設定することが重要です。

また、業務遂行に必要な情報や技術の提供方法、納品後のサポート範囲、秘密保持義務や知的財産権の取り扱いについても検討を行います。特に、業務の成果が自社にとって重要なものであれば、知的財産権が自社に帰属するかどうかを明確にすることで、後々のリスクを回避できます。

さらに、業務の進行状況を確認する方法や報告頻度についても取り決めておくと、適切な進行管理が可能となります。契約内容を十分に検討し合意に至ることで、双方の期待や役割を明確にし、協力的な関係を築く土台を形成します。

当事者間での確認とリーガルチェック

業務委託契約書作成時に重要な手続きの一つが、当事者間での確認とリーガルチェックです。契約内容に双方が合意していることを確認し、法的に適切な契約であることを専門家がチェックする工程となります。

まず、契約を結ぶ当事者間で業務範囲や報酬、納期、秘密保持義務など、契約書に含まれる各条項を確認し、双方の認識にずれがないよう調整を行います。この確認作業によって、業務内容の曖昧さを取り除き、後のトラブルを未然に防ぐことができます

次に、契約内容が法的に有効であるかを確認するため、弁護士などの専門家によるリーガルチェックを実施します。契約が最新の法規に準拠しているか、リスクとなりうる条項がないか、知的財産権や責任範囲の取り決めに問題がないかなどが検討されます。

リーガルチェックを行うことで、企業は法的リスクを最小限に抑え、信頼性の高い契約を結ぶことが可能になります。この工程を経ることで、業務委託契約の実施が安心して進められる環境が整います。

契約書に署名・捺印をして正式に契約する

契約書に署名・捺印をして正式に契約する段階では、業務委託契約書の手続きを完了させるための重要なステップです。

この工程では、双方が内容に合意した契約書に署名と捺印を行い、法的に有効な契約として成立させます。署名・捺印により、契約の内容と条件について双方が正式に承認したことが証明され、契約不履行や解釈の相違が発生した際に証拠として活用できます。

署名・捺印前には契約内容を再度確認し、以下のような取り決めに不備がないか確認することが重要です。

  • 業務の範囲
  • 成果物
  • 報酬の支払条件
  • 秘密保持や契約解除

また、双方の署名・捺印が揃って初めて契約が正式に成立するため、署名日を揃えることや契約書の各ページに割印を施すといった細かい確認も欠かせません。この手続きを完了することで、業務委託契約の法的拘束力が確立し、安心して業務に取り組むための基盤が整います

業務委託契約書に記載すべき項目

業務委託契約書には、契約の基本的な要素を明確に記載することが重要です。主な記載項目は以下の通りです。

  • 契約の目的
  • 委託業務の内容
  • 報酬と支払い条件
  • 契約期間と更新条件
  • 知的財産と著作権
  • 損害賠償と禁止事項
  • 契約の解除条件

それぞれの項目について解説していきます。

契約の目的

業務委託契約書における契約の目的は、委託者と受託者の間で行われる業務の概要と、その遂行によって達成されるべき成果を明確に定義するものです。この項目は契約書の冒頭に記載され、両者の合意内容を簡潔に表現します。

具体的には、委託される業務の性質や範囲、期待される成果物、そしてその業務が委託者にとってどのような意義を持つのかを明記します。例えば、WEBサイトのデザイン制作や営業支援業務といった具体的な業務内容とともに、顧客獲得の促進や売上向上などの目標を記載することがあります。

契約の目的を明確に定めることで、委託者と受託者の間で業務内容や期待される結果に関する認識の齟齬を防ぎ、トラブルを回避することができます。また、この項目は契約書の他の条項を解釈する際の指針としても機能し、契約全体の方向性を決定づける重要な役割を果たします。

委託業務の内容

委託業務の内容に関する項目では、委託者が受託者に依頼する具体的な業務内容を詳細に記述します。記載するべき項目は、以下の通りです。

  • 業務の範囲
  • 目標
  • 期待される成果物
  • 納期

例えばWEBサイト制作を委託する場合、デザインやコーディング、コンテンツ作成、SEO対策など、具体的な作業内容を列挙します。また、成果物の仕様や品質基準、納品形式なども明確にしておくと良いでしょう。

さらに、業務の進捗報告の頻度や方法、委託者側の協力事項なども含めると、スムーズな業務遂行につながります。業務内容に変更が生じた場合の対応方法についても、あらかじめ定めておくことが望ましいです。

報酬と支払い条件

報酬と支払い条件については、以下のような条件を記載します。

  • 委託者が受託者に支払う報酬の金額
  • 支払い方法
  • 支払い時期

報酬の設定方法には、固定報酬や時間単位の報酬、成果報酬などさまざまな形態があり、業務の性質に応じて適切な方式を選択します。

支払い条件には、請求書の発行タイミング、支払い期限、振込手数料の負担者などを明記します。例えば、毎月末日に請求書を発行し、翌月末日までに支払うといった具体的な取り決めを行います。また、報酬の改定条件や、業務量の変動に応じた報酬の調整方法についても記載します。

さらに、報酬に含まれる経費の範囲や、追加で発生する経費の取り扱いについても明確にする必要があります。交通費や材料費などの実費精算の方法や、上限額の設定などを契約書に盛り込むことで、後々のトラブルを防ぐことができます。

契約期間と更新条件

契約期間と更新条件は明確に定めるのが一般的で、開始日と終了日が明記されます。期間は案件の規模や性質によって異なり、数か月から数年に及ぶこともあります更新条件については、自動更新か都度協議による更新かを明確にしておくことが重要です。

自動更新の場合、契約満了の一定期間前までに双方から申し出がなければ、同一条件で契約が更新される旨を記載します。一方、都度協議による更新の場合は契約満了前に双方で協議し、条件を見直す機会を設けることができます。

また、契約期間中の解約条件や更新時の条件変更の可能性についても明記しておくと良いでしょう。例えば、一方的な解約を避けるため、解約の際は一定期間前の事前通知を必要とする条項を設けることがあります。

知的財産と著作権

業務委託契約において、知的財産と著作権の取り扱いは重要です。委託者と受託者の双方が成果物に関する権利を明確に理解し、合意しておくことが不可欠です。

業務委託によって生み出された成果物の著作権は、特段の定めがない限り受託者に帰属するのが一般的です。しかし、多くの場、委託者は成果物を自由に使用したいと考えるため、契約書には著作権の譲渡や利用許諾について明記することが望ましいでしょう。

また、知的財産権の範囲を明確にすることも重要です。著作権だけでなく、特許権や商標権、意匠権などが含まれる可能性がある場合は、それぞれの取り扱いについて具体的に定める必要があります

損害賠償と禁止事項

損害賠償条項では、委託者または受託者が契約違反や不適切な行為により相手方に損害を与えた場合の責任範囲を明確にします。

通常、故意または重大な過失による損害は全額賠償の対象となりますが、軽過失の場合は賠償額に上限を設けることがあります。また、間接的な損害や逸失利益の扱いについても明記することが望ましいでしょう。

禁止事項については、以下の事項を含みます。

  • 機密情報の漏洩
  • 競合他社との取引
  • 不適切な広告宣伝
  • 法令違反行為

これらの禁止事項に違反した場合の罰則や契約解除の条件も併せて規定することで、契約の実効性を高めることができます。さらに、業務の性質に応じて特定の行為や取引を禁止することも考慮すべきです。

これらの条項を適切に設定することで、両者の権利と義務のバランスを保ち、円滑な業務遂行と紛争防止に寄与します。ただし、過度に厳しい条件は受託者の負担増加につながる可能性があるため、公平性を保つことが重要です。

契約の解除条件

契約の解除条件に関する条項では、契約を終了させる具体的な状況や手続きを明確に定義します。一般的に、契約不履行や債務不履行、重大な契約違反などが解除条件として挙げられます。また、双方の合意による解約や、一方的な解約通知による終了についても規定されることが多いです。

解除条件を設定する際は、両者の利益を考慮しつつ、公平性を保つことが大切です。例えば解約通知の期間を設けることで、突然の契約終了によるリスクを軽減できます。さらに、契約終了後の秘密保持義務や、成果物の取り扱いなどについても明記しておくと良いでしょう。

契約解除時の損害賠償についても触れておくことが重要です。違約金の設定や実損害の賠償について取り決めておくことで、将来的なトラブルを防ぐことができます。ただし、過度に厳しい条件は避け、法的に有効な範囲内で設定するようにしましょう

業務委託契約書の作成方法

業務委託契約書の作成方法については、自社での作成と専門家に依頼するの2種類があります。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあり、どちらかを選ぶ必要があります。

それぞれの作成方法について解説していきます。

自社での作成方法

業務委託契約書を自社で作成する場合、まず契約の目的と業務内容を明確に定義することが重要です。契約書のひな形を参考にしつつ、自社の状況に合わせてカスタマイズしていきます。記載する事項は、以下の通りです。

  • 契約期間
  • 報酬
  • 支払い条件
  • 知的財産権の帰属
  • 秘密保持義務

自社作成のメリットとしては、コスト削減や迅速な対応が可能になる点が挙げられます。一方で法的な不備のリスクもあるため、定期的に契約書の内容を見直し、必要に応じて更新することが大切です。

業務委託契約の性質上、委託側と受託側の利害が対立する可能性もあるため、双方にとって公平で明確な条件を設定することを心がけましょう。また、契約書の作成過程を通じて、業務内容や期待される成果についても再確認できる良い機会となります。

自社での作成は法的な専門知識がない場合でも、基本的な項目を押さえることで、ある程度実用的な契約書を作成できます。ただし、複雑な案件や高額な契約の場合は、弁護士などの専門家のチェックを受けることをおすすめします

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専門家に依頼する場合

業務委託契約書の作成を専門家に依頼する場合、その専門性と経験を活かして、より確実で法的に堅牢な契約書を作成することができます。弁護士や司法書士などの法律の専門家は、最新の法改正や判例を踏まえた助言を提供し、潜在的なリスクを回避するための条項を適切に盛り込むことができます

専門家に依頼する際は、まず自社の業務内容や契約の目的を説明して、作成を依頼します。これにより、専門家は企業の特殊性や業界の慣行を考慮した上で、最適な契約書を作成することができます。また、以下のような項目を協議して記載します。

  • 報酬体系
  • 契約期間
  • 知的財産権の帰属

専門家への依頼には費用がかかりますが、将来的なトラブルを未然に防ぎ、長期的には企業にとって有益な投資となる可能性が高いです。特に、大規模な業務委託や複雑な契約条件が絡む場合は、専門家の助言を受けることで、より安全で効果的な契約書を作成することができるでしょう。

業務委託契約書作成時の注意点

業務委託契約書を作成する際には、以下の点に注意しなければいけません。

  • 業務内容と担当者を明確にする
  • 再委託に関する規定を明記する
  • 契約期間と更新の取り決めを定める
  • 報酬の支払い方法を明記する
  • 秘密保持の取り決めについて合意しておく

それぞれの注意点について解説していきます。

業務内容と担当者を明確にする

業務内容と担当者を明確にすることは、業務委託契約書作成時の重要な注意点の一つです。

業務内容を具体的に定義することで、委託側と受託側の認識にずれが生じることを防ぎ、期待される成果物や業務範囲が明確になります。この記載が曖昧だと、トラブルや追加業務に関する不一致の原因となるため、細かな業務内容や品質基準についても記載しておくことが必要です。

また、担当者の氏名や役割を契約書に明示することで、各業務の責任者が誰であるかが明確になります。

これにより、業務進行中の意思決定がスムーズになり、緊急の対応が求められる場面でも、誰に連絡を取るべきかがわかりやすくなります。担当者が変更される場合の通知方法や、引き継ぎに関する取り決めも併せて記載しておくと、円滑な業務遂行が可能となります。

再委託に関する規定を明記する

業務委託契約書の作成において、再委託に関する規定の明記は重要です。再委託とは、受託者が業務の一部または全部を第三者に委託することを指し、これを適切に管理しないと、業務品質や情報漏洩のリスクが生じる可能性があります。

契約書で再委託の可否や条件を明確に定めることで、受託者が自由に再委託を行うことを防ぎ、業務の遂行が契約通りに行われるようにします。例えば、「再委託を行う場合は事前に委託者の書面による承諾が必要とする」などの規定を設け、再委託が必要な際に委託者の関与を確保することが一般的です。

また、再委託先の業務品質や秘密保持についても受託者に責任を負わせることで、委託者の権利や利益を保護できます。

再委託に関する規定が明記されていると、委託業務の品質や安全性が担保され、業務が計画通りに遂行される環境を整えることができます

契約期間と更新の取り決めを定める

契約期間と更新の取り決めについては、業務委託契約書を作成する際に定めなければならない事項です。契約期間を明確にすることで、業務が開始される日から終了までの範囲が双方で理解され、契約が無期限に続くことを防ぎます

契約期間を定めておくと、契約終了後に双方が自由に他の契約や事業展開を行える状態に戻るため、ビジネスの計画や予算管理にも影響を及ぼします。

また、契約期間の終了後に契約を更新する条件も明確にしておくと、業務継続の必要が生じた場合でもスムーズに対応できます。例えば自動更新とするか、都度更新とするかを取り決めることで、双方にとっての柔軟性や安心感が確保されます。

契約期間と更新方法をあらかじめ明確にすることで、予期せぬトラブルや契約解除時の混乱を防ぎ、双方が納得して業務に取り組める環境を整えることができます。

報酬の支払い方法を明確にする

報酬の支払い方法についても、業務委託契約書で明確にしなければいけません。支払い方法を曖昧にしていると、後々のトラブルや認識の違いを生みやすくなるため、具体的に取り決めておく必要があります

まず、支払額や支払い期日を契約書に明記し、いつ・どのような条件で支払われるかを双方が理解しておくことが基本です。例えば、「納品完了後○日以内に支払う」「毎月○日に支払う」といった具体的な支払いスケジュールを設定することで、双方の予定や資金計画にズレが生じないようにします。

また、支払い方法についても銀行振込か現金支払いかといった選択肢を明確にし、振込手数料の負担者についても取り決めておくと良いでしょう。

さらに、報酬の支払いに関する遅延や不履行に備えて、遅延損害金の取り決めも含めることで、万が一の事態に対するリスクを軽減できます。

秘密保持について合意しておく

業務委託契約書を作成する際は、秘密保持について合意しておくことが必要です。

業務委託においては、業務の遂行に必要な情報やノウハウを受託側に提供することが多く、これらの情報が外部に漏洩するリスクが伴います。そのため、契約書の中で秘密保持に関する取り決めを明確にすることが欠かせません。

秘密保持に関する合意内容には、以下の事項を記載します。

  • 守秘義務の範囲
  • 対象となる情報の定義
  • 情報管理の方法
  • 第三者への提供禁止
  • 守秘義務の存続期間

これにより、委託側が安心して必要な情報を提供でき、受託側も遵守すべき義務が明確になり、双方にとっての信頼関係が強化されます。また、違反があった場合の措置についても定めておくことで、将来的なトラブルを防止し、情報の安全を確保する基盤を築くことが可能です。

業務委託契約書のテンプレートと活用方法

業務委託契約書を作成する際には、契約書のテンプレートを活用するのがおすすめです。ベースとなる骨子が完成している書類を活用することで、一から作る必要がなく、効率的に作成できます

しかし、テンプレートはあくまでも基本形であり、個別の状況に応じてカスタマイズすることが重要です。必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら、自社の業務内容や取引条件に合わせて適切に調整することで、より実効性の高い契約書を作成することができます。

以下では、具体的なテンプレートや商用利用可能なテンプレートについて解説していきます。

経済産業省が提供している業務委託契約書の雛形

経済産業省は、業務委託契約書の作成に役立つ雛形を提供しています。この雛形は、中小企業やフリーランスが適切な契約書を作成する際の参考として活用できます。雛形には、以下のように契約の基本的な要素が網羅されています。

  • 業務内容
  • 報酬
  • 契約期間
  • 秘密保持

経済産業省の雛形を利用することで、法的な観点から見ても適切な契約書を作成できる可能性が高まります。ただし、この雛形はあくまでも一般的な内容を想定しているため、個別の状況に応じてカスタマイズする必要があります。特に、業務の特性や両者の合意事項を反映させることが重要です。

雛形はWEBサイトからダウンロードでき、Microsoft Word形式で提供されているため、編集も容易です。ダウンロードする際は、雛形が最新版であることを確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

商用利用可能なテンプレートとは

商用利用可能なテンプレートとは、商業活動やビジネスの取引において自由に使用できるテンプレートのことです。このタイプのテンプレートは著作権や利用制限がなく、実際の業務に適した形式で提供されるのが一般的であるため、法律上のリスクを最小限に抑えつつ、迅速に契約書を作成できる利便性があります。

商用利用可能なテンプレートには、以下の項目が網羅されている状態で入手できます。

  • 業務の内容
  • 範囲
  • 報酬
  • 納期
  • 秘密保持
  • 知的財産権の取り扱い

企業はテンプレートを利用することで、自社のニーズに応じて必要な部分をカスタマイズし、契約内容を迅速に整えることが可能です。また、テンプレートをベースにすることで、弁護士によるレビューの時間とコストを削減でき、契約手続きを効率的に進められます。

ただし、テンプレートを使用する際は、取引の特性や業務内容に合わせて内容を十分に確認・修正することが大切です。

フリーランスや個人事業主が業務委託契約を結ぶ際のポイント

フリーランスや個人事業主が業務委託契約を結ぶ際には、本記事で紹介した作成時の注意点に加えて、以下のポイントを押さえる必要があります。

  • 具体的な成果物や納期を明記する
  • 下請法の適用について理解しておく
  • 著作権や二次利用について合意しておく

それぞれのポイントについて解説していきます。

具体的な成果物や納期を明記する

フリーランスや個人事業主が業務委託契約を結ぶ際は、具体的な成果物や納期を明記することが大切です。契約の中で成果物と納期を具体的に示すことで、委託側と受託側の認識に齟齬が生じるのを防ぎ、業務の進行をスムーズに保つことができます

まず、成果物の内容は可能な限り詳細に記載し、完成時の状態や要件を具体的に定めておくようにしましょう。例えば、納品形式やファイルの種類、品質基準なども明記することで、期待通りの成果物が提供されやすくなります。

また、納期についても正確な日付を示し、納品のタイミングに関する合意を明確にしておくことで、契約上の責任がより明確になります。

業務の途中で発生する可能性がある進捗報告の頻度や中間納品がある場合は、その内容も記載しておくと良いでしょう。これにより、両者が契約内容に基づいて業務を進行しやすくなり、トラブルを未然に防ぐ効果も期待できます。

下請法の適用について理解しておく

下請法(下請代金支払遅延等防止法)とは、親事業者と下請事業者間の取引の公正化を目的とした法律で、一定の条件を満たす場合に適用されます

適用対象となるのは、資本金3億円超の親事業者が資本金3億円以下の下請事業者に製造委託等を行う場合や、資本金1千万円超3億円以下の親事業者が資本金1千万円以下の下請事業者に製造委託等を行う場合などです。

下請法が適用される場合、親事業者には発注書面の交付義務や下請代金の支払遅延の禁止など、さまざまな義務が課せられます。これらの義務に違反すると、勧告や罰金などの処分を受ける可能性があります。

業務委託契約書を作成する際は、取引の内容や当事者の資本金規模を確認し、下請法の適用有無を慎重に判断することが重要です。下請法が適用される場合は、法令遵守のための条項を契約書に盛り込むなど、適切な対応が求められます

著作権や二次利用について合意しておく

著作権や二次利用については、業務委託契約を結ぶ前に合意しておくのが基本です。業務委託契約で作成した成果物に関して、著作権の帰属や二次利用の条件が明確でない場合、後にトラブルが発生する可能性があります。

著作権を委託者に譲渡するのか、受託者が保持するのか、または共同で所有するのかといった点を契約書に明記しておくことで、双方の権利と責任が明確になります。

また、成果物の二次利用についても合意しておくことが重要です。例えば、受託者が同じ内容を他のクライアントに提供することを禁じるのか、委託者が成果物を自社の目的以外に使用できるのかなど、具体的な利用範囲を契約書で定めることが、将来的な使用に関する誤解や紛争を防ぐために必要です。

特にクリエイティブな分野や知的財産を扱う業務では、このような詳細な合意が双方の利益を守り、安心して業務を進めるための基盤となります

まとめ

業務委託契約書は、フリーランスや個人事業主でも利用することがある契約書類で、ビジネスにおいては欠かせません。そのため、業務委託契約書を作成する目的や必要性、種類、作成手順、ポイントは押さえておくべきと言えるでしょう。

また、業務委託契約書を自社で作成するのか、専門家に依頼するのかも、重要な選択となります。コストや時間、継続性を比較した上で、業務委託契約書の作成方法も検討しましょう。

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