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労働契約書の書き方とは?基本概要から記載項目、作成時の注意点、雇用契約別の書き方を徹底解説!
契約書・リーガルチェック
2024.10.25 ー 2024.10.25 更新
初めて労働契約書を作成する際には、多くの疑問や不安がつきものです。労働契約書の適切なフォーマットや必須項目をしっかりと理解し、トラブルを避けたいと考えていることでしょう。
そこでこの記事では、労働契約書の基本的な書き方や法律に基づいた必須項目について詳しく解説します。この記事を読むことで、労働契約書の作成に自信を持ち、法律的に問題のない形で従業員を雇用できるようになります。ぜひ最後までお読みください。
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労働契約書とは?基本概要と法的効力
労働契約書は、雇用主と従業員の間で合意された労働条件を明文化した書類です。雇用関係を法的に裏付けるものであり、労働者の権利や義務を明確にする役割を果たします。
以下では、労働契約書が必要な理由や労働条件通知書との違い、法的拘束力、リスクについて詳しく解説していきます。
労働契約書が必要な理由
労働契約書は、労働者と使用者の間で取り決めた雇用条件を明確にするための重要な書類です。
主な目的は、労働条件や待遇に関する誤解やトラブルを未然に防ぐことです。賃金や労働時間、休暇、業務内容などの基本的な労働条件を双方が共有し、確認できる点が大きな役割を果たします。
法律的においては、労働基準法第15条により、雇用の際に一定の労働条件を明示することが義務付けられており、その中で労働契約書は契約内容を具体的に文書化する手段となります。これにより、労働者の権利保護が強化され、使用者側も法的なリスクを回避できます。
労働条件通知書との違い
労働条件通知書は、労働基準法に基づいて企業が従業員に労働条件を通知するための書類で、雇用契約の開始前に必ず交付することが義務付けられています。
労働契約書との主な違いは、労働条件通知書が一方的に労働条件を伝えるためのものであり、契約書としての相互合意が必要ない点です。労働契約書は双方の同意を前提とした書面で、法的拘束力が強いのに対し、労働条件通知書は通知にとどまり、同意の有無にかかわらず交付が求められる点が異なります。
労働契約書と労働条件通知書の双方を理解し、適切に活用することが重要です。
労働契約書の法的効力とは
労働契約書の法的効力は、労働者と使用者間で取り決められた労働条件を明確にし、相互の信頼関係を保つ上で重要です。
労働契約書は労働基準法第15条に基づき、労働条件を明示する義務があり、これに違反した場合、使用者は罰則を受ける可能性があります。書面で明示することによって、労働条件に関する相互の誤解やトラブルを未然に防ぐ効果があります。
法的効力を持つためには、労働契約書は双方が合意のもと署名または押印を行う必要があります。押印や署名は、労働契約が双方の意思によるものであることの証明となります。
労働条件通知書とは異なり、労働契約書は契約の成立を証するものであり、その効力は強力です。契約書に記載された内容に双方が縛られることとなり、違反した場合には法的な措置が取られる可能性があります。
また、労働契約書の内容が就業規則と異なる場合、一般的には労働者に有利な条件が適用されます。ただし、法令に違反する契約内容は無効となります。従って、契約内容が労働基準法などの法令に適合しているか確認することが必須です。
労働契約書がない場合のリスク
労働契約書がない場合、従業員と雇用主の間で様々なリスクが発生します。
まず、労働者は自身の労働条件が書面で確認できないため、約束された労働時間や賃金の支払いが適正であるかを判断するのが難しくなります。労働契約書がないと、労働トラブルが発生した際に証拠として使用できる文書が不足し、労働者が自身の権利を主張するのが困難となる恐れがあります。
一方、雇用主が労働契約書を所持していないと、労働条件の曖昧さからくる誤解や不満が原因で労働紛争が発生し、最悪の場合は訴訟に発展する可能性があります。このような場合、労働者側に有利な判決が出ることが多いため、雇用主は多額の賠償金や補償金を支払うリスクを負います。
さらに、労働基準監督署からの指導や勧告を受ける可能性もあり、企業の信用に大きな影響を与えることになります。
以上のように、労働契約書がないことで労働者と雇用主の双方が様々なリスクを抱えることになるため、必ず契約書を作成しておくことが重要です。
労働契約書に記載すべき項目一覧
労働契約書に記載すべき項目には、まず労働者と使用者の氏名や住所が含まれます。さらに、契約期間や労働時間、始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇の詳細も重要です。賃金については、基本給や各種手当の額、支給方法、支給日を明示することが求められます。
また、契約を解除する場合の条件や手続きを明確にしておくことが不可欠です。その他、就業場所や業務内容、試用期間がある場合はその定義と期間も記載が必要です。これらの項目を正確に記載することで、後々のトラブル防止につながります。労働契約書に記載が必要とされている項目は、以下の通りです。
最後の相対的明示事項以外の項目は、絶対的明示事項とされ、法律により必ず記載しなければいけません。
- 労働契約の期間
- 就業場所及び業務内容
- 始業及び終業の時刻
- 休憩時間・休日・休暇
- 賃金や支払い方法
- 退職に関する事項
- その他相対的明示事項
それぞれの項目について解説していきます。
労働契約の期間
労働契約書には、雇用期間を明記することが不可欠です。
契約期間には、無期契約と有期契約の2種類があります。無期契約は、雇用期間に定めがない場合に適用され、安定した長期雇用を提供するものです。一方、有期契約は一定の期間に限定されており、その終了日が決められているのが特徴です。
通常、有期契約の場合は契約開始日と終了日を明示し、契約が更新されるかどうかの条件も記載する必要があります。有期契約においては、契約更新が行われる際の手続きや更新しない場合の通知期限についても触れることが望ましいです。
こうした労働契約の期間に関する取り決めは、双方の誤解を防ぎ、後のトラブルを避けるために重要です。
就業場所及び業務内容
労働契約書における就業場所及び業務内容は、従業員が働く場所と具体的な業務内容を明確にする重要な項目です。
就業場所については、従業員が実際に勤務する拠点やオフィス、または出向先など、働く場所を具体的に特定する必要があります。リモートワークやテレワークが一般的になっている現代では、これらの就業場所の条件も明示することが望ましいでしょう。
業務内容については、従業員が従事する業務や職務範囲をできるだけ具体的に記載し、将来的なトラブルを防ぐことが大切です。職務内容が曖昧だと、業務範囲を巡って労使間で認識の相違が生じやすくなり、結果として労働争議に発展するリスクもあります。
それぞれを明確に定めることで、従業員は自分の役割を正確に理解し、雇用者も業務指示を円滑に行うことが可能となります。
始業及び終業の時刻
労働契約書において、始業及び終業の時刻を明記することは、労働条件の透明性を確保するために重要です。これらの項目は従業員が一日の労働時間や勤務スケジュールを明確に理解できるようにするために必要であり、勤務時間に関するトラブルを未然に防ぐ役割を果たします。
具体的には、以下の項目について記載します。
- 始業時刻
- 終業時刻
- 休憩時間の取り方
- 残業の有無やその取り扱い
これらの情報が明確でないと、従業員が労働基準法に違反するような労働を強いられたり、雇用主が労務管理の面で不利益を被ったりするリスクが生じます。特に時間外労働が発生する場合には、その計算方法や賃金の支払い基準も合わせて記載しなければいけません。
明確な時刻の設定と記載は、労使双方の信頼関係を維持し、働きやすい環境を整えるために欠かせません。
休憩時間・休日・休暇
労働契約書には、従業員が適切な休憩時間、休日、休暇を取得できるよう、これらの項目を明確に記載する必要があります。
休憩時間については、労働基準法により6時間を超える労働には少なくとも45分、8時間を超える労働には1時間の休憩を与えることが義務付けられています。休憩時間は原則として自由に利用できるものとされ、勤務時間内に労働者が休息できる時間を確保するものです。
休日については、最低でも週に1日、または4週間に4日以上の休日を設けることが法的に定められています。さらに年次有給休暇についても、従業員が6か月以上継続して勤務し、一定の出勤率を満たしている場合、年次有給休暇が付与されることが義務付けられています。
これらの休暇や休日の取り扱いを明示することで、労使間のトラブルを防ぎ、従業員の労働環境を適正に保つことができます。
賃金や支払い方法
労働契約書において、賃金や支払い方法は重要な項目です。賃金の内容を具体的に記載することで、雇用者と従業員の間での誤解を避けることができ、労働条件の明確化にもつながります。
賃金については、以下のような項目について記載する必要があります。
- 基本給
- 時間外労働手当
- 休日出勤手当
また、賃金の支払い方法も記載が必要です。例えば銀行振込による支払いの場合は、振込先の銀行口座を確認し、現金手渡しの場合は支給日や手渡し場所などを明確にしましょう。賃金の支払い日は具体的に「毎月25日」などと定め、従業員が計画的に収入を得られるようにすることが大切です。
これにより、賃金に関するトラブルを未然に防ぎ、従業員の安心感と信頼感を高めることができます。
退職に関する事項
労働契約書における退職に関する事項は、従業員が自ら退職を希望する場合や、会社側が解雇を行う場合の双方において重要な取り決めです。
具体的には、従業員が退職を申し出る際の通知期間や手続きについて明記する必要があります。通常、従業員が退職を希望する場合には、労働基準法に基づき2週間前に通知する義務がありますが、職務内容や企業の慣行に応じて異なる場合もあります。
また、会社側が解雇を行う場合、労働基準法で定められた30日前の予告やその代替措置としての解雇予告手当の支払いについても記載します。さらに、退職時の最終賃金の支払いや未消化の有給休暇の取り扱いなど、退職後の処理に関する事項を含めることで、双方の不安やトラブルを避けることができます。
これにより、従業員が安心して退職手続きを進められると同時に、会社側も適切な対応が可能となります。
その他相対的明示事項
相対的明示事項とは、労働契約書において特定の条件が発生した場合にのみ記載が義務付けられる事項であり、一定の項目が該当します。
具体的には、労働契約書が数値目標の達成に基づく成果報酬制度を採用している場合、その評価基準や報酬の算定方法を明示する必要があります。また、転勤が発生する可能性がある場合には、転勤の条件や範囲、さらにはその際の補償条件についても詳細に記載することが求められます。
例えば、労働契約書においてフレックスタイム制度を導入する場合、その働き方の具体的な設定や、労働時間の管理方法を明確に記載しなければなりません。その他にも、教育訓練が義務付けられる場合、その内容や実施方法、さらに費用負担の有無なども相対的明示事項に該当します。
相対的明示事項は、その内容が労働者に直接影響を与えるため、詳細かつ正確に記載することが重要です。これにより、労働者が自身の労働環境や条件を正確に理解し、安心して労働契約を締結できる環境が整備されます。
労働契約書の書き方
ここでは、労働契約書の各項目の書き方を紹介していきます。今回は、以下の項目について書き方を解説します。
- 労働契約期間
- 就業場所と業務内容
- 就業時間
- 残業や休日出勤
- 賃金・手当
- 試用期間
- 社会保険や福利厚生の取り扱い
それぞれの項目の書き方について見ていきましょう。
労働契約期間の書き方
労働契約書における労働契約期間は、従業員の雇用がいつからいつまでかを明確にする重要な項目です。
労働期間の定めがある場合は、具体的な開始日と終了日を明記します。例えば、「契約開始日:20XX年XX月XX日、契約終了日:20XX年XX月XX日」と記載します。また、更新の可能性がある場合は、「更新の有無」や「更新条件」についても明確に記載することが必要です。
一方、期間の定めがない無期雇用契約の場合は、「雇用期間の定めなし」と記載します。無期契約の場合も、労働条件の変更や契約終了に関するルールを別途定めることで、将来的なトラブルを避けることができます。
就業場所と業務内容の書き方
労働契約書において就業場所と業務内容を明確に記載することは、従業員がどこで、どのような業務を行うのかを明示し、雇用条件の透明性を確保するために重要です。
就業場所については、具体的な所在地を記載する必要があります。会社の本社や支社、工場など、勤務先が複数ある場合は、転勤や配属先変更の可能性も含めた記載が推奨されます。また、リモートワークが可能な場合は、その旨も明示するようにしましょう。
業務内容については、従業員が担当する職務や責任範囲を具体的に記載します。例えば「営業職」ではなく、「法人営業における新規顧客の開拓および既存顧客のフォローアップ」といった詳細な職務内容が理想的です。業務内容が変更される可能性がある場合には、その条件や範囲も明確にしておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。
就業時間の書き方
就業時間の書き方については、始業時間と終業時間の記載が重要になります。
まず、始業時間は従業員が実際に業務を開始する時間を明確に示します。例えば、「午前9」」と明示することで、遅刻や早出に関するトラブルを防ぐことが可能です。
一方、終業時間は業務を終了する時間を指し、こちらも具体的な時刻を記載します。変形労働時間制を採用する場合は、その旨を明示し、特定の日における始業・終業時間の変動についても詳細に記載します。
このように、始業・終業時間を明確に記載することで、労働契約書の透明性が高まり、従業員との信頼関係が築かれます。
残業や休日出勤の書き方
労働契約書における残業や休日出勤の取り決めは、労働者と雇用者双方が労働条件を明確に理解するために重要な項目です。
残業に関しては労働基準法に基づき、法定労働時間を超える勤務を行う場合には、残業の上限や手当の支払い基準を明記する必要があります。例えば、1日8時間、週40時間を超えた労働に対して、割増賃金(通常賃金の25%以上)が支払われることを明確に記載します。
また、月間の残業時間の上限や、36協定(時間外労働に関する協定)の存在も記載すると良いでしょう。
休日出勤についても同様に、通常の勤務日に加えて休日に出勤する場合の条件や手当を定めます。休日労働に対しては、通常賃金の35%以上の割増賃金が支払われることを契約書に記載し、対象となる休日の範囲や、振替休日の有無なども明示しておくことが重要です。
これにより、労使間での認識違いを防ぎ、法的リスクを回避できます。
賃金・手当の書き方
賃金や手当の記載は、労働契約書の中で欠かせない要素です。
賃金については、以下の項目を分けて明記します。
- 基本給
- 時間外労働手当
- 深夜手当
- 休日手当
例えば基本給は「月額20万円」といった具体的な金額を記載し、時間外労働手当は「基本給の1.25倍」と具体性を持たせます。加えて、支給日や支給方法も明確にします。「毎月25日、銀行振込にて支給」と記載することで、従業員が安心して働けるようにします。
手当についても同様に、業務手当、通勤手当、資格手当など具体的な種類とその金額、支給条件を詳細に記載します。例えば通勤手当に関しては「月額上限2万円まで、実費支給」といった形で、条件を明確にします。また賞与に関する項目も「年2回、会社業績に基づく」といった形で具体的に記載します。
これにより、労働契約書が明確で誤解のない内容になることが求められます。
試用期間に関する書き方
労働契約書における試用期間の記載は、雇用者と従業員の間での期待や条件を明確にし、トラブルを避けるために非常に重要です。
試用期間の記載には、具体的な期間を明示する必要があります。通常、試用期間は3か月から6か月程度と設定されることが多いですが、法律上は上限がありません。また、試用期間中の労働条件や給与が本採用後と異なる場合は、その点も明確に記載することが求められます。
さらに、試用期間中の評価基準や、その結果として本採用に至らない場合の対応についても触れることが重要です。例えば、試用期間終了時に労働契約を解除する場合の手続きや、試用期間の延長が可能かどうかについても明記しておくことで、後の紛争を避けることができます。
試用期間に関する記載は、従業員に対する雇用条件の透明性を高め、双方にとって公平な労働環境を作るための重要な要素です。
社会保険や福利厚生の取り扱いについての書き方
社会保険や福利厚生の取り扱いについて、労働契約書において明確に記載することは非常に重要です。社会保険については、以下の主要な保険制度に加入していることを指します。
- 雇用保険
- 健康保険
- 厚生年金保険
労働契約書では、それぞれについて加入の有無や適用範囲を明確に示す必要があります。特に、適用される基準(例:労働時間が週20時間以上の場合など)を明確にしておくことで、労働者に対して制度の適用有無が分かりやすくなります。
また、福利厚生については、会社が提供する諸制度を詳しく明示します。具体的には、通勤手当、住宅手当、健康診断、育児・介護休業制度、その他の特別な福利厚生制度が該当します。これらの制度に関する条件や適用範囲を契約書に記載することで、労働者が自分に適用される権利を理解しやすくなり、トラブルの予防にもつながります。
労働契約書作成時の注意点
労働契約書を作成する際にはいくつかの注意点があります。この注意点を押さえていないと、労働契約書を巡ってトラブルが発生するリスクが高まります。
- 法律や規則に抵触している項目がないか確認する
- 記載が必要な項目を盛り込んでいる
- 雇用形態に適した内容になっている
- 転勤や人事異動、職種変更の可能性について明記している
- 労働時間制や試用期間について明らかにしている
それぞれの注意点について解説していきます。
法律や規則に抵触している項目がないか確認する
労働契約書を作成する際には、契約内容が法律や規則に違反していないかを確認することが不可欠です。
特に労働基準法や労働契約法など、労働者の権利を守るための法律に反する内容が含まれていると、契約そのものが無効とみなされる場合があります。例えば、最低賃金以下の賃金設定や、労働基準法で定められた労働時間を超えた労働を強制するような項目は、違法行為として取り扱われる可能性があります。
また、解雇に関する条項や休暇の取り扱いについても、法定基準を満たしているか確認が必要です。労働者に不利益となる条項を避け、公平かつ適正な契約を締結することが重要です。
契約書作成時には、法的な専門家の助言を受け、最新の法改正にも対応できるようにしておくと安心です。これにより、法的なリスクを回避し、トラブルの発生を防ぐことができます。
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記載が必要な項目を盛り込んでいる
労働契約書の作成においては、法的に定められた項目を必ず含めなければいけません。これには、労働基準法で義務付けられた基本的な労働条件が含まれ、雇用者と労働者の双方が合意し、誤解を避けるために明確に示す必要があります。
具体的には、以下の項目が該当します。
- 労働契約の期間
- 業務内容や勤務地
- 勤務時間
- 休憩時間
- 休日
- 賃金
これらの項目を詳細に記載することで、労働者が自身の権利や義務を把握しやすくなり、将来的なトラブルを防ぐことができます。また、未記載の項目がある場合、労働者側の不利益を招き、最悪の場合、契約が無効になるリスクもあります。そのため、労働契約書には法令に従い、必要な項目をもれなく記載することが大切です。
絶対的明示事項に該当する項目については、しっかりと契約書に盛り込むことで、信頼性の高い契約を実現できます。
雇用形態に適した内容になっている
労働契約書を作成する際には、雇用形態に応じた内容を正確に反映させることが重要です。以下のような雇用形態によって適用される労働条件や待遇は異なるため、それに応じた契約内容を記載しなければなりません。
- 正社員
- 契約社員
- アルバイトやパート
例えば、正社員には昇給や賞与、退職金が適用されることが一般的ですが、契約社員やパートの場合、これらが適用されないこともあります。そのため、各雇用形態に応じて項目を明確に区別し、契約書に反映することが必要です。
特に契約社員の場合、契約更新の有無やその条件についても詳細に記載し、労使間での認識のズレを防ぐことが求められます。雇用形態ごとの労働契約書の作成については、後で詳しく解説します。
転勤や人事異動、職種変更の可能性について明記している
労働契約書を作成する際に、転勤や人事異動、職種変更の可能性について明記することは、雇用者と従業員双方にとって重要です。これらの事項を明確に記載することで、将来的に労働条件が変わる可能性を労働者が事前に把握でき、不意な変更によるトラブルを避けることができます。
転勤の場合、勤務地や範囲、異動頻度について具体的に記載することが推奨されます。人事異動や職種変更に関しては、どのような条件下で実施されるか、例えば業務上の必要性や会社の経営方針に基づくものかを明示します。これにより、従業員は契約時に将来の異動の可能性を理解し、納得した上での契約が可能となります。
万が一、これらの取り決めが明示されていない場合、従業員は拒否権を主張する可能性があり、法的なトラブルに発展するリスクがあります。
労働時間制や試用期間について明らかにしている
労働契約書を作成する際には、労働時間制と試用期間に関する取り決めを明確に記載しているかどうかを確認しましょう。労働時間制においては、以下の内容を具体的に定める必要があります。
- 所定労働時間
- 残業の有無
- 休憩時間
- 休日の設定
フレックスタイム制やシフト制など、特定の勤務時間制度を採用している場合には、その詳細を明示し、労働者が自身の勤務時間を理解できるようにする必要があります。
試用期間については、期間の長さやその間の労働条件、試用期間終了後の正規雇用への移行条件などを明確にすることが求められます。また、試用期間中に適用される特別な条件(賃金や勤務内容が異なる場合など)についても契約書に記載することで、後のトラブルを防ぎます。
これらの事項を事前に明確にしておくことで、労使間の認識の違いをなくし、スムーズな雇用関係の構築が可能となります。
労働契約書の再発行や更新手続きはどうすればいい?
労働契約書の再発行や更新手続きは、労働者の労働条件や雇用期間に変更が生じた場合に必要です。労働条件は変更が生じるケースが多いため、再発行や更新手続きにスムーズに対応する必要があります。
以下では、労働契約書の再発行が必要なケースや更新時の留意点、手続きの流れについて解説していきます。
労働契約書の再発行が必要なケースとは
労働契約書の再発行が必要な状況は、多岐にわたります。
最も一般的なケースは、労働契約書を紛失した場合です。この際、労働者もしくは雇用主が再発行を求めることで、双方が契約内容を再確認できるため、法的トラブルを未然に防ぐことが可能です。
また、労働条件の変更が生じた際も再発行が求められます。例えば、賃金や労働時間の変更、役職の昇進などがある場合です。このような変更に対して雇用者は、労働者に対して書面で明示することが法律で求められており、再発行によって契約内容を最新の状態に保つことが求められます。
さらに、企業の方針変更や法改正により、労働時間や賃金の計算方法や規定が変わった場合も再発行が必要となります。そして、一定期間ごとに契約を更新する際にも、再発行が求められるのが一般的です。特に有期雇用契約の場合、契約期間が終了する前に再発行して新しい契約内容を明示しなければなりません。
これにより、雇用契約の継続性が保障され、雇用者と被雇用者の間で誤解やトラブルを回避することができます。
労働契約書を更新する際の留意点
労働契約書を更新する際には、以下の点に留意しなければいけません。
- 契約更新に適した理由がある
- 最新の法律に準拠している
- 就業規則と整合性が取れる契約書である
- 雇用者と労働者で合意している
まず、契約更新の理由が明確であることが求められます。例えば、業務内容の変更や賃金の改定などが影響する場合、それらの背景を労働者に十分に説明する必要があります。
また、更新する際には最新の労働基準法やその他関連法令に準拠しているかを確認することが重要です。特に労働時間や休暇、賃金等の基本的な条件については、法的要件を満たしていることを再確認することが必要です。
さらに、労働契約書が就業規則と整合性が取れているかも確認が不可欠です。就業規則が変更された場合は、労働契約書もそれに合わせて更新する必要があります。
加えて、更新前に労働者との合意を取ることも重要です。労働契約書の内容が労働者にとって不利益な変更を含む場合は、特に慎重に対応する必要があります。こうした点に留意して、労働契約書を適切に更新するようにしましょう。
労働契約書の契約期間の延長・変更手続きの流れ
労働契約書の契約期間を延長・変更する際には、いくつかのプロセスを経て進める必要があります。
契約期間の変更に関しては、労働者と雇用者の合意が必要です。この合意は書面で明示するのが一般的で、口頭での合意だけでは法的効力が弱くなります。労働契約書の改訂内容を労働者に十分に説明し、理解と納得を得ることが大切です。
具体的な手続きの流れについては、まず現行の契約内容の確認から始めます。現在の契約がどのような条件で締結されているのかを把握し、変更点を明示することができます。その後、新しい契約書案を作成し、労働者に提示します。
その際に、契約期間の延長や変更に伴う労働条件の変化について十分に説明することが求められます。例えば、賃金や労働時間、休暇の取り扱いなどが変更される場合には、その詳細を労働契約書に明記する必要があります。
最後に、労働契約書の変更内容が労働基準法などの法令に適合しているかどうかを確認し、遵守していることが分かれば、雇用者・労働者双方による署名と捺印をもって手続きが完了となります。
労働契約書は電子交付もできる!
労働契約書は紙での交付が一般的ですが、近年では電子交付も認められています。労働基準法の改正により、労働者の同意を得た場合に限り、契約書を電子的に交付することが可能となりました。
電子交付の利点として、紙の書類を保管する手間や紛失のリスクが減り、いつでもどこでも簡単に確認できる点が挙げられます。また、企業側も書類管理の効率化やコスト削減を図ることができ、双方にとってメリットが大きいです。
しかし、電子交付を行う際には、労働者にとってアクセスしやすい形式での提供が求められます。また、適切なセキュリティ対策を講じることも重要です。電子契約書の作成にあたっては、適切な電子署名やタイムスタンプを利用し、法的効力を確保することが推奨されます。
電子交付によって、契約内容の確認や保管がスムーズになり、現代の働き方に即した契約手続きが可能となります。
電子交付を導入する際の手順
労働契約書の電子交付を導入する際には、いくつかの重要な手順を踏む必要があります。
まず、電子交付に対応したシステムの導入を検討することから始めます。専用の電子契約システムや電子署名機能を備えたサービスを利用することで、契約書の作成・送付・管理が円滑に行えます。
次に、労働者の同意を得ることが不可欠です。電子契約の利用には、紙の契約書に代わる方法として電子交付を選択することに対し、労働者から明示的な同意を得る必要があります。
さらに、電子交付された契約書が適切に保存・閲覧できる環境を整えることも重要です。労働基準法に従い、労働者が契約書を容易に確認できる状態に保つ義務があるため、インターネット上で安全にアクセスできるシステムを用意する必要があります。
最後に、システムのセキュリティ対策として、個人情報の保護や不正アクセスの防止を徹底することで、信頼性の高い契約書管理が実現できます。
正社員・パート・有期雇用別の労働契約書のポイント
労働と言っても、雇用形態はさまざまです。そのため、労働契約書の書き方にも違いが生まれるため、それぞれの書き方を把握しておく必要があります。
今回紹介する雇用形態は、以下の3つです。
- 正社員
- パート・アルバイト
- 有期雇用
それぞれの雇用形態における労働契約書の書き方について見ていきましょう。
正社員の労働契約書で記載すべき事項
正社員の労働契約書には、雇用に関する事項が詳細に記載される必要があります。
まず、雇用開始日と契約期間を明記することが基本です。これは正社員としての雇用が無期限であったとしても、明示しておくことで後々のトラブルを防ぐことができます。また、業務内容と就業場所について具体的に記載することで、双方が職務の範囲や勤務地に関して明確な理解を持つことができます。
さらに、就業時間と休憩時間、残業や休日出勤の取り扱いについても詳細に書くことが重要です。これによって労働時間に関する誤解が生じにくくなります。加えて、賃金や手当、昇給制度の詳細も欠かせません。基本給の概要から各種手当の内容や支給条件、支給日などを明示し、将来的な給与の変動についても一貫性を持って対応できるようにします。
最後に、退職に関する事項も必ず記載が必要です。退職手続きや解雇の条件、退職金の有無などを明確にし、労使双方の意見が一致する形で取りまとめることが望ましいです。
このように、正社員の労働契約書には多岐にわたる重要事項が記載されるべきであり、それにより雇用契約が法的にも実務的にも適切に機能することが保証されます。正社員は最もベーシックな雇用形態であるため、特記事項のようにややこしい条項がないのが特徴です。
パート・アルバイトの労働契約書で記載すべき事項
パート・アルバイトの労働契約書を作成する際には、正社員とは異なる点に配慮し、特有の事項を明確に記載することが重要です。
まず、契約期間が明確であればその期間を明示し、更新の有無や条件も記載します。また、労働時間やシフトの柔軟性が特徴であるため、所定労働時間や出勤日、休憩時間などを具体的に定める必要があります。特にシフト制の場合は、労働者が自身の勤務スケジュールを理解できるようにシフトの通知方法や変更手続きについても明示しておくことが求められます。
さらに賃金に関しては、時間給での支払いが一般的なため、時給の金額や支払日、支払い方法などを詳細に記載します。また、パート・アルバイトには社会保険の適用条件が異なる場合があるため、加入要件や適用される福利厚生も明示します。
これらを明確にすることで、労働者とのトラブルを防ぎ、適切な労働環境の整備が可能となります。
有期雇用の場合に記載するべき事項
有期雇用の場合、労働契約書には特記事項としていくつかの重要な要素を明確に記載する必要があります。
まず、有期雇用は特定の期間が設けられているため、開始日と終了日を明示し、その期間後の更新の有無についても記載することが求められます。また、契約更新があり得る場合、その条件や更新の判断基準を具体的に示すことで、雇用の透明性を高めることが可能です。
加えて、労働契約書には契約終了時の手続きについても詳細に記しておくことが重要です。これには、契約満了時の通知期間や手続き、さらに契約終了後の再雇用の可能性についての内容も含まれます。
これらの特記事項を明確にしておくことで、労使双方が契約期間内における役割や責任、期待される行動について理解を深めることができます。
まとめ
労働契約書の作成については、絶対的明示事項があり、これを記載していれば最低限のものとなります。まずは絶対的明示事項が何かを理解し、必ず記載しなければいけない項目を押さえることが重要です。
また、雇用形態ごとに記載する内容も異なるため、それぞれの書き方を理解しておく必要があります。基本的な項目は同じですが、相対的明示事項では違いがあるため、その点も把握しておきましょう。
労働契約書は、労働者を雇い関係を築く上で必要不可欠な書類です。更新や契約期間の延長も必要になるため、基本的な書き方やルール、法的拘束力について知っておきましょう。この記事が労働契約書について理解を深める内容として役に立てれば幸いです。
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