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雇用契約書の作成方法とは?必要になるケースや記載すべき項目、ポイントや注意点を徹底解説!
契約書・リーガルチェック
2024.10.25 ー 2024.10.25 更新
雇用契約書の作成は、企業と従業員の間で誤解やトラブルを未然に防ぐために非常に重要です。雇用契約書を作成しないことが法的に問題になるのか、また、どういったトラブルが生じる可能性があるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では雇用契約書の作成がなぜ必要なのか、そして具体的な作成時のポイントについて詳しく解説します。この記事を読むことで、雇用契約書の重要性を理解し、トラブルを避けるための適切な対策を講じることができるようになるでしょう。
雇用契約書とは?
雇用契約書とは、雇用者と労働者の間で締結される労働条件や権利義務を明文化した書面です。この書類は、双方が合意した内容を明確に示すための重要な法的文書であり、労働基準法に基づき、必須の情報が記載される必要があります。
具体的には、以下の項目です。
- 労働時間
- 賃金
- 業務内容
- 勤務場所
- 休日休暇
これにより、後に発生する可能性のあるトラブルを未然に防ぎ、双方が納得した条件での労働関係を築くことが可能になります。
雇用契約書と労働条件通知書の違い
雇用契約書と労働条件通知書は、労働者と雇用者の間で結ばれる基本的な書類であり、それぞれ異なる目的と役割を持っています。
雇用契約書は、労働者と雇用者の間で取り決めた労働条件を明確にする法的な契約書です。この書類には、以下の内容が記載されており、双方の合意に基づいて作成されます。
- 賃金
- 労働時間
- 業務内容
- 勤務地
一方の労働条件通知書は、労働基準法に基づき、雇用者が労働者に対して労働条件を明示するための書類です。労働条件通知書には、賃金や労働時間、休憩時間、休日などの基本的な労働条件が記載されており、労働契約が成立する前に労働者に対して交付されることが法的に義務付けられています。
これらの書類の違いは、法的効力と目的にあります。雇用契約書は労働契約の条件を詳細に定めるもので、法的に強制力を持ちます。一方で、労働条件通知書は労働者に対する説明義務を果たすためのものであり、契約というよりは情報提供の役割を果たします。
雇用契約書は労働条件通知書を兼ねることができる
雇用契約書は労働条件通知書を兼ねることができるため、一つの書類で両方の役割を果たすことが可能です。労働基準法に基づき、雇用主は労働者に対して労働条件を明示する義務がありますが、これを満たす手段として雇用契約書が有効です。
雇用契約書には労働条件通知書と同じく、給与や労働時間、休暇などの主要な情報が含まれているため、別々に用意する必要がなくなります。
ただし、雇用契約書が労働条件通知書を兼ねるためには、労働基準法に基づく全ての必要な情報が正確かつ明確に記載されていなければいけません。これにより、労働者は自身の労働条件を十分に理解し、安心して業務に取り組むことができます。
雇用契約書の作成が必要なケースとは?
雇用契約書の作成が必要なケースとして挙げられるのが、正社員を新たに雇用する場合です。これは、正社員の労働条件が多岐にわたるため、明確な契約書で双方の認識を合わせる必要があるためです。
次に、パートタイムやアルバイトなど非正規雇用の場合でも、一定の労働条件がかかる場合は雇用契約書を作成する必要があります。特に労働時間や給与、福利厚生に関する詳細が含まれる場合は、後々のトラブルを避けるためにも、書面に明示することが求められます。
また、高度な専門知識や技能を要する職種においても、特別な条件が存在するため、雇用契約書が必要です。これにより、雇用者と被雇用者の双方がそれぞれの義務と権利を明確に理解し、健全な労働関係を築くことができます。雇用契約書の存在は、労働条件通知書を兼ねる形であっても、労働基準法上の義務を果たすために重要です。
雇用契約書の作成は義務ではない
雇用契約書の作成は義務ではないものの、労働基準法において労働条件の明示義務は存在しています。つまり、雇用契約書自体を作成する法律上の義務はありませんが、その代わりに労働条件を明示することは必須とされています。
労働条件の明示は、労働契約が成立する際に文書や電子メールなどの書面で行うことが求められ、以下のような基本的労働条件について記載している必要があります。
- 賃金
- 労働時間
- 休日
雇用契約書はこれらの条件を包括的に示す有効な手段であり、双方の権利義務を明確にすることで後々のトラブルを避けるためにも重要です。特に、曖昧な取り決めが原因で紛争が生じる可能性があるため、詳細に記載された雇用契約書は労使双方にとってリスクの軽減に寄与します。
したがって、法的には義務ではないものの、企業にとって雇用契約書の作成は実質的に必要不可欠と言えるでしょう。
雇用契約時における雇用者の義務とは?
雇用契約時において、雇用者はいくつかの義務を負うことになります。
まず、雇用者は労働基準法に基づき、労働条件を明示する義務があります。具体的には、労働時間、賃金、休暇、福利厚生などの条件を明確にする必要があります。これらの情報は、労働条件通知書または雇用契約書に記載されることが一般的です。
また、雇用者は労働契約締結の際に、契約内容を十分に説明し、労働者がその内容を理解していることを確認する責任も負っています。例えば、就業規則や社内規定に関する説明もこの義務に含まれます。
労働契約書を作成しない場合、労働者との間でトラブルが発生するリスクが高まります。曖昧な条件のもとでの労務提供は、不当解雇や賃金未払いの原因となり得ます。したがって、雇用契約書の作成は雇用者にとっても大切なリスク管理の手段と言えるでしょう。
雇用者は労働条件に関する変更が生じた場合、速やかにその内容を労働者に通知し、必要に応じて新たな雇用契約書を作成する義務があります。これによって、労使間の信頼関係を維持し、健全な労働環境を構築することが可能となります。
雇用契約書に記載すべき重要項目とその理由
雇用契約書に記載すべき重要事項はいくつかありますが、それらの項目は以下の2つの事項に分けることが可能です。
- 絶対的明示事項
- 相対的明示事項
それぞれの記載事項について解説します。
絶対的明示事項
絶対的明示事項とは、雇用契約書や労働条件通知書に必ず記載しなければならない項目のことです。具体的には、以下のような項目が該当します。
- 労働契約の期間
- 就業の場所及び従事すべき業務の内容
- 始業及び終業の時刻
- 所定時間外労働の有無
- 休日・休暇について
- 賃金の決定・計算・支払の方法
- 昇給
- 退職
これらの項目は雇用契約書に明記されていないと、従業員との間でトラブルが発生する可能性が高まり、最悪の場合、法的問題に発展することもあります。そのため、企業はこの絶対的明示事項をしっかりと押さえ、正確に記載する必要があります。
労働条件が労働者にとって不利なものとなる場合には、書面での説明が一層重要となりますので、注意が必要です。
相対的明示事項
相対的明示事項とは、労働契約の内容を明示する際に、特定の条件が発生した場合にのみ記載が求められる事項を指します。
例えば、賃金の変動要因や昇給、降給に関する条件が含まれます。これらは、労働条件に直接影響を与えるため、適切に記載することが重要です。また、労働者の働く場所や業務内容の変更、特定の就業条件がある場合も相対的明示事項に該当します。
相対的明示事項を記載することで、労働者と雇用者の双方が明確な理解を持つことができ、労働条件に関するトラブルを未然に防ぐことが可能です。特定の条件におけるルールについても明記することで、労働者の権利を保護し、円滑な労働関係を維持することができるでしょう。
雇用契約書を作成する際の注意点
雇用契約書を作成するにあたって、以下の点に注意する必要があります。
- 絶対的明示事項の項目を網羅する
- 労働時間制度を明示する
- 転勤や人事異動、職種変更の有無を明確にする
- 試用期間について明記する
それぞれの注意点について解説していきます。
絶対的明示事項の項目を網羅する
雇用契約書を作成する際に注意すべき重要なポイントの一つが、絶対的明示事項を網羅することです。絶対的明示事項が雇用契約書に明示されていない場合、法的に無効となる可能性があり、労働者とのトラブルにつながることもあります。
絶対的明示事項には、労働における基本的条件が含まれます。特に賃金に関しては、基本給だけでなく時間外手当やその他の手当についても詳細に記載する必要があります。また、労働時間については始業・終業時間だけでなく、休憩時間や残業の有無についても明記することが求められます。
これらの項目を適切に網羅しないと、後々の紛争の原因となり、企業としての信用を損なう可能性があります。そのため、雇用契約書を作成する際には、絶対的明示事項を確実に盛り込み、労働者と明確に合意を形成することが大切です。
労働時間制度を明示する
労働時間制度を明示することは、雇用契約書作成において注意するべき要素です。労働時間制度には、所定労働時間や休憩時間、休日、残業の有無とその扱いが含まれます。これらを明確にすることで、労働者が自身の勤務条件を正確に把握することができ、就労における不安やトラブルを未然に防ぐことができます。
特に残業時間については、法定労働時間を超える場合の割増賃金について細かく記載することが求められます。フレックスタイム制や変形労働時間制など、特殊な労働時間制度を導入している場合は、その具体的な運用方法についても詳細に記載する必要があります。
これにより、労使双方の理解が一致し、労働トラブルを防ぐ有効な手段となります。また、労働基準法に基づき、労働時間制度の明示は法的義務でもあるため、遵守しない場合の罰則にも注意が必要です。
転勤や人事異動、職種変更の有無を明確にする
転勤や人事異動、職種変更の有無を明確にすることは、雇用契約書作成において極めて重要です。これらの事項が曖昧なままでは、労働者が将来的にどのような場所で働くのか、どのような職務を担当するのかについての不確実性が生じ、労働者にとって大きな不安材料となります。
加えて、企業側もこれらの点を明確にしない場合、後々にトラブルを引き起こしかねません。
例えば転勤の可能性があるにも関わらず、そのことを雇用契約書に明示していない場合、転勤を命じた際に労働者から拒否されるリスクがあります。これは、労働者が事前にその可能性を認識していなかった場合に顕著です。同様に、人事異動や職種変更についても、事前にその可能性を労働者に告知しておくことで、いざという時にスムーズな対応が可能になります。
さらに、これらの事項を明記することで、労働者のキャリアプランニングにも役立ちます。企業としては、労働者が将来のキャリアパスを描きやすくすることで、長期的な雇用関係の維持を図ることができます。したがって、雇用契約書には転勤、人事異動、職種変更の有無とその条件を具体的に記載することが不可欠です。
転勤・人事異動・職種変更について雇用契約書に記載することで、企業と労働者双方の信頼関係を築き、円滑な労働環境を提供することが可能となります。
試用期間について明記する
試用期間について明記することは、雇用契約書の作成プロセスにおいて必要です。試用期間中の待遇や評価基準を明確にすることで、双方が納得した条件の下で働くことができます。
試用期間とは、従業員が本採用される前に、その能力や適性を確認するための期間を指します。具体的には、以下の内容を記載する必要があります。
- 試用期間の長さ
- 評価基準
- 待遇の違い
- 試用期間終了後の処遇
まず、試用期間の長さについてですが、通常は1ヶ月から6ヶ月程度が一般的です。しかし、業務内容や企業の方針により、この期間は異なることがあります。次に、評価基準についても明確にしておくようにしましょう。これには、具体的な業務目標や評価項目を含めることで、従業員がどのような成果を求められているのかを理解しやすくなります。
待遇の違いについても触れておくべきです。例えば、試用期間中の給与や福利厚生が本採用後と異なる場合、その違いを明記しておくことで、採用後のトラブルを未然に防ぐことができます。また、試用期間終了後の処遇についても試用期間が終了した際に自動的に本採用となるのか、面談や評価が必要なのかを明確にすることで、従業員の不安を軽減することができます。
このように、試用期間について詳細に記載することで、従業員と企業双方が安心して働ける環境を構築することができます。
なぜ雇用契約書が必要なのか?その理由と重要性
雇用契約書が必要な理由は、労働者と雇用者の間で合意された労働条件や権利義務を明確にし、後のトラブルを未然に防ぐためです。労働契約は口頭でも成立しますが、条件が曖昧な場合、誤解や不満が生じやすくなり、結果として法的な問題に発展することがあります。雇用契約書は、そのようなリスクを軽減し、双方の立場を明確にするための役割を果たします。
特に賃金や労働時間、休暇などの基本的な労働条件は、明示的に書面で示すことが法的に義務付けられています。これにより、労働者は自身の権利を適切に理解し、雇用者も不当な要求や誤解を避けることができます。また、雇用者にとっても、契約内容が文書で記録されることで、後に発生する可能性のある訴訟や労務トラブルに対する防御策となります。
さらに、契約内容を明文化することにより、労働環境が透明で公正なものであることを示す信頼性のある証拠となり、労働者のモチベーションや企業の信用を高める効果もあります。
「そんな書類は知らない」を防ぐ効果もある
雇用契約書が必要な理由の一つに、「そんな書類は知らない」という労働者や雇用者側のトラブルを防ぐ効果が挙げられます。労働条件や契約内容について口頭でのやり取りだけに頼ると、記憶の不一致や解釈の違いから後で紛争が発生するリスクがあります。
しかし、雇用契約書を作成し、双方が確認することで、労働条件が明確に文書化され、合意内容を一貫して把握することが可能となります。
賃金や労働時間、休日、退職に関する条件などが書面に記載されることで、曖昧さが排除されます。このような契約書の存在により、後から「そんな条件は聞いていない」といった主張が出ることを防ぎ、双方の理解を一つにまとめる役割を果たします。
雇用契約書を適切に作成することで、法的な裏付けが強まり、万が一の法的トラブルに備えることができるため、雇用者にとっても大きなメリットとなります。
雇用契約書を作成する際のポイント
雇用契約書を作成する際には、いくつかの重要なポイントを押さえることが必要です。まず、契約書には必ず「絶対的明示事項」を網羅することが求められます。これは労働基準法で定められた必須事項で、労働者と雇用者が守るべき基本的な条件を明確に記載するものです。
次に、双方が契約内容を理解しやすいよう、具体的で分かりやすい言葉を使うことが重要です。あいまいな表現は、後に解釈の違いから問題を引き起こす可能性があります。例えば賃金に関する記載では、基本給のほかに、残業手当やその他の手当の内容を明確に記述することが求められます。
また、労働者に不利益となる事項を一方的に盛り込まないよう注意が必要です。労働基準法に違反する内容は無効とされるため、契約内容が法令に準拠していることを確認する必要があります。必要に応じて、弁護士などの専門家からアドバイスを受けることも効果的です。
最後に雇用契約書は双方が署名し、契約内容を確定させます。署名によって、双方が合意したことを明確に証明できるため、後のトラブルを防ぐ基盤となります。
入退社管理を簡単・確実に
入退社管理を簡単・確実に行うためには、適切な雇用契約書の作成が不可欠です。雇用契約書は雇用者と被雇用者の権利義務を明確にし、後々のトラブルを未然に防ぐ役割を果たします。
例えば、退職時の手続きや給与に関する問題が発生した場合、契約書があることで双方の主張を客観的に確認できます。また、入退社時の事務処理を効率的に進めるためには、デジタル化された管理システムも有効です。これにより、雇用契約書の紛失や誤記入のリスクを低減できます。
システムを活用した場合、入社時には必要な書類の提出状況をリアルタイムで確認でき、退社時には未処理の手続きがないか一目で把握可能です。このように、契約書の適切な運用と先進的な管理システムの導入により、入退社管理を簡単かつ確実に行うことができます。
雇用形態別に見る!雇用契約書作成時の注意点
雇用契約書の作成については、雇用形態ごとに注意するべき点が異なります。ここでは、以下の雇用形態に分けて雇用契約書作成の注意点を解説していきます。
- 正社員
- パートタイム労働者・有期雇用労働者
社内に該当する雇用形態を取っている従業員がいる場合は、参考にしてみてください。
正社員
正社員の雇用契約書の作成は、労使間のトラブルを未然に防ぐために重要です。
雇用契約書には、以下の条件を明確に定めた上で記載することが求められます。
- 賃金
- 労働時間
- 業務内容
- 労働条件
これらの項目を具体的に記載することで、後々の誤解や紛争を回避できます。例えば始業時刻や終業時刻、休憩時間を詳細に記入することで、勤務時間に関する紛争を避けることができます。また、正社員としての職務内容や勤務地を明示することも、職務範囲の認識違いや転勤に伴うトラブルを防ぐ重要な手段です。
賃金に関しては基本給や手当、賞与などの詳細を含めることで、給与支給に関する誤解を防ぎます。正社員においては長期的な雇用関係が前提となるため、契約内容を詳細に記載することが不可欠です。これにより、安心して働ける環境を提供し、従業員の満足度向上にも貢献します。
パートタイム労働者・有期雇用労働者
パートタイム労働者や有期雇用労働者に対しても、雇用契約書の作成は重要な作業となります。
まず、これらの労働者は労働条件や勤務時間、給与などがフルタイムの正社員とは異なるため、具体的な条件を明示することが求められます。特に有期雇用労働者の場合、契約期間が限定されているため、その終了時期や更新の有無について明確にしておく必要があります。これはトラブルを未然に防ぐための基本的な対策です。
さらに、パートタイム労働者については勤務日数や時間が異なるため、それに応じた賃金計算方法を明記することが求められます。そのため、雇用契約書がないと労働者が予期せぬ条件で働かされるリスクが高まるだけでなく、雇用者側も労働基準法違反として罰則を受ける可能性があります。したがって、雇用契約書は労働者の権利を守るだけでなく、雇用者にとっても法的なリスクを回避するための重要な書類となります。
また、雇用契約書には以下の基本情報を記載することが不可欠です。
- 試用期間
- 職務内容
- 勤務地
- 勤務時間
- 給与体系
これらの項目がしっかりと明示されていない場合、後々のトラブルの原因となることが多くなります。労働者と雇用者の双方が安心して働ける環境を整えるためにも、雇用契約書の作成は欠かせない手続きとなります。
2024年4月から新たに明示義務となる労働条件とは?
2024年4月から法改正により、労働条件の明示義務が新たに強化されます。具体的には、以下の労働条件を明示する義務が追加されました。
- 就業場所や業務の変更の範囲
- 契約更新の上限
- 無期転換申込機会
- 無期転換後の労働条件
企業側はこれらの新たな義務を遵守し、適切に対応することで、トラブルや誤解を未然に防ぐことが求められます。それぞれの労働条件の概要について解説していきます。
就業場所・業務の変更の範囲
2024年4月から施行される新たな労働条件の明示義務により、就業場所・業務の変更の範囲が雇用契約書に明記されることが義務化されます。この改正は、労働者が就業中にどの範囲で勤務地や業務内容が変更される可能性があるかを事前に明確にしておくことで、配置転換や移動、出向による不安を軽減することを目的としています。
就業場所・業務の変更の範囲では、就業場所が異なる事業所間での転勤の可能性や、業務内容がどの程度変更されるかの範囲を明示することが求められます。これにより、労働者は転勤や異動に備えた事前の確認ができ、納得した上で雇用契約を結ぶことが可能になります。。
労働者のライフスタイルに大きく影響を与える就業場所や業務内容の変更について、契約書で明確に取り決めることが、今後の労使関係においてより重要なポイントとなるでしょう。
更新の上限
2024年4月から新たに明示義務となる更新の上限とは、有期雇用契約において契約を更新できる回数や期間の限度を事前に明確に示すことを指します。
有期雇用契約は期間の定めがある雇用形態であり、契約が終了する際には更新が行われる場合がありますが、その更新が無制限に続くと、労働者にとっては不安定な雇用状態が長引く恐れがあります。このため、雇用契約書には契約更新の上限について明示することが義務づけられるようになりました。
例えば、契約が更新できる回数を「最大3回まで」や「最長で5年間」といった具体的な数値を契約書に記載することで、労働者は契約期間の見通しを立てやすくなります。これにより、雇用の安定性や将来の計画を考慮する際の不安を軽減する効果があります。
これにより、契約終了に伴う労働者と雇用者の間でのトラブル防止が図られ、雇用契約の透明性が向上します。更新の上限を雇用契約書に反映させることで、法令遵守と労働者の安心感を確保することが求められます。
無期転換申込機会
2024年4月から新たに明示義務となる無期転換申込機会とは、有期契約が無期契約への転換を申し込む権利を持つ機会を指します。この制度は、有期契約が繰り返し更新される中で、雇用の安定性を確保するために導入されました。
具体的には、同一の事業主の下で有期雇用契約が通算5年以上に達した場合、労働者が無期労働契約に転換することを申し込む権利を持ちます。
新たな明示義務により、雇用契約書や労働条件通知書などに無期転換申込機会についての説明を労働者に明確に伝える必要があります。労働者は自らの権利を行使して、適切な時期に無期転換を申請することが可能となります。企業側にとっても、この機会を適切に通知することで、労使間の信頼関係を強化し、労働者の長期的なキャリア形成をサポートする重要なステップとなります。
これによって、労働者の安定した雇用環境を提供し、企業にとっても労働力の確保に寄与するものとして期待されています。
無期転換後の労働条件
無期転換後の労働条件とは、労働契約が有期から無期に転換された際の条件を明確に提示することが求められるものです。従来は、有期契約が無期契約に転換される際に詳細な労働条件の明示が必須ではありませんでした。しかし、無期転換後の労働条件が明示されない場合、労働者との間で条件の解釈が曖昧になるリスクが高まり、トラブルの原因になる可能性があります。
この明示義務の導入により、雇用者は無期転換後の賃金や労働時間、業務内容、職場環境などの詳細を具体的に提示する必要があります。特に、有期契約時と無期転換後で労働条件が変わる場合、その変化についても労働者に分かりやすく説明し、書面で明示することが重要です。これにより、労働者は無期転換後も安心して働くことができ、雇用者側も契約内容に基づいて適正な労働環境を提供することが期待されます。
明示義務の発生は、無期労働契約が成立した時点、もしくは無期転換申込機会が生じる契約更新時です。労働者が有期労働契約を希望する場合は、更新の都度明示義務が発生します。
まとめ
雇用契約書の作成は、企業と従業員の双方にとって非常に重要です。雇用契約書を作成することで、労働条件や賃金、労働時間などの基本的な事項が明確になり、将来的なトラブルの防止につながります。言った・言わないのトラブルを回避するためには、雇用契約書が有効な書類となります。
雇用契約書の作成は義務ではありませんが、原則として作成しておくべきでしょう。雇用契約書は労働条件通知書も兼ねるため、よほどのことがない限り作成することをおすすめします。
また、労働基準法では雇用者に対して労働条件の明示義務が課されています。これには、雇用契約書や労働条件通知書などの形で、従業員に対して書面で労働条件を通知することが含まれます。これに違反すると、企業は罰則を受ける可能性があるため、注意が必要です。
雇用契約書の作成については、社内で作成することも可能ですが、頻繁に雇用したり人数が多い場合は、自社だけで作成するのは難しいと感じるかもしれません。また、法律の知識やノウハウがないと曖昧な表現が多くなり、いざトラブルになった際に雇用契約書が解決の糸口にならない可能性もあります。
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